エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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弱冠23歳にして、2社経営、計5社の顧問をしながら働く、Z世代の経営者がいます。
お酒を飲みながら楽しめる次世代すごろく『ウェイウェイらんど!』を始め、デジタルデトックスをコンセプトにしたカフェ『HANARIDA』など、大学在学中からユニークな事業を次々に生み出してきたKENTくん。
彼が考案する事業は漏れなく話題となり、Z世代(1990年代後半〜2000年代生まれの人)を中心に多くの人々の心を掴んでいます。
自らを「Z世代の企画屋さん」と名乗るKENTくんに、若者向け事業の育てかたを聞いてみると、出てきたワードは「友だちマーケティング」……?
僕と私と株式会社 代表取締役 / Z世代の企画屋 / 1997年生まれ。横浜国立大学教育人間科学部 卒業。Z世代に向けた企画・コンサルティングを行う「僕と私と株式会社」を自身の23歳の誕生日プレゼントとして設立。著書『花束を買いに』(Twitter:@k_hanarida)
フリーランス3年目のライター。永遠の17歳のため、Z世代は仲間だと思っている(Twitter:@milkprincess17)
目次
KENT:
こちら僕がプロデュースした、都会でもオフモードになれるクラフトコーラ『OFF COLA』と、お花と茶葉のドライフルーツシーシャ(※)『花煙(はなけむり)』です!
※シーシャ:中近東発祥の水タバコ。Z世代を中心に流行している。
ゆぴ:
すごい、どちらもありそうでなかった面白い商品……! 早速ですが、KENTくんは現在どのような事業をしているんですか?
KENT:
「僕と私と株式会社」では、Z世代に特化した企画コンサルティングと、ブランド運営をやっています。店舗の運営やアパレルブランドのプロデュースを始め、最近だとメンズ向けのネイルサロン『KANGOL MEN’S NAIL』や、クラフトビールの『Aika』、コースターのいらないグラス『CLESS』などのプロデュースにも携わっています。
それに加えて、5社のスタートアップで顧問をしています。毎月のようにローンチするものを抱えている状態です(笑)。
ゆぴ:
本当にいろんなことをやっているんですね。KENTくんはZ世代中心にビジネスをやられていますが、Z世代にはどのような特徴があるんですか?
KENT:
まず「デジタルネイティブ」であること。誰もがスマホやPCを当たり前に使ってきた世代だから、分からない情報があったらすぐに検索します。
いろんな情報が手に入るからこそ、多角的に物事を見られる。だからこそ、いいところばかり見せてくる広告に嫌気がさして、広告自体が苦手になってしまった世代なんです。
あとは「インフルエンサー」の存在があります。好きなことを仕事にしていたり、王道から外れたルートを通ったりしている人たちを見る機会が格段に多いのがZ世代。「当たり前を当たり前に捉えない」のが特徴ですね。
ゆぴ:
ネット広告が逆効果になってしまっているんですね。広告を信じないZ世代が消費行動を起こすきっかけになるものは何ですか?
KENT:
一番重要なのは「友だちのレビュー」です。
KENT:
これまでのレビューはネットの評価だけでしたが、いまはTwitterやInstagramなどのSNSでリアルなレビューが可視化されています。商品をパッと買わずに友だちのレビューを見てから買う人が多いですね。
Z世代には「高ければいい」という価値観もないので、たとえ高級デパートに置いてあっても、まわりの人が評価していないものは選ばないです。
ただ商品選びは慎重だけど、友だちが勧めていて「いいな」と思ったものは迷わずに買う。そういう信頼経済になりつつあります。
芸能人と一般人のあいだのポジションにいるインフルエンサーもその典型例で、彼らを購買の判断材料にしているケースも多いです。
でも、やっぱり一番強いのは身近な友だちのレビュー。友だちが実際に行って「おいしい」と言っているカフェに行ったほうが、趣味嗜好もエリアも合うので理にかなっているんですよね。
ゆぴ:
広告ではなく、友だちのレビューがベースになるのがZ世代の特徴……。となると、実際に作った商品はどのように広げていくんですか?
KENT:
これも「友だち」を中心に広めていきます。
まずは友だち100人を市場に見立てて、どう広がっていくのかを設計するんです。実際に友だちに壁打ちしてみて、刺さるポイントや、刺さらないならどうして刺さらないのかを分析してみる。そうすると、ターゲットや戦略が見えてきます。
僕はこれを「友だちマーケティング」と呼んでいます。
ゆぴ:
失礼ですが、友だちがいない人がモノを売りたい場合はどうしたらいいんですか?
KENT:
まずは友だちづくりをしたほうがいいですね。
たとえばD2Cブランドの場合、最低ロット100個を売るためにいろいろな施策を考える必要がありますよね。しかし基本的には、本当にいいものを作るか、本当にいい友だちが100人いさえすれば、100個完売するはずなんです。友だちが全部買ってくれますから。
でも買ってくれないのなら、何らかの理由がある。そこを分析するのが大切です。
仮に売りたいモノがあるのに売れない人がいるのなら、まずは友だちを作るのが一番手っ取り早いと思います。ただ、その友だちも簡易的な友だちだとダメだと思うんですよ。
ゆぴ:
めちゃくちゃ仲良しじゃないといけないとか……?
