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フリーランスとして活躍できる業種のひとつ、「事務代行業」。事務はデザイナーやプログラマーなどと比べて仕事の幅が広いため、具体的にどのような仕事をするのか、どんな報酬体系なのか気になる方も多いでしょう。
今回はフリーランスとして事務代行に携わる嘉晶(Yoshiaki)さんに、フリーランスとしてどんなふうに働いているのか、事務代行業を始めた経緯なども含めてリアルな経験談を聞きました。
2020年に東京から京都に移住。フリーランス事務として、個人や企業の事務手続きを中心に、ちょっとした業務のお手伝いをしている。(Twitter:@arigator_)
企業の採用コンテンツなどを主に書くビジネス系ライター。あまりに仕事が多いので2年前法人成りし、今年からは予定管理を友人に依頼している。依頼が来るとYESと応える反射神経を断ち切りたい。(Twitter:@yuki_yadorigi)
目次
宿木:
まず、事務代行業とはいったいどんなお仕事なのでしょうか?
嘉晶:
明確に業務内容が定められた仕事ではないのですが、私の捉え方としてはお客様の相談をもとに、さまざまな業務から生じる細かなタスクをサポートする仕事と考えています。
その内容は多岐にわたるので、なかなか一言ではまとめられませんが、秘書業務に近いタスクマネジメント支援や資料作成代行、情報発信のお手伝いなどが多いかもしれません。
宿木:
嘉晶さんに事務代行業を依頼してくる人はどんな人ですか?
じつは私にも案件管理を副業という形でサポートしてくれている仲間がいます。これも事務代行の一種だと思うので、私のようなお一人社長の需要は結構あるのかな、と想像していますが……。
嘉晶:
そうですね……。企業から個人事業主まで、お客様はさまざまです。
業界も職種もぜんぜん違っていて、たとえば宿木さんのようなコンテンツ制作に関わる方の締切管理をサポートすることもあれば、英会話教室を営む方のホームページを整理することもあります。
宿木:
すごく幅広いお仕事がありそうですが、実際はどんな業務を担うことが多いですか?
嘉晶:
おっしゃる通り、相談に応じて色々なことをやってきました。これまでの内容を振り返ると、もはや事務とは言えないものもあります。
嘉晶:
まず、ブログ作成やWebサイトの運用保守など、Webコンテンツに関わるお仕事ですね。Webサイトの場合、既存のページやコンテンツに少し手を加えるようなお手伝いが意外と多くあるんです。
宿木:
たしかに、中小企業や個人事業主のWebサイトは運用作業が後回しになりがちだから、そこを誰かにお願いしたくなりますね。専門知識が必要そうですが、そのために何か学ばれましたか?
嘉晶:
私の場合は過去の独学がメインで、またテストエンジニアとして働いていた経験があるので、その頃の知識を活かしつつ業務にあたっています。
嘉晶:
それから、DMやメールの発送、グラフや管理表、スライドなどの作成も対応しています。企業活動の中で必要な「ちょっとしたこと」を何でもやるイメージですね。
宿木:
これまた対応範囲が幅広そうですね……。お客様のニーズを拾うのが大変そうですが、何か工夫されていることはありますか?
嘉晶:
できることをもとに提案することと、逆にできないことを明確に伝えるようにしています。
事務代行業では、お客様のニーズと自分のスキルのマッチングがとても大切なんです。そこがうまく噛み合わないとお客様にご迷惑をおかけしてしまうので、契約前に自身のできる範囲をお伝えして、お客様がやってほしいことと、自分ができることのギャップが出ないよう注意しています。
時には「それは私よりも、こういう人の方が向いていると思います」とお伝えして、お断りすることもあります。
宿木:
ええっ!? 私だったらちょっと無理してでも受けてしまうかも……! でも、そうやってできないことを真摯に伝えるのが大事なんですね。
嘉晶:
あと、これはもはや事務の範囲を超えてしまいますが、自身のスキルを活かしてイラストを描いたり、オリジナルの小説を書いている方の文章校正をしたり感想を伝えたり……少しクリエイティブな領域の仕事もありました。
宿木:
えーっ!? そんなことまで!
