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近年、レトロなロゴデザインの価値が見直され、人気が高まっていることをご存知でしょうか。ロゴデザインで悩んでいるのなら、その答えは「レトロ」にあるかもしれません。
この記事ではレトロなロゴについて包括的な知識をご紹介します。
レトロなロゴデザインについての基礎知識をご紹介したうえで、実際のデザインに役立つ色づかいやフォント選びのポイント、デザインの具体的なアイデアやコツ、年代によるスタイルの違いをみていきます。ぜひ、印象的なロゴデザインのヒントとして、この記事をご活用ください。
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レトロなロゴデザインの最大の魅力は、過去のある時代の雰囲気や思い出などを呼びさまし、感情に訴えかけられるという点です。「最先端のもの」として当時扱われていたデザインを忠実に再現すれば、懐かしさを感じるクールなロゴを作成できます。
近年、レトロなロゴの人気が高まっている理由は、Webデザインの世界に「古いものに価値をおく」という傾向が出てきたことがあげれらます。レトロなデザインは、ユーザーにも、またデザイナー自身にも、楽しかった子ども時代を思い出させてくれるのです。
しかし重要なのは、「子ども時代を思い起こさせる」という一部の要素ではなく、「現代的なデザインの中に、どうやってレトロなロゴを取り入れ、価値を最大化していくか」です。次から探っていきましょう。
まずはレトロなロゴデザインを行う際の基本的なことを学びましょう
特定の年代にこだわりすぎると、思考が固まってよいアイデアが思いつかなくなります。
最近は1980年代のスタイルが人気を集めていますが、1920年代のシャープなデザインや、1950年代のデザインにもそれぞれの魅力があります。
ブランドや製品をきちんと理解し、コンセプトを捉えてからロゴデザインをおこないましょう。十分な知識があってこそ、深みのあるデザインを作成できるのです。
以下の6つのステップに沿ってロゴをデザインしてみましょう。
以上のステップはレトロなロゴだけでなく、ロゴデザイン全般に適用できます。
あくまで基本的なガイドラインなので外れても問題ありませんが、初めての方はこれに沿ってデザインするのがおすすめです。
レトロなロゴの可能性は無限大。Web上には、数えきれないほどのテンプレートが存在します。だからこそ、どのようなデザインにするかという判断は難しいはず。そんなストレスフルな状況を打開するのに役立つ、4つの重要な要素をご紹介します。
レトロなロゴデザインにはさまざまなバリエーションがありますが、どれもシンプルであるという点で共通しています。
なかでも円や三角形などの簡単な図形を使用するデザインが人気です。大きな花柄や幅広のラインを付け加えてみるのもよいでしょう。こうした柄やラインを活用することで、明るくキャッチーなロゴをデザインできます。
テクスチャとノイズフィルターはレトロなロゴの強い味方です。ロゴの背景にノイズなどのテクスチャを加えることによって、レトロな風合いをより強調できます。こうしたフィルターを活用すれば、ロゴに擦り切れたような風合いが出て、見ている人によりレトロらしい印象をあたえられるのです。
古いポスターのようなデザインにしたい場合は、レトロなシェイプやボーダーを使ってアクセントをつけてみましょう。影をつけるとなお効果的です。こうした効果を加えつつも、デザイン全体をシンプルに保つことを忘れずに。
レトロなロゴの多くは、原色や焦点色をひとつ選び、それにほかの色を混ぜて影をつける、ツートーンのデザインで作成されています。たくさんの色数を使用して、ごちゃごちゃした印象にならないように気を配りましょう。
フルカラーの印刷が安価で簡単にできるようになったのはごく最近のこと。昔は限られた色数でロゴがデザインされていました。レトロなロゴデザインを取り入れる際には、時代背景を考慮することも重要ですね。
フォントを自作してみましょう。イチから作るのが難しければ、既存のフォントに手を加えたり、ストロークを追加したりしてみましょう。
なお多くの人に親しまれているフォントをベースに使用してしまうと、ほかのロゴと似たデザインになりレトロ感を出せなくなる可能性があります。ひと手間加えて、フォントをよりレトロに、ユニークにしましょう。
先述したように、ロゴにとって色はとても重要な要素です。魅力を引きだすために、デザインを際立たせて、かつ悪目立ちしないような配色にしなければいけません。視認性についても気を配る必要があります。
以下が色の一般的な印象です。色もまた、レトロデザインそのものと同じように、特定の感情を呼びおこします。それぞれの色がどのような印象をあたえるのか、理解したうえで活用するようにしましょう。
