エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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絵を描くことが好き、という人は多いと思います。SNSを見ていても、誰かの描いた素敵なイラストがよく流れてきますよね。イラストを仕事にできたらなぁ……。なんて、そんな空想をしたことがある人もいるのではないでしょうか。でも「イラストレーター」って響き、なんかめちゃめちゃハードルが高いんですよね~!
ただ、イラスト「だけ」で生活するのは難しくても、副業ならどうでしょう。今回は会社員のかたわら、副業イラストレーターとして活躍しているはやうおさんにお話をうかがいました!
主に個人向けの有償依頼やポスター作成などを中心に活動する副業イラストレーター。音ゲーが趣味で、『SOUND VOLTEX』(KONAMI)のThe 10th KACカードイラストコンテストで入賞した実績がある。本業はおもちゃの企画開発。(Twitter:@odds0310)
インターネット歴24年目のウェブライター。高校時代に自身の個人サイトにイラストを載せていたことがあるが、独特の絵柄から女性だと勘違いされていた。実際は男性です。(Twitter:@raira21)
目次
少年B:
はやうおさんは副業イラストレーターとのことですが、いったいどんなお仕事をされているんですか?
はやうお:
イラストレーターとしては本の挿絵や表紙、あとは個人の方への1枚絵などの仕事が多いですね。少し変わったところだと、Webサービス用のイラストパーツをたくさん描いたり、ロゴデザインをさせていただくこともあります。
少年B:
イラストというか、「描くこと」を通じてさまざまな仕事をされてるんですね! 仕事はどのように取っているんでしょう。
はやうお:
窓口はおもにTwitterのDMやメールですね。Twitterで「有償依頼始めます」みたいなツイートをしていたら、知り合いや同じゲームが好きな人たちから声がかかって……みたいな感じです。
少年B:
なるほど。もともとイラストはTwitterに上げていたんでしょうか。
はやうお:
そうですね。私は音ゲーが好きなんですが、そこに出てくるキャラのイラストとかを描いていました。
少年B:
そしたら周りも「はやうおさんにイラストを頼んでもいいんだ!」ってなったんですね。それにしても絵のジャンルが幅広いですが、そんなに色んな仕事が来るものなんでしょうか。
はやうお:
私ももともと色んなことができたわけじゃなくて、最初は普通に「こういうイラストが描けますよ」「お仕事ください!」と言っていたんです。でも、お客さんとのやりとりのなかで、「こういうの描けませんか?」って聞いていただけたことがあって。
やったことはなかったんですが、「じゃあ、ちょっとやってみますね」とラフを提出したら、「いいじゃないですか!」と言われて。そこから、「これもお仕事にできるんだ」って気付けたジャンルも結構ありますね。
少年B:
実績ができると、そこからまた次の仕事に繋がりますもんね。
少年B:
副業イラストレーターとしてはどれぐらいお仕事をされているんですか?
はやうお:
イラストの大きさやテイスト、描き込み量によってもかかる時間は違うので、あんまりはっきりとは言えないんですが、案件数でいえば常に3点から5点ほどの締切があるような状況ですね。
少年B:
常に!? めちゃめちゃ売れっ子じゃないですか……! イラストの仕事はいつやっているんですか?
はやうお:
仕事後とか、あとお休みの日に描いてます。
少年B:
それだと、結構忙しくないですか? 遊ぶヒマがなさそうです……。
はやうお:
遊びに行くことも全然あるんですけど、絵を描くのが好きだからか、なんか自分で描く時間を見つけられるんです。「あ、今これここまで描けるじゃん」って。だから、気づいたら描いてるかもしれません。
もちろん、最初は全然そんなことできなかったんですけど、お客さんに育てていただいたというか。納期を設定してもらって、自分でそれに合わせてやっていくうちに、なんか自分でその生活に合わせてできるようになってたって感じですね。
少年B:
すごい……。そんな生活だったらけっこう収入も多そうですが、副業の収入に関してもお聞きしてよろしいですか?
はやうお:
はい、私は料金表を公開しているので、全然大丈夫です!
【✨Renewal✨】本垢にも載せましたがイラストの料金表をリニューアルしました!価格が安くなってロゴデザインなど対応できるものも増やしました🖋️
ご依頼の際 参考にしていただけますと幸いです✨🙏🐟ご依頼の流れや注意事項、描けるイラストのテイストはツリーをご確認ください。#イラスト有償依頼 pic.twitter.com/faE2ra1AEA— はやいさかな@2024年ご依頼あと1件まで受付可 (@Sakana_iraiyou) September 4, 2022
少年B:
金額設定などは特に悩む人もいると思いますが、どのように考えて設定したんですか?