嘉晶:
もちろん一般的には事務代行に含まれない仕事だと思いますが、私がこれまで「事務代行」という肩書でやってきたことではあります。
その道のプロではないのですが、お客様の「ちょっとだけやってほしい」というご要望にお応えする形でここまで働いてきました。
宿木:
確かに、ダイレクトメールのちょっとした隙間にオリジナルのイラストがあったら……と思うことはあります。事務代行、想像以上に幅広い業務なんですね……!
宿木:
ちなみに嘉晶さんは何か資格を取られていたり、特殊なスキルセットを持っていたりするんでしょうか?
嘉晶:
いえ、いずれのスキルも資格取得には至っていません。過去の派遣業務で培ったベーシックなビジネススキルや、これまで身につけてきたエンジニアとしての基礎スキルを、お客様の相談に応じて組み合わせている形です。
ただ、やはり経理や秘書業務などに関わる資格を持っていれば、もっと役に立てることがあるのにと感じることはあります。堂々とメニューに出せるスキルがないので、そこがネックになることは多いです。
宿木:
逆に言えば、資格がなくても、エンジニアとしてのスキルやイラストなど、自分が過去に仕事や趣味で培ってきたものを生かして働けるお仕事ってことですよね。
宿木:
事務の仕事というと、どうしても会社の事務員さんというイメージが強いんですが、フリーランスならではのメリットはありますか?
嘉晶:
私がこの仕事を選んだ一番の理由は、パソコンさえあれば、どこにいても仕事ができることでした。これは事務代行業に限りませんが、家で働けますし、東京にいる必要もないですし。
宿木:
場所に縛られないのはフリーランスの魅力ですよね。私も会社を辞めて北海道に移住できて、ずいぶん心が軽くなりました。
嘉晶:
私も「いつか東京から離れたいな」という気持ちがあって……。この働き方を選んだことで、今は京都で暮らせています。東京にいた頃は通勤時間が長いことでストレスをためていた時期もあったので、そこはフリーランスになってよかったなと思います。
嘉晶:
それから、「いろんな仕事をしたい」という希望を叶えられることもメリットだと思っています。
事務代行業は専門分野を絞っていないからこそ、お客様からの「これ、どうすればいいかな?」という相談を幅広く受けることができる仕事です。私はいろいろな方法を検討して提案し、お客様の悩みを解決できることが楽しいです。
だから、分野を問わずさまざまな業務に挑戦してみたい人には向いている仕事だと思います。
宿木:
解決の選択肢が多いのは、事務代行業ならではのやりがいですね。企業の担当者も、抽象的な悩みの相談相手がそばにいるのは心強いと思います。
嘉晶:
最後に、これは派遣時代との比較になるのですが、時給に縛られず働けることが嬉しいです。
派遣時代はたとえタスクが残っていても、社員の方から「定時だから帰って」「時給以上は働かなくていいよ」と言われることがよくありました。その気遣いは嬉しかったんですが、「もっと任せてほしいな」「みんながんばっているのに自分だけ先に帰るなんて……」とすこし悲しい気持ちになることもありました。
事務職は時給で働くことの多い職種ですが、時間制限があることで自分の仕事をやりきれないもどかしさも感じてきました。もちろん、業務内容や条件によってはそのほうがいい場合もありますし、人によって感じ方も違います。あくまで私の場合ですが、そういう意味では、フリーランスの事務代行はお客様のニーズに全力で向き合えるので、いい選択だったかなと思います。
宿木:
ここまで聞いていて、働き方と仕事内容、双方の自由度がとても高い仕事という印象が強いです。その中で感じるデメリットや注意点はありますか?
