確定申告は怖くない!副業会社員が「雑所得」を申告する方法 4ステップ

確定申告
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「会社員として働きながら副業をしたいけど、確定申告って面倒くさいよね?」

「フリーランスとして独立する前に副業としてやってみたいけど、経理や確定申告が怖い」

「副業の収入が20万円を超えてしまったと税務署に相談したら、雑所得として処理してって言われたんだけどイマイチよくわからない」

副業に興味があるけど確定申告が嫌だからやりたくない、副業をはじめたものの確定申告で困っているという方は多いのではないでしょうか?

今回は、会社員として働きながらプログラマーやライターの副業をしている筆者の例をご紹介しながら、確定申告は面倒なのか、実際の処理はどうすればいいのかの疑問を解消していきます。

副業で確定申告が必要なケース

副業で確定申告が必要なケース

副業をしている会社員(以下、副業会社員)の場合、副業所得が20万円を超える方のみ確定申告が必要です。

副業などで得た所得が20万円を超える⽅は、確定申告が必要となります。医療費控除やふるさと納税などで確定申告を⾏う⽅は、副業などで得た所得が20万円以下であっても、申告が必要です。(出典:国税庁

所得は、収入(副業の売り上げや報酬)から必要経費を差し引いたものをさします。

したがって、副業で「210,000円」を売り上げたとしても、経費として10,000円かかっている場合、「210,000 – 10,000 = 200,000円」となり、20万円を超えないため確定申告は不要です。

ただし医療費控除やふるさと納税のために確定申告を行う方は、副業収入が20万円以下でも申告が必要となります。

その収入は何所得?税務署に確認しよう

その収入は何所得?税務署に確認しよう

確定申告では、収入を内容ごとに分類(事業所得、給与所得など)し、申告書に金額を記載していきます。

筆者はそもそも、自分が副業で稼いだ収入が何に分類されるのかがわかりませんでした。確定申告について紹介されているWebサイトなどを調べていくと、「事業所得」のような気もしますし、「雑所得」のような気もします。

結局「ここはやはり税務署に聞くしかない!」と、自分が住む市区町村を管轄している税務署に電話をして問い合わせすることに。

筆者が質問したときは、以下のポイントを伝えました。

  • 会社員であり、副業を行っていること
  • 給与所得をもらっている会社は1つであること
  • 副業収入は複数の会社からいただいていること
  • 副業の内容は、Webサービス開発、カスタマーサポートの対応、Webメディアの原稿作成の3つで、いずれも業務委託案件あること
  • 開業届を出していないこと
  • (問い合わせ当時は10月だったので)12月までの副業収入-経費の見込み額

これらを税務署の職員さんに伝えたところ、筆者の副業収入は「雑所得」として処理すべきであることがわかりました。

また、会社の年末調整も普段通りに受けて良いこと、そこで出てくる源泉徴収票を見ながら確定申告していくことになると教えていただきました。

雑所得については、国税庁のWebサイトで以下のように説明されています。

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。(出典:国税庁

「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」とバッチリ書かれていますね。

しかし、一口に「副業」と言っても、業務の規模や収益が多い場合は「雑所得」と判断されないケースもあるかもしれません。

はじめて確定申告する場合は、自分の副業の状況を伝えて何所得として扱えばよいのか、税務署に確認をとることをおすすめします

確定申告の方法 4ステップ

国税庁 確定申告書等作成コーナー

ではさっそく、副業会社員が確定申告する方法をご紹介していきます。

今回は以下のような設定で、国税庁 確定申告書等作成コーナーを利用して申告書を作成していきます。

  • 収入は「本業からの給与」と「副業収入」のみである
  • 勤め先で年末調整を受けている
  • 医療費控除、ふるさと納税の申告は実施しない
  • 開業届を出していない
  • 青色申告承認申請を行っていない
  • 予定納税の対象者ではない

(※本業からの給与と副業収入以外に、株式投資や投資信託など別の収入がある方などは、申告書の作成方法が異なります)

