エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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フリーランス人口の増加に伴い、人気が高まっているのが「フリーランス広報」。複数の会社と業務提携を結び、さまざまなサービスや商品のPRを担っています。
とはいえ、一口に広報とは言ってもやることはさまざま。何を学べばいいのか、どんなスキルが必要なのか、1案件いくらで請け負うのか……他の職種と比べてもかなり曖昧な印象です。
そこで今回は、フリーランス広報として活躍している多葉田 愛さんに取材。「フリーランス広報のリアル」を聞いてみました!
旅行業界マーケター・フリーランス広報。株式会社UDSにて、2年間広報を担当した後、2018年に独立。現在はパラレルワーカーとして、株式会社TABIPPOで正社員として働きながら、フリーランス広報として複数社と契約中(Twitter:@aitabata22)
フリーランスライター。ライターの友人が次々に広報に転身することもあり、最近広報に興味がある。
目次
『広報会議』が2020年11~12月に行った調査によれば、PR会社などに広報業務を外注している企業は約41.0%。これは前年の約37.3%を上回る数字であり、社内ではなく、外部のプロに広報を依頼したいと考えている企業が増えていることを示しています。
また、新型コロナウイルスの影響で、営業が直接赴いて商品やサービスの魅力を届ける機会が激減したこともあり、広報・PR 担当者の役割が重要視される傾向に。
そのなかで、「フリーランス広報」の需要はどう高まってきているのでしょうか?
ゆぴ:
あいさんのもとには月々どのくらい仕事依頼が来るんですか?
あい:
現在は4社と長期契約、くわえて月々新規で5〜10件ほどのお問い合わせをいただいています。単発でのプレスリリース、インフルエンサータイアップ、記事広告の制作など、内容は多岐にわたります。
依頼元は専任広報のいない中小企業やベンチャー企業が多いです。ホテルやコワーキングスペースなどの場づくり事業や飲食店、スクール、アパレルなど幅広い企業からご依頼をいただいています。
主にブログからの問い合わせや知り合い経由でお仕事をいただくことが多いですね。
ゆぴ:
自社広報やPR会社もあるなかで、「フリーランス広報」の需要は実際に高いのでしょうか?
あい:
需要はかなり高まっていると思います。
そもそも、広報が担う領域はメディアリレーションなど「ステークホルダーとの関係構築」から社内広報である「インナーコミュニケーション」まで、とても広いもの。
また、最近では顧客との関係がより密になったことで、マスコミュニケーションだけでなくSNSを通じたコミュニケーションも増えています。
サービスや企業の魅力を伝えるために広報PRは大切な仕事ではありますが、専属の広報職を1人採用するのはコストもかかる大変なところ。
だからこそ、社内では人事などが広報も兼務で担当することが多いのですが、それだと優先順位が低くなってしまいがちです。一方で、外注をするにしてもPR会社はどうしても費用が高額となってしまいます。
それが、フリーランス広報であれば、費用を抑えて中長期的に付き合うことができるのが企業にとって大きなメリット。フリーランス広報が選ばれる理由です。
また、会社員ではひとつの業種でのキャリアが長くなっていきますが、フリーランスはさまざまな会社と関わっているため、話題やスキルを多く持っているのも強みです。
最近では広報領域が広がっているぶん、「広報の大ベテラン」じゃなくても、ライティングやSNS運用などに特化した実務経験のある人がキャリアアップする形で広報へ転身していくパターンも増えてきています。
フリーランス広報は、これまで培ってきた経験を活かしやすいので、キャリアアップにおすすめの選択肢だと思いますね。
ゆぴ:
フリーランス広報の案件は大体いくらで受注していますか?
