なぜエース社員は辞めるのか?組織崩壊を招く「構造的な欠陥」と防止策を徹底解説
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「若手を採用したばかりなのに、すぐ辞めてしまった」「育成にかけた時間やコストが無駄になってしまう」
このように頭を抱える中小〜成長企業の経営者や人事担当者は多くいます。厚生労働省のデータによると、新卒社員の3人に1人が入社3年以内に退職しており、企業にとって深刻な課題となっています。
若手社員の退職が続くと、現場の負担増や採用活動への影響は避けられず「離職率の高い企業」としてネガティブな印象を持たれるかもしれません。
本記事では、若手社員が退職する理由を掘り下げつつ、企業が見直すべき組織体制や人材定着のための具体策を解説します。若手社員の定着率を向上させる方法が分かるため、人材投資の成果を最大化できます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
新卒者の就職後3年以内の離職率は依然として高く、およそ3人に1人が入社後3年以内に離職しているというデータが厚生労働省より公表されています。
令和4年(2022年)3月卒業者の調査では、新規高卒就職者の離職率が37.9%、新規大学卒就職者は33.8%となっており、いずれも3割を超える状況です。これは「3年3割問題」と呼ばれ、若手社員の早期離職が長年にわたり問題視されてきた結果でもあります。
新卒における離職率の高さは労働市場や企業の雇用環境、職場定着支援のあり方などが背景にあり、政府や企業でも対策が進められています。
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
若手社員の退職理由は、待遇面だけでなく、将来への不安や人間関係、業務負荷など、複数の要因が重なって生じる点が特徴です。
給与制度の設計や評価の透明性、人材を育てる仕組み、働きやすさを支える労働環境など、組織運営に関わる要素が十分に整っていない場合、若手社員の早期退職につながる可能性が高くなります。
早期退職を防ぐためには、若手社員が抱える不満や不安を丁寧に把握し、組織の課題に応じた改善策を実行する姿勢が必要です。本章では、若手社員が退職に至る6つの理由について、それぞれ解説します。
若手社員が退職を決意するもっとも大きな理由の1つが、給与や待遇に対する不満です。具体的には、業務量に対して報酬が見合っていないと感じる、他社と比較して福利厚生や制度に魅力を感じないなどの理由が挙げられます。
また、昇格の基準や評価制度が不透明な企業では、どれだけ努力しても報われないという不信感が生まれ、モチベーションの低下や早期退職につながる傾向があるのです。
そのため、明確な評価制度の整備や将来的な年収モデルの提示、福利厚生の充実を図ると優秀な若手社員の定着を促せます。近年では年功序列ではなく成果主義にシフトする企業も増えており、若手でも実績次第で高収入を得られる環境づくりが求められています。
給与や待遇に対する不満は、放置すると優秀な人材の流出につながるため、企業は制度の見直しを早期に行うことが必要です。
若手社員が退職を考える理由として「会社の将来に不安を感じている」という声も多く挙がります。戦略変更が頻繁でビジョンが見えにくい、経営層からの情報発信が少なく現場との認識にズレがあるなど、企業の方向性が不透明な点が主な原因です。
また、経営層と現場の間でコミュニケーションが不足していると、会社の方針や決定の意図が伝わらず、社員の不信感が増す恐れがあります。
このような状況を改善するためには、経営陣が中長期の経営ビジョンや戦略を定期的に発信し、現場社員と対話する機会を増やすことが有効です。
また、企業の安定性だけでなく「自分の仕事が組織の中でどのように活きているのか」が見えると、若手社員の帰属意識やモチベーションが高まります。
若手社員が「自分の将来像を今の会社で描けない」と感じる不安も退職の原因になり得ます。配属先の業務が自分に合わない、ルーチンワークばかりでスキルが身につかない、挑戦する機会が与えられないなどの環境では、将来への希望を見出すことが難しくなります。
また、ロールモデルとなる先輩社員がいない職場では、自分の数年後の姿を重ねられず、不安が募る場合があるのです。