はやうお:
よく聞くのは、「周りが大体これぐらいだから」ってざっくり額を決める方法と、イラストにかかる時間を計算して時給で出す方法です。周りのイラストレーターさんからは「時給換算でやったほうが絶対いい」って聞きますね。
ただ時給だと、絵にかける時間が長くなってしまうと、それだけ額も高くなってしまいます。たとえば自分が“神絵師”だったら、そこを考慮してもいいのかもしれないですけど……。「それだけの金額をこのイラストに払えるのか」って自分に問いただしたときに、私だったらちょっと払えないかな、って思ってしまったり。
少年B:
確かに、そう考えると難しいですよね。
はやうお:
そうなんですよ。なので私はその中間ぐらいで決めたようなところがあります。ありがたいことに、お客さんの多くは「安い」って言ってくださるので、描き続けているうちに、ちょっとずつ私のイラストの価値が上がってきたのかなっていう嬉しさもありますね。
少年B:
料金表といえば、はやうおさんの料金表はめちゃめちゃ詳しいですよね。依頼の流れや割引制度まで書いてあります。仕事柄、色んな人のポートフォリオを見る機会も多いんですが、ここまでのものはあんまり見ない気がします。はやうおさんが亡くなった場合のことまで書いてあるのにはびっくりしました。
はやうお:
いや……。めったにないことだとは思うんですけど、なんかその、自分がオタクなので。そういうケースで自分だったらどう思うだろうと思って。
少年B:
お客さん目線で気になったことを書いてるってことなんですね。ちなみに、イラストを1つ書くのにどれぐらいかかるんですか?
はやうお:
たとえば、『SOUND VOLTEX』(KONAMI)という音ゲーのカードイラストコンテストで採用いただいたイラストは3日に分けて描いてました。仕事を終えて帰宅して、家事をちょっとして、8時9時ぐらいから夜中の2時ぐらいまで描く、を3日間繰り返して完成する感じですね。
少年B:
というと、トータルだと15時間から18時間ぐらいに……。
はやうお:
そうですね。もしかしたら、休日に一気に集中すれば1日で描けちゃうのかもしれませんが、一気にバーッて描くよりも1回寝て、朝起きてもう一度見て、こう塗ろうかな、と考えたり……。もう少しかんたんなイラストを1日で描く場合も、やっぱり午前中・お昼・夜とか、何回かに分けて描くことが多いですね。
少年B:
なるほど……。じゃあ、時給換算するとどんな感じですか?
はやうお:
私は半分趣味なので、時給として考えちゃうと、正直割がいいとは言えないですね……。でも、ご依頼を通じていろんな絵柄に挑戦できますし、辛いと思ったことはないです。あとは、描くのが得意な絵柄だと意外と2時間ぐらいで描けちゃうこともあるので、人によっては稼ごうと思えば全然稼げると思います。
少年B:
はやうおさんは本業のほうでもイラストを生かしたお仕事を……?
はやうお:
いえ、本業はおもちゃの企画開発をやっています。イラストはまったく関係ない仕事ですね(笑)。
少年B:
ええっ!? こんなに絵がお上手なのに! イラスト自体は昔から描いていたんですか?
はやうお:
小学生ぐらいから描いてはいたと思うんですけど、でも意識して漫画とかイラストを描きはじめたのは中学生の頃ですね。絵を描くこと自体は好きだったんですけど、ずっとアナログ(手描き)で。
はやうお:
イラストを載せるTwitterアカウントを作ったのは大学3年生になってからだし、デジタルで描き始めたのもその頃だったので、そういう意味ではスタートはかなり遅かったんです。
少年B:
確かに、イラストレーターになるような人たちって、みんな中高生のころから作品を発表してるようなイメージがあります。ネットにアップするようになったきっかけは心境の変化があったんですか?
はやうお:
いえ、液晶タブレットを買ったら、初めて使うツールだったので、もう楽しくて仕方なくて……。それで練習がてら描いてはTwitterに載せていたら、いい意味で習慣になったというか。
少年B:
では、イラストを仕事にしようと思ったきっかけは?
はやうお:
以前は事務の仕事をしていたんですが、退職が決まって、今のお仕事に就くまでの休職期間に「やりたかったことをやろう」と思ってイラストのお仕事を始めました。
少年B:
イラストを本業にしようとは思わなかったんですか?