なお副業会社員の場合、以下の記事で紹介されている方法でも確定申告ができます。ぜひこちらも参考にしてください。

ステップ1. 日々の取引を帳簿にまとめよう

確定申告が面倒になる理由は「日々の取引を帳簿にまとめるのをサボるから」だと筆者は考えています。逆に、サボらず取引が発生するたびに記帳していれば、確定申告が面倒になることはありません。

伝票はためず、日頃からコツコツ整理しておきましょう。Excelを使うか、会計ソフトを使うのがおすすめです。

副業の場合、帳簿には以下の項目を入力・集計しておけばよいでしょう。

  1. 取引の日付
  2. 収入or支出どちらであるかのフラグ(または入力セルを分ける)
  3. 勘定科目(よくわからない人は大雑把でOK)
  4. 摘要(取引の内容などを自分がわかるように要約する)
  5. 取引先の名前
  6. 金額(収入の場合は、源泉徴収額を引かれる前の金額
  7. 源泉徴収ありの場合、源泉徴収額

Excelで帳簿付けをする際は、確定申告書の作成時にフィルター集計が役に立ちます。収入と支出の総額を算出したり、取引先ごとに売上を計算するためです。きちんとフィルターが作動するよう、特に2と5の内容については半角・全角など少しの入力間違いもないように注意しましょう。

ちなみに筆者は「やよいの白色申告 オンライン」を使って帳簿をつけています。上記にあげた項目が網羅されており、無料で利用できるためとても便利です。

ステップ2. 必要な書類を集めよう

確定申告書の作成で必要な書類を集めましょう。今回の例では、以下の書類が必要です。

  1. 源泉徴収票
  2. 支払調書
  3. マイナンバーカード

源泉徴収票は、本業の会社から交付されます。12月の給与や賞与が決定したあとの交付となるため、早ければ12月末、遅くとも1月中には手に入るでしょう。

支払調書は、副業収入を得た会社から交付されます。しかし、各企業から個人事業主へ支払調書を送付する義務はありません。支払調書は必ずもらえるものではないため、届かないからといって取引先へ「いつもらえますか?」などは聞かないほうがよいでしょう。支払調書が届かなくても、前述の通り取引先がわかるように帳簿をつけていれば問題はありません。

マイナンバーカードはコピーを申告書に添付する必要があります。本人確認書類として必要なほか、申告書の作成時もマイナンバーを入力する項目があります。まだマイナンバーカードを発行していない場合は、以下の書類の組み合わせで代用可能です。

  1. マイナンバー通知カード、住民票の写し、住民票記載事項証明書のうちいずれか1つ
  2. 運転免許証、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳のうちいずれか1つ

マイナンバーカードを持っていない場合でも確定申告は可能ですが、マイナンバーカードは1枚で本人確認書類として扱えるうえ、条件を満たす場合は電子申請の利用も可能となります。今後マイナンバーカードの利用用途も増えていくと予想されているため、確定申告を機会に発行してみてはいかがでしょうか。

ステップ3. 申告書を作成しよう

いよいよ国税庁 確定申告書等作成コーナーを使って申告書を作成していきます。

今回、副業収入は以下のような設定で、申告書を作成してみます。

収入 収入のうち源泉徴収 費用 収入ー費用
株式会社A(ライター業務) 100,000円 0円 10,000円 90,000円
株式会社B(開発業務) 200,000円 20,000円 15,000円 185,000円
合計 300,000円 20,000円 25,000円 275,000円

ではさっそく申告書を作成していきましょう。

①申告書の選択

確定申告書等作成コーナーへ飛んだら、画像の赤枠内の「作成開始」ボタンを押します。

申告書の作成

次に税務署への提出方法を、以下の3つの選択肢のなかから選びます。

  • e-taxで提出 マイナンバー方式
  • e-taxで提出 ID・パスワード方式
  • 印刷して提出

マイナンバーカードの有無や、ICカードリーダーの有無によって利用できる提出方法は変わります。ご自身の希望や環境に合わせて選びましょう。今回は「印刷して提出」を選びます。

