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『Netflix』vs『Amazon Prime Video』UX辛口比較レビュー ①検索のUX

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世界中に1億人以上の視聴者をもつ動画配信サービスの二大巨頭『Netflix』と『Amazon Prime Video』。動画配信サービスの利用者が増え続けるいま、それぞれのサービスがもつ特徴にも注目が集まっています。

今回は両社のUX(ユーザー・エクスペリエンス)に焦点をあて、それぞれの特徴を3回の連載に分けてご紹介します。

まず第1回は、検索機能や検索結果などの「検索に関するUXデザイン」を比較してご紹介します。

 

検索ボックスの比較

Netflixの検索ボックス

右上に虫眼鏡のアイコンを配置しており、このアイコンをクリックすると検索ボックスが表示されます。検索ボックスの中には「タイトル/人名/ジャンル」といった検索のヒントが書かれています。

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Amazon Prime Videoの検索ボックス

一方で、ややこしいのがPrime Videoです。

Prime Videoにアクセスするためには、Amazon内検索ボックスの左側にあるドロップダウンリストから「Prime Video」を選択する必要があります。

Prime Videoのホームページではドロップダウンリストが自動的にPrime Videoに切り替わりますが、検索ボックスにはNetflixのようなヒントとなるテキストはありません。

Amazon Prime Video

 

検索結果の比較

検索のゴールは、途中で気を散らすことなく、できるだけはやく条件に一致する動画を見つけることです。

今回はNetflixとPrime Videoで「コメディ」のジャンルを検索し、それぞれどのような検索結果となるのか比較してみましょう。

Netflixの検索結果

検索ボックスの機能

検索ワードを入力すると、「検索結果」と「検索結果に表示されるカテゴリー」が、文字を入力するごとに常時変化します(英語入力のばあいのみ)。

検索結果画面のデザイン

検索結果については、サムネイル画像がグリッドレイアウトで表示されます。

また検索結果画面の一番上には、検索をより詳細に絞り込むのに役立つサブカテゴリーのリストも表示されます。サブカテゴリーへはクリックするだけで簡単に移動可能。検索ボタンを押す必要も、テキストを再入力する必要もありません。

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気になる作品を見つけたら、画像の上にカーソルを移動してみましょう。すると少しだけサイズが大きくなり、動画のダイジェストが自動再生されます。

再生ボタンや評価ボタンなどの詳細もビデオに重ねて表示されますが、すぐにフェードアウトするので邪魔になりません。

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検索結果の数

検索結果の数も重要です。少ないとユーザーは不満に思い、多すぎてもユーザーを混乱させてしまいます。

Netflixはこの点に関しても良い仕事をしています。「コメディ」で検索すると検索結果が300ほど表示されますが、これらはサブカテゴリーを使用して絞り込むことができます。

300は多すぎると感じるかもしれませんが、後述するPrime Videoよりは優れているでしょう。

Amazon Prime Videoの検索結果

検索ボックスの機能

検索ボックスに「コメディ」と入力すると、サブカテゴリーのリストがサジェスト(検索候補)として表示されます。

ただしNetflixのように、カテゴリーをワンクリックで切り替えることはできません。再表示するためには、単語をもう一度入力する必要があります。この点においては、Netflixのほうが便利といえるでしょう。

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Amazonがこのフォーマットにこだわっている理由は、商品を購入する際の検索方法と一致させるためだと推測できます。たしかに既存のものと異なる検索方法を導入すると、ユーザーが混乱する可能性があります。

もしこれが理由なら、Amazonには独創的なアイデアでこの制約を回避しつつ、UX上の問題を解決してほしいところです。

検索結果画面のデザイン

検索結果のデザインもあまり優秀とは言えません。

検索結果はサムネイルリスト形式で表示され、各行にはひとつの作品しか表示されません。たくさんの検索結果を見ながら作品を選ぶには不向きなデザインです。

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また、右側は貴重なスペースをムダ使いしているように見えます。「プライム会員特典」というテキストも冗長です。検索結果画面の段階で出演者や監督に関する情報を表示する必要性についても疑問が残ります。

高解像度の画像、コンパクトでわかりやすい説明テキスト、サムネイルでのダイジェストムービー再生など、作品選択に役立つ意思決定要素が欠けています。

サムネイルにグリッドレイアウトが採用されていない点についても疑問が残ります。複数の作品の詳細を比較したくても、タイトルをクリックして都度ページを開かなければならないため、とても非効率的です。

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検索結果の数

さらに、表示される検索結果の数が多すぎます。「コメディ」ひとつとっても、4万件の結果を、1ページあたり16作品ずつ確認しなければいけません。

左側のナビゲーションには検索結果を絞り込むためのフィルターがありますが、4つ以上の星を獲得している作品で絞り込んでも、まだ2万件も候補があります。仮にAmazonが所有するIMDb(インターネット・ムービー・データベース)の評価に基づいたフィルタリングを採用すればもっと絞り込めるのでしょうが、残念ながら採用されていません。

オンラインでの買い物とオンラインでの動画視聴では、ユーザーの動きはまったく異なります。買い物をする場合、ユーザーはできるだけ多くのオプションから絞り込み、カートやウォッチリストに商品を保存したり、他のWebサイトと比較したりします。しかし動画の場合、ユーザーは何千もの検索結果から選ぶのではなく、できるだけ早く動画を見つけて視聴したいと思っているはずです。

 

検索に関するNetflix/Amazon Prime Video 総合評価

Netflixの総合評価

【優れている点】

総合的に見て、検索に関してNetflixはとても優秀です。

  • 検索ボックスにヒントとなる文言
  • すばやく表示される検索結果
  • 見やすい高解像度のサムネイル画像
  • より多くの結果を画面に表示するためのグリッドレイアウト
  • 推奨カテゴリ表示
  • 動画に関する関連情報
  • クリップの自動再生

【改善点】

Netflixは検索結果のランダムさなど、改善できる点もあります。以下に改善してほしい内容をまとめてみました。

  • 視聴済みの作品、または視聴リストに登録されている作品を検索結果の上部に分かりやすく表示してほしい
  • キーワードのマッチ率が高い作品を上部に表示してほしい(マッチ率95%以上の作品が検索結果の下から2行目にあった)
  • 人気の作品、最近追加された作品、視聴履歴に基づいた作品、または最近視聴リストに追加したものとマッチする作品を優先してほしい
  • 作品の予告編などを見てスキップしたり気に入らなかったものは、それらを結果結果から除外してほしい

Amazon Prime Videoの総合評価

【優れている点】

総合的に見て、検索に関してAmazon Prime VideoはAmazonの他サービスに準拠しているといえます。昔からのAmazonユーザーであれば、使いやすいのかもしれません。

  • Amazonの他サービスと共通した検索方法
  • Amazonの他サービスと類似した検索結果画面

【改善点】

Amazon Prime Videoは、ユーザービリティの問題が少なからず存在します。今後それらが解決されることを祈ります。

  • 検索ボックスに、検索のヒントとなる文言がない
  • 一行にひとつの検索結果(グリッドレイアウト未対応)
  • 検索結果画面に作品を比較検討するための情報が足らない
  • 多すぎる検索結果

 

次回の記事

今回は検索にフォーカスして、それぞれの特徴や問題点をお伝えしました。

次回は、「コンテンツの閲覧」と「新たなコンテンツの発見」について解説したいと思います。

(原文:Gaurav Makkar 翻訳:Asuka Nakajima)

※本記事で扱った各媒体のUXは、2019年1月時点でのものです

 

第2回はこちら▼

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