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IT系フリーランスが労災保険の特別加入対象に!内容/加入方法/保険料などを解説

ITフリーランス記事 アイキャッチ

「フリーランスはリスクが多い」とよく言われますが、そのリスクの一つに「仕事中の怪我や病気で働けなくなったとき、生活できなくなる」という問題があります。

全国民が加入できる国民健康保険でも多少の備えにはなりますが、会社員やパートといった「労働者」に加入が義務付けられている「労災保険(労働者災害補償保険)」には及びません。そのため、フリーランスを対象にした民間の保険がいくつか用意されています。

しかし、これまでは一部の個人事業主にしか認められていなかった「労災保険の特別加入」という制度の対象職種が、2021年9月1日からITフリーランスまで拡大されました。つまり、ITフリーランスも労災に加入できるようになったのです。

そこでこの記事では、そもそも「労災保険」「特別加入」とは何かを解説し、具体的な対象者や保険料を見ていきます。

労災保険とは?

名前だけはよく聞きますが、そもそも「労災保険」とはどんな制度なのでしょうか。

結論から言えば、原則は雇用されている人(労働者)が仕事中または通勤途中に、何らかの怪我や病気に見舞われた場合に補償が給付される制度です。ただし、「労働者災害補償保険」の名前にある通り、あくまで「労働の結果(通勤も含む)」として発生した災害のみが補償の対象となります。

では、補償の内容にはどんなものがあるのでしょうか。大きく分けると、次の8つの補償が行われます。

  • 【療養(補償)給付】
    怪我や病気が治るまでの療養に必要な費用や器具を給付
  • 【休業(補償)給付】
    怪我や病気のため働けず、賃金を得られない場合、休業4日目から給付
  • 【傷病(補償)年金】
    怪我や病気が療養開始後1年半経過しても治っていない場合や、障害等級に該当する場合、障害の程度に応じて給付
  • 【障害(補償)給付】
    怪我や病気のため身体に障害が残った場合、程度に応じて給付(程度が重い場合は年金に)
  • 【遺族(補償)給付】
    死亡した場合、遺族に給付
  • 【葬祭料】
    死亡した場合の葬祭費用を給付
  • 【介護(補償)給付】
    障害補償年金または傷病補償年金受給者のうち、障害等級が第1級、または第2級の精神・神経障害および胸腹部臓器障害があり、介護を受けている場合に給付。
  • 【二次健康診断等給付】
    健康診断などで⾎圧検査、⾎中脂質検査、⾎糖検査、腹囲またはBMI測定の全て検査において「異常の初見」がある一方で、脳⾎管疾患、または⼼臓疾患の症状はないと認められる場合に給付

ざっくりとまとめましたが、このように労災保険は「労働災害によって想定されるほぼすべての困難」を補償しており、範囲はかなり手広いです。

また、労災保険は労働者を一人でも雇用する法人には加入が義務付けられており、じつはアルバイトや会社員経験がある人なら、ほぼ必ず労災保険に加入したことがあるはずです。ただ、加入手続きをするのは事業主なので、労災保険に加入している実感はあまりわかないでしょう(万一に備えた保険なので、加入の実感がわかないに越したことはありません)。

保険料は支払われている賃金と業種によって決まり、この計算や支払いも事業主が行ってくれます。保険料も事業主の全額負担です。

労災保険の特別加入制度とは?

では、続いて労災保険の「特別加入制度」について整理します。ここまで見たようにかなり手厚い労災保険ですが、従来は「労働者」だけを加入対象として考えており、フリーランスや家族従業者などの「法的には労働者とみなされない労働者」は加入できませんでした。

しかし、実態として労働者に準じた働き方をしており、「彼らにも労災保険は必要だろう」ということでつくられた制度が「特別加入制度」なのです。

特別加入の対象は、大きく以下の4区分に分かれます

  • 中小事業主など
  • 一人親方(職人など)
  • 特定作業従事者(農作業など)
  • 海外派遣者

このうち、フリーランスは「中小事業主など」「一人親方(職人など)」に該当しそうな気もしますが、じつは加入できる条件や職種が厳密に規定されており、従来だとITフリーランスは該当しませんでした。

しかし、昨今はこの「対象業種」の幅を広げる試みがなされており、2021年の4月には「芸能関係者」「アニメ制作者」などが対象になりました。そして、2021年の9月からは「ITフリーランス」「自転車を使用して貨物運送事業を行う者(Uber Eatsの配達員など)」も対象になったのです。

「通常の労災保険」と「特別加入」の違い

このようにITフリーランスでも労災保険に特別加入できることは分かりましたが、労働者として労災保険に加入する場合に比べて、どんな違いがあるのでしょうか。ここでは、大きな違いをまとめてみました。

違い1. 加入は任意

労働者の場合、そもそも労災保険への加入は義務です。しかし、特別加入対象者の労災保険加入は基本的に任意なので、必要がないと判断した場合は加入しなくても問題ありません。

違い2. 特定の団体を通じて加入する必要がある

何もしなければ会社が勝手に手続きしてくれる通常の労災保険と違い、特別加入の場合はそもそも自分で加入の意思を伝えるために手続きが必要です。ただ、対象者が直接手続きできるわけではなく、特定の業界団体などを通じて加入することになります。(詳しくは後述します)

