Workship MAGAZINE書籍化第3弾!#ADHDフリーランス の新常識 他
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Webサイトやアプリを作る際に、もっとも重視すべきなのはユーザーです。しかし製品の開発を進めていると、使いやすさや目新しさばかりに注目してしまうこともありますよね。
製品のスペックはもちろん重要ですが、それがユーザーに寄り添っていなければ何の意味もありません。
この記事では、人の感情を軸にした「共感ドリブン」なUXデザインについて解説していきます。共感ベースのデザインを行い、ユーザーの心を掴んでいきましょう。
共感ドリブンなUXデザインとは、製品の使いやすさだけでなく、製品とのインタラクションのなかで発生するユーザーの感情にまで注意を払うデザインのこと。
IDEOの創業者であるデイビッド・ケリー氏は、共感の重要性について以下のように述べています。
「デザイン思考において重要なのは、デザインの対象となる人々への共感です。リーダーシップと同じく、支援してくれる人々に共感されるような関係を築くことが大切です」
たとえばAppleのデバイスをはじめて購入して、スイッチを入れたときのことを思い出したりしてみてください。多くの人は興奮や喜び、満足感を感じたのではないでしょうか。使うたびにこうした感情を与えられるかどうかが、製品の成功を左右します。
デジタル製品についても同様です。以下のような工夫をすることで、モバイルアプリやWebサイトのユーザー感情を揺さぶりましょう。
共感ドリブンなデザインは、ユーザー指向(ユーザー目線)のアプローチと密接に関係しています。
ユーザーのニーズに応える製品を作るためには、ユーザーの日常生活に目を向けなければいけません。日々の生活のなかで遭遇する問題を調査して、それを解決するような製品を作りましょう。ターゲットユーザーをリアルに想像し、生活を理解すれば、ユーザーに必要とされる製品が作れるはず。
製品のクオリティを上げることではなく、製品を使うユーザーに関心をもつと、共感ドリブンなUXデザインが実現します。
ここからは、共感ドリブンなUXデザインに欠かせない4つの原則をご紹介していきます。
ニールセン・ノーマン・グループの共同創業者であるドナルド・ノーマン氏は、人間中心設計について以下のように述べています。
「人間中心設計は哲学であり、正確な方法論ではありません。人間中心設計の考え方では、イノベーションはユーザーの活動を観察することから始まるとされています」
人間中心設計において重要なのは、なんといってもユーザーテストです。プロトタイプから本格的な製品にいたるまで、製品開発の各段階でユーザーテストを実施しましょう。開発プロセスの最初にユーザーテストをすることで、そのあとの時間と労力を大幅に削減できます。
Fireart Studioの創業者兼CEOであるディマ・ヴェングリンスキー氏は、インタビュー「How to Grow a Business and a Digital Product(ビジネスとデジタル製品の育てかた)」において、以下のように述べています。
「製品はダイナミックな改善プロセスを経て作られており、生きものと同様に継続的なケアとコミットメントが必要です。デザイナーや開発者には、製品開発のさまざまな段階での微調整や改善が求められます。それぞれのインタラクションがうまくできているか、すべての機能が正常に動いているのかを継続的にチェックしなければいけません」
ユーザーを観察し続けることによって、ユーザーファーストなデザインを実現しましょう。
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製品をテストする際は、「認知負荷」という処理能力に気をつけましょう。認知不可とは、製品を使用するときに発生する精神的な負荷のことです。
ユーザーは通常よりも多くの情報の処理が必要になると、認知過多になり、心理的な不快感を覚えてしまいます。そして認知過多は、製品とのインタラクションを阻害する可能性も。
認知過多はユーザビリティの低下をもたらすため、改善が必要です。一般的な認知過多の原因は、以下のようなものが挙げられます。
タイムレスなデザインとは、時代や嗜好をこえたデザインのこと。UXデザインにおいてタイムレスを意識すれば、おのずと汎用性にも気を配れます。
タイムレスな製品は、さまざまな人、文化、そして時代に溶け込みます。またタイムレスな製品の多くは、共感ドリブンなUXデザインを尊重しているため、時代を超えて同じ感情を呼び起こせるのが特徴です。
ミニマルで便利なデザイン心がけて、長く愛される製品を生み出しましょう。
シンプルで直感的なデザインの長所は、多くの人に受け入れられることです。独創性がなくてつまらないと思うユーザーもいるかもしれませんが、不便で複雑なデザインによってオーディエンスを失うことと比べれば、低リスクとなります。
複雑な操作は避けて、できるだけシンプルなデザインを心がけましょう。驚くほど美しく、革新的でありながら、直感的に操作できる製品が理想です。
製品を作る前にターゲットユーザーを調査は欠かせません。以下のような要素を設定し、その製品を利用する具体的な人物像をイメージしましょう。
ターゲットユーザーに関する定性的・定量的なデータを事前に調査できれば、より現実にマッチした製品を作れるはずです。
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つぎに、ユーザーが抱えている問題を調査しましょう。
表層的な症状ではなく、問題のボトルネックに注目するのがポイントです。ボトルネックを突き止めれば、他の問題が発生するリスクも軽減できます。ユーザーの問題を正確に把握し、それを解決するように心がけましょう。
すでに製品を発売している競合他社からは、多くのことを学べます。製品のレビューやSNS上での評判を調査し、ターゲットユーザーの好みを把握しましょう。
SNSは、情報を拡散させられるだけでなく、製品やブランドに関する顧客のフィードバックを収集できるツールです。競合他社のリサーチをすることで、製品発売前にUXの問題を予測しましょう。
事前にその問題を回避する工夫をしていけば、ユーザーテストの時間と労力を削減できます。
優れたプロダクトデザイナーに欠かせないのが、自分の不完全さを受け入れること。こうした姿勢はユーザーの不完全さを受け入れることにも繋がります。
人はあれもしたい、これもしたいとは思うものの、ひとりで全てのことを実現するのは不可能に近いです。このような人間の不完全さを補うために、製品が必要になります。
まずは自分自身を振り返って、どのようなことが自分の障害になっているか考えましょう。そして、つぎにユーザーのことを考えます。ユーザーの日常生活の障害になっているものを取り除き、より自由な生活が送れるようになるためには、どのような製品が必要でしょうか。
この思考プロセスは、義肢や家電製品のデザイン、そしてモバイルやWebのUXデザインを考える際にも有効です。自分とユーザーの日常生活を振り返り、そこで生まれた共感をデザインに活かしましょう。
共感ドリブンは、言い換えれば「人間化」です。
これから先、イノベーションによって人間と機械はより一層の共存が求められていくでしょう。共感ドリブンなUXデザインは、そうした人間と機械の共存に欠かせないデザイン思考です。
今回お伝えした知識をもとに、来たるべき未来に備えて、共感ドリブンなUXデザインを製品に取り入れてみてください。
(執筆:Dana Kachan 翻訳:Nakajima Asuka 編集:Kimura Yumi)