はやうお:
当時はまったく考えていませんでした。今は考えないことはないんですけど、やっぱり今の仕事が好きですし、イラスト1本にする気はないですね。たとえば定年したり、自分が家から出れないような状態になっちゃったら考えるかもしれませんが、現状では副業としてやっていこうと思っています。
少年B:
副業として続けている理由は、「今のお仕事が楽しい」というのも大きいんですね。
はやうお:
あとは、たとえば本業で怒られても、イラストでお客さんから褒めてもらえたら、「いい仕事ができてるじゃん!」って思えるじゃないですか。そうすると、なんかまた本業のほうもやる気が出てくる、みたいなところがあります。両方で何とかなってるって感じですね。
ほかにも、本業がエンタメ系の会社だからか、「こうすれば喜んでもらえるんじゃないか?」を追求したくなるクセがあって。そうやって思いついたことを、イラストに落とし込んでみたりとか。副業に還元するってわけじゃないですけど、そういった仕事の習性を生かして知見が増えていくみたいなのも面白いです。
少年B:
逆に、イラストで学んだことを本業に持っていくこともできますもんね。
はやうお:
そうですね。そういう点で、気付いたことを落とし込みやすい「イラスト」を副業にしてよかったなって思います。でも、もし私がイラストレーター1本で生活をしていたら、たぶんそういう発想になってなかったんじゃないかな、と思うんですよね。
だから、私は副業イラストレーターでよかったと思っています。
少年B:
趣味でイラストを描いている人は多いと思うんですが、それを副業にしていくうえでのコツはありますか?
はやうお:
まず、料金表は絶対に作った方がいいです。たとえばTwitterやpixivなどに載せたイラストを見ていただいて、そこからDMやメールでやり取りをするとなっても、ご依頼をする側としては、金額の相場がわからないし、「この金額で描いてもらうのは失礼にならないかな……」とか不安になってしまうので。
特に、有償依頼だと個人の方がお客さんになるので、金額をはっきりさせて、お客さんが金額を把握できるようにしておくのが大切だと思います。「これぐらい金額をプラスしたら、これも描いてもらえるかな」と思ってもらえるような料金表だとわかりやすいですよね。
少年B:
なるほど。金額設定については、先ほどうかがったように時給換算するか、なんとなく相場を意識するといいと。
【✨Renewal✨】本垢にも載せましたがイラストの料金表をリニューアルしました!価格が安くなってロゴデザインなど対応できるものも増やしました🖋️
ご依頼の際 参考にしていただけますと幸いです✨🙏🐟ご依頼の流れや注意事項、描けるイラストのテイストはツリーをご確認ください。#イラスト有償依頼 pic.twitter.com/faE2ra1AEA— はやいさかな@2024年ご依頼あと1件まで受付可 (@Sakana_iraiyou) September 4, 2022
はやうお:
ただ、これは以前友達から教えてもらったんですが、金額についてはあまり安すぎると逆に依頼が来ないと聞いたことがあります。
少年B:
そうなんですか!?
はやうお:
あまりに安いと、ラフみたいなものしか届かないんじゃないか、みたいに不安になっちゃうそうなんです。描く本人はそんなつもりがないのに誤解されてしまったらかわいそうだし、誰も幸せにならないから、価格は下げすぎるなって教わりました。
あと、トラブルになりやすいのはリテイク(やり直し)ですね。
少年B:
あ、聞いたことがあります。何度も何度もリテイクを頼まれて、永遠に作品が完成しないとか。
はやうお:
私の場合は料金表で事前にリテイクの金額を提示したうえで、お客さんから依頼があったら「リテイクをするとこの金額が発生するんですけども、それでよろしいですか」と確認したうえで行っているので、トラブルになったことはありませんが……。
自分はそういったお客さまとの打ち合わせやリテイク作業が好きなので苦にならないんですが、そういうのが苦手な方はSkeb(スケブ)というサービスを使う方法もあります。
少年B:
あ、イラストレーターの友達がよくツイートしているので、名前は聞いたことがあります。なになに、投げ銭付きお題募集サイト……?