色は時代との組み合わせによって異なる意味を持ちます。たとえば、1960〜70年代のデザインにおける原色はフラワーチャイルドを想起させますが、1950年代のデザインについては、同じ原色でも印象が異なるはずです。反対に、1920年代のデザインには、パステルのようなやわらかい色合いがぴったりです。
レトロなロゴデザインにおいて特に人気なのは、ターコイズと赤の組み合わせです。適切な色を選んで、ロゴの魅力をより引き立てましょう。
色と同じく、フォントもとても重要な要素です。誤ったフォントを選択すると、レトロな世界観を壊してしまいます。ではどのようにして、フォントを選べばよいのでしょうか。
HelveticaやCentury Gothicのようなフォントは、現代的すぎるのでレトロロゴには不向きです。
かといって、Baskerville Old FaceやTimes New Romanは古すぎる印象をあたえてしまいます。
一番おすすめなのは、自分でフォントをデザインすること。Web上で見つけたフォントに少し手を加えれば、簡単にオリジナルなデザインを作成できます。
以下はレトロなロゴに使用されている、人気のフォントです。
これらはレトロなロゴと相性がいいフォントのうちのほんの一部にすぎません。Tシャツや広告のフォントなど、さまざまなデザインを参考にしましょう。
ぜひおすすめしたいのが、複数のフォントを組み合わせること。たとえばブランド名とスローガンに、それぞれ筆記体のフォントとクリーンなレトロフォントを使用することによって、より質の高いデザインを作ることができます。
もちろん、複数のフォントを組み合わせるとごちゃごちゃした印象を与えがちなので、その点に気を配ることも忘れずに。
ここからはレトロなロゴデザインを行う際の応用的な内容を学びましょう。
細部へのこだわりが他のデザインと大きく差をつける要因になります。
フィルターなどを使用してロゴを少しだけ透過したり、フェードさせたりしてみましょう。またセピア調にしたり、モノクロにして強調したい部分だけをカラーにしてもいいかもしれません。
アイデアが浮かばないときは、実際に使用されていた過去のロゴを参考にしてみましょう。人気のレストラン、スポーツチーム、ビール、キャンディー、お店などのロゴは、きっとアイデアを刺激してくれるはず。ガソリンスタンドの看板もおすすめです。
また、現代のレトロロゴにも参考になるものがたくさんあります。Walker Tire、Lavender Fastener Company、Charlie’s Catering Experience、Astor Theatre、そしてトーキョーバイクのロゴがそのいい例です。これらの会社はレトロなデザインをうまくブレンドし、事業に最適なレトロロゴを作ることに成功しています。
文字やデザインの配置、大きさ、影などの要素、そしてそれらがデザインにおいてどのように機能しているかに注目してみましょう。色やフォントにおいて、コントラストが最大限に活用されていることがわかるはずです。
フレームをつけることで、ロゴのもっとも重要な部分に視線を誘導できます。
多くのレトロなロゴには、レースのようなものから幾何学的なものまで、さまざまなデザインのフレームが取り入れられています。
ロゴをデザインする際には、さまざまな場面を想定しなければいけません。ロゴは会社のレターヘッドからWebサイトの背景にいたるまで、あらゆる場面で使われる可能性があります。
もちろん白黒で使用される可能性もあるため、白黒になっても成立するデザインであることは絶対条件です。適切な色を選ぶことも重要ですが、特定の色なしでは成立しないようなデザインは避けましょう。
バッヂ風のデザインは、そのシンプルさとスマートさで人の目をひきつけます。
バッヂの特徴は、円や六角形、ダイヤモンド型などのシンプルな形。ステッカーや名刺、もちろんバッヂそのものを作るのにも向いています。多角的なグッズ展開が考えられるという意味でもおすすめです。
手描き、または手描き風のデザインは、レトロな雰囲気にとてもよくマッチします。最近あらゆるカテゴリーにおいて手作りのアイテムが人気を集めていますが、ロゴデザインも例外ではありません。
Web上でも素晴らしい手描き風のレトロなロゴデザインを見つけることができるので、ぜひチェックしてみてください。
ハンマーやレンチなどを題材にしたインダストリアルなデザインの魅力は、その背後にある歴史に対する敬意とあいまって、最新トレンドに敏感な人びとの注目を集めました。
20世紀半ばを振り返ると、グラデーションや3Dレンダリングを使用せずに、魅力的なロゴがデザインされていたことがわかります。
動物の中でも特にツノのあるシカやトナカイなどの動物は、レトロなロゴにおいて頻出のモチーフです。動物以外の自然にまつわるモチーフ、たとえば木、山、地図、魚、ロープ、錨、ボートなども人気があります。