あい:
私の場合、平均月額10〜20万円の範囲内でできることを担う、という形でお手伝いしています。具体的には、広報戦略を描くことと、ディレクションを行うなどの実務に紐づくことの両方をやっています。
金額は「専属で広報を採用するよりも少し安い」ラインを意識して提示するようにしていますね。
友人のなかには広報アシスタントとして時給制で働いている方もいますが、私は広報の仕事は時給では測れない部分があると感じているので、「月に3本プレスリリースを書く」など、アウトプットに紐付けた契約をしています。
では、具体的に「フリーランス広報」に必要なスキルにはどのようなものがあるのか。あいさんによると、大きく分けて5つのスキルが必要だといいます。
あい:
まず、委託先の会社やターゲットユーザーの情報を網羅するのはもちろん、その会社が位置している業界についても幅広く理解しておくことが必須です。
情報収集が苦手だと、広める手段が見つからず、時代に置いていかれた広報になってしまいます。
「ネタ」は降ってくるものではなく、拾いにいくもの。SNSでリサーチをしたり、社内の人とランチをしたりと、アクティブに情報を取りにいくことが大切です。
あい:
広報は「メディア」「社内」「顧客」など、さまざまな方面に対して関係構築をするのが仕事です。
たとえば、会社の代表が表に出たくない内向き志向だった場合、どうしたら前向きに取材に出てもらえるのか、仕掛け作りをしたり、ハードルを下げたり、気持ちよく協力してもらうことも大切な仕事のひとつ。
メディア側に対してはニュースバリューのあることを端的に伝えたり、ユーザーに対しては直接会ってヒアリングをしたりと、とにかく人と関わる機会が多いので、コミュニケーションスキルは欠かせませんね。
あい:
広報は、書く機会が多い職種でもあります。社内ブログ、メルマガ、プレスリリースなど、すべてにおいて「ライティングスキル」が基盤となってくるので、最低限押さえておきたいスキルです。
あい:
「企画されたことをどう広めるかを企画する」のが広報の仕事。広報をしているうちに、広め方には決まった型があることに気付くかと思います。たとえば、メディアを立ち上げる、プレゼントキャンペーンをする、イベントを開催するなど。
でも、違うサービスなのに型に当てはめたり、以前成功したことと同じことをしたりするだけでは、広まっていきません。
それぞれのサービスをきちんと理解し、サービスに合わせた「広め方」を企画することが必要となります。常日頃からアンテナを張り、広め方の引き出しを増やすことが大切です。
あい:
そして、最後に大切なのが「好きになる力」、ひいては「知る努力」ができることです。大前提として、広報がそのサービスを愛していなければ、そのサービスを魅力的に伝えることはできないと考えています。
「客観的な視点を持って愛する」というのは誰でも取り入れやすいスキルだと思います。
ゆぴ:
フリーランス広報はどんな人に向いているお仕事だと感じますか?
あい:
まず、メディアやSNSが好きな人。実際に自分で触りながら、それぞれのメディア特性を理解し、楽しんで使いこなせる人は強いと思いますね。
また、自分で情報発信をしている人に関しては、「広報」の仕事はその延長線上にあるものだと思っているのでやりやすいと思います。SNSが苦手な広報も多いので、SNSをやっているだけでもプラスになりますよ。
また、スピードが求められるので、レスポンスが早い人も良いですね。企業は広報が情報を勝手に巻き取って発信してくれることを期待しているので、コミュニケーションコストがかからない方は重宝されると思います。
ゆぴ:
フリーランス広報の具体的な仕事内容を教えてください!
あい:
まず、広報の要となるのが「戦略設計」です。現時点のフェーズと目的をヒアリングしたうえでスケジュールを引き、アクションプランに落とし込みます。
たとえば、新サービスなのであればプレスリリースを定期的に出す、世界観を伝えたいならメディア運営をする、ユーザー獲得をしたいならSNS運用に力を入れていくなど、目的によって広報手段はさまざまなので、半年〜1年単位で設計していきます。
あい:
プレスリリースとは、企業が出す公式文書のこと。
新商品、あるいは新サービスなどをリリースするときに用います。あらゆるニュースのもととなる報道発表資料であり、プレスリリースを執筆することは広報の基本的な仕事のひとつです。フリーランス広報として、単発で依頼されやすい仕事でもありますね。
あい:
企業やサービスの認知拡大のために、メディアやSNS、メールマガジンの運用なども担うことがあります。「採用広報」の場合、社員インタビューを実施するなど、採用サイトに掲載するためのコンテンツ制作も行います。
あい:
商品やサービスの発表会や体験会、ユーザーの交流会などを企画します。
あい:
新聞、テレビ、雑誌、Webメディア、ラジオ、インフルエンサーなど、あらゆるメディアとの関係性を構築します。
イベントに赴いたり、こちらからコンタクトを取って営業をしたりと、その方法はさまざまです。また、会社の顔となって取材を受けることもあります。
では、具体的にフリーランス広報になるにはどうすればいいのか。3つのステップに分けて教えていただきました!