KENT:
というより、友だちから見て、自分がメリットのある存在になることが必要だと思うんです。「その人を幸せにできてるかどうか」の需要曲線の話ですね。
自分のエゴイズムと友だちの需要をいかに合わせるか。自分と関わることで相手が得になるようなアイテムを身につければ、自然と友だちが増えていくんです。
たとえば本はその典型例ですよね。「この本を読んで、人生が変わった!」という人は、その著者に幸せにしてもらっているから、次に同じ著者が本を出したときも買ってくれる。
いいものを作るなり何なり、相手を幸せにするために何かをやるからこそ、いい友だちの輪が広がっていくんだと思います。
ゆぴ:
友だちの定義は人によってそれぞれだとは思うけど、「面白いことをやっている」「素敵な商品を作ってる」って、普通に友だちとして魅力的な要素ですよね。なるほどなぁ。
ゆぴ:
KENTくんが作るプロダクトはユニークなものが多いですよね。具体的な企画の考え方が知りたいです。
KENT:
アイデアというのは頑張って出そうとしても出てこないものなので、いかに日常生活で「アイデアが降ってくる状態」を作れるかだと思います。
僕の場合は、「どう改善したら良くなるのか」をずっと考えて生きていますね。たとえばカフェに入ったときも、看板やメニューの色味やフォント、スタッフのオペレーションなども全部「こうしたほうがいい」を考えながら見てます。
僕はずっと無意識でやっていたんですけど、意識的にやってみるとめちゃくちゃ勉強になりますよ。
ゆぴ:
なるほど。アイデアが思いついてからは、どう実行していくんですか?
KENT:
まずは友だちに言って、フィードバックをもらいます。
何人かに当ててみると、「そのアイデアを知ることで一番幸せになる人」が見えてくるので、その人に話す。そうするとターゲットがその人になるから、さらに具体的なアイデアが生まれてブラッシュアップされていくんですよね。
あとは、ある程度仮説が組めたらすぐに行動してPDCAを回します。僕は「明日やろう」は一生やらないと思っているので、すぐに始めるタイプです。
KENT:
たとえば、シーシャ『花煙(はなけむり)』はノンニコチン・ノンタールなので全年齢に出したいと思って作りました。
しかし実際にやってみたら、「ノンアルコールドリンクを未成年に勧めているようなもの」に感じたので、HANARIDA自体を20歳以上限定にして「大人の秘密基地」として打ち出すことにしたんです。
修正をしたことでプロダクトの形は変わってるかもしれないけど、「誰をどう幸せにしたいのか」の軸は大切にしています。
ゆぴ:
企画の立てかたもベースは「友だち」なんですね。ちなみにお酒を駒にして、ガンガン飲みながら遊ぶすごろく『ウェイウェイらんど!』はどのように生まれたんですか?
KENT:
『ウェイウェイらんど!』は、コロナ前にクラブでよく飲まれていた「クライナー」というお酒を宅飲み向けに企画するところから始まりました。
表向きのKPIは「クライナーを◯個売る」というものですが、僕が決めていた裏のKPIは「カップルが何組生まれるか」だったんです。
基本的にビジネスは「どうしたら隣の人を幸せにできるか」で考えています。
KENT:
そもそもの大前提として、サービスや商品は作り手が気に入っていないと売れないんですよ。「自社商品なんて買いたくない」と思っている会社からモノを買ってくれる人はいないですよね。
このHANARIDAカフェの一番のファンは僕で、その次は社員なんです。
だからサービスや商品を設計するときは、自分や家族、関わってる人たちが幸せになれるようなものを考えるのが一番だと思います。
KENT:
その観点でいくと、「カップルが生まれる空間って幸せだよなぁ」と思ったので、じゃあ何をしたらカップルが生まれるのかを緻密に計算して辿り着いたのが『ウェイウェイらんど!』でした。
仕掛けはもちろん、すごろく自体が面白くならなきゃいけないから、ゲームバランスの設計は大変でしたね。
どのマスに止まって何が起きたら楽しいのか、隣の人はどういう反応をするのか、4人でやったときや6人でやったときにどういう世界が生まれるのか……。1から6しか出ない数値の世界で、緻密に計算をしながら設計しました。
ゆぴ:
そんな細かいところまで……!
KENT:
幸い売れているボードゲームは世の中にたくさんあったので、売れている理由を分析するのには困りませんでした。
「ボードゲームはなんで楽しいのか?」を言語化して、自分の商品に落とし込んでいく。細かい仕掛けはすでに売れているものから見えるので、やっぱり観察はすごく大切ですね。
ゆぴ:
いま、いろんな大人たちがZ世代の心をつかむためにあれこれ試行錯誤していますが、「こんなZ世代マーケは失敗する」というのはありますか?
