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いまもっとも相談の多い企業課題TOP3。今後5年でプロ人材に求められるスキルとは?

福田 悠
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コロナ禍で、企業と個人の関わり方は大きく変わりました。

コロナ禍がもたらした急激なデジタル化の波に押され、企業もビジネスのあり方を模索しています。そんな現状にあわせて、企業がフリーランスなどのプロ人材(※)に求めることも、少しずつ変化しつつあります。

今回お話を伺ったのは、2014年の創業以来、その道のプロを活用した実働型の経営支援をさまざまな企業に提供してきた株式会社サーキュレーション取締役・福田悠氏。

これまで8,000件以上もの企業のプロジェクト創出をリードしてきた彼が考える、いま「企業からもっとも相談の多いテーマ」と、「今後5年でプロ人材に求められるスキル」とは……?

(※プロ人材:プロフェッショナル人材。企業や経営陣の右腕として、事業開発や販路拡大、生産性向上など、成長戦略を具現化していく人。本稿ではとくに「高いスキルを持ったフリーランス」を指す)

福田 悠
福田 悠

中央大学理工学部を卒業後、大手総合人材サービス企業へ入社。製造業を中心とした約600社の人材採用を支援。大手法人顧客専属部門を経て、同社初となる社内ベンチャーの立ち上げに携わる。2014年、サーキュレーションの創業に参画。中小企業や製造業大手顧客を担当しながら、地方金融機関とのアライアンス、地方6拠点の設立を主導。オープンイノベーションコンサルタントのプロフェッショナルとしてレガシーマーケットへの変革を志し、プロシェアリング本部を管掌

聞き手:株式会社サーキュレーション
聞き手:株式会社サーキュレーション

外部プロ人材の経験・知見を複数の企業で活用する「プロシェアリング」事業を運営しています。20,000名以上のプロ人材から、企業に最適な人材を選出、課題解決プロジェクトチームを組成します。2014年設立以来、導入実績は4,103社/12,687プロジェクトを数えます。(2022年10月末時点)https://www.circu.co.jp/

【企業の課題TOP3】DX、新規事業開発、人事制度見直し

いま、企業から相談が多いテーマをランキングにしてみると、「DX(デジタルトランスフォーメーション)支援」「新規事業開発支援」「人事制度の見直し支援」の3つが上位を占めます。

DX支援のなかではWebマーケティング支援の需要がもっとも高く、営業や物流などの既存業務のデジタル化に関する相談もあります。

「既存業務のデジタル化をしたい」地方の中小企業

地方の中小企業の場合は、DXを活用した新規事業というよりも「既存の業務をデジタル化したい」といったIT化による業務改善のケースがほとんどです。

たとえば、「書類送付や受発注の作業を自動化したい」といったニーズが挙げられます。オフィスでの定型業務を自動化する技術の導入により、年間2000時間以上の業務時間を削減した事例もあります。

また、ここ5年ほどは後継者が30代、40代と若い年齢層で事業承継されるケースが多く、そのタイミングで既存の事業ドメインだけでなく新しいビジネスを立ち上げたいという新規事業の相談が増えています。

その背景として、日本の経営者の50%以上が60代を越えているという、後継者問題があります。若手後継者に継ぐにあたって、今後も成長できる事業を備えた状態での事業承継を考える機会が増えているのだと考えられます。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大後に増えた案件としては、マーケティング強化があります。コロナ禍により店舗での対面接客ができなくなり、必要に迫られて「ECチャネルで販売活動をしていきたい」「マーケティング活動を強化したい」といった相談が増えています。

「ITを活用して新規事業を作りたい」首都圏の大企業

中小企業ではITを活用した業務改善の要望が多い一方、大手企業では既存の事業とは別に、ITを活用した新しい事業をつくりたいというニーズがあります。そのため、新規事業に紐付いたDXの相談が多いのが特徴です。

たとえば大手企業では、新しいITのサービスをローンチしようとしても、社内にデジタルの知見を持つ人材が不足しています。

そのため、開発会社とうまくやり取りができなかったり、、リリース後の運用がうまくいかなかったり、結果として市場のニーズに合わない事業を作ってしまったり……といった悩みをよく聞きます。

その場合には、ITサービスを知り尽くしたプロ人材に参画いただき、プロジェクトの体制をゼロベースで構築することもあります。

またこの数年では、日本従来の「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へと雇用制度を変えていこうとする動きが大手企業を中心に増えており、それに伴って「人事制度を見直したい」という相談が増えています。

ジョブ型組織への変革について、いまはまだ一部の大企業からの相談にとどまりますが、中小企業でもジョブ型雇用を取り入れていく波が大きくなれば、今後5年~10年でさらにホットな領域になっていくと思います。

今後5年で求められるのは「プロジェクトマネジメントスキル」

以上のことを踏まえると、企業がフリーランス、プロ人材に求めることは社会の変化に応じて変わっているのが分かるでしょう。では、この変化のなかで、個人はスキルをどのように伸ばしていけばよいのでしょうか?

