エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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フリーランスとして活動する人や、副業・兼業の形で本業の傍ら、別の会社で自身のスキルを活かして働く人が増えています。個人の働き方がいち早く変わるのに合わせて、企業も副業解禁、副業人材やフリーランス人材の受け入れなどに本腰を入れ始めています。
その一方で、働き方の自由に伴うリスクも指摘されています。フリーランスとして活躍し続けるためには、個人の専門性を高めるなどの、市場価値の維持と向上がポイントになっています。
個人の働き方も企業の人材活用のあり方も変わっていくいま、「どうしたら能力を高め、企業に求められるスキルを身につけられるのだろう?」といった課題意識を持ち、すでに努力をされている方も多いかもしれません。
今回は、実際にビジネスの現場で活躍するプロ人材への調査結果を元に、フリーランスとして活躍し続けるために必要なリスキリングや学習習慣について、株式会社サーキュレーション取締役の福田 悠氏が3回に分けて解説します。
※この記事は株式会社サーキュレーションによる寄稿です
中央大学理工学部を卒業後、大手総合人材サービス企業へ入社。製造業を中心とした約600社の人材採用を支援。大手法人顧客専属部門を経て、同社初となる社内ベンチャーの立ち上げに携わる。2014年、サーキュレーションの創業に参画。中小企業や製造業大手顧客を担当しながら、地方金融機関とのアライアンス、地方7拠点の設立を主導。オープンイノベーションコンサルタントのプロフェッショナルとしてレガシーマーケットへの変革を志し、プロシェアリング本部を管掌。関連ページリンク:https://www.circu.co.jp/
外部プロ人材の経験・知見を複数の企業で活用する「プロシェアリング」事業を運営しています。20,000名以上のプロ人材から、企業に最適な人材を選出、課題解決プロジェクトチームを組成します。2014年設立以来、導入実績は4,103社/12,687プロジェクトを数えます。(2022年10月末時点)https://www.circu.co.jp/
目次
「リスキリング」とは職業能力の再開発、再教育を意味しています。経産省が公表している資料では、リスキリングは以下のように定義されています。
「新しい職業に就くために、あるいは、いまの職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」
(出典:リスキリングとは – 経済産業省)
自身の専門性を活かして業務委託で活躍するプロ人材の7割以上が、専門分野の延長線上の学習(能力開発)をしていることは自然に思われます。しかし専門外の分野についても、プロ人材の半数以上の6割近くが学習し、習得したことがあると回答しました。
ここで、プロ人材のなかでも「リスキリングしている人」と「元々の専門性を極め続ける人」の両方がいることが見えてきます。リスキリング経験があると答えていない2割強のプロ人材は、なぜリスキリングしていないのでしょうか。
そもそも「プロ人材」とは、すでに1つの分野の専門知識(コアスキル)や経験が豊富にあり、それを活かして生計を立てている方とも言えます。つまり、ほかの分野を新たに学ぶ時間を取るより、自分の専門分野を極め続け、周辺スキルを含めた専門外の分野は別のプロ人材に連携してしまうほうが、時間効率も顧客満足度も高まるという方もいるのです。
リスキリング経験のないプロ人材は、得意分野を追求しつづける戦略を取っているのではないかと考えられます。
一方で、「リスキリング」の定義は人によって異なるという見方もできます。「何が専門分野外なのか」については定義が非常に難しく、共通の認識が政府にも経済界にもあるわけではありません。
たとえば「営業」が専門の人にとっても、「インサイドセールス」が専門分野の延長線上だという人もいれば、まったく新しい別分野だと考える人もいるかもしれません。「マーケティング」が専門の人のなかにも「PR」が専門外だと思う人と、延長線上だと思う人もいるでしょう。
そのため、今回の調査では「回答者が『この分野は自分の専門外だ』と判断した分野」が「専門外の分野」の定義です。実に大多数の7割のプロ人材が「専門外の分野を学んだことがある」というのは、本人が意識的に専門外の知見を広げたことを意味しています。
ほとんどのプロ人材は、自分のコアスキルだけを伸ばすことに飽きたらず、周辺分野を含めたさまざまな専門外の分野にもスキルアップを求めて学習しているということです。
学習する分野について、過去習得した分野と現在習得中の分野に取り組んだきっかけに違いがあるか調査したところ、過去は「興味」(55.1%)が高く、現在は「ビジネス環境の変化への対応」(75.2%)「興味のある分野」(71.1%)といった動機がより強く現れました。