嘉晶:
会社に行くわけではないので、どうしてもできない部分のお仕事があります。たとえばダイレクトメールの発送や、コピー機での印刷などの業務は物理的に難しいですよね。
宿木:
確かに……。フルリモートの便利さとは表裏一体のデメリットですね。
嘉晶:
それから、お客様の中には、事務代行業を「自分が手が回らないことを手の空いている人にやってもらう」という感覚で捉えている方もいます。言い換えれば「なんでもやってほしい」ということですね。もちろんお手伝いしたい気持ちはやまやまなのですが、どうしてもスキル不足でできないこともあります。
忙しそうな姿を間近で見ながらお役に立てなかったり、当初の期待を裏切ってしまったりと、「自分がもっとできれば」と落ち込んでしまうことも多い仕事です。それが原因で胃が痛くなることもあります……。ですから、お客様のためにも自分のメンタルのためにも、受ける仕事の見極めを慎重にすることが大切だと思います。
宿木:
さっき「私なら無理してでも受けちゃうかも」と言いましたが、それをしないのはご自身のメンタルのためでもあったんですね。その考え方、大事かもしれません……!
宿木:
ストレートに聞いてしまいますが、事務代行業で月どれくらいの収入がありますか?
嘉晶:
私の場合は、現在メインのお客様と業務委託契約を結んでおり、月額固定で一般事務職の給与を少し上回るくらいの収入があります。
ただし、この価格はお客様の予算によって変動するので、10万円程度の月額で働いていたこともありました。苦しい時はクラウドソーシングなどを使って、単発の案件をいただいてきたので、収入が安定しているとは言いづらいかもしれません。
宿木:
派遣で事務職をやっていたこともある嘉晶さんにとって、フリーランスとして収入面での不安や不満はありませんか?
嘉晶:
そうですね……もともと事務職の派遣は時給でしか評価されませんし、私の場合はボーナスをいただくこともなかったので、派遣とフリーランスでそこまで差を感じていないかも……。むしろフルタイム勤務だと、通勤などの条件も考えたら割に合わないこともありました。
ちなみに、事務代行業はパソコン一台と最低限のソフトウエアがあればできる仕事なので、必要な経費がほとんどありません。なので売上が高くなりすぎちゃうと、それもそれで税金が大変かもしれません。
宿木:
なるほど……。私は何も考えないで働き詰めて、翌年納税地獄に陥ったことがあるので納得しました。
ちなみにライターの場合は「原稿1本◯◯円」というメニューを作るのが一般的ですが、事務代行業の場合はどんなふうに価格を決めるのでしょうか?
嘉晶:
月額固定の仕事が決まる前は、お客様の相談に応じて都度金額を設定していました。相談内容から業務の時給の目安を算出し、お客様のご予算に合わせて調整します。そこから一週間あたりの業務量を想定し、お客様に価格交渉をしていました。
ただ、事務代行業はアウトソーシングすることのメリットを数字に換算するのが難しいので、単発の仕事の場合は控えめな金額を提案することが多かったですね。
宿木:
これから事務代行業でフリーランスを目指す人が生き抜いていくためには、どのようなステップを踏んでいくのが良いのでしょうか。嘉晶さんのこれまでの歩みを教えてください。
嘉晶:
私の場合、もとからフリーランスの事務代行業を目指したわけではありません。ですので王道とは言えない道のりを歩んできたと思いますが、これまでの経緯を話します。
嘉晶:
私は工場の事務職からキャリアをスタートし、途中セラピストを目指して専門学校に通ったり、テストエンジニアにキャリアチェンジしたり、また派遣で事務職をやったりと、実はこれまで職を転々としてきています。その都度、自分の苦手なこと、できないことを挫折から学んでいきました。
この道を選んだきっかけは、「フリーランスの事務のお姉さん」をテーマにした森 智野さんのインタビュー記事を読んだことです。フリーランスの事務職。そんな選択肢があるのか、と衝撃を受けました。
宿木:
インタビュー記事がきっかけだったんですね!
