フリーランスから正社員になるには?年代別に見る成功戦略と注意点まとめ
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フリーランスとして働く自由さは大きな魅力ですが、一方で「収入が不安定」「将来のキャリアが描きにくい」と感じることはありませんか?特にライフステージが変化するタイミングでは、「正社員に戻る」という選択肢が現実味を帯びてくるものですよね。
この記事では、フリーランスから正社員に戻る理由やメリットを整理しつつ、年代別のリアルなケーススタディや、転職を成功させるための具体的な戦略をご紹介します。
筆者は現役エンジニアとして、フリーランスと正社員の両方を経験してきました。その実体験を交えながら、転職活動の進め方や押さえておくべきポイントを解説します。
現役エンジニア兼フリーランスライター。ようやくSwitch2を入手!ずっと抽選に外れていたのですごく嬉しいけど、いきなり5万の出費はなかなか痛い…!(note: @azasaz_a)
目次
フリーランスとして自由な働き方を選んできた人の中にも、ライフステージや将来設計を考える中で「正社員としての安定」を意識する方は少なくありません。ここでは、フリーランスが正社員を目指す主な理由を整理していきます。
フリーランスは案件単価が高い場合もありますが、月ごとの収入はどうしても不安定になりがち。特に駆け出しの頃なんて、ほとんど稼げないものです。私が独立して最初に得た収入、わずか3,000円でしたよ…。
収入が安定しないと、住宅ローンやクレジットカードの審査に不利になることも多いです。「クレジットカードは独立前に作っておいたほうがいい」とよく言われるのもそのためですね。
一方、正社員になれば毎月一定の給与が得られ、社会的信用力も高まります。安定収入は生活基盤を整えるうえで大きな安心につながり、家族を持つ場合や将来設計を考える際に大きなメリットとなるのです。
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フリーランスは国民健康保険や国民年金に加入しますが、会社員が加入する健康保険や厚生年金と比べると、保障内容はどうしても手薄と言わざるを得ません。さらに、育児休暇や傷病手当金といった制度も基本的には利用できません。
けがや病気、出産や育児、介護など、ライフイベントによって働き続けることが難しくなる場面は、誰にでも起こり得ますよね。その際に十分な保障や手当が受けられないことは、大きなリスクと感じる人も少なくないでしょう。
正社員として働けば、会社負担による社会保険や年金制度を利用でき、長期的なリスクにもしっかり備えられます。安心できる制度のもとで働けることは、将来を見据えたキャリア形成において大きな価値を持つのです。
フリーランスは自分の裁量で自由に働ける一方、学びや成長の機会が限られやすいという課題もあります。
私自身、一日中パソコンに向かって一人で作業することが多く、家族以外と会話する時間が極端に少ない状況です。集中できるメリットはあるものの、第三者からの刺激が乏しい分「成長の幅が狭まっているのでは…」と不安を覚えることもあります。
その点、正社員としてチームで働けば、経験豊富な同僚や上司から学ぶ機会が得られ、長期的なプロジェクトを通して専門性を深めることが可能です。社内外での人脈形成やマネジメント経験など、個人では得にくいスキルを培える点も、大きな魅力といえるでしょう。
収入面や社会的信用、継続的学習など、フリーランスが「やめとけ」といわれる原因については、こちらで詳しく解説しています。
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フリーランスから正社員を目指す背景や戦略は、年代によって大きく異なります。ここでは、各年代ごとの強みと課題を整理し、正社員への転身を成功させるためのポイントを見ていきましょう。
20代・30代のフリーランスは、若さや柔軟性、成長意欲といったポテンシャルが大きな強み。まだキャリアの方向性が定まっていないことも多いですが、裏を返せば「伸びしろが大きい」と評価されるチャンスってことでもありますからね。
採用側は即戦力性よりも将来性を重視する傾向があるため、ポテンシャル採用を狙いやすい年代です。「成長したい」という姿勢や学習意欲を具体的に伝えることが、正社員登用への近道となるでしょう。
40代のフリーランスは、専門スキルやマネジメント経験を積んでいる点が大きな強みです。ただし採用市場では、即戦力性や組織適応力がより厳しく問われ、若手よりもハードルが高くなる傾向があります。