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ビールもコーヒーと同じく古い歴史を持っており、さまざまな表現方法の可能性を秘めています。これらのモチーフをロゴに使用すれば、多くの人に対してポジティブな印象を与えられるでしょう。
明るすぎたりカラフルすぎたりするロゴは、写真と重ねるとごちゃごちゃした印象になってしまいます。これに対してレトロロゴはシンプルなので、写真と重ねてもごちゃごちゃした印象をあたえません。
Webサイトの背景に写真を使用して、その上にロゴを配置するような使いかたにぴったりです。
ここ数年、フラットデザインの人気にともなってラインアートの人気が高まっています。ラインアートは非常にシンプルですが、エレガントなものから野生的なものまで、幅広いデザインを表現できます。
「なにがレトロなのか」という基準は、時代や地域によって異なります。では、どのようにしてレトロらしさを表現すればよいのでしょうか。
80年代に子どもだった層はいま主要な消費者になっています。そのため80年代風のデザインはレトロロゴにおいて非常に人気です。多くのブランドが、楽しかった子ども時代を消費者に思い起こさせる、ノスタルジーのパワーを活用しています。映画や音楽、テレビなどでそうした試みを目にする機会も多いのではないでしょうか。
興味深いのは、80年代のノスタルジーという流行も時の流れとともに変化しているということです。メインの消費者層がミレニアル世代にうつることにより、ノスタルジーの対象も90年代へと移行しています。
デザインの細部をうまく活用し、特定の年代を表現してみましょう。デジタルプリントは光沢があり、洗練されたデザインが新しい印象をあたえます。逆にプリントの粒子をすこし粗くし淡い色を使うと、1950〜60年代のような風合いを出せます。
また、色を黄色っぽくしたり、破れたり丸まったようなエッジにするなどの工夫をすれば、19世紀や20世紀初頭のようなレトロ感を出すこともできます。
レトロらしさを判断する重要な要素のうちのひとつがビジュアルスタイルです。例えば1920年に作られたものと1940年に作られたものでは、明らかにビジュアルスタイルが異なります。
さまざまな形で私たちの文化に浸透しているこのビジュアルスタイルを活用すれば、レトロデザインをより魅力的に表現できるはずです。
こうしたビジュアルスタイルを活用するための鍵は、適切なバランスを知り、どのような要素がどのような役割を果たすのかを把握することです。さまざまなレトロスタイルのうち、6つを以下でご紹介します。
約60年に渡るヴィクトリア朝のデザインに由来しているのがこのヴィクトリアンスタイルです。文字の多いレイアウトや、サーカスに使われていたようなフォント、メダルやユニフォームのようなデザインが有名です。
私たちが持っているヴィンテージのイメージの多くは、このヴィクトリアンスタイルに由来しています。そしてそこから派生したのが活版印刷とスチームパンクです。
伝統と近未来的な雰囲気が入り混じった「レトロフューチャリズム」が表現するのは、過去の人びとが想像していた未来像です。1950〜60年代のレトロフューチャリズムにおいては、ロケットなどのモチーフが人気です。
ゴシックは中世の時代の建築や装飾に由来しています。ダークな雰囲気の書体や古びたテクスチャなどで表現されることが多く、さまざまな国、アート作品、建築物で使用されています。
華やかで緻密なデザインが特徴のバロックは、17〜18世紀に使われていました。金メッキや細かい装飾、壮大なデザインが印象的です。植物や貝をモチーフにした複雑なデザインがしばしば登場します。
自然の中にあるデザインを模倣した曲線が特徴のアール・ヌーヴォーは、19世紀末から20世紀の変わりめに人気を集めました。細部へのこだわりやシンメトリカルなデザイン、暖かい色などで知られています。
アール・デコの特徴は、幾何学的な形状と金属の使用、そして豊富な色とシンメトリカルなデザインです。グラマラスでラグジュアリーなアール・デコは、1920〜30年に最盛期を迎えました。
レトロの中にもさまざまなスタイルがありますが、アール・デコは現代的なデザインと相性がよく、デザインにラグジュアリーなテイストを加えることができます。男性的なデザインにも女性的なデザインにも適用できる、バランスのよいスタイルです。
レトロなロゴデザインは、時代を超越した魅力を持っています。その魅力を取り入れることで、オーディエンスに愛されるデザインを作ることができるはずです。
人びとの心に訴えかけるレトロなロゴのデザインに、ぜひチャレンジしてみてください。
(著者:Bogdan Sandu 翻訳:Asuka Nakajima)
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