QCDとは?システム開発の基本原則と"脱QCD"の流れ

製品を作る上で大切な要素と言われている「QCD」ですが、システム開発においても基本原則となっています。しかし、最近のシステム開発はQCDを高めるためのプロセスが複雑化してきました。

この記事では、システム開発のQCDについてと、近年見られる「脱QCDの流れ(PMBOK型のプロジェクトマネジメント)」を解説していきます。製造の基本原則であるQCDとPMBOKを理解して、より良いシステム開発を行いましょう!

QCDとは

QCDとは、製造業の生産管理・品質管理に対する体系化された基本的概念です。「品質」「コスト」「納期」を表しています。

  • Q:品質(Quality)
  • C:コスト(Cost)
  • D:納期(Delivery)

システム開発においても同様に、QCD(よい品質、低いコスト、早い納期)を意識しながらシステムを構築し、それらを満たせるものが「よい製品」とされています。しかし実のところ、QCDはトレードオフの関係であり、すべてをなかなか同時に満たせないのが現実です。

まずは、QCDをそれぞれの要素を理解しましょう。

Q:品質(Quality)

チェックシートの画像

「Q:品質(Quality)」は、製品の質に関する部分です。「設計通りに製品がつくられているか」が評価対象となってきます。また「顧客が望んだ製品になっているか」という面でも、品質が問われることになります。

例えば「不具合事象が発生しないか」「不良品がないか」といったネガティブ要素を取り除くことで、品質を向上させていきます。

QCDの中でももっとも重要な要素と言われているため、まずは品質を高められるよう意識しましょう。

C:コスト(Cost)

お金の画像

「C:コスト(Cost)」は、製品をつくる際にかかる費用の部分です。製品は、予算を組んでつくっていくため、その予算を超えてしまうと問題となります。

しかし必ずしも、予算を下回ったからといってコストパフォーマンスが良いと見なされるわけではありません。製品の質を担保できるように予算を取っているため、予算を大幅に下回ることは製品の質が低下している可能性があるとされています。

予算通りに費用を計上し、製品をつくるのがよいでしょう。

D:納期(Delivery)

カレンダー画像

「D:納期(Delivery)」は、製品の納期の部分です。

「事前に立てた予定どおりに、製品がつくられているか」を判断していく要素となります。予定どおりに製品がつくられていない場合、納期が守れていないことになります。

なお、予定より少し早いくらいなら問題ありませんが、早すぎると「どこかの工程を飛ばしているのでは?」と疑われることもあります。コストと同じように、事前に立てた予定どおりに製品をつくるのが良いでしょう。

システム開発におけるQCDの評価基準

ここまでは主に、製造業で言われる一般的なQCDについて説明しました。ここからはシステム開発に特化したQCDを説明いたします。

まず、システム開発におけるQCDは「顧客満足度」と近い概念になります。顧客の求める「品質」「コスト」「納期」でシステムを構築し、納品しましょう。

QCD向上の画像

システム開発においてQCD向上に必要なのは、顧客とコミュニケーションを取って共通の基準を作ることです。QCDのどの要素においても、可能な限り具体的な数値で認識共有しておくとよいでしょう。

Q(Quality)の顧客満足度向上のために

Q(品質)の満足度向上には、「画面数」「機能数」「障害時の動作」など細かい部分まで基準を作成し明確することが大切です。

例えば「画面描画にかかる時間は2秒です」と共有しておくことで、後から「遅いから低品質だ!」と言われることを防げます。

設計の段階でクライアントと合意が出来ていれば、開発後に品質で言われることは少なくなるでしょう。

C(Cost)の顧客満足度向上のために

C(コスト)の満足度向上には、スコープ(開発の範囲)を明確にしておくのが大切です。そのほかにも要望対応の範囲や、総合テスト時に出た課題をどこまで対応するかなども具体的にしておきましょう。

例えば、「障害発生時のみ無料で対応するが、要望改修のばあいは別途費用を請求する」と共有しておくことで「要望改修に対応してくれないのはおかしい」というクレームを防げます。

あらかじめスコープの範囲を決めておき、コストに関してのクレームを減らしましょう。

D(Delivery)の顧客満足度向上のために

D(納期)の満足度向上には、スケジュールを細かく切っておくのが大切です。「Aの機能は○月○日からリリース」「Bの画面は○月○日から表示可能」というように、可能な限り細かく設定しましょう。

多少スケジュールを前倒しで進めておくのもおすすめです。しかし、進めた分のバッファをどこで使うかも考えておきましょう。

スケジュールに関しても詳細まで決めておくことで、顧客満足度を上げられるでしょう。

“脱QCD”の流れ:これからの主流は「PMBOK型プロジェクトマネジメント」?

