IoTデータがデジタルマーケティングにもたらす影響

IoT

データサイエンスは、マーケターや広告主の誰もが理解しなくてはいけない、デジタルマーケティングにおいて最も重要なトレンドです。なぜなら、マーケティングプランはデータにもとづいて考えられるからです。

Googleのチーフエコノミストであり、UC Berkeleyの情報科学の教授であるHal Varianは、データサイエンスについて下記のように述べています。

データをとる能力とは、それを理解することであり、処理することであり、そこから価値を見出すことであり、視覚化し、コミュニケーションすることです。

彼は、次の数十年の間、データサイエンスは非常に重要なスキルになると述べています。

差し迫ったデジタルマーケティングの未来に備えるため、今回の記事では、IoTアプリケーションから得られる顧客データが今後どのようにデジタルマーケティング戦略に影響するか、お伝えします。

マーケティングにおけるIoTアプリケーション

IoTは、手持ちのデバイスや家電、心拍数モニター、自動車、サプライチェーン最適化システム等、さまざまな場所に用いられています。本来、インターネットに接続でき、データを送信、シェア、 受信できるものであれば、すべてIoTシステムであると言えます。

IoT network
IoTアプリケーションは、以前からさまざまなビジネス課題のソリューションを提供しています。IoTアプリケーションによって、ビジネスオーナーやエンドユーザーは、情報にアクセスでき、即座にコンテンツを作成可能です。デジタルマーケターにとってIoTは、顧客データへのアクセスや分析を容易にする点で無限の可能性を秘めています。

アルゴリズムや処理システムは、デジタルマーケティングにおけるAIの活躍によって進歩してきました。その結果、マーケターはターゲット顧客の購買行動や支出傾向にまつわるインサイト(心理)を、今までにない形で取得できるようになりました。

IoTを利用するメリットとしては、下記の5点が挙げられます。

  • 相互通信性:IoTアプリケーションとの相互通信性は、マーケティングチームにとっては大きな利点になります。特にIoTアプリケーションを使ったターゲットマーケティングを実施する際は、チームメンバー同士でさまざまなプラットフォームを通じて連携でき、瞬時の判断やコミュニケーションを可能にしてくれます
  • リアルタイムのレポートとモニタリング:IoTによって、システムが24時間体制で監視し計測しているKPIを、いつでも手持ちのデバイスを使って確認できます
  • 計測と分析:マーケティングのIoTアプリケーションによって、あなたのデータからインサイトを引き出すことも可能です。 実は、IoTアプリケーションにおいて、生データではなくクリーンアップ後のデータを、わかりやすいグラフやチャート上で確認できるのです
  • アラート:IoTアプリケーションによって、マーケターはいつでもキャンペーンの状況を確認し、それに応じてアクションを調整できます
  • インテグレーション:IoTは、インターネットとさまざまなモノを繋げます。他のアプリケーションをIoTのシステムにつなげることで無数の可能性が生まれ、さまざまなデジタルマーケティングに利益をもたらします

顧客データ情報を集める際に、マーケティングIoTアプリケーションの利点を活用していくことで、ブランドをより向上できます。そしてマーケティングチームは、ターゲット顧客の好みや習慣についてのリアルタイムな情報を正確に理解でき、それに応じた効果的なマーケティング施作を考えられるのです。

さらに、集められた情報を活用することで、現在実施しているデジタルマーケティング施策をブランドにとってより良い結果に導けるよう調整できます。もし、特定のコンテンツプラットフォームが他のメディアに比べてより良い結果をもたらすのであれば、パフォーマンスの良いメディアのみに絞るという判断ができるでしょう。

例えば、Webサイトの大多数のトラフィックがFacebook ページから来ているのであれば、Facebookのオーディエンスに焦点を絞った効果的な施作が検討できます。 マーケティングIoTアプリケーションは、必要な情報を生み出すことによって、ブランドにとってのベストな意思決定を手助けしてくれるのです。