「安定性を求めて正社員を志望しているのでは」と見られるケースもあるため、キャリアの一貫性や実績の裏付けが重要です。具体的な成果を数値で示し、どのように会社へ貢献できるかを明確に伝える戦略が求められます。
50代のフリーランスは、豊富な実績や人脈、マネジメント力といった強みを持ちます。一方で、再就職市場では年齢的なハードルが意外と高く、正社員としての採用難易度は上昇してしまう点に注意。
そのため、「正社員一択」ではなく、シニア人材活用制度や契約社員からの登用といった柔軟な選択肢を組み合わせるのが現実的です。これまでの経験を活かしつつ、組織にどのような形で貢献できるかをアピールすることで、正社員への道も開けるでしょう。
新卒フリーランスから会社員になったという体験談も参考にしてみてください。
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フリーランスとして積み重ねた経験は正社員転職にも直結しますが、職種ごとに評価されるポイントや伝え方は大きく異なります。ここでは主要な職種別に、フリーランス経験をどのように整理・活用すれば正社員として評価されるのかを具体的に解説します。
フリーランスエンジニアは技術力そのものが大きな武器ですが、正社員採用では「チームで成果を出せるか」が重視されます。
フリーランス案件は短期開発や部分的な実装が多く、「長期的にプロダクトを育てた経験」や「他メンバーとの協働経験」が不足しやすい点が課題です。そのため転職活動では、GitHubやポートフォリオで技術力を示すだけでなく、「エンジニアやデザイナーとどう連携したか」「品質維持のためにどんな工夫をしたか」といった具体的な事例を準備しておきましょう。
さらに長期案件に参画していれば、「リリース後の保守・改善を担った経験」も大きなアピールポイントとなります。加えて「新しい技術を独学で習得し、実務に活かした事例」を整理すれば、学習意欲と即戦力性の両面を伝えられるでしょう。
★正社員転職のポイント★
・ポートフォリオ+GitHubで技術力を可視化する
・チームでの協働経験を具体的に語れるようにする
・長期案件の実績や学習意欲を強調する
デザイナーの転職では、ポートフォリオの完成度が特に重要です。フリーランス時代に手がけた作品を「制作物」として並べるだけではなく、「クライアントの課題をどう捉え、それをデザインでどう解決したのか」をストーリーとして伝えることが、差別化の鍵になります。
現代のデザインはビジュアル表現にとどまらず、ユーザー体験やマーケティングとの連携が求められるため、成果の裏付けがあるとさらに評価されやすいです。たとえば「LP改善でCV率が20%向上した」といった具体的な数字を添えることで、「ビジネスに貢献できるデザイナー」としての信頼を獲得できます。
さらにFigmaやAdobe XDといったコラボレーションツールの使用経験を示せば、「チームで活躍できる人材」という安心感を採用側に与えられるでしょう。
★正社員転職のポイント★
・ポートフォリオを“作品集”ではなく“課題解決の物語”にする
・成果を数値で示してビジネス貢献をアピールする
・チームツールの活用経験を提示する
ライターや編集者は、単なる文章力だけでなく、「情報を整理し、読者やユーザーに正しく届ける力」が評価されます。
フリーランス時代の執筆実績は大きな武器ですが、正社員採用では「SEOや編集プロセスにどの程度関与してきたか」が問われるケースが多いです。たとえば「検索意図に基づいた記事構成を提案した」「校正・編集フローを整備して納期短縮につなげた」といった具体的なエピソードを示せば、実務的な強みを伝えられます。
専門分野に関する深い知見を持っていれば、その領域での差別化にもつながります。ただ「文章を書ける」だけではなく、「チームでコンテンツを作り、成果を出す人材」であることをアピールしましょう。
★正社員転職のポイント★
・執筆実績を“成果のあるプロセス”として語る
・SEO・編集フローへの関与を明確にする
・専門分野の知見やチームでの成果を打ち出す
マーケターは成果が数字で測られやすい職種なので、フリーランス時代の実績を「売上◯%アップ」「CPA◯円削減」など、定量的に提示できるかが大きなポイントです。正社員転職の場合には、短期施策だけでなく「中長期的にブランドを育てる視点」や「チームと連携して分析・改善を繰り返す力」も求められます。
戦略としては、まずフリーランス案件での数字を整理し、その裏にあるプロセスや工夫を言語化しておくこと。「組織に入ればこの成功を仕組み化できる」と未来志向で語れると、説得力が増します。
Google Analytics、BigQuery、CRMなどのツール活用経験を示せば、データドリブンに成果を出せる人材としての信頼感を高められるでしょう。
★正社員転職のポイント★