嘉晶:
はい。新たな道が拓けるチャンスだと思い、派遣が切れるタイミングで開業届を出しました。秘書などのいわゆる「ニーズの高い経験」はなかったので、この決断は思い切りに近かったんですが……。
それでも在宅ワークや京都での暮らしという希望もあったので、これを機により柔軟に働いていこうという感覚でした。
宿木:
フリーランスとして働き始めた嘉晶さんですが、営業はどうしていたんですか?
嘉晶:
じつは、これといった営業活動はしていません。はじめは独立前にお世話になっていた派遣先の会社から声をかけていただき、夕方だけ事務職のお手伝いをするところからスタートしました。
この時期は仕事を探せるプラットフォームを利用しつつ、さまざまなお客様のご相談に対応していました。できることとできないことをしっかり伝えて、できない場合は代替案を出すなどの工夫をしつつ、フリーランスとしての感覚をつかんでいきました。
宿木:
現在の案件はどのようにして獲得したんですか?
嘉晶:
独立してから数年後、派遣時代にご縁のあった方から声をかけていただき、フルタイムの事務代行を任せてもらえることになりました。これが月額固定の契約に結びつき、安定した収入基盤ができたのはここ1~2年のことです。
正直なことを言えば、私は事務代行にこだわっていたわけでも、フリーランスとして計画的にやってきたわけでもありません。お客様とのご縁に恵まれて、ここまで来られたと思います。
自分のスキルやメニューをしっかり立てて挑むほうが一般的な道のりだとは思いますが、こういう形でも5年間フリーランスとして生計を立ててこられたので、あくまでひとつのケースとして受け取ってもらえると嬉しいです。
宿木:
これからフリーランスの事務代行を目指す方にとって貴重なエピソードだと思いました。途中プラットフォームを利用して案件を獲得していたプロセスがありましたが、具体的にどんなプラットフォームを使っていたのでしょうか?
嘉晶:
私はWantedlyやココナラを使っていました。Wantedlyは企業からのご依頼が多く、ココナラは個人事業主の方からのご依頼が多い印象です。
また、noteで自身の仕事について書いたところ、それを読んだ方からTwitterのDMにお仕事のご相談が来たこともあります。
いずれにせよ、何かしら直接アポイントを取りやすい場所を作っておくことが大切だと思います。
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宿木:
最後に、フリーランスの事務代行業を続ける秘訣を教えてください。
嘉晶:
ここまでお話してきた通り、私は明確なメニューやスキルを立てずにフリーランスになって、事務代行業を始めました。
振り返って思うのは、自分が今まで興味を持って挑戦してきたことが、すべてこの事務代行の仕事で活かせているということです。それからお客様に恵まれたことが、何よりこの仕事を継続していく支えになりました。今は私の強みを理解したうえで、さまざまな仕事にチャレンジさせてくださるお客様のもとで働けて、本当に楽しいです。
ただ、いまも決してフリーランスという形態や現在の仕事にこだわっているわけではありません。もしも仕事がなくなったら、また次の仕事を探そうという気持ちで働いています。その結果、いまもこうして仕事が続いているので、あまり気負いしないほうがいいのかもしれません。
お客様の課題解決の選択肢が広い仕事。そう考えると、事務代行業は自由度が高くて素敵な仕事だと嘉晶さんのお話を聞いていて感じました。
また、フリーランスという選択肢は後戻りできない、専門職でなければ生き残れないという思い込みがありましたが、企業活動とその悩みに焦点をあてれば、もっと柔軟な捉え方があるのかもしれません。
歩んできたキャリアや培ってきたスキルは、人によって異なります。それを最大限活かせる働き方のひとつとして事務代行業に興味を持った方は、ぜひ今回の嘉晶さんの経験談をヒントに、ご自身に合った働き方を探してみてください。
(執筆:宿木雪樹 編集:少年B)
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