この結果を一言でまとめると、「興味より環境変化への危機感」「苦手よりも得意を軸に差別化」といった傾向がありそうです。
プロ人材が「いま」リスキリングを行う動機としては、デジタル技術の活用を前提とした事業戦略を描く企業に対して価値を提供し続けることや、国内外の情勢変化に伴う、目まぐるしいビジネス環境の変化に対応することが目的となっているのではないかと思います。クライアント案件のニーズ、差別化といった、市場価値を重視して学習する分野を選んでいるということです。
また、一度プロ人材として専門分野を定めてからは苦手分野を補うという動機は弱く、得意分野を中心に差別化を図るべくスキルを獲得していくという戦略を取っている可能性もあります。
プロ人材をはじめとしたフリーランスは、会社に属する社員とは異なり、ある意味、自らの経験・知見一本で活躍し続ける必要がある立場です。その身一つでビジネス環境の変化や同業者との競争に対応しなければならないため、市場価値への意識は高く保たれているのではないでしょうか。自らのスキルを高め続ける努力を怠らないというのは、プロ人材にとって重要なことなのかもしれません。
プロ人材が新たに習得した技術やスキル、知識が、実際の仕事に活かせるようになった期間をたずねたところ、「1年未満」が62.8%、「半年未満」だけでも45.4%と、多くのプロ人材が短期間で仕事に学習の成果を活かしていることがわかりました。
これは重要なポイントだと思います。いくら勉強しても、それがいまの仕事とまったく関係なかったり、役に立つものでないと、忙しい合間を縫って学んだことが定着せずに「知っているだけ」になってしまいます。
プロ人材がリスキリングしたものを1年以内に仕事で活かし、実践しているということは、学んだ知識を血肉にできているということ。アウトプットを目的としたインプットを意識しているのではないかと考えられます。
キャリアについての計画的偶発性理論でも言われているように、すぐに仕事に活かせない分野を学習することで、将来に役立つ可能性は大いにあります。
しかしながら、プロ人材のように「ビジネス環境の変化」への対応が目的なのであれば、アウトプットを前提としてインプットするのは非常に効果的だと思います。いま求められている分野が何かを見極め、努力を惜しまずインプットしていく人がプロ人材として生き残っていくのだと思います。
とはいえ「学んだ内容が仕事に活きた」といっても、実際ほとんど活かされる機会がない場合、それは身についていると言っていいのでしょうか?
そこで、仕事に「どのくらい」活かせているかも調査を行いました。
その結果、4人に1人のプロ人材が、リスキリングで得た新たな技術やスキルや知識が「仕事の80%以上活かす機会がある」と回答しました。「仕事の半分以上で活かす機会がある」と回答したプロ人材を含めると64.0%となり、多くのプロ人材が、リスキリングを実際の仕事の成果に繋げてスキルアップしていることがうかがえます。
プロ人材がいまの仕事に必要な分野を優先して学び、それを仕事の成果に繋げている姿は、多くの働く人々にとってもヒントになります。
学んだ内容は「知識」になりますが、それを実務経験のなかで試してみると、一筋縄ではいかないことばかりです。予想外のトラブルがどう発生して、そのときどのように乗り越えるのかが体得できて初めて「経験」や「ノウハウ」になるのです。
実践の機会を得るためにも、まずは、いまの仕事に活かせる内容で、自分がまだ知らない専門外の領域を選ぶことが重要です。そのうえで、学んだことを自分のよく知る領域と組み合わせて新しく仕事を生み出したり、試したりするサイクルがスキルアップに繋がるのだと思います。
専門外の分野を学ぶことにはもう1つの大きなメリットがあります。複数の専門性を掛け合わせることで、唯一無二の職能を手にするチャンスが生まれるのです。
専門性というのは、人と差別化することでも生まれてきます。たとえば、昔ながらのマーケティングのプロフェッショナルというだけではなく、クリエイティブにも長けていたり、プログラミングの知識もあったりといった複数分野の知見を持っている人のほうが、さまざまなビジネス上の課題に対して新たな視点や手法で解決できたりするため、重宝されることがあります。一つ、二つの分野だけで勝負するよりも、常に新たな分野を学んでいけば、自分にしかできない仕事が増えていくでしょう。
プロ人材のリスキリング方針を参考に、ぜひ定期的に新しい分野を学んでみましょう。そして、学習を通して得た知識は語るだけに留めず、ぜひ自分の仕事の領域に組み合わせて、新たな提案やチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
(執筆&提供元:サーキュレーション 編集:北村有)
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