Business Intelligent

ビジネスインテリジェンス VS ビジネスアナリティクス

2020年までには、ビジネスにおけるオペレーションだけでなく、デジタルマーケティングを根本から変えていくでしょう。特に大きな影響を与えるのが、以下の2つのキーワードです。

  • ビジネスインテリジェンス(BI)
  • ビジネスアナリティクス(BA)

Noetix Productsの副社長Pat Rocheは、ビジネスインテリジェンスとビジネスアナリティクスの重要な違いについて下記のように述べています。

ビジネスインテリジェンスは、ビジネスアナリティクスに何か変更が生じる時でさえも、動き続けるものでなくてはなりません。BIは、リアルタイムのデータにアクセスし、彼らの仕事のパフォーマンスが上がるよう、オペレーション効率化にフォーカスしています。BIは、問題特定や解決だけでなく、複数のソースからの過去データ分析まで含むのです。

BIとBAを区別して理解することは、マーケターにとって非常に重要です。Pat Rocheは、「BAは未来のための変化を作るものと言っているのに対し、BIは過去を理解することに近い」と述べています。どちらもブランドの成功のために重要であることには違いはありません。

マーケターの視点

マーケターたちもまた、2020年のマーケティングはIoTアプリーケションがより活用されていくだろうと予想しています。なぜなら、IoTによってマーケターはより深いコンシューマーインサイト(消費者心理)を得られるからです。 このテクノロジーによって、広いオーディエンスから狭いオーディエンスまで、リアルタイムの情報から過去の情報まで、さまざまなインサイトを得られます。

BKVのCTOであるJerelle Gaineyは次のように述べています。

IoTデバイスは過去にない量のデータを生み出します。これによって、マーケターは顧客のインタラクションひとつひとつから顧客の意図、行動、ニーズ、欲求を理解できるのです。IoTは最適な場所やタイミングで、文脈的に適切なマーケティングメッセージを発信するために役立つでしょう。

マーケターが適切なコンテンツを、適切なタイミング、文脈で届けられたら、その時、魔法が起こります(そう、その魔法とはコンバージョンのことです!)。IoTアプリケーションは、Eコマースや小売ビジネス売り上げ向上にも貢献できるでしょう。

HubspotのCaroline Forseyは、「位置情報によって通知を送信するビーコンは、パーソナライズされたニュース、クーポン、ディスカウント等を通じて顧客の興味を引くことに役立つ」と述べています。例えば、Macyは2年間に渡り、オンラインと実店舗での売り上げをサポートするためにビーコンを使っています。そしてMacyの顧客の70% が「ビーコンと連携したプロモーションが購入の可能性を上げた」と感じています。

Croline Forseyは、下記のように話しています。

究極的には、IoTは伝統的な小売店が回転の早いオンライン店舗と戦うことを手助けするでしょう。IoTがより良い顧客体験を提供し、また不必要な出費を減らせるからです。

さまざまなところで、IoTアプリケーションはマーケターがよりオーディエンスを理解し、より効果的にパーソナライズされたコンテンツを提供することを手助けしているのです。

まとめ

IoTアプリケーションから取得できるデータがどのようにデジタルマーケティング戦略に影響し、役立つか、イメージすることはできたでしょうか?

これまで見てきた内容の中で、重要なポイントを下記にまとめます。

  • IoTは、インターネットに接続するデバイスの広いネットワークによって構成される
  • IoTアプリケーションは、マーケティングチームが意思決定をするために重要な情報を提供する
  • ビジネスインテリジェンス(BI)は過去の戦略を理解し、ビジネスアナリティクス(BA)は未来のブランド戦略を導く
  • IoTデバイスは、より特定的でパーソナライズされたコンテンツをオーディエンスに提供する際に役立つ
  • IoTデバイスによって支えられたマーケティング戦略は、セールスチームの意思決定にも役立つ

(原文:Therese Palmere 翻訳:Akiko Ogita)

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