KENT:
Z世代の意見を聞かないと失敗すると思います。
たとえばデータだけを見て、「Z世代にはインフルエンサーが刺さるから使おう」と判断する企業が多いと思うんですよ。でも、インフルエンサーの影響指数は測れるものではない。「Z世代はこうだ!」と勝手な決めつけをするとZ世代には刺さりません。
ゆぴ:
たしかに、フォロワー数でインフルエンサーを選んでいる企業は多いですよね。
KENT:
論外ですね(笑)。
KENT:
フォロワー数はあくまでリーチ数。インフルエンサーというのはひとりの人間なので、本来はその人が大切にしていることや趣味嗜好を理解したうえで、「その人が伝えることで、何がどうなるのか?」を考えたほうがいいんです。
多くの人にリーチしたいなら、テレビのほうが効果があると思いますよ。でも、そうでないならフォロワー数は度外視して考えたほうがいい。
これからは企業がインフルエンサーにPRをお願いするのではなく、インフルエンサーが「これをPRしたい」と言う「逆PR」が主流になってくると思います。
欲しいと思えないものをお金をもらってPRするよりは、普段から愛用しているものをPRするほうが熱量やシナジーが圧倒的にありますよ。
いまはSNSを通じて人柄が見える時代になったので、そうやってお互いが幸せになれる形で商品を広めていくのがいいと思います。
ゆぴ:
たしかに、それはそうだ……。
KENT:
インフルエンサーに限らず、広告の在り方は変わってくると思います。商品訴求よりは、世界観やブランディングを推すものに変わってくるケースが多いのかな。たとえば、YouTubeに「スキップされるような広告」を流すのって、バッドブランディングだと思うんですよね。
同じように、従来の美容院ではDMをポスティングして存在を周知するのが当たり前だったけど、いまはいらない紙をポストに入れてもバッドブランディングになってしまうじゃないですか。逆にその美容院に行かなくなりますよね。
直接届けたい人に届けられるいまの時代では、「数打ちゃ当たる方式」が通用しない。誰もがクリエイターになれて、誰もが広告を作れるからこそ、リーチ数よりも中身を重視すべきだと思います。
とくにTwitterのようなSNSは財産ですね。信用経済だからこそ、フォロワーを幸せにできるような発信をしたり、コミュニケーションを取ったりして、信頼を蓄積していく。それがそのまま広告になります。
ゆぴ:
ヘタに広告を打つよりも、届けたい相手に寄り添いながらアカウントを磨くほうが効果的だと。ちなみにSNSにもさまざまな見せ方がありますが、Z世代にウケるアカウントの特徴はありますか?
KENT:
飾らない、見栄を張らないことですね。「うちの商品、めっちゃいいですよ!」とキラキラ加工されているものよりも、自然に使われているもののほうがいいです。
最低限パッケージが見えて、シンプルで分かりやすければ大丈夫。いかに情報過多になりすぎず、削ぎ落とすことができるかがポイントだと思います。
あくまで対象は生身の人間で、電子媒体を通して伝えているだけ。SNSに投稿する前に「これを直接人に言っても伝わるのか?」を考えてみるといいです。たとえば商品を友だちに説明するときに、「この商品はどこが強みで、成分は……」のような説明はしませんよね。
写真も、いまは誰でもiPhoneで綺麗に撮れるんだから、無理に高い機材を使ったり、加工をしたりしなくてもいい。「友だち目線」のほうが馴染みがあって、Z世代には向いていると思います。
ゆぴ:
頑張りすぎない、等身大の発信だからこそ心に届くんですね。本日はありがとうございました!
KENTくんの話を聞きながら、「つまり、Z世代マーケティングを成功させるには、友だちの多いリア充になれってこと……?」とも思いましたが、大切なのは分母ではなく、いかに厚い信頼関係をオンライン・オフラインともに作れるかどうか。
そして、そのために必要なのは「人を幸せにしようとする気持ち」。
それは、いいところばかりを切り取った誇大広告や、著名人を起用した形だけのプロモーションよりも、よっぽど本質的な商品の届けかただと感じました。
ちなみにKENTくんいわく、「Z世代に向けて届けても、そこから広がって結局いろんな世代に届く」とのこと。商品やサービスを届けたい方は、まずは自社商品が「隣の人を幸せにできているか」を改めて考えなおすところから始めてみてください。
誰かを幸せにするものは、誰もが欲しいもののはずだから。
スマホやPCを当たり前に使いこなすZ世代。生活は確かに便利になったし、友だちともすぐに繋がれるのに、それと同時に虚しさを感じるのはなぜなのか?
KENTくんが手掛ける「デジタルネイティブの聖地・原宿で、デジタルから解放されたひとときを」をコンセプトにしたデジタルデトックスカフェ『HANARIDA』が原宿にオープン。
ドライフルーツ入りのハーブティーや、お花と茶葉で作られたドライフルーツシーシャなどとともに、都会の喧騒から離れた非日常が楽しめます。
毎週日曜日はデジタルデトックスデー。スマホ・PCをロッカーに預ける代わりに、ドリンクが一杯無料になる仕掛けも。
たまにはスマホを置いて、目の前の人や自分と向き合うひとときを!
(執筆&撮影:ゆぴ 編集:北村有)