ABテストとは?成果を上げやすい4つのポイント【便利ツールも紹介】

ABテスト

「ABテスト」と聞くことはあっても、具体的に何をどのように検証・改善すればいいのかと迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ABテストの概要からABテストで成果をあげられる理由、成果が表れやすいポイント、具体的な改善手法、オススメのABテストツールをご紹介します。

ABテストとは

ABテストとは、サービスサイトや広告バナー、LPなどの成果を最適化するために行われるWebマーケティングの手法の一つです。

コピーや画像などの要素を変更したものを複数用意し、どのパターンがよりよい成果を出せるのかを測定・分析します。

大統領選でも使われたABテスト

もっとも有名なABテストの成功事例が、オバマ大統領が2008年の大統選挙対策で利用したキャンペーンサイトです。上げた成果の大きさから、オバマ大統領の勝利は、ABテストの成果とも言われることさえあります。

そのキャンペーンサイトはメルマガの購読を促すもの。そこで、行われたのは4種のボタンと6種のアイキャッチを用意したABテストでした。

オバマ大統領選 ABテスト

▲選挙対策で実際に使用された4種のボタンと6種のアイキャッチ(出典:mailmunch

使用する画像と文言を変えて行われたABテストの結果、「LEARN MORE(もっと情報を知る)」のボタンと「家族写真」のアイキャッチの組み合わせがもっとも成果を上げることが判明。

オバマ陣営はそのデータを元にページを改善し、ABテスト前のページに比べ、40.6%購読率が改善し、計288万人の新規購読者を獲得できました。

ABテストをうまく活用すれば、このように大きな成果につながるのです。

ABテストのメリット

メリット1. 低コストで実施できる

ABテストとは一般的に、サイトやバナーにある画像やコピーなどの一要素を変更し検証するもの。サイトのリニューアルや広告施策と比べ、制作コストがあまりかかりません。

少ない費用でトライアンドエラーを繰り返せるのが、大きなメリットです。

メリット2. 分析を正確に行いやすい

ABテストは、同時並行でAパターン/Bパターンのテストが行えるため、正確な分析が行いやすいのが特徴です。

通常、広告やサイトの成果には、時期・季節的な傾向や他施策の効果などさまざまな外部要因が影響します。そのため、一つずつサイトリニューアルや広告出稿を行っても、改善の成果が正確に分析できず、将来的に成果が落ち込むケースも。

その点、ABテストでは同時期にテストできるため、条件がほぼ統一され、改善成果の分析が行いやすいのです。

ABテストのデメリット

デメリット1. 一定数のアクセスが必要になる

ABテストの結果を正確に分析するには、ある程度のアクセス(母数)が必要になります。パターン別の成果に差があっても、統計学上、それを意味のある差と結論づけるためには、一定以上の母数が必要になるからです。

アクセスが不十分な場合、パターン別の差は誤差の可能性があります。誤差と気づかず、テスト結果に従ってサイトリニューアルや広告出稿などを行えば無意味なコストがかかってしまい、最悪の場合、成果が低下する可能性もあるのです。

デメリット2. 継続的に行う必要がある

時期・季節的な傾向や社会のトレンドなどによって、ユーザーの動向も変化します。継続的に成果を出すサイトや広告にするには、ABテストを継続して行い、その時々に成果の出せるものを分析する必要があります。

ABテストは長期間続ける必要があるものと認識しておきましょう。

ABテストが有効な対象

次に、ABテストで成果をあげやすい対象や施策を確認しておきましょう。

LP(トップページ)

ホームページの中でユーザーが最初にアクセスするLP(またはトップページ)の構成はとても重要で、成果にも大きく影響します。

LPでABテストを行う場合、変化を加える要素として挙げられやすいのは以下です。

  • ファーストビューの画像
  • メインコピーの文言
  • アクションボタンの文言

これらの改善方法やポイントは記事の後半でご紹介します。

バナー

ユーザーが広告バナーを見るのは一瞬です。そのため、パッと目に入る画像やコピーで強く引きつける必要があります。

そのため広告出稿する際は、ユーザーがバナーを見た瞬間に理解でき、興味が湧くような「勝ちパターン」となるクリエイティブを作ることが求められます。

アプリ

アプリでABテストの実施が有効なのは、アプリストアページとアプリ内の課金ページです。

ストアページでは、ほかのアプリとの差別化するための訴求内容を考える必要があります。アプリ内の課金ページでは、課金方法やフォームを分かりやすく設定しなければなりません。そういった箇所でも、ABテストを繰り返すことで、成果を高められます。