そのため、キャリアパスの明確化やジョブローテーション制度の導入、スキルアップ支援を積極的に行い、若手社員が中長期的な視点で自分の成長を実感できるような仕組みづくりが必要です。
また、定期的な面談や1on1を通じて、若手社員の希望や悩みに寄り添うことも、退職の防止には欠かせません。若手社員が未来への期待を抱きながら前に進める環境を整えると、退職を防ぎつつ企業の成長にもつながります。
若手社員が職場に違和感を覚える理由として、上司や管理職との価値観のズレも要因の1つです。例えば、自分の意見が聞き入れられない、古い体質のマネジメントスタイルに対して違和感を持つなどのケースが多く見られます。
そのため、上司が一方的に命令するだけの体制や、フィードバックが否定ありきで行われる環境では、若手の意欲が削がれるのです。
さらに、旧来型の価値観である「とにかく頑張れ」「根性で乗り切れ」などの考え方が根強く残る職場では、時代とのギャップに疲弊する若手社員も多く、最終的に退職を選ぶ場合が多くあります。
このような状況を改善するためには、管理職に対するマネジメント研修や、心理的安全性を確保する職場づくりの強化が求められます。意見を尊重し、建設的なフィードバックができるリーダーの存在が、若手社員の定着に大きく影響するのです。
若手社員の退職理由として、業務の多さによる心身の不調も深刻な問題です。近年では慢性的な人手不足により、経験の浅い若手社員にも過度な業務負担が集中する場合があり「毎日残業が続いている」「休日も仕事のことが頭から離れない」などの声が多く聞かれます。
このような状態では、仕事の優先順位や進め方を学ぶ余裕もなく、目の前のタスクから常に追われるストレスフルな状態になりがちです。自己肯定感や達成感を得られず、モチベーションが徐々に低下して心身に不調をきたし、うつ病や自律神経の乱れを訴える若手社員が増加して退職を選ぶケースがあります。
そのため、業務量の可視化と適切な配分、OJTだけでなくメンタル面をサポートする体制づくりが必要です。新人研修だけでなく、業務負担の見直しやメンタルヘルスケアの導入など、持続可能な労働環境を整えると若手社員の早期退職を防げます。
職場における人間関係のストレスは、若手社員の退職理由として非常に多く見られる問題です。「職場になじめない」「相談できる相手がいない」などの感情は、メンタルに大きな負荷を与えます。
このような環境下では、些細なトラブルやすれ違いでも大きなストレスに感じるため、自律神経の乱れや不眠、メンタル不調などの症状があらわれる場合があるのです。
また、職場における世代間のギャップや、無自覚なハラスメントが心理的なプレッシャーとなるケースもあります。これらの事態を防ぐためには、定期的な1on1やメンター制度、社内コミュニケーション活性化の仕組みを整備すると効果的です。若手社員が安心して働ける居場所を作ると定着率が高まり、組織全体の生産性向上にもつながります。
若手社員の退職は、個人だけでなく企業にとっても多大な損失をもたらす重大な課題です。採用にかけたコストや時間が回収できないだけでなく、育成リソースの浪費、既存社員への負担の増加、職場における士気の低下、企業ブランドの失墜など、さまざまなマイナス要因があります。
近年はSNSや口コミの影響も大きく、若手社員の退職が続く企業は「離職率が高い会社」として認知され、採用活動そのものに悪影響が及ぶケースもあるのです。本章では、若手社員の退職が企業にもたらす5つの損失について、具体例を交えて解説します。
若手社員が早期退職すると、企業は採用に投じたコストを回収できず、経営に大きな打撃を与える場合があります。
マイナビの調査によると、新卒採用における1人あたりの平均採用コストは約56.8万円とされており、この費用は数年にわたって働いてもらうことを前提に投資されています。そのため、早期退職するとその費用が無駄になり、損失として企業に残るのです。
退職者の穴を埋めるためには再び採用活動を行う必要があり、その際には広告費や人材紹介料など、追加の採用コストが発生します。若手社員の退職を防ぐための環境整備や人材定着の施策は、企業経営全体のコスト削減にも直結するといえるでしょう。
若手社員の早期退職は、採用後にかけた育成コストや教育に要した時間がすべて無駄になるという深刻な問題を引き起こします。
1人の若手社員を戦力化するまでに数ヶ月から1年以上かかる場合もあり、その間にかけた教育時間や指導工数が早期退職によってゼロリターンになる点は、企業にとって大きな損失です。