・実績を数字で語る
・プロセスと工夫を言語化する
・中長期的な視点とツール活用を強調する
ディレクターや専門職は「プロジェクトを動かす力」が最大の武器。フリーランスとして案件を回してきた経験がある場合、進行管理や人材調整、クライアント対応など「周囲を巻き込み成果を最大化するスキル」を具体的に整理しましょう。
たとえば「5人規模のチームをまとめ、納期を守りつつ成果物を納品した」「複数の外注先を調整し、品質を担保しながらプロジェクトを完了させた」といった事例は、リーダーシップを証明する好材料となります。専門職であれば、自分の専門スキルをベースに「どのように組織全体へ貢献できるか」を伝えることが効果的です。
マネジメントやコミュニケーションに関するエピソードを加えれば、「一人で完結する人」ではなく「組織を前進させる人材」として評価されやすくなります。
★正社員転職のポイント★
・プロジェクト推進力を具体例で示す
・専門性を“組織貢献”に結びつける
・マネジメント+コミュニケーション力をアピールする
フリーランスから正社員への転換「トランジション採用」の成功事例については、こちらで詳しく解説しています。
フリーランスから正社員への転換「トランジション採用」の成功事例まとめ
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フリーランスとして培ったスキルや経験をアピールするには、自分の実績やキャリアを「採用側が知りたい形」に整理し直すことが重要です。ここでは、フリーランス経験を最大限に活かして転職活動を進めるための具体的なポイントをご紹介します。
フリーランス時代に手がけた案件は数が多くても、ただ列挙するだけでは印象に残りません。ポートフォリオを整理し、クライアントの課題や成果物の概要を簡潔にまとめましょう。
「売上を◯%改善した」「SNSフォロワー数を◯人増やした」といった数値化された成果は、説得力を大きく高めます。また、使用したツールや技術を明記しておくことで、自分が即戦力としてどのように貢献できるかが明確になります。
フリーランス経験は、採用側から「正社員としてのキャリアと比べると一貫性が弱い」と見られがち。そこで大切なのは、自分の経験を「回り道」ではなく「専門性を深めるステップ」として語ることです。
たとえば「幅広い案件を通じて〇〇分野の知識を強化した」「フリーランスだからこそ幅広い業界と関わり、視野を広げられた」といった説明は、キャリアの筋を一本に通す効果があります。単発案件の積み重ねであっても、自分の中で一貫したテーマや成長軸を見出し、それをストーリーとして伝えることが大切です。
転職活動では、抽象的な自己PRよりも具体的なエピソードを交えることが効果的です。たとえば「クライアントから急な仕様変更を求められた際、スケジュールを再調整して円滑に進行させた」といった経験を伝えると、自分の行動力や柔軟性をリアルに示せます。
フリーランスは案件獲得から納品までを一人で完結させることが多く、その過程で「自ら考え、動き、課題を解決する力」を自然と培っています。こうした自走力や問題解決力は、正社員採用においても大きな評価ポイントとなるでしょう。
さらに「デザイナーやエンジニアと協力してリリースを成功させた」などの事例を加えれば、個人としての能力だけでなく、チームに適応し成果を出せる人材であることをアピールできます。
転職活動は一人で進めると迷いや不安がつきものです。「自分の経験はどう評価されるのか」「どの企業を選ぶべきか」と悩んだときは、キャリアの専門家に相談してみましょう。プロの目線で経験の整理や強みの言語化を手伝ってもらうことで、自己PRが格段に磨かれます。
フリーランス経験者に特化したサポートを提供するサービスを利用すれば、同じ背景を持つ相談者だからこその理解を得やすいです。客観的なアドバイスを得ながら効率的に転職活動を進めることで、自分が本当に望むキャリアに向けて一歩踏み出せるでしょう。
「Workship CAREER」は、フリーランスから正社員への転職支援に強いエージェントサービスです。これまで1,000件以上のWebサイトやサービス開発を手がけてきた実績を持ち、エンジニアやデザイナーなど技術職・クリエイティブ職の働き方に深い理解があります。
在宅勤務や週3日正社員、副業OKといった柔軟な求人も多く、フリーランスというスタイルを尊重しながら新しいキャリアに挑戦できるのが魅力。フリーランス経験を正社員として次のステージにつなげたい人におすすめです。
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フリーランスから正社員になれる?Workship CAREERでキャリア面談して確かめてみた!