ABテストで成果を上げやすい4つのポイント

WebサイトやWeb広告でABテストを行う際に、成果がでやすいポイントや成果を出すための方法をお伝えします。

ポイント1. ファーストビューの画像

ファーストビューとは、サイトにアクセスしたユーザーが最初に見る画面です。印象を決める大きな要因であり、離脱率やコンバージョン率に関わる重要な箇所のため、ABテストを行う効果も高くなります。

ファーストビューでABテストを行う際には、以下のように徐々に詳細な検証に落とし込むようにしましょう。

【例:アパレル販売サイトにおけるABテストの流れ】

  1.  人物と商品の画像では、どちらのほうが離脱率が低くなるか
    ↓人物の画像のほうが低かった場合
  2. 人物の画像では、男性と女性どちらがいいか
    ↓女性の画像のほうが成果が出た場合
  3. 女性の画像では、かわいい系とキレイ系どちらがいいか など

ポイント2. メインコピーの文言

メインコピーとは、ユーザーがサイトや広告を見た時、最初に目に入る文言を指します。ユーザーに直接、商品やサービスを訴求する重要な箇所です。

メインコピーを考える際には、以下の2つの手順を大切に行いましょう。

①ターゲット像を考える

コピーを作るには、まず訴求するターゲットを考える必要があります。今回訴求したい人物は、商品を認知しているのか、していないのか、どのようなニーズを持っているのかを考えていきましょう。

ターゲット分類には、以下のようなパターンがあります。コピーを考えるのは、この中の誰に訴求したいのか明確にしてからにしましょう。

  • その商品がほしい/サービスを利用したい! 興味を持っている
  • その商品/サービスを少し知っているけど、まだ欲しくない
  • 商品/サービスは知らないけど、それらを利用することで解決できるニーズを持っている

②ターゲットに刺さる訴求を考える

ターゲット像が決まったら、次にそのターゲットにどうやって訴求するか考えましょう。訴求を考えるには、商品やサービスの特徴からターゲットにとってのベネフィット(ニーズの解決)を導く方法があります。

たとえばマッサージ機のサイトや広告の場合。その提供するマッサージが「肩甲骨まわりを重点的にほぐせる」という特徴があるとします。

その特徴をそのままコピーにしても、あまり効果は出ません。その特徴がもたらす未来や結果を言語化しコピーにすることが大切です。

たとえば上記のマッサージ機であれば、「肩こりスッキリ」などのベネフィットが導かれるでしょう。駅チカの物件を訴求する際は、「始業時間ぎりぎりに起きても遅刻しない」などでしょうか。

このように、コピーを考える際には、商品/サービスの特徴から一歩進んで、ターゲットにどんなベネフィットを与えるのか考える必要があります。

また、一つの特徴からベネフィットは複数考えられることも覚えておきましょう。コピーを決める際には、いくつか出したベネフィットのなかで、ターゲットがより強く惹かれるものを選ぶことが大切です。

ポイント3. CTAボタンの文言

CTAボタンの文言はマイクロコピーとも呼ばれ、CV(コンバージョン)に大きく関わる箇所として考えられています。ABテストを行い、より成果のでるコピーを分析しましょう。

マイクロコピーを改善するポイントを5つご紹介します。

  • コピーは簡潔に短く
    Webサイトを見るユーザーは文字を「ざっと見る」傾向にあります。流し読みでも伝わるよう、簡単な言葉を使って短く表現しましょう。
  • 能動的な言葉を使う
    「送信」「購読」など単語だけもコピーよりも「問い合わせる」「今すぐ読む」といったユーザーのアクションをベースにした能動的な言葉を使うようにしましょう。
  • タイミングワードを使う
    ユーザーが行動を後回しにしないように緊急性をアピールする「今すぐ」などの言葉を使いましょう。一度離れてしまったユーザーが戻って来る可能性は低いとされています。
  • お試しできることや試用期間を伝える
    登録や購入する際、誰しも不安を感じるものです。お試しや試用期間があることは、不安の解消につながり、利用につながりやすくなります。
  • 数字で伝える
    数字を使うと説得力のあるコピーができます。利用者数を記せば安心感に、料金を明確にすれば信頼感につながります。ユーザーの不安に合わせて明示する数字を考えましょう。

ポイント4. フォーム画面

お申し込みフォームや問い合わせフォームの改善も利用につながる大切なポイントです。煩雑なフォームは離脱率を高めることにつながりますので、分かりやすく簡潔に設計しましょう。