ここまではシステム開発における基本原則「QCD」について説明してきました。

しかし昨今のシステム開発は、以前と比べてより複雑化しています。そのため「QCDを高める」という曖昧な基準では、プロジェクト管理が出来ないことも増えてきています。

そこで近年注目されているのが、プロジェクトのフェーズ毎にプロセスを定義した「PMBOK(ピンボック)」という知識体系です。

PMBOK型プロジェクトマネジメントとは

PMBOK

▲出典:Amazon

PMBOKは「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)」の略で、QCDまでのプロセスをより重要視した知識体系です。プロジェクトマネジメント協会が1987年に初めて提唱しました。

製品に関しては最終的にQCDで評価しますが、そのプロセスをPMBOKで管理してシステム構築をしていく流れとなります。

PMBOKは知識管理体型によってプロジェクトを管理する手法をとり、以下の10個の知識エリアに分けられます。

  • マネジメント統合
  • スコープ管理
  • コスト管理
  • タイム管理
  • 品質管理
  • 人的資源管理
  • コミュニケーション管理
  • リスク管理
  • 調達管理
  • ステークホルダー管理

一番上の「マネジメント統合は」、残りの知識エリア9つを統合的にマネジメントする領域です。QCDにあたる「品質管理」「コスト管理」「タイム管理」も、10の知識エリア内に含まれています。

残りの「スコープ」「人的資源」「コミュニケーション」「リスク」「調達」「ステークホルダー」は、QCDに到達するまでのプロセス管理となっています。

それぞれの知識エリアには、「立ち上げ」→「計画」→「実行」→「管理・監視」→「終結」という5つのプロセスが備わっていおり、「どのプロセスで何を作成し、管理するか」ということが定義されています。以下でそれぞれ順にご説明します。

  • 【1. 立ち上げプロセス】
    立ち上げプロセスでは、プロジェクトの「目的」「目標」「予算」「成果」を定義します。
  • 【2. 計画プロセス】
    計画プロセスは、作業計画を立案し作成するプロセスです。20の詳細なプロセスが設定されています。プロジェクト実行時の一連の行動の流れも含めて定義するのが特徴です。
  • 【3. 実行プロセス】
    実行プロセスは、立案した計画をもとに人員と資源を調整し、プロジェクトを進めるフェーズです。実行の結果によって、今後のスケジュールを見直す必要も出てくるでしょう。
  • 【4. 管理・監視プロセス】
    管理・監視プロセスでは、実施中のプロジェクトが計画どおり進んでいるかを継続的にチェックしていきます。計画どおりではない場合、改善をすすめましょう
  • 【5. 終結プロセス】
    終結プロセスでは、今回のプロジェクトで得た情報や経験を、次のプロジェクトに役立てるために体系化しておきましょう。

また知識エリアとプロセスが交わる部分には、さらに「入力」「ツールと実践技法」「出力」というパートがあります。それぞれのパートでは「どんな入力をして、どんなツールを使って、どんな出力をするのか」が定義されています。

PMBOK型プロジェクトマネジメントが、QCDを救う

従来のQCD型のプロジェクト管理は、QCD向上までのプロセスが曖昧でした。一方でPMBOK型は、そこまでのプロセスの見える化が徹底されているのが大きな特徴です。

PMBOKは知識体型なので、プロジェクトに応じてツールや技法を考える必要がありますが、PMBOKをベースにプロジェクトを進めることで品質・コスト・納期を細かく管理でき、最終的な製品のQCDを高めていけるのです。

まとめ

今回はQCDの基本原則と、そのプロセス管理を目的としたPMBOKについて説明しました。システム開発の顧客満足度を高めるには、製品の完成度だけではなく、その製造過程のプロセスも重要です。PMBOKの考え方とプロセスを実践すれば、製品のQCDがきっと高まるでしょう。

QCDだけを基準としたプロジェクト管理ではなく、これからはプロセスも重視して、システム開発をしましょう。

 

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