次のページで、作成ツールを使うにあたり推奨環境の確認や利用規約への同意が求められます。各種注意事項や利用規約を確認し、次へ進みましょう。

ここでようやく作成する申告書の種類を選びます。今回は雑所得の申告なので、一番左の「所得税」を選択しましょう。

②生年月日・質問の入力

生年月日・質問

申告書の種類を選択すると、生年月日や質問回答にうつります。質問への回答は、以下のように設定しましょう。

質問 回答
給与以外に申告する収入はありますか? はい(雑所得を申告するため)
税務署から青色申告の承認を受けていますか? いいえ(開業届を出しておらず、青色申告承認申請をしていないため)
税務署から予定納税額の通知を受けていますか? いいえ(予定納税の対象者でないため)

③「雑(その他)」への入力

いよいよ雑所得の入力です。画像の赤枠内の「入力する」ボタンを押します。

雑所得入力

さらに以下の画面でも「入力する」ボタンを押しましょう。

雑所得(その他)

するとモーダルウィンドウで雑所得の入力欄が表示されます。

雑所得は取引先ごとに合算して入力します。ステップ1で入力した帳簿を用意してください。

Excelで帳簿をつけている場合、ここでフィルター集計が役立ちます。取引先名で絞り込み、収入と支出の合計額を見ながら作業していくのがおすすめです。

まずは株式会社Aから処理してみます。

A入力例

▲株式会社Aの場合

項目名 入力方法
種目 プルダウンメニューから、収入の内容に相応しいものを選択する。

今回はライター業務で受け取った収入のため「原稿料」を選択した。

業務に該当しますか 副業=業務であるため、「はい」を選択する。
収入金額 その取引先からの収入を全額入力する。
必要経費 その取引先からの業務を行う際かかった費用を全額入力する。
源泉徴収税額 源泉徴収されている場合、源泉徴収税額を全額入力する。

今回は発生していない設定のため0とした。

所得の生ずる場所 取引先の所在地を入力する。
報酬などの支払者の氏名・名称 取引先名を入力する。

同じ要領で、株式会社Bのぶんも入力していきます。

モーダルウィンドウ右下の「続けてもう1件入力」ボタンを押します。

B入力例

▲株式会社Bの場合

株式会社Bの収入はシステム開発を受託して得たものですが、「種目」には開発業務に関する選択肢がありません。
そのため「その他」を選び、入力欄に「開発料」と入力しました。

なお種目をその他にした場合、種目の補助入力欄は全角5文字以内に納めなくてはなりません。

すべての取引先のデータを入力したので、「入力内容の確認」ボタンを押し、内容を確認しましょう。

雑所得入力内容の確認

入力ミスがないことを確認したら「次へ進む」ボタンを押します。

これで雑所得の入力は完了です。

④「給与」への入力

次は本業で得た給与所得について入力していきます。源泉徴収票を用意してください。

画像赤枠内の「入力する」ボタンを押します。

給与入力

今回は「会社の年末調整は受けた」という設定なので、「書面で交付された年末調整済みの源泉徴収票の入力」で処理します。「入力する」ボタンを押しましょう。

モーダルウィンドウに給与所得についての入力欄が表示されます。ウィンドウ内に画像つきで入力方法が示されているので、お手元の源泉徴収票と照らし合わせながら入力してください。

給与所得入力

入力が終わったら「入力内容の確認」ボタンを押し、内容を確認します。

給与内容確認

問題がなければ「次へ進む」ボタンを押します。これで給与所得については入力完了です。

右下の「入力終了(次へ)」ボタンを押しましょう。

⑤所得控除の入力

所得控除に関する入力画面が表示されます。

控除

今回の例では、会社で年末調整を受けているため、入力する必要はありません。年末調整で申請し忘れたものがある場合や、ふるさと納税をした方などはここで入力しましょう。

④で源泉徴収票から転記した数値が合っていることを確認したら、右下の「入力終了(次へ)」ボタンを押しましょう。

⑥計算結果確認

これまでの入力内容を最終確認します。

計算結果確認

副業収入に関する部分では、特に以下の部分に注意してチェックしましょう。

  • 収入金額等(ク)に入力されている金額が、副業収入の合計額と一致するか
  • 所得金額等(8)に入力されている金額が、副業収入の合計額-副業経費の合計額(副業所得)と一致するか
  • その他(57)に入力されている金額が、副業の源泉徴収額と一致するか

