ファクタリング審査落ちはなぜ?理由と防ぐための対策を解説
- ファクタリング
資金繰りの改善策として注目を集めているファクタリングですが、必ずしも簡単に利用できるわけではありません。
ファクタリング会社は、お金を支払う前に必ず審査を行い、その結果によっては利用を断ることもあります。
今回は、そんなファクタリングの審査について解説。審査に落ちてしまった際の原因や対策まで解説していきます。
ファクタリングとは:
取引先からの売掛金(将来の支払い)を、ファクタリング会社に売却して、手数料を差し引いた金額を早めに受け取る仕組みです。簡単にいうと、未来に受け取る予定のお金を、今すぐ手に入れるためのサービスです。
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目次
ファクタリングの審査通過率はサービスによって異なりますが、一般的に70%程度だと言われています。誰でも通るファクタリングサービスは、残念ながらありません。
以下は、審査通過率を公表している2サービスの通過率です。
上記はあくまでも参考例ですが、審査通過率が100%ではないということは、審査落ちのリスクが存在することを意味します。
ファクタリングの審査では、売掛債権の質やファクタリング利用企業の信頼性など、様々な要素が評価されます。
審査落ちの原因には大きく分けて、以下の3つが考えられます。
それぞれの観点について、審査落ちの背景を詳しく紹介していきます。
ファクタリングは、あくまでも売掛債権を買い取って現金化するサービスです。
そのため、まずは「売掛先の状況」が審査に大きく影響します。 売掛先に以下のような問題がある場合は、審査落ちの可能性が高まります。
ファクタリング会社は、サービスの利用者に替わり、売掛先企業から資金を回収します。この際、売掛先企業の経営状況が悪ければ、売掛債権が回収できない(ファクタリング会社が損をする)リスクが高まります。
そのため、請求書を発行している売掛先企業の経営状況が悪化していると、審査が厳しくなる傾向があります。
売掛先に金融事故や税金滞納の過去がある場合も、ファクタリング会社は審査を厳しくする傾向にあります。
金融事故や税金滞納は、資金繰りが悪化している証拠です。将来的な倒産リスクが高いと判断できるため、審査も慎重にならざるを得ないのです。
ファクタリングの審査では、売掛先の事業内容や取引実態も重要な要素になります。
なぜなら、実態が不透明な事業者との取引は、ファクタリング会社にとってリスクが高いと判断されてしまうからです。
例えば、以下のような事業者は、実態が不透明な事業者とみなされる可能性があります。
- 設立から間もない
- 事業内容や取引先が不明瞭
- 登記上の住所と事業所の所在地が異なる
- 急激な事業拡大や、不自然な取引を行っている など
これらの要素は、ファクタリング会社が審査において注意深く確認するポイントです。
売掛先が個人事業主の場合、法人よりも信用度が低いため、ファクタリングの審査に通りにくい可能性があります。
ファクタリングサービスによっては、最初から「個人事業主の売掛債権は取り扱わない」と明記しているものもあります。
ただし、必ずしも個人事業主だからといって審査に通らないわけではありません。事業の実績や財務状況が良好であれば、審査に通る可能性は十分にあります。
次に紹介するのは、売掛債権に問題があるケースです。
ファクタリングはあくまで「売掛債権の買取」なので、売掛債権自体に問題があれば審査落ちは避けられません。例えば、下記のようなケースが当てはまります。
ファクタリングでは、売掛金の支払期日が長いほど審査に通りにくくなる傾向があります。
一般に、2ヶ月(約60日)以内の支払期限の売掛債権であれば、問題なく買い取ってもらえるケースが多いでしょう。一方で90日後など、 2ヶ月を超える支払期日の売掛債権の場合、ファクタリング会社によっては買取を断られるケースもあります。
もし、どうしても支払期日が長い売掛債権をファクタリングしたい場合は、ファクタリング会社に相談してみましょう。 売掛先の企業の規模や業績、これまでの取引実績によっては、買取を検討してくれる可能性もあります。
売掛債権の取引歴が短く、継続性がない場合も審査落ちの原因になります。
ファクタリング会社は、売掛債権が将来的にも安定して発生するかどうかを重視します。取引歴が短いと、その後の取引継続や売掛債権の発生が不確実と判断され、審査通過が難しくなるのです。
例えば、創業間もない企業や、新規事業で取引実績が少ない場合は、この点がネックになる可能性があります。
二重譲渡とは、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に売却する行為を指します。これは契約違反や不正行為として重大な問題となります。
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として現金を受け取る資金調達の方法です。そのため、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に売却すると、トラブルに発展します。
二重譲渡が発覚すると、ファクタリング会社間で債権の所有権をめぐる争いが生じ、場合によっては売掛債権を売却した利用者が詐欺などの法的責任を問われることもあります。
ファクタリング会社は、こうしたリスクを回避するため、取引履歴や売掛債権の内容を精査したり、信用情報機関のデータを活用したりして、二重譲渡のリスクがないかを慎重に判断しています。