私の考えでは、企業の大切にしている価値観や目的に即して仕事を進めていく能力や、プロジェクトマネジメントスキルが必要不可欠になっていくと思います。

これまで日本のシステムは、終身雇用・メンバーシップ型で「人や役職に仕事を紐付ける」というのが一般的でした。しかし、ここ10年ほどで急速に市場が変化し、いまでは「人」ではなく「ジョブ」や「ミッション」に価値が紐付くようになってきています。従来のように一つの会社で昇り詰めていくという大前提が崩れてきているのです。

このような状況下では、ただ目の前の仕事を処理していくだけの業務スキルでは価値が生まれません。「ジョブ」でパフォーマンスを出していくためには、自分がどんなプロジェクトやポジションについても、強い推進力で業務を進めていけるプロジェクトマネジメントスキルが重要になるのです。

今後プロ人材に求められる4つのスキル

数多くの企業のニーズを見てきた私からプロ人材として働く皆さんに、これから学んでおいたほうがよいことをお伝えします。

1. つねに自分をアップデートするスキル

もし単発ではなく中長期で企業の支援に入るのであれば、その会社の経営陣が考えていることとプロジェクトの目的を擦り合わせる必要があります。

過去の実績に頼らずに最新情報や知識を貪欲にインプットし、世の中の環境や社会のトレンドに合わせてつねに自分をアップデートしておくことが大切です。

たとえば、ニュースを見て気になった分野の本を読んだり、社外の人と交流して他業種での課題や新しい取り組みについて聞いてみたりすることも有効です。

自分の職域に限らず、世の中の流れに興味を持っておくことがとても重要になります。

2. プロジェクトマネジメントスキル

前述のとおり、これからはプロジェクトマネジメントスキルが求められます。現在はサラリーマンでも部署内で連携して動いたり、他部署の人たちと社内プロジェクトで関わったりする機会はあるかと思います。

その際、ただオブザーバーで参加するのではなく、プロジェクトを進行するファシリテーターを務めたり、このプロジェクトを通してプロジェクトマネジメントスキルを身につけるのだというスタンスを持って経験を積んでいくことが大切です。

3. デジタルスキル

技術革新が進む世の中で、デジタルスキルは今後もますますニーズが高まっていく分野です。そのために、ITの知識やプログラミングの考え方を理解しておきましょう。

「デジタル領域はまったく知りません」「触ったことがないです」という人たちは今後すべてのビジネスにITが関わってくるので、市場価値が相対的に下がってしまう恐れがあります。ただ、全員がITのプロフェッショナルになる必要はありません。

あくまでビジネス課題を解決していくことが目的で、そのためにITの力が必要になってきているということです。

私たちの仕事でも、プログラミングを書いてほしいという要望より、ビジネスの課題を解決するためにデジタルやプログラミングをどのように活かしていくかが期待されています。

お客様のニーズを汲み取り、事業の意思決定をサポートできるよう、最低限のデジタルスキルを身につけておく必要があります。

4. 発信スキル

プロ人材をはじめとしたフリーランスという働き方は、会社の看板がないため自分の名前で勝負をしていかなければなりません。

実績と信頼を中長期的に積み上げていくことが大前提ですが、それと同時に自分自身の魅力を外に発信していくことは、今後の「個」の時代に求められるスキルだと思います。

まとめ

今後も経営課題を解決するにあたり、デジタルスキルのニーズはますます高まっていくことでしょう。さらにジョブ型の流れで、プロジェクトを推進できるプロジェクトマネジメントスキルがより重要なスキルになっていくと思います。

突出したプロ人材になるためには、上記に挙げた4つのスキルのなかから、自分に不足しているスキルを分析し、今後はそのスキルを会得できるような環境下に身を置くなど、企業のニーズの変化に合わせて自分をアップデートしていくことが必要だといえそうです。

(取材&構成:山田優子 提供元:株式会社サーキュレーション

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