はやうお:
そうなんです。クライアントとのやり取りは「リクエストをもらう」「納品する」の1往復だけ。見積もり・打ち合わせ・リテイク・リクエストに関する一切の連絡が禁止されているサイトなので、トラブルにはなりづらいと思います。
少年B:
イラストの技術などに関して言えばどうですか? はやうおさんはキラキラした鮮やかな色遣いが印象的な絵柄だな、と思うんですが、自分の絵柄の活かし方というか。
はやうお:
私もそういう相談をされることがあるんですけど、よく「あなたの絵だったら、絶対これやったほうがいいと思う」って具体例を言うことが多いです。たとえば、セクシーな女の人を描くのが得意だったら、同人音声のCDジャケットとかがハマりそうですよね。
「自分の絵柄がどういうところにハマるのか」みたいなことを考えてみるといいかもしれません。最初の取っ掛かりとしては、紙に印刷したほうが映えるのか、それとも画面で見たほうがいいか、を考えてみてはどうでしょうか。
少年B:
印刷したほうがいいイラストってのもあるんですね。
はやうお:
イラストレーターだって、別に自分で描いたグッズを売ってもいいじゃないですか。印刷したほうが映えるなら、本にする、アクキー(アクリルキーホルダー)にするって方法もあります。私、人のイラストを見てそういう妄想をするのがすごい好きなんですよ。「この絵柄でこういうものを作ったらめっちゃ欲しいな~!」みたいな。
少年B:
画面に映えるとか、印刷に向くとかって、どのようなところで見分けるんですか?
はやうお:
たとえば、色が鮮やかだったり、線が綺麗だったり、人目をひくようなイラストはデジタルだと映えますよね。あとミニキャラは背景を透過すれば、動画のサムネイルや背景の賑やかしに使えるので、そういうのが得意な方はデジタル向きかな、と思います。
逆に、独特のタッチがあったり、鉛筆っぽい絵柄だったりすると印刷に映えるような気がします。
はやうお:
でも、こういうのって意外と自分では気づかないんですよね。私もご依頼があって初めて「あ、自分こういうの描けるんだ」って気付けたイラストもたくさんあります。そうするとまた料金表が細かくなっていくという……。
少年B:
確かに、自分の長所って自分ではなかなか気付けないところがありますよね。
はやうお:
だからこそ、周りの人に聞いてみることも大事かもしれません。たとえばTwitterで好きな作品のイラストを描いていれば、同じようにイラストを描いている人と親しくなることもあると思うんですよね。
私も周りにイラストレーターとして活躍していらっしゃる方々がいたので、イラストを仕事にしてみたいと思ったときに、相談に乗ってもらえたんです。なので、もしそういう方が身近にいたら、ぜひ質問してみるといいと思います。
少年B:
確かに、すでに活躍している人に聞くのが一番いいかもしれませんね……!
少年B:
最後に、実際にやっていて、イラストレーターはおすすめできる副業だと思いますか?
はやうお:
イラストを描くのが好きな人には、おすすめできる仕事です! ……って言いたいんですけど、やっぱり生活リズムを自分で管理していく必要があるので、変則的な生活をされてる方だったり、お休みがまとまって取れないお仕事をされている方にはちょっと難しいかもしれません。
個人的にはすごくおすすめしたい気持ちでいっぱいだし、自分でやってみて「一歩踏み出してよかったな」って思えることがたくさんあるんですけど、生活環境とかも含めて、自分に合ってるかどうかをしっかり考えてから挑戦してみてほしいなと思います。
少年B:
確かに、残業が多かったり、帰る時間が読めない仕事に就いていると難しいかもしれません。
はやうお:
私の場合は定時で帰れて、土日祝日休みという恵まれた環境だからなんとかなってるんだろうな、って感じます。
残業もあるときはあるんですけど、それは繁忙期とか、自分で「ここ残業ありそうだな」と予測が立てられるので。そうするとこの時期はイラストのお仕事はあまり受けないようにしようとか対処できます。
少年B:
そう考えると、本業の労働環境は大事かもしれませんね。
はやうお:
あとはたとえば社会人になりたてで、1日働くだけでクタクタになってしまうとか。イラストに限らず、そういう状況で副業をやるっていうのは、逆にやりたかったことが嫌いになってしまいそうなので……。そういう方にもちょっとおすすめはできないかもしれません。
本業があるにも関わらず、副業として始めるお仕事って、やっぱりどうしても「好きなこと」だと思うんですよ。特にイラストなんて、好きじゃないとそもそも描き始めないですよね。
少年B:
なるほど。
はやうお:
副業イラストレーターって、本業をやりながら自分でスケジュール組んで描いていく仕事なので、やっぱり「やりたいって気持ち」が大事だと思うんですよね。
だから、いくら向いていようが、前向きな気持ちになれなかったらやる必要はないと思います。場合によっては、締め切りのない「趣味」として絵と付き合っていったほうが幸せになれるかもしれないので。でも、「絵が好きだ」「自分の絵でお客さんに喜んでもらいたい」って気持ちが強い人は、ぜひ挑戦してみてほしいと思います!
(執筆:少年B 編集:齊藤颯人 撮影:じきるう)
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