また、育てた人材が退職後に他社で即戦力として活躍することになれば、自社にとっては「人的資本の流出」という見方もできます。
さらに、新人を育成する担当者のモチベーションにも影響を与えます。「せっかく教えたのに辞めてしまった」という経験が続くと、教育に対する熱意が薄れ、次の新人の育成に悪影響が出る恐れがあるのです。
このような事態を防ぐためには、育成環境の整備やキャリア支援の充実など、人材が定着する仕組みの構築が重要です。
若手社員が退職すると、その業務をカバーするために既存社員へしわ寄せが集中し、職場全体の疲弊につながります。特に少人数のチームや人手不足の部署では、退職者の穴をすぐに埋めることが難しく、残された従業員が本来の仕事に加えて、追加の業務も抱え込むケースが多発します。
このような状況では、慢性的な残業や休日出勤が増え、心身の負担が大きくなるのです。疲労が蓄積すると、業務のミスや顧客対応における質の低下、クレームの発生などのリスクが高まり、企業の信頼や業績にも悪影響を及ぼします。
このようなリスクを回避するためには、業務の分散や業務効率化の仕組みづくり、定期的な業務量の見直しと早期の体制構築が必要です。
若手社員の退職は、業務面だけでなく職場全体の士気や雰囲気にも大きな悪影響を与えます。「なぜあの人が辞めたのか」「自分も退職を考えた方がよいのでは」という不安が蔓延するとエンゲージメントが低下し、日々の業務に対する意欲が失われていきます。
チームで仕事を進める職場では、1人の退職によってバランスが崩れ、メンバーのモチベーションが一気に下がる場合があるのです。立て続けに若手社員の退職が起きると「この部署は問題がある」と認識されるため、職場環境の悪化が加速する原因となります。
そのため、企業はチームの結束力や心理的な安全性を高めつつ、社員同士が支え合える関係性を構築することが不可欠です。また、退職者が出た際の早急なフォローと原因の分析も、士気の低下を防ぐうえで重要な施策です。
若手社員の退職が続く企業は、社内だけでなく社外からもネガティブな印象を持たれるリスクが高まります。近年は、口コミサイトやSNSの普及により、退職理由や職場の雰囲気が共有される場合があるため、企業のイメージダウンにつながるケースが増えています。
企業の離職率を見て応募を判断する求職者も多く、ブランドイメージが悪化すれば母集団形成が難しくなるばかりか、優秀な人材が集まりにくくなるのです。
さらに、離職率の高さは人材紹介会社や転職エージェントの間でも共有される場合があり、紹介そのものを敬遠されるリスクもあります。企業にとっては採用チャネルが狭まり、より多くのコストをかけても成果が出にくくなる悪循環に陥ります。
このように、若手社員の退職は企業ブランドそのものに関わる経営課題です。長く働きたいと思われる職場づくりを進めると、ブランド価値の向上にもつながります。
若手社員の早期退職を防ぐためには、採用から配属後のフォロー、キャリア支援、マネジメント改革まで段階ごとの対策が不可欠です。待遇を改善するだけでは根本的な解決にはつながらず、職場環境や教育体制、組織の価値観そのものを見直す必要があります。
退職の兆候を見逃さず、早期に対応すると人材の流出を防げるため、生産性や職場の雰囲気が大きく改善できるのです。本章では、若手社員の退職を防ぐための対策を5つ、それぞれ解説します。
若手社員の退職を防ぐためには、オンボーディング(受け入れと定着支援)の質を高めることが極めて重要です。入社後の数週間から数ヶ月の対応次第で、その後の職場定着率やエンゲージメントに大きな差が生まれます。
まずは採用段階で、仕事内容や職場環境、働き方に関する情報を正確に伝えましょう。入社後に「思っていた仕事と違う」「こんなに忙しいとは聞いていなかった」などのギャップがあると、失望感から早期離職につながるリスクが高まるからです。
さらに、入社後は業務の指導だけでなく、心理的なサポートや「気にかけてもらえている」と実感できる体制が必要です。メンター制度や1on1ミーティングの定期的な実施、質問しやすい環境の整備など、安心して仕事に取り組める仕組みづくりが退職の防止につながります。
