eコマースサイト運営のためのGoogleアナリティクス活用法

EC

起業後1年経つと、20%の会社が姿を消しているという統計があります。そこから生き残るには、経済環境の変化に気づき、正しい分析ツールでデータを扱わなければなりません。環境の変化に対応できれば、規模や創業年数に関係なく、ビジネスをグロースすることができるのです。

今回はECサイトを運営する会社が行うべき、Google Analytics(グーグル・アナリティクス)を用いたデータ活用方法を、eコマース歴10年の私がご紹介します。

データから顧客行動を分析するのは、企業の日課にすべきである

会社のデータは、例えるなら純金の山です。顧客情報や訪問者、市場について豊富な情報が蓄積されています。

それにもかかわらず、顧客行動の分析を行なっている企業は多くありません。データに基づいた事業を行うためには、経営管理部門の上層部から一般社員までが定期的にデータをチェックし、顧客行動を分析する習慣を持つ必要があります。

データをしっかり見ている企業は、適応力が高く・融通が利き・変化に敏感です。市場に期待以上の結果をもたらす会社は、必ずしも規模が大きい会社ではなく、データに基づく俊敏で柔軟な判断のできる会社なのです。

このように、データ活用は会社に大きな利益をもたらす可能性があるにも関わらず、なぜデータを正しく活用できない会社が多いのでしょうか?

アナリティクスを”使いこなせていない”企業あるある

データの効果的な活用を困難にしている理由は、大きく分けて3つあります。

  1. 莫大なデータ量:会社のデバイス上のあちこちに大量のデータが偏在している場合、情報をまとめて正しく関連付けられる人やツールがなければ、それらのデータを活用するのは難しいでしょう。
  2. データを集めて処理する時間:データの処理には多くの時間がかかります。
  3. 上層部に戦略がない:KPIの設定を誤り、本当に必要な目標を追求できていないことがあります。

興味深いKPIの一つに、CAM(Capacity to Adapt to the Market)というものがあります。CAMは、組織にどれだけの変化をもたらしたか、先月どれだけデータに基づいた変化を生み出したかなどを表す指標です。多くの経営管理部門や企業戦略部門は、市場にフォーカスせず、未来は自分で作りだすものであるということを忘れて、日々の運営や過去の業績について自己催眠にかかっている状態にあります。

GoogleアナリティクスでECサイト運用のヒントを見つける方法

Googleアナリティクスは、最も信頼度が高く、また世界中で広く使われているデータ解析ツールです。このツールをどう活用すればeコマースサイト運用に有益なデータを見つけられるのでしょうか。その具体的な使い方をご紹介します。

これからお伝えするのは、「成功を確実に保証するレシピ」ではありません。あくまでGoogleアナリティクスの使い方やコツに過ぎません。いくつかの側面や評価基準の中から正しいデータを抽出したら、あとはパレートの法則にしたがい行動しましょう。

Googleアナリティクスを使いこなすための第一歩は、Webサイトの中心的な側面に注目することです。

トラフィックソースを見る

ひとつの分析すべき項目は、トラフィックソースです。トラフィックを分析すると、どの流入経路からどれくらいの訪問者が来ているかが分かります。

eコマースサイトにとって最も大事なのはコンバージョンですよね。なかでも、訪問者あたりの収益はもっとも重視すべき評価基準です。訪問者当たりの収益と総収入金額を見ると同時に、Webデータの必要なポイントを押さえて概観しましょう。

しかし、さらにここで問題になるのは、訪問者当たりの収益を最大化するチャンネルはどれかということです。

トラフィックを分析すると同時に、どれくらいのセッションがどのチャンネルを経ているか、つまりユーザーの経路と、その経路ごとにどれだけの収益が生まれているかについての重要なデータを探し出しましょう。

大量のデータ処理は機械に任せるべき

ユーザーの行動・技術・チャンネルについてのデータを組み合わせることで、分析対象の新しい切り口を見出せます。

たとえば次のような切り口です。

  • 訪問者の行動:リピーター VS 新規客
  • 訪問者が使っているテクノロジー

しかしこれらは断片的な情報にすぎません。

こうしたデータ処理はとても複雑で、人間の頭で処理するのは非常に困難です。
しかし安心してください。私たちは、データアナリストが存在する最後の世代となるでしょう。すぐにAIがデータ処理を代行するようになります。