売掛債権の存在が確認できない場合、当然ながら審査には通りません。売掛債権の買取を専門とするファクタリング会社にとって、売掛債権の存在は、サービスを提供するための前提条件となるからです。
売掛債権の存在が確認できない場合とは、以下のような場合です。
- 請求書が発行されていない:
口約束だけの取引や、取引の実態がわからない- 請求書の記載内容に誤りがある:
誤った金額や日付が記載されている- 売掛債権を証明する資料を提出できない:
取引契約書や納品書など、売掛債権の存在を証明する資料を提出できない
ファクタリングの利用を検討している場合は、売掛債権の存在を明確に証明できる書類を事前に準備しておくようにしましょう。
ファクタリング会社は、ファクタリングを利用する企業や個人事業主についても審査を行います。
利用者に問題があると「返済能力が低い」と判断され、審査に落ちることがあります。審査落ちの原因となりやすい項目は、以下の通りです。
ファクタリング会社は、利用者自身が安心して取引できる相手かどうかを審査します。そのため、過去の行動履歴や事業内容によっては、信頼性に欠けると判断され、審査落ちの原因となります。
例えば以下のような要素は、ファクタリング会社に不信感を与え、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 過去の取引においてトラブルがある:
支払いの遅延や滞納を繰り返す、取引先との間で金銭トラブルを起こした経験がある- 事業内容が不透明:
事業内容が明確でない、反社会的な事業に関わっている疑いがある
- 会社情報に不備がある:
会社の登記情報や決算書類に不備や虚偽がある
信頼性を高めるためには、過去のトラブルを解消しておく、事業内容を明確に説明できる資料を用意しておくなど、事前に対策を講じておくことが重要です。
ファクタリングの審査では、企業の信用情報や取引内容を確認するために、様々な書類の提出を求められます。
これらの書類に不備や虚偽があると、審査落ちの原因になるだけでなく、契約後であっても契約解除になる可能性があります。
ファクタリング会社に提出する書類は、主に以下のようなものがあります。
- 売掛債権(請求書)
- 取引先との契約書
- 商業登記簿謄本
- 預金通帳のコピー
- 写真付きの本人確認書類
- 決算書または確定申告書
- 印鑑証明書 など
これらの書類は、ファクタリング会社が審査を行う上で非常に重要なものです。不備や虚偽の内容がないように、事前にしっかりと確認することが大切です。
ファクタリングの審査落ちを防ぎ、スムーズに資金調達を実現するには、いくつかの対策を講じることが有効です。
具体的には下記の4つの対策があります。
ファクタリング会社は、買い取った売掛債権を確実に回収できるかを重視します。
そのため、支払期日までの期間が短い売掛債権ほど、審査に通りやすくなります。支払期日が近いということは、それだけ早く資金回収できる可能性が高いためです。
以下は、比較的ファクタリングの審査に通りやすい売掛債権の要素です。
要素 |
説明 |
---|---|
支払い期日 |
支払期日が近いほど、売掛債権の価値は高くなります。そのためファクタリング会社は、早期に資金回収できる可能性が高い債権を優先的に買い取ります。 |
売掛先の信用力 |
企業規模が大きく、業績が安定しているなど。売掛先の信用力が高いほど、ファクタリング会社は安心して債権を買い取ることができます。 |
売掛債権の内容 |
売掛債権の発生源が明確で、具体的な内容が明記されているなど。債権の信頼性が高いほど、ファクタリング会社は買い取りを検討しやすくなります。 |
ファクタリングを検討する際には、支払期日が近い売掛債権を優先的に利用するなど、戦略的に資金調達を行うようにしましょう。
審査合格率が高いファクタリング会社を選ぶことは、ファクタリング審査をスムーズに進める上で重要です。しかし、審査合格率は公表されていない場合も多く、どのファクタリングサービスを選べば良いのか判断に困るかもしれません。
そこで参考になるのが、審査合格率が高いファクタリング会社を見分けるためのポイントです。以下のような特徴を持つファクタリングサービスは、審査合格率が高いと言われています。
- 審査時の提出書類が少ない
- オンラインで完結する
- 個人事業主・フリーランスでも利用できる
- 急成長企業やスタートアップ企業への資金提供実績が多い
- 柔軟な審査基準を設けている など
上記のような特徴を参考に、自身にとって最適な会社を選ぶように心がけましょう。
【FP監修】フリーランス&個人事業主向けファクタリング8社比較 Workship MAGAZINE
ファクタリングの審査では、売掛債権をはじめ、決算書や契約書といった様々な書類の提出が求められます。
書類は、ファクタリング会社が企業や利用者の信用度や売掛債権の確実性を評価するために使用する重要なもの。
スムーズに審査を進めるためにも、必要な書類を事前に把握し、漏れなく準備しておくようにしましょう。
ファクタリングの審査では、企業や利用者の信頼性も重要視されます。そのため審査の過程では、提出書類の内容だけでなく、提出者の態度や人柄も評価対象になります。
審査をスムーズに進めるためには、質問には正直かつ丁寧に答えるなど、誠実な対応をするように心がけましょう。
ファクタリング審査に通過するためには、ファクタリング会社の審査基準を理解し、適切な準備と対策を行うことが重要です。
今回紹介したポイントを踏まえてしっかりと準備し、ファクタリング審査の通過率を上げましょう。
(執筆:野風真雪 編集:夏野かおる)
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