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フリーランスから正社員に転身する際は、税金や社会保険の仕組みが変わるため、事前に流れを把握しておくことが大切です。ここでは、正社員に戻るときに押さえておくべき代表的な手続きを整理して解説します。
フリーランスとして働く間は、自分で所得や経費を計算して確定申告を行う必要がありました。しかし正社員になると、会社が給与から所得税を源泉徴収し、年末調整で納税額の過不足を調整してくれる仕組みに変わります。つまり、自分で毎年確定申告を行う必要はなくなるということです。
ただし、フリーランス時代に得た収入や副業収入がある場合は、翌年に確定申告が必要になるケースもあるため注意しましょう。
フリーランス時代は国民年金に加入していましたが、正社員になると勤務先を通じて厚生年金に加入します。厚生年金は保険料の半分を会社が負担してくれるため、負担軽減と同時に将来の受給額も増えるのが大きなメリットです。
切り替え手続きは基本的に会社が行いますが、国民年金保険料を口座振替にしている場合は、解約の手続きも忘れないようにしましょう。
正社員になると、健康保険と厚生年金に加えて、介護保険(40歳以上の場合)にも加入します。これらの手続きは原則として会社が代行してくれますが、扶養家族がいる場合は扶養認定に必要な書類を提出する必要があります。
特にパートナーや子どもが国民健康保険に加入していた場合は、勤務先の健康保険に切り替えられるかどうかを確認し、必要書類を準備しておきましょう。
フリーランス時代は国民健康保険に加入していた方が多いかと思いますが、正社員になると勤務先の社会保険に加入するため、国民健康保険を脱退する必要があります。
通常は新しい保険証が届いてから市区町村の役所に返却手続きを行います。もし扶養家族がいる場合は、その家族も一緒に勤務先の社会保険へ切り替えることになるため、扶養条件を満たしているかを事前に確認しておきましょう。
正社員になると、雇用保険に加入するのが原則です。雇用保険は失業時の失業給付だけでなく、育児休業給付や教育訓練給付など、キャリア形成を支援する制度も含まれています。
加入手続きは会社が行うため特別な準備は不要ですが、雇用保険被保険者証を持っている場合は提示を求められることがあります。フリーランス時代に未加入であっても、正社員になれば自動的に対象となります。
フリーランスとして開業届を提出していた場合、正社員になって事業を続けないのであれば、税務署に「個人事業の廃業届」を提出する必要があります。提出しなくても罰則はありませんが、事業を継続していないのに青色申告や事業税の対象となってしまう可能性があるため、不要になった時点で手続きを済ませるのが安心です。
副業として事業を続ける場合は廃業届を出す必要はなく、確定申告を継続すれば問題ありません。
フリーランスから正社員に戻る理由は「安定収入」「社会的信用」「福利厚生」「キャリア再構築」など、ライフステージによって異なりますが、いずれも前向きな選択肢となり得ます。20~30代は成長意欲、40代は専門性や実績、50代はマネジメント力といった具合に、年代に応じた強みが武器になるでしょう。
転職活動では「成果の数値化」「自走力のアピール」「チーム貢献への転換」を意識し、必要な手続きを押さえることが大切です。
正社員に戻ることは決して「キャリアの後退」ではなく、自分に合った働き方を選び直すための前向きな一歩。もし「自分にはどっちが向いているのかな…?」と迷ったときは、フリーランスからの転職支援に強いWorkship CAREERに相談してみるのがおすすめです。
出典:Workship CAREER
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(執筆:水無瀬あずさ 編集:猫宮しろ)