パレートの法則を活用する

パレートの法則をECサイトに当てはめると、「全トラフィックのうち20%が、80%の収益が生み出している」ということになります。つまり分析するべきなのは、全ビジターのうちコンバージョンに結びついているビジターについてです。

分析の際には、ゴールから逆算して考え、コンバージョンする顧客の行動を分析しましょう。検索をかけ、一回の訪問でWebサイトの中を10ページ以上巡回し、欲しいものリストにアイテムを追加したり、特定のフィルターを使っている顧客はどのくらいいるでしょうか。

顧客のサイト巡回経路を把握することが、ビジネスを次の段階にレベルアップしてくれるのです。

eコマース歴10年の私が選ぶ、Googleアナリティクスから見つけ出すべきデータ

Googleアナリティクスで探すべきなのは「例外」と「異常」です。たとえば、トラフィック全体の4%を占めるブラウザにおいてコンバージョンが0という分析結果が得られたとすると、「このWebサイトは当該ブラウザにおいて全く機能していない」と判断することができます。

他に重視すべきなのは、ユーザーの行動についてです。サイト内での行動にこそ着目すべきで、トラフィックソース(どこから来たか)にはそこまで注目する必要はありません。というのも、トラフィック解析の目的は、利益を生んでくれるユーザーの行動を特定し、それをパターン化し、他の訪問者にそのパターンで行動してもらうことだからです。

データに基づいた仮説のない実験は絶対するな

データを根拠として、信頼性のある仮説を用意しましょう。楽天的なデジタルマーケターが、「根性で新しい実験をやってみる!」という事例が山のようにありますが、まったくオススメできるやり方ではありません。

一回一回の実験につき、どんな仮説に基づいてやっているのか、どんなデータに基づいた洞察なのか、毎回自問自答しながら行動すべきです。

データに基づいた明確な仮定を設定したら、それをどのようなモデルにおいても優先しましょう。そして仮説に基づいて実験を行います。このとき、ABテストであれ、パーソナライゼーションであれ、NPS調査であれ、KPIが正しく測定されていることを確認しましょう。

 

▲図解!効果的なKPI測定法

実験の成否に関わらず、必ず”振り返り”をしよう

最後に、データを分析し実験が成功したかどうかを判断する段階では、「頻度論」と「ベイズ統計」の区別をつけておく必要があります。小規模Webサイトはベイズ統計に、大きなトラフィックを抱えるWebサイトは頻度論に基づいてデータを解析するとよいでしょう。

それらすべての段階が終わったあと、実験結果が成功か失敗かを判断します。

私は、実験が「失敗に終わった」といえるのは、実験の分析をせず何の学びも得なかった場合だけであると信じています。要するに、たとえ仮説が外れたとしても、その実験からから学びを得ることが大切だということです。

実験が仮説通りに行った場合、そこからインサイトを得て、全ての最適化条件を記録しましょう。実験が成功したからといってそこで終わりではありません。むしろ、実験後の分析を通して結果がまぐれではないことを確かめなければいけません。
実験で設定した環境の枠組みにだけこだわっていては、日々移り変わる市場への対応力を養えず、幻想を抱いたままビジネスを進めてしまいかねません。

おわりに

データを使ってビジネスを育てる方法は確実に存在します。必要なのは正しい道具、正しい方法論、データを使いこなす適切な人材だけ。

なお、eコマースの価値を短期的に上げる補助ツールをお求めの方は、こちらに、Googleアナリティクスに基づいて自動でコンバージョン率を最適化するインサイトを割り出すツールをご用意しました(リンクはこちら→https://www.omniconvert.com/cro-audit-generator

あなたが経営管理であれ、デジタルスペシャリストであれ、CEOであれ、会社の成長は社員にとって最大の関心事です。会社の成長を底上げするのは、データ分析から得られたインサイトです。

NetscapeのCEOであるジム・バークスデールはこのように言いました。
「もしデータを持っていればデータを見よう。みんなデータのない意見しか持っていないなら、私の意見で行こう」

要するに、周囲を変えるにはデータとインサイトが必要なのです。そして、環境とやり方を変えない限り、プロとしての成長はあり得ないのです。

(原文:Valentin Radu 翻訳:Yuko Nakamura)

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