違い3. 加入者が保険料を負担する

特別加入の場合、保険料も自ら負担しなければいけません。また、仲介役の業界団体に所属するにあたり、会費などが発生する場合もあるのはデメリットです。

ただし、賃金と業種に応じて自動的に保険料が決まる通常の労災保険に対し、特別加入の場合は「3,500円~25,000円の間から給付基礎日額を選べる」のはメリット。実際の保険料は「給付基礎日額×365」で保険料算定基礎額を出し、この数字に職種ごとの保険料率をかけて決まるので、給付基礎日額によって保険料を調整できます。しかし、給付基礎日額が安ければ、万が一の際の補償料も安くなりますので要注意です。

ITフリーランスの労災保険特別加入について

ここまでの内容から、「労災保険の特別加入制度」についてはある程度整理できたかと思います。では、いよいよ本題の「ITフリーランスの労災保険特別加入」について細かく見ていきましょう。

「ITフリーランス」とは誰か

大前提として、そもそも厚労省が定義している「ITフリーランス」とはどのような職業に就く人を指すのでしょうか。この対象範囲は、厚労省がしっかりと発表しています。

原則として以下の業務・作業をされる方が対象です。
・情報処理システム※1の設計、開発※2、管理、監査、セキュリティ管理
・情報処理システム※1に関する業務の一体的な企画
・ソフトウェアやウェブページの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン
・ソフトウェアやウェブページに関する業務の一体的な企画その他の情報処理
※1 ネットワークシステム、データベースシステムおよびエンベデッドシステムを含む
※2 プロジェクト管理を含む

(引用:厚生労働省

また、具体的な職種名も発表されています。

ITフリーランスの具体例

▲出典:厚生労働省

つまり、ITフリーランスとは、世間で言われている「IT系」の仕事とほぼ同義で、ITエンジニア、ITコンサル、Webデザイナーなどが含まれます。一方、同じWeb系の仕事でも、「Webライター」や「Webマーケター」などは、加入対象として明記されていません。

会社員に近い形で働いていても、労働契約ではなく請負等の契約で業務に従事している場合は、特別加入が可能です。なお、契約形態にかかわらず「労働者」と認められる場合には、労働者として通常の労災保険が適用されます(労働者として認定された場合は、事業主が保険料を納めます)。詳しくは以下の記事をご参照ください。

加入方法

加入方法は、「ITフリーランスの特別加入団体として承認をされた団体を通じて、または新規にITフリーランスの特別加入団体を設立して、加入申請書等を所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出してください」と書かれています。

要は「特定の団体を経由して加入してね」ということですが、現時点でITフリーランスの特別加入団体に名乗りを上げているのは、ITフリーランスたちの実態調査や活動支援、人材育成などを行う一般社団法人『ITフリーランス支援機構』です。

ITフリーランス支援機構

現在は労災特別加入団体の手続きに向けて準備を進めている段階とのこと。加入方法やスケジュールなどの詳細については、状況が整い次第ホームページにて公開される予定です。(※2021年12月追記:公開されました

また、加入手続きの流れは、特別加入制度の4つの区分のうち「一人親方など」「特定作業従事者」と同じものになると明記されています。どちらの区分についても「特別加入制度のしおり」が公開されているので、こちらも参考にしてみてください。

保険料

保険料については、ほかの特別加入と同様に「給付基礎日額(3500円~25,000円)」を選び、それに365をかけた数字と職種ごとの保険料率によって決まります。ITフリーランスの保険料率は「1000分の3」、つまり0.3%と定められています。

具体的に計算してみましょう。「給付基礎日額」は、通常の労災保険でいえば1日あたりの賃金。すなわち、1日あたりのおおまかな手取りが10,000円だった場合は、基本的に10,000円を給付基礎日額にすると標準的な数字になります。

給付基礎日額を10,000円とすると、「10,000円×365=3,650,000円」。そして、この3,650,000円に料率の1000分の3(0.003)をかけると、「3,650,000円×0.003=10,950円」。つまり、年間保険料は10,950円です。

フリーランス系の保険は一律の金額になっているケースが多く、一定の範囲で自由に保険料額を動かせるのは労災保険ならではの強みです。また、保険料のわりに補償がかなり手厚く、国の事業なので倒産や詐欺のリスクをほぼ警戒しなくていいのも嬉しいですね。

まとめ

ここまで、ITフリーランスの労災特別加入についてまとめてきました。

職業を選び、また加入手続きも少々面倒ではありますが、国の事業だけあって保険料に対する補償の手厚さが目立ちます。一方、フリーランスに特化した民間の保険制度は、情報漏洩や著作権侵害、納品物の瑕疵や納期遅延など「フリーランスあるある」といえる事故に対応している点が強み。

どちらも一長一短なので、自分の求めているものに合わせて補償を選ぶ、または労災保険の保険料を抑えて民間の保険と併用するなど、ぜひ自分なりの保険との向き合い方を考えてみてください。

(執筆:齊藤颯人 編集:じきるう)

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