フォームの設計で考えるべきポイントは以下です。

  • その入力項目は本当に必要か?
    名前や住所、電話番号などの入力項目が多いほど、ユーザーは疎ましく感じ、離脱率が高まります。その情報を取得する意味を考え、本当に必要な項目だけ設定するようにしましょう。
  • 小学生でも入力できるか?
    その入力フォームは小学生でも完遂できるでしょうか? マイクロコピーで、必要な操作を導くことやエラーになった場合は不備がある箇所を教えることなどが大切です。また、そもそも文字や入力項目が見やすいかどうかも確認しておきましょう。

ABテストの注意点

ABテストで成果を出すために注意するべき点を解説します。

注意点1. ABテストを行う目的を明確にする

ABテストの目的は多くの場合、CVの向上になるでしょう。しかし、小さな改善一つひとつがすぐCVにつながるわけではありません

そのため、CV以外にも改善したい指標を考える必要があります。広告やサイトにもよりますが、たとえば以下のようなものがあります。

  • トップページからの遷移率
  • ページの離脱率
  • バナーのクリック率

これらはCVに間接的に寄与する指標です。改善することで自然とCVの向上にもつながるため、サイトや広告の目的にあわせて改善したい指標を設定し、ABテストの比較を行いましょう。

注意点2. ABテストは一箇所ずつ行う

パターンをいくつか用意して行うABテストですが、変更する箇所は必ず1箇所にしましょう。たとえば「ファストビューの画像」や「メインコピーの文言」だけなどと決めておく必要があります。

2箇所以上を同時に変えてしまうと、成果を左右した原因を正確に分析できなくなります。焦らずに1箇所ずつテストをするようにしてください。

ABテストを簡単に行えるツール5選

最後に、ABテストを行えるツールをご紹介します。

無料で使えるものから、本格的に使えるコスパのいいツールまで、幅広く5選紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

1. Googleアナリティクス

Googleアナリティクス

GoogleアナリティクスはGoogleが無料で提供しているWebサイトのアクセス解析ツールです。

基本的に無料で利用でき、サイトのPVや流入経路、CV、離脱率などを計測できます。「ウェブテスト」という機能を使えば、簡単な操作でABテストの実施から分析まで行えます。

サイト運用ではほぼ必須ツールであり、すでに使用している方も多いでしょう。新たにツールを導入する手間や費用がかからず、操作や指標がわかりやすいのがポイント。ABテストをはじめて行う方にオススメのツールです。

Googleアナリティクスの詳細をみる

2. Optimizely(オプティマイズリー)

・Optimizely(オプティマイズリー)

ディズニーやソニーなど8,000社以上が導入しているABテストツールです。

創設者のダン・シロカー氏は、記事序盤で紹介した大統領選におけるオバマ陣営のABテストを取り扱った人物でもあります。

Optimizelyの特徴は実施できるテストの豊富さと簡単な操作性。ABテストのほかにも、多変量テストや複数ページテストといった複雑なテストにも対応できます。また、コードを書く知識がなくても、解析用のタグをコピー&ペーストで設置したりテストページを設定したりできるので、誰でもすぐに利用できるのも嬉しいポイントです。

サイトは英語ですが、導入をサポートしてくれる国内の代理店が多くあります。

Optimizely(オプティマイズリー)の詳細をみる

3. Visual Website Optimizer(VMO)

Visual Website Optimizer(VMO)

Visual Website Optimizerは低価格かつ多機能なABテストツール。コスパのよさが評判になり、日本でのシェアを急速に拡大しています。

数あるツールのなかでも、機能の充実度はトップクラス。標準でヒートマップの解析機能もついています。マウス操作のみですべての機能を利用可能なため、エンジニアに頼らず作業できます。

こちらもサイトは英語ですが、導入をサポートしてくれる国内の代理店が多くあります。

Visual Website Optimizer(VMO)の詳細をみる

4. Kaizen ENGINE(カイゼン エンジン)

Kaizen Platform(カイゼンプラットフォーム)

国内の大企業で多く取り入れられているWebサイト分析ツールです。ツールを使って簡単にテストパターンが作成できます。また、サイトの改善案や結果分析を、登録されている約1000名のグロースハッカーに依頼することも可能です。

費用はかかりますが、スペシャリストの意見を聞き、分析手法を学べるため、ノウハウを得る機会としても利用できます。またABテストの知見がたまった後は、逆にグロースハッカーとして登録し、報酬を得ることも可能です。

Kaizen ENGINE(カイゼン エンジン)の詳細をみる

(執筆&編集:Workship MAGAZINE編集部)

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