【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、企業や個人の経済活動にとって大きな変革の年となりました。
その中でも関心と需要の高まりを見せている「クラウドソーシング」の分野について、国内の2サイトを分析対象として、利用ユーザーの動向をデータから紐解いていきます。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「新しい生活様式」と共に働き方も多様な広がりを見せています。 この大きな変革の中で需要が高まっている分野の1つが、インターネットを通じて不特定多数の相手と業務の受発注を行う「クラウドソーシング」です。
今まさに、皆さんの中にも「在宅ワーク」や「副業」といったキーワードが頭をよぎるという方も多いのではないでしょうか。新型コロナの感染拡大は一部の労働者にとって、休業や通勤短縮などによる余暇時間の増加と、収入の低下(もしくは不安定化)といった状況を招いています。そしてこの両方の課題について、リモートで個人が仕事を受注できるクラウドソーシングは、非常にマッチしている業務形態であると言えるでしょう。
今回は、そんなクラウドソーシング需要の高まりについて、国内の主要クラウドソーシングサイトである『クラウドワークス』と『ランサーズ』の2サービスのユーザーデータから紐解いていきます。
Webサイト分析ツール『eMark+』を利用して2サービスのアクセス状況やユーザー属性を観察し、コロナ禍におけるクラウドソーシング業界への影響と、その需要拡大の背景について探ります。
まずは、国内初のクラウドソーシングサービスにして、業界最大手(2020年9月時点)である『クラウドワークス』のユーザーデータから見ていきましょう。
下のグラフは、2020年2月~7月の期間において、『クラウドワークス』のWebサイトへ訪問したユーザーの年齢層を割合で示したものです。
グラフを見てみると、日本各地で緊急事態宣言が発令された4月から、20代ユーザーのアクセスが元々の30%という比率から平均35%ほどに拡大しています。
この増加した20代のユーザーに焦点を絞って、詳しい属性を見ていきます。
上記のグラフの通り、20代ユーザーの職業別データにおいては濃いオレンジ色「パートタイム・アルバイト」のアクセス割合が非常に伸びているという結果になりました。
厚生労働省による統計調査の実施結果をまとめたグラフによると、パートタイマーの労働時間は新型コロナの拡大を受け、5月には2015年比で80%ほどまで落ち込んでいます。
このことから、自粛によって店舗やオフィスへの出勤止めがされた結果、働き口が無くなったパート・アルバイトの労働者が、クラウドソーシングに仕事を求めた状況がうかがえます。正規雇用の労働者であれば自宅待機となっても給与をもらえるのが一般的ですが、時給制や日給制で働くパート・アルバイト層は、出勤が無くなれば収入もなくなってしまいます。
やがて、5月半ばに全国で緊急事態宣言が解除され、徐々に店舗営業などが再開したタイミングで、この大きなアクセスの伸びはやや落ち着いた傾向にあります。
しかし伸びは落ち着いてもパート・アルバイトのユーザーのアクセス割合は2月以前よりも高い状態が継続しています。このことから、非正規雇用の方がクラウドソーシングを利用して仕事を探している状況は続いていると見て取れるでしょう。
前述したパート・アルバイト属性のユーザーの過半数は女性だと考えられます。
男女別のアクセス割合を見てみると、同時期に女性ユーザーのアクセスが50%前半から最大66%まで伸びていることが見て取れるためです。
では、これらの女性ユーザーは、実際にどのような仕事を求めてクラウドワークスへ流入しているのでしょうか。
以下は、3~5月のコロナ第一波の状況で、パート・アルバイトのユーザーが多くアクセスした、クラウドワークス内の仕事カテゴリの割合を算出したデータです。
データを見ると、ライティングや記事作成の案件が40%弱の割合で最も多く、次いでデータ入力の仕事が20%前半の割合です。残りは、レビュー投稿やネーミングなどの軽作業がそれぞれ10〜15%ほどの割合となっています。特にライティング業務やデータ入力の案件へ関心が集中しているようです。
こういった案件ごとの「人気」の構図は、実際に筆者がフリーランスとして様々な企業案件を受ける身として、現状を踏まえた「報酬単価」と「作業時間」の関係が背景にあるのではないかと感じます。
人気のあるカテゴリである記事作成やデータ入力は、長い時間をかけて取り組む必要があるものの、数千円~数万円といったまとまった金額の報酬が入りやすい案件であることがメリットです。
対して、レビュー投稿やアンケートモニターは数分程度で手軽に取り組めるがゆえに、単価が数十円~数百円と安く、複数案件を請け負わないと生活費を稼ぐ規模にまで至りません。
そのため、パート就業などが停止して収入が減ってしまった人にとっては、余剰時間を使って取り組める、報酬がそれなりに大きな案件への関心が高いのではないでしょうか。
今度は、クラウドワークス同様に国内大手のクラウドソーシングサービスである『ランサーズ』のアクセス推移データを見てみましょう。
『ランサーズ』のユーザー年齢別のアクセスにおいては、『クラウドワークス』ほど緊急事態宣言の前後で比率の変化は無さそうです。しか、7月に入ってから、元々全体の20%前後だった40代ユーザーの割合が、最大28%まで急速にアクセスを増やしているのが見て取れます。
これら40代のユーザーはどういった意図や目的を持った層なのでしょうか。40代のユーザーを職業別に分け、再び半年間のアクセス数の推移を見てみましょう。
上記のデータを見てみると、会社勤務の一般社員や管理職、役員クラスの人材によるアクセスの伸びが初夏から顕著です。40代の会社員ですから、役職の有無にかかわらず一般的には”経験豊富な人材”であると言えます。
ランサーズ株式会社による2021年3月期第1四半期 決算説明会では、コロナ禍において経理や人事、コンサルティングといった元々オンラインに流通しなかった分野の案件が増えていることに言及されていました。高い専門性が問われる案件が流通したことから、結果として40代を中心としたベテラン人材の副業が促進されてきていると推測できます。
事実、筆者の知人にも、コロナ禍以降は会社員として一般企業に勤務をしつつ、高い専門性や技術を活かして副業を行う方が増えています。前述した経理やコンサルティングではありませんが、元々リモートワークとも相性の良いマーケティングやWebエンジニアのような職種の方が、安定してクラウドソーシングを請け負っている印象です。
コロナで本業の業務が減ってしまっても、専門的なスキルや経験があれば、クラウドソーシングで副収入を得るという手段に活路を見出すことができるのでしょう。
今回は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、クラウドソーシング業界への影響と需要について調査しました。
コロナによる「余暇時間の増加」と「収入の低下(不安定化)」がクラウドソーシングの需要を高めていると言えますが、とはいえ、「働き方改革」や「ダイバーシティ」といった、近年の就業に対する環境変化の影響も色濃く感じる調査結果となりました。
特に、何かしらの専門性を持った人材に対する需要は年々高まり続けている印象で、コロナ禍をトリガーに、さらに様々な専門的な業務がクラウドソーシングで流通される状況になっていくのではないかと感じます。
アフターコロナも見据えて、様々な働き方、様々な専門性を高めていくことは、変わりゆく社会での生存競争を勝ち抜く最適解なのかもしれません。本調査が、皆さんのマーケティング業務や市場調査などに役立ちますと光栄です。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年2月〜2020年7月の検索流入データ
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
(執筆:坂田憲亮 提供元:マナミナ)
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