多くの人に愛されるディズニー映画やディズニーリゾート。これらの制作と運営を手がける米国のウォルト・ディズニー カンパニーには、実は100年近い歴史があります。

ディズニーは1923年に「ディズニー・ブラザーズ・カートゥーン・スタジオ」として設立されました。はじめはアニメーション制作で成功を収め、現在は映画やテーマパークなどでも絶大な人気を誇っています。

そんなディズニーが、どのように自社ブランディングを行ってきたのでしょうか? 本記事では、ゲストに「ディズニー・マジック」をかける13の戦略を紹介していきます。

ディズニーの徹底したブランディング 13選

1. 従業員の呼び方

ディズニーパークで働いている人々は、「スタッフ」ではなく「キャスト」という独自の呼び方をされます。ディズニーの世界では、パークは劇場であり、従業員はステージでパフォーマンスをしているとされるのです。

2. どんなときでも対応する従業員

キャストが「ステージ」にいるあいだは、飲食はもちろん「いいえ」「わかりません」などと答えることも許されません。ゲストにネガティブな印象を与えることは、ディズニーのブランドに傷をつけることにつながります。ゲストに信頼感や安心感といった印象を与えることが、何よりも大切だとされているのです。

ゲストが何かに困ったとき、必ず助けになれるように、キャストは教育されています。

3. キャラクターになりきる演者たち

パークのなかで会えるディズニーキャラクターの演者たちには、どんなときでも「キャラクターそのものになりきること」が求められています。ミッキーやミニーならフレンドリーで愛らしく、ヴィラン(悪役)キャラクターならツンケンとしたり悪だくみをしているような表情をしたり……。

子供から大人まで、まるでショーの中にいるように感じさせることが重要なのです。

4. ディズニーキャラクターのしぐさや立ち位置

ディズニーキャラクターを演じるキャストたちは、座ったり、指をさしたりしてはいけないと教育されています。指をさすことは、パーク内では失礼だと考えられているからです。

そして、自分の“いるべき”エリアから移動するのも許されません。たとえばトイストーリーのバズライトイヤーが、パイレーツオブカリビアンのエリアにいたら、世界観を壊してしまいますよね。

複数のエリアを自由に動き回れるのは、ミッキーやミニー、ドナルドダックなど、初期からいたオリジナルキャラクターたちだけなのです。

5. ディズニーの噂の地下通路

パークの地下には、「バックステージ」とよばれる巨大な地下通路があると言われており、キャストが飲食、休憩、着替えなどができる空間となっています。

この地下通路ができたのは、キャストたちがゲストの前で休んだり疲れたそぶりを見せないためなのです。

6. 悪役のためのパーク建設計画?

実は以前、ディズニーはヴィランズ(悪役)だけが集まるパークを建設する計画も立てていました。

その名も「ダーク・キングダム」。ディズニーランドのランドマークであるシンデレラ城は、きっとマレフィセントが住む不気味な城になっていたでしょう。

大人にとっては面白いアイディアかもしれませんが、子供にとっては「少々怖すぎる」ということで計画は中止されたようです。ディズニーブランドのイメージを守ることを優先したのかもしれません。

7. エリアごとの「匂い」をデザインする

ディズニーは、雰囲気作りのプロフェッショナルです。パーク内のエリアごとに建物のデザインが違うのはもちろん、アトラクションごとに特定の「匂い」をつけており、ゲストに世界観を100%伝える工夫をしています。

なお、常に特定の匂い付けをするため、Smellitzerと呼ばれる機械の特許も取得したとか。

8. 知られていなかった「眠れる森の美女の城」の謎

日本のディズニーランドのランドマークといえばシンデレラ城ですが、香港やパリ、アナハイムのディズニーランドのランドマークは、実は眠れる森の美女の城なのです。しかも、このアトラクションがオープンしたのは、映画『眠れる森の美女』が公開される4年前!映画公開前に、お城のほうが先に出来上がったのです。