他の入力内容については、源泉徴収票に書かれている金額と一致しているかよく確認しましょう。

入力ミスがなければ右下の「次へ」ボタンを押します。

⑦住民税等入力

住民税の納付方法を選びましょう。画像赤枠内の「住民税・事業税に関わる事項」ボタンを押します。

住民税の納付方法

住民税の納付方法には次の2つの方法があります。

  1. 特別徴収
  2. 自分で納付

特別徴収は、副業所得分の住民税も本業の給与から天引きする納付方法です。自分で納付する場合と比べると、銀行やコンビニエンスストアへ支払いに行かなくてよいため楽ですが、同じ給与体系の同僚と比べて住民税が高額になることから、副業していることを会社に知られる可能性があるというデメリットもあります。

住民税が高額になったからといって、会社から「キミ、副業してるよね?」とつつかれる可能性は低いと思われますが、「副業が会社にバレるのは嫌だ!」という方は自分で納付する方法を選びましょう。

なお、配当所得がある方や扶養家族について入力する方は、それらについても入力しておきましょう。

⑧住所・氏名等入力

還付金の受取方法を選び、自分の氏名や住所をなどを入力します。

申告する税務署を選ぶ項目がありますが、ここでは自分の住む地域を管轄する税務署を選択する必要があります。国税庁のWebサイトから検索できるので、管轄税務署名がわからない方は調べてみましょう。

また、税務署から申告書が届いていない方は整理番号の入力は不要です。副業の場合は申告書が届かない方も多いはずなので、身に覚えのない方は飛ばしてよいでしょう。

⑨マイナンバーの入力

マイナンバー入力

いよいよ最後のステップ。マイナンバーを入力します。

手元にマイナンバーカードなどがなく、入力できない方は飛ばすことも可能ですが、その場合は印刷した申告書に手書きすることになります。

マイナンバーを記入しないと申告はできないので、注意しましょう。

ステップ4. 申告書を提出しよう

これで申告書が完成しました。

ダウンロードページへ進み、できあがった申告書をA4サイズの普通紙に白黒又はカラーで片面印刷しますプリンターをお持ちでない方は、コンビニエンスストアのコピー機などを利用しましょう。

申告書の第一表には氏名の横に押印欄もあります。こちらも忘れずに押印しましょう。

本人確認書類や「提出書類等のご案内」に書かれた添付資料(今回の例ではなし)がそろったら、管轄税務署に提出します。

税務署へ提出する際は、以下の方法を選べます。

  • 郵便または信書便
  • 税務署の受付に持参する
  • 税務署の時間外収受箱へ投函

提出完了したら確定申告終了です。お疲れさまでした!

確定申告は恐るるに足りず!副業に挑戦してみよう

「確定申告って意外と簡単だな」と思っていただけたでしょうか?

マイナンバーカードと対応スマホがあればオンラインで完結できますし、日々の帳簿つけさえサボらなければ申告書はあっという間ににつくれます。

筆者は会社員であることや副業の内容から「雑所得」として申告することになりましたが、人によりどのように処理すべきかは様々です。わからないことは必ず税務署に問い合わせるようにしましょう

なお、収入状況によっては今回ご紹介した方法よりも「青色申告」のほうが断然お得な方もいます。その場合は、帳簿付け〜青色申告の提出までを行える会計ソフトの導入も検討してみてくださいね。

確定申告がネックで副業をためらっていた方は、これを機にぜひ副業にチャレンジしてみてください!

(執筆:fuzuki 編集:少年B)

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