エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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なぜ私たちはフリーランスになるのか ―― 2018年4月にクラウドソーシング大手のランサーズが発表した『フリーランス実態調査 2018年版』によれば、日本におけるフリーランス人口は現在1,119万人だという。労働人口に占める割合は17%となっており、今後もフリーランス人口は増えていくだろう。
そしてフリーランスを目指す理由としては「ワークライフバランスを見直したい」「会社の人間関係が嫌になった」「収入を増やしたい」など人それぞれだろうが、果たして海外ではどうなのだろうか。
今回、台湾・台北にてお話を伺ったのは、フリーランスでWebデザイナーとして働くDoraさん(写真右)と、同じくフリーランスでグラフィックデザイナーとして働くAnnさん(写真左)。なぜフリーランスになろうと思ったのか、また台湾ではどのように案件を見つけているのかなど、台湾のフリーランス事情を聞いてみた。
目次
―― フリーランスになったのはいつからですか?
Dora:会社を辞めて専業フリーランスになったのは2年前です。ただ、在学中にもデザインの仕事をしていたり、在職中にも副業でフリーランスとしての仕事をしていました。
Ann:私も同じで、大学のときからフリーランスとしての仕事をはじめつつ、1年半ほど会社に勤めた後に独立しました。
―― なぜ会社を辞めようと思ったのでしょうか?
Ann:サラリーマンだと、いろいろなことにおいてオーナーに従わないといけません。デザインも言われた通りにしかデザインできず、「自分のやりたいデザインができない」という葛藤がありました。そこで、もっと自由にデザインがしたいなと思い、会社を辞めようと決意しました。
Dora:私もAnnと同じで、会社に勤めているとやりたいデザインができないなと感じていました。特に、大手クライアントのキャンペーンサイト制作の案件などでは、「色はこれを使え」「こういう配置にしろ」など、ガチガチに決められたルールがたくさんあったんですね。
そこで、もっと個性を出したデザインをやりたい、私にしかできないデザインをやりたいと思い、会社を辞めてフリーランスになることを決めました。
―― フリーランスであっても、 “やりたいデザイン” をやるのは大変では?
Ann:それは、案件の獲得方法次第だと思います。私のクライアントは、私のポートフォリオを見た上で依頼をしてくれていて、私のデザインをリスペクトしてくれているので、いまはデザインしたいデザインが出来ているなと感じています。
Dora:私は以前に100日プロジェクトとして、ブログを始めたんですね。ブログで私がやりたいデザインのこと、私が好きなことなどを発信しているうちに、私の投稿を見た方から仕事をもらえるようになりました。
何でもかんでも案件を受けるのではなく、自分のやりたいデザインをしっかりと発信し、そのデザインの世界観に共感をしてくださったクライアントと仕事をするようにしています。そのため、いまはやりたいデザインが出来ているなと感じています。
―― 会社に戻りたい、と思うことはありますか?
Ann:ないですね。むしろ自分のスタジオを持つことが夢なので、もっと技術を磨いて自らの価値を高めていきたいと考えています。
また、台湾だと会社員デザイナーの給与はとても少ないんです。お金の面でも、独立してよかったと思います。
Dora:私も、スタジオを持つことが夢です。これは恐らく、台湾人デザイナー全員が抱いている夢だと思いますよ。
フリーランスになった理由は、自由な働き方やお金のためだけではありません。やりたいデザインをやっていき、自分にしかできないデザインを確立して、自分のスタジオを持つためのステップとしてのフリーランスです。なので、会社員に戻ることはないかなと思います。
―― ”やりたいデザイン” をやる上で、どのように案件を獲得していますか?
Dora:私が担当している案件の多くは、友人からの紹介か『Behance』(Adobeが提供しているポートフォリオサービス)経由がほとんどです。
FacebookやBehanceに自分が担当したデザインを投稿しているので、「Doraのデザインが好き」と思ってくれる友人などから案件をもらえて、やりたいデザインをやれているという感じですね。
Ann:私もFacebookやBehance経由、またInstagramや『Heyshow』というクライアントとクリエイターのマッチングサイトを使ったりしています。Heyshowもポートフォリオとして機能するため、私のデザインを気に入ってくれた企業からの依頼が生まれやすいです。
―― Heyshow以外に、活用しているWebサイトは何かありますか?
Ann:『Mo PTT』という掲示板サービスを使って案件を探すこともありますが、あまり使っていないです。というのも、Mo PTTに掲載されている案件は単価が安く、案件として微妙なものも多いので。
―― 台湾ではFacebookのコミュニティが活溌だと聞きましたが、実際はどうですか?
Dora:デザインの案件を見つける上では、あまり使わないですね。デザイン関連のコミュニティに10グループほど入っていましたが、最近はあまり見なくなりました。
台湾では多くのデザイナーが案件獲得のために、Behanceを活用していると思います。
―― ふたりにとって、デザインとはなんですか?
Ann:私たちを幸せにしてくれるもの、だと思っています。美しいデザイン、素敵なデザインは、私たちをハッピーにしてくれるし、私自身も人のことをハッピーにできるデザインを生み出したいと常に思っています。
Dora:デザインは生活の一部なのかなと思います。そして美しいデザインに囲まれた生活は、とても素晴らしい生活なのかなと。そういったライフスタイルを提供できるようなデザインを、これからもつくっていきたいです。
―― フリーランスを目指す読者にメッセージをお願いします。
Dora:私は、自由な生活とかよりも、自分のやりたいデザインを追求するためにフリーランスになりました。フリーランスになるという決断はとても勇気がいることですが、私のようにデザインしたいことができるデザイナーを目指すのであれば、ぜひフリーランスになって努力してみてください。
Ann:いまの仕事がクリエティブじゃないと感じているのであれば、もっと他にやりたいデザインがあるのであれば、勇気を持って会社を飛び出してみてください。フリーランスになるというのは、デザイナーがクリエティブでいられるひとつの選択肢だと思います。
今回、台湾では有名グラフィックデザイナー、Youtuber、Webデザイナーなど、合計5名のクリエイターにインタビューをさせていただいた。共通して感じたのは、みな「挑戦」する環境に身を置いているということ。
筆者は過去に5回ほど台湾を訪れているが、毎回新しい発見があり、訪れるたびに街の成長を感じる。身の回りが常に変化し、成長を肌で感じられる環境に身を置くことで、個々人の視座が高まるのは容易に想像できる。
フリーランスという職業は、自由なライフスタイルを送れるイメージがあるかもしれない。しかし会社員のような研修制度が用意されているわけでもなく、毎月給与がもらえるとは限らない不安定な職業だ。だからこそフリーランスに求められるのは、高い視座と常に挑戦する姿勢である。
フリーランスとして生き抜くために、急成長を肌で感じられる環境や、挑戦せざるを得ない環境に飛び込むのもひとつの選択肢だろう。