あい:
まずは広報の仕事の基本となるプレスリリースから取り組み、ライティングスキルを磨くこと。
また、自分のSNSで情報発信をしながら、PDCAを回してSNS運用を学ぶことも有効です。企業の人でSNSをやらない人は多いから、「SNSが好き」というだけでも強みです。
情報発信にまつわるミニマムスキルを身に着けることから広報にチャレンジしてみるといいと思います。
あい:
ライティングに慣れたら、少しずつ知識をつけて、引き出しを広げていきます。
具体的には、広報にまつわる本を読んだり、他社が何をやっているのか研究をしたり、さまざまなメディアに触れたりと、積極的にインプットしていくことが大切です。
あい:
私がオススメしているのが、学びながら並行して案件を進めていくこと。ただ知識を蓄えるだけではなく、学びを活かして挑戦をしてみることで、広報として成長できると思います。
とはいえ、実績のないところからいきなり広報をお願いされることはないので、まずは低単価や無償でプレスリリースを執筆したり、インタビューを行ったり、ポートフォリオとして残せる仕事をやってみて、徐々に領域を広げていくのがいいと思います。
あるいは、WebメディアのディレクターやSNS運用担当者を募集しているところに入り、後々広報の上流の部分を任せてもらうのもひとつの手。
広報は全体像をつかむまで4〜5年かかると言われているほど領域が広いので、一気にできることを増やすというよりは、一つひとつ獲得していくという目線で取り組むといいと思います。
あい:
本に関しては、全体像が掴めるものと、事例を交えたものの両方を読むこと。そして、意外と勉強になるのが経営者の本を読むこと。広報は経営者と話す機会が多いため、経営者マインドを知ることも役に立ちます。
『新・戦略思考の広報マネジメント』では、広報に必要な具体的なスキルを含め、体系的に広報の仕事の全体像を網羅することができます。
広報は担当領域が広いぶん、やることが曖昧なのが難しい点。『サニーサイドアップの手とり足とりPR』では実案件を参考にしながら、広報の手法をひととおり学ぶことができます。
大企業とベンチャー企業では広報のやり方がまったく異なります。『【小さな会社】逆襲の広報PR術』はベンチャー企業や中小企業の広報をやりたいという方におすすめの一冊です。
あい:
SNSの運用などに関しては、Webサイトの記事やインフルエンサーの発信などから勉強することが多いです。
- THE SOCIAL MEDIA(ザ・ソーシャルメディア)
- MarkeZine(マーケジン)
あい:
また、企業でひとりで広報をやられている方はたくさんいます。Twitterなどで「#ひとり広報」で検索をかけてフォローしてみると勉強になると思います。
最後に、フリーランス広報にまつわる、さまざまな疑問をぶつけてみました!
あい:
自分自身がマーケティングと広報との線引きができていなくて、目標設定を間違えたことで期待値がズレてしまい、満足してもらえなかったことがあります。
広報は担当領域が広いからこそ、自分が何を担うのか、それによってどのような結果をもたらすことができるのかをきちんと説明し、納得してもらったうえで契約するのが大切です。
あい:
広報は予算が限られていることが多く、有料ツールを使う機会は少ないです。
Google Analytics、Twitterアナリティクスなど、無料で使えるアナリティクスツールなどをひととおり触れれば大丈夫です。
また、プレスリリースの配信に使うPR TIMESには、「スタートアップチャレンジ」という設立から一定期間無料で利用できるサービスもあります。
あい:
セットで語られることが多いため、マーケティングスキルがある広報は重宝されますね。
また、広報はサービスのリリース時にアサインされることが多いですが、できるだけ早い段階から関わらせてもらうことで、メディアサイドからの提案ができるので、ぜひ積極的に入って意見してみてほしいです。
戦略設計、プレスリリースの執筆、SNS運用、イベント開催、メディアとの関係構築…
一概に定義することができないほど多岐にわたる広報の仕事ですが、その入口は「SNSに触ってみること」「ライティングをしてみること」など、意外とハードルが低いことがわかりました。
これからますます需要が増えていくことが予想されるフリーランス広報。フリーランスとしてキャリアアップを考えている方は、ぜひこの3ステップを参考にして、フリーランス広報の第一歩を踏み出してみてください。
【フリーランス広報になる3ステップ】
- ライティング・SNS運用スキルを学ぶ
- 広報本を読む、他社研究をする
- 学びながら案件を進める
社員のようにサービスに愛情を持ち、専門スキルの高い「広報ユニット」のような助っ人が現れたら心強く感じませんか?
広報の可能性をもっと柔軟に、もっと豊かにしていきたい。そんなあいさんの思いから誕生した『ふたり広報』では、さまざまなスキルを持った複業人材がチームを組み、柔軟に企業の広報をサポートします。
「広報を手伝ってほしい」「広め方がわからない」など、広報でお悩みの方はぜひ、サイトをチェックしてみてください!
(執筆:ゆぴ 編集:泉)
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