採用段階でミスマッチを防ぐためには、求める人物像を具体的に描きつつ、その人物像に基づいた発信や選考を行う姿勢が欠かせません。候補者の価値観や働き方の志向を正しく捉えられる採用体制を整えるためにも、採用ペルソナの理解や採用代行の活用は非常に有効です。
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若手社員が長く働き続けるためには、自分がどのように成長できるのか、明確な未来像を描ける環境が必要です。キャリアの方向性が見えないと、日々の業務が作業に感じられ、モチベーションが低下する恐れがあります。
そのため、昇給や昇格の基準を明確に提示し、努力がどのように評価されるのかを可視化しましょう。不透明な評価制度は不信感や不満を生み、退職の原因となります。
また、若手社員にとって、自分が成長できたという実感は非常に大切です。新しい業務に挑戦する機会を提供したり、プロジェクトリーダーなどの役割を与えると、やりがいを感じられるようになります。「若手だから任せられない」という固定観念を捨て、チャレンジできる機会を積極的に提供しましょう。
社員一人ひとりに対して継続的に関心を持ち、成長を支援する姿勢が企業の信頼性を高めます。
若手社員の離職を防ぐ上で、直属の上司のマネジメント力は極めて大きな影響力を持ちます。どれだけ制度や待遇を整えても、日々のコミュニケーションに問題があれば、社員は安心して働けないからです。特に価値観のズレや古い指導方法は、若手社員にとって大きなストレスになります。
そこで重要なのが、管理職に対するマネジメントスキルの研修です。部下との対話力や傾聴力、育成スキルを高めると信頼関係を築けるため、若手社員が悩みを相談しやすい雰囲気が生まれます。
また、上司自身が多忙で余裕がない状態では、若手の教育に手が回らず、放置や無関心と受け取られるかもしれません。そのため、管理職の業務量を見直し、若手社員と向き合う時間を確保する点も重要な施策です。
管理職が部下と向き合える体制を整え、相談しやすい関係を育てると、若手社員の定着率アップにつながります。
感覚や経験だけに頼らず、客観的なデータや仕組みを活用して、退職のリスクを早期に察知する方法も有効です。問題が表面化してから対処するのでは遅いため、離職の兆候をいかに早く発見できるかがポイントになります。
タレントマネジメントシステムや人事データベースを活用し、勤怠状況や業務量、1on1の内容などを一元管理する仕組みを活用しましょう。例えば、急な残業の増加や有給取得率の低下、コミュニケーションの減少などは、若手社員の退職を予兆するサインかもしれません。
データや仕組みを取り入れると、退職のリスクを事前に察知できるため、若手社員に対する適切なサポートや配置転換が可能です。
若手社員の退職を防ぐためには、業務量の偏りや属人化など、職場の構造的な課題を解消することが必要です。特定の社員に業務が集中している、または特定の人しかできない仕事が多い状態では、過重労働や精神的な負担が生じるため、退職のリスクが高まります。
まずは業務の棚卸しを行なって、誰がどの仕事をどれだけ担っているかを可視化しましょう。このプロセスにより、無意識のうちに発生している業務の偏りや無駄な作業が明らかになり、業務配分の見直しが可能になります。
次に、業務効率化ツールの導入やマニュアルの整備を通じて、作業の標準化と簡略化を図りましょう。属人化された業務を見直してチーム内で共有できるようにすれば、誰かが休んでも業務が滞らず、精神的な負担も軽減されます。
公平で協力的な職場体制を整えると安心して働ける環境が整うため、若手社員の定着率も向上します。
新卒の就職後3年以内における離職率と若手社員の退職理由、退職が企業にもたらす損失と退職を防ぐための対策について解説しました。
新卒社員の3年以内における離職率は3割を超えており、給与・待遇の不満やキャリアの不安、職場の人間関係などさまざまな要因が複雑に絡んでいます。
若手社員の退職が続けば、採用・育成コストの損失や既存社員への負荷、企業ブランドの低下などの深刻な影響が避けられません。
そのため、オンボーディングの質の向上やキャリア支援、上司のマネジメント力強化など、総合的な仕組みが必要です。「長く働きたくなる会社」を目指すことが、若手社員の離職防止と組織の成長につながります。
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(執筆:fujisiro 編集:猫宮しろ)