映画が公開される前に訪れたゲストたちは、数年にわたって城のコンセプトがわからないままアトラクションを楽しむことになっていました。あえて謎を残し、ゲストにさまざまな想像をさせていたのかもしれません。

9. 極端なまでの「完璧」へのこだわり

映画『バンビ』は、実は『白雪姫』に続いて2番目に公開されるディズニー映画となるはずでした。

しかしウォルト・ディズニー氏が細かな部分の完成度にこだわった結果、『ピノキオ』や『ファンタジア』、『ダンボ』などのほうが先に公開されることになったのです。

「完璧でなければ表には出せない」というディズニーのこだわりが表れています。

10. 過去に制作した映画のエッセンスを入れる

ウォルト・ディズニー氏が生前最後に制作した映画は『ジャングルブック』です。

会社の創始者であり、アニメーション発案の中核であったディズニー氏の死後、会社の従業員らはこれから会社を続けられるだろうかと心配しました。しかし映画の興行収入がとても好調だったため、続行することに。

そして、つくる映画には必ず「過去作のエッセンス」を取り入れることが決まりました。英語では「The Disney Formula」 として知られています。

11. ミッキーマウスの存在感

ディズニー・マジックにおいて、ミッキーマウスの存在は欠かせません。シンプルなフォルムであり、誰にでも愛されるキャラクター。そんなミッキーマウスは、アニメキャラクターとして初めて『ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム』に名前が載りました。

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームには、エンターテイメント界で活躍した著名人の名前が星型のプレートに彫られます。ディズニーがどれだけブランドやキャラクターの価値を高めたかがわかりますね。

12. ミッキーマウスの、もうひとつの「先駆け」

ミッキーマウスは1928年に、アニメキャラクターとして初めて言葉を喋ったひとりです。

当時はまだトーキー映画(有声映画)が開発されたばかりでしたが、ディズニーはその最新技術に真っ先に飛びついたのです。

ちなみにミッキーマウスが映画内で発した言葉は「ホットドッグ」でした。

13. 外部の賞すらもディズニーモチーフに

ディズニー映画『白雪姫』は、オスカー賞を受賞したことがあります。

そのときに受け取ったトロフィーは7人の小人がモチーフとされており、オスカー賞のトロフィーとしては異例のデザインでした。

オスカー賞

まとめ

「ディズニーのゲストには、その世界に100%入り込んでもらいたい」

そんなウォルト・ディズニー氏自身の想いから、ディズニーのパーク設計から従業員教育まであらゆるところが徹底されています。これは、ディズニーが常に世界観に忠実で、信頼の持てるブランドであることを証明しているのです。

ディズニーのスローガンのひとつに「8歳から80歳まで」というものがあります。文字どおり、小さな子供からその保護者まで一緒になって楽しめる空間づくりにはげんでいます。

ディズニーワールド

ご存知の通り、ディズニーは世界中にディズニーストアを展開しています。北米に200店舗、ヨーロッパに70店舗、日本には40店舗以上。2015年には、中国にもディズニーストアが初出店されました。

ディズニーリゾートは世界で12箇所。すべてのパークは完璧にブランディングされており、メディアチャンネルのコンテンツとなっています。ディズニー・マジックはさまざまなところに隠れています。映画にも、パークにも、そこで働いている人々にも。

最後に、創始者ウォルト・ディズニー氏に関するある逸話を書いておきましょう。

ウォルト・ディズニー氏は米国カリフォルニアのディズニーパーク建設中、できるだけ現場にいられるように、パーク内の敷地にアパートを建てて家族と住んでいたそうです。

アパートはメインストリートの消防署の上にあり、アパートの部屋の電気がついたときは、パークで働いているキャストたちもウォルト・ディズニー氏がそこにいるということを感じられたそう。彼が亡くなったいまも、その部屋にはずっと電気がついています。

リーダーはいつでも、ディズニーの中にいるのです。

(原文:Kag Katumba 翻訳:Klara)

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