SEOの間違ったABテストをしてませんか?気を付けたい5つのポイント

MARKETER

データを重視するWebマーケティングにおいて欠かせない、ABテスト。「スプリットテスト」とも呼ばれるこのテストは、サイト内で小さな変化をつけた2つのものを一定の期間比較し、そのコンバージョン効果を測定するものです。

ABテストをうまく実行し、結果に合わせて細部を改善できれば、効果的にWebサイトのトラフィックを増やすことができます。一方でテストの仕方を誤れば、マーケティングにおける間違った判断を招くことになり、当然その効果も期待できません。

本記事ではそんなABテストの中でも、とりわけSEOの分野でやってしまいがちな5つの間違いをご紹介します。

SEOのABテストとは?

ABテストとは、画像や文章、キャッチコピーなど2パターンのものを用意し、ある特定の期間において比較、どちらがよりコンバージョン率が高いかを検証するテストです。コンバージョンを目的としていることから、CRO(コンバージョン最適化)の手法のひとつとも言われています。

ですが、とりわけSEOにおけるABテストは、オーガニック検索のトラフィックからどのページ(または広告やコンテンツ)のパフォーマンスが向上しているかを比較するために行われます。CROではページ内のコンテンツでABテストを行いますが、SEOはページそのものでABテストを行うのです。

SEOのABテストを行うためには、Webサイト内のすべてのページが同じテンプレートで、かつ同じ見せ方ができるようにする必要があります。たとえばWebメディアであれば、記事のタイトルだけを変えたものや、アイキャッチ画像を変えたものを2種類用意する必要があります。

そのうえで、元のページと、変更を加えたページの検索エンジンにおけるトラフィックを測定し比較ます。

SEOのABテストでよくある5つの間違い

ここからは、SEOのABテストでやってしまいがちな間違いを5つピックアップします。

ここでは元のページを「A」、変更を加えたページを「B」としましょう。

1. 十分な期間テストをしていない

2パターンのページを作成したとき、最初の数日間の変化に一喜一憂していませんか?

Bが検索エンジンにインデックスされ、クローラーに巡回されるまでにはある程度の時間がかかります。AとBの違いについて有効な結果が得られるには、通常1~2週間以上かかるでしょう。

また2つのページを比較する期間が長いほど結果はより正確であるという考えもあります。

SEO効果をABテストで測定するときは、統計学の理論のひとつである「ベイズ統計法」を使用して有意性をはかるのが一般的です。つまり明らかな有意差が出るまでは、辛抱強くテストし続けることが大切なのです。

2. トラフィックの少ないページをテストしてしまう

トラフィックの少なすぎるページをABテストするのも、あまり意味がありません。なぜなら、単純なコンテンツの違い以外の不確実な要素(投稿のタイミングなど)が、大きく結果を左右する可能性があるからです。

テストするページは、最低でもオーガニック検索だけで1,000セッション/dayは欲しいところです。それを超えれば、他の不確実要素による大きな変化は起こりにくいでしょう。

またWebサイトそのものに大量のトラフィックがあることに加えて、そのトラフィックがサイトの多数のページに分散されているかどうかも確認する必要があります。なぜなら、オーガニックトラフィックの50%以上がサイト内の3,4ページのみに集中している場合、コンバージョン率の上昇または下落が、自分が加えた変更による影響なのか、それとも外的要因による影響なのかを測ることが難しいからです。

トラフィックをサイト全体に分散させることで、外的要因による変動を最小限に抑えられ、測定した結果がより正確になるでしょう。

3. ABテストの対象をなんとなくで決めてしまう

CROのABテストでよく行われるのは、WebサイトにアクセスするすべてのユーザーをランダムにAとBに振り分け、それぞれのコンバージョン率を測ることです。ある程度Webサイトへのセッション数があり、またテスト対象が多くのユーザーの目に入るものであれば、両方のグループのユーザーが平均化され、信頼性の高い結果が得られるでしょう。

SEOのABテストでは、このアプローチを少し変える必要があります。オーガニック検索のトラフィックがWebサイトの多くのページに均等に分散されているならば、ランダムな振り分けでも参考になる結果が得られるかもしれませんが、ここでも純粋なコンテンツだけではない外的要因が絡んできます。

統計的に確かな効果を得るためには、下記の要素を加味してABテストをすべきでしょう。

  • AとBの総トラフィックレベルは同じくらいかどうか
  • AとB以外のページへ送るときのトラフィックレベルが同じくらいかどうか
  • 時間経過に伴う、トラフィックの変化が似ているかどうか
  • その他、統計的な尺度における妥当性があるかどうか

4. JavaScriptを使ってABテストをしてしまう

ニュースなどの流動性のあるコンテンツを扱っているWebサイトを除き、基本的にWebサイトは変更を加えるのが非常に難しい傾向にあります。それでも「ちょっとWebサイトの一部を変えたいな」というときに便利なのが JavaScriptベースのツールです。しかし、これがABテストにおいては非常に厄介な存在なのです。

JavaScriptのプラグインを多く使用するなど、JavaScriptに依存し過ぎたページは検索パフォーマンスが低下することに加え、Googleなどの検索エンジンはそのようなページをクロール&インデックスするまでに時間がかかる傾向があります。

Googleのクローラーは、HTMLのコンテンツについては容易にクロールできますが、JavaScriptが用いられたページを巡回するのには5秒以上かかるため、ページ変更の影響を十分に測る前にクローラーが別のページへ移動してしまう可能性があります。つまりAとBの変更結果がGoogle側に正しく認識されないことがあり、テストの結果が正しく得られない可能性があるのです。

5. ABテストではなく「前後テスト」をしてしまう

「ABテストをしたい」という人がやってしまいがちなのが、Webサイト全体または個々のページに大きく変更を加えて、そのトラフィックの変化や検索順位の変化を見ることです。これはABテストではなく、下記のあらゆる要因の影響を受けてしまいます。

  • 季節要因やニュース要因
  • 検索エンジンのアルゴリズムアップデート
  • 競合ページの変動
  • バックリンク獲得状況の変動
  • この「ABテスト」中に加えたあらゆる変更

これはABテストではなく、いわば前後テストといえるでしょう。

まとめ

今回はSEOのABテストにおける、やってしまいがちな間違いを5つご紹介しました。上記のなかには、あなたも知らず識らずのうちに犯してしまっているミスがあるかもしれません。

ABテストにおいて重要なことは、ページ内のさまざまな要素の中のひとつだけを変更して、十分な期間をとり経過を観察することです。今回ご紹介した5つの点に気を付けて、効果的なABテストができるようにしましょう。

(原文:Sam Nemzer 翻訳:Klara)

 

こちらもおすすめ!▼

SHARE

  • 広告主募集
  • ライター・編集者募集
  • WorkshipSPACE
マーケター副業案件
Workship