フリーランスの月商10万円、50万円、100万円の壁の攻略方法
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「キャリアを築くには専門性が必要」と言われることが多くなりました。でも、専門性とは いったい何なのでしょうか。わたしはライターをしていますが、グルメに旅行におもしろ記事まで、書けそうなものは何でも手当たり次第に書いています。自分の専門性って何だろう……そんな悩みを持つ人も少なくないはず。
そんなとき、ふと気付いたのです。「ニッチでオンリーワンなお仕事をしている人の生き方に、専門性を身につけるヒントがあるのでは?」と。
今回お話をお伺いしたのは、背景美術イラストレーターとして活躍する歯車ラプトさん。知られざる背景イラストの世界から、とっておきの営業方法まで教えてもらいました。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、ゲーム開発会社のグラフィッカーを経て独立。 現在はフリーの背景美術イラストレーターとして活動中。 2019年からはVtuberとしても活動しており、イラスト制作生放送やメイキング動画などを投稿している(Twitter:@Rapt3333)
イラストが描けないフリーライター。学生時代、ネット上では性別を隠していたが、当時サイトで公開していた落書きのタッチから「実は女性なのでは?」と疑われていた過去がある。男性です。
目次
少年B:
初めまして。歯車ラプトさんは、どのようなお仕事をされているんですか?
歯車ラプト:
私はフリーランスの背景美術イラストレーターとして活動をしています。主にゲーム関連企業を中心に背景イラストを制作していて、ADVゲームの背景や、ソーシャルゲームのメイン画面、戦闘画面の背景を担当することが多いです。企画書に載せるための、街や世界のコンセプトアートなども手掛けますね。
歯車ラプト:
ほかにも、フィギュアを設置して写真撮影をするための簡易スタジオ型模型の背景やVTuberの背景画像など、「背景」と名のつくものなら何でも手掛けています。
少年B:
背景専門のイラストレーターなんですね。
歯車ラプト:
仕事は背景イラストがほぼ100%です。Vtuberのアバターは自分のキャラクターの他に4人作りましたが、それ以外はほとんど背景ですね。キャラクター案件もやりたいんですが、どうしても背景を頼まれることが多いので、最近は自分でも「背景美術専門イラストレーター」と名乗っています。
少年B:
失礼ながら、どうしてもキャラクターが主で背景は従というイメージがあるんですが……。背景を描く楽しさとはどういうところにあるんですか?
歯車ラプト:
なんといっても、世界を創造できることです。確かに、イラストのメインはキャラクターになりがちだと思うんですが、「そのキャラクターを自分の好きな場所に連れて行ける」背景の魅力を、私は強く感じています。
少年B:
「キャラクターの活躍する世界の創造主になれる」という部分でしょうか。
歯車ラプト:
もちろん、架空の世界を作るとなるとそうなりますね。だけど、現代の日本を描くこともありますし、過去や未来などの時間を超えることもあります。そう考えると「どんな世界、どんな場所にもキャラクターを連れ出せる」といったほうが近いかもしれません。
少年B:
なるほど……! 逆に、背景イラストの難しい部分はどういった点ですか?
歯車ラプト:
実際にキャラクターがそこに「いる」「ある」と見せるためには、リアリティが必要になってきます。たとえば自由の女神像の横に松の木があったら、違和感がありますよね。その世界や場所にあるべきものがあるか、バックボーンを考えて整合性を持たせるのは難しいと思います。
現実にある場所なら資料をもとに描けますが、架空の都市やファンタジーの世界など、現実から離れた場所になればなるほど「その世界で住んでいる人たちがどういうものを使っているのか」「そもそも何があるのか」といった想像力が大事になってきます。
少年B:
以前この連載で「空想地図作家」のかたにお話を伺ったことがあるんですが、「架空の街の地図を作るにはリアリティが大事。知識量が増えるたびに描き直している」と話されていました。
7歳から始めた空想地図作りが、10種以上の仕事につながったワケ
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歯車ラプト:
まさにそういった部分ですよね……。アニメなどでよく「作画崩壊」と言われることがあるじゃないですか。階段が大きすぎたり、鳥居が小さすぎたりする。そんなふうに背景に違和感があると、見る人はそこにばかり目がいってしまうんです。背景はメインではないかもしれませんが、決して手を抜ける場所ではありません。
少年B:
何でもダイナミックに描けばいいってわけではないんですね……!
歯車ラプト:
魅力的なキャラクターを描くときは、いきいきしたポーズや表情などが問われてくると思います。それに対して背景の場合は「いかに自然にその世界へ行きたいか」と思わせられるかどうかがポイントなのかな、と考えていますね。
少年B:
歯車ラプトさんは、なぜ背景を描くようになったんですか?
歯車ラプト:
子どもの頃から風景を見るのが好きでして、旅先では風景のポストカードをよく買ってもらってました。
アニメや映画を見るようになってからも、人間や動物などのキャラクターよりも背景に目がいってしまって。とくにSFやファンタジーが好きで、宇宙船内の壁や乗り物、配線などに注目していました。だから「絵を描くぞ」と思ったときも、自然と背景から入ったというかたちですね。
少年B:
小さなころからお好きだったんですね! 一般的にはキャラクターから入る人が多そうなイメージですが、人間を描きたいと思ったことはないんですか?
歯車ラプト:
もちろんあります。とくに大学時代の頃は「可愛らしい女の子を描きたい!」と思ってたんですが……。なんていうか、当時は「萌えキャラを描く自分が恥ずかしい」と思ってしまって、「そういう絵を描く自分」にすごく抵抗があったんです。
どうにかして「私は硬派なんだよ」といった面を出したくて、風景とか静物とかを沢山描いておりました。
少年B:
見られかたを気にする部分……。なんか、ちょっと分かるような気がします。
歯車ラプト:
それに、もともと高校生までは教科書の隅に棒人間を描いてるぐらいだったんですよ。図画工作や美術の授業は元々好きだったんですが、イラストをちゃんと学んだことはなくて。ちゃんと絵を描き始めたのは、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に進学することを決めてからなんです。
少年B:
わたしの友達のイラストレーターさんだと、中高時代から描いている人も多いんですが、ラプトさんはけっこうスタートが遅かったんですね。
歯車ラプト:
そうだと思います。その影響で静物デッサンから絵を学び始めた事もあり、今でも「線画を描く」って感覚が自分のなかになくて……。それは、若干後悔している部分ではあります。
大学に入学するための勉強は静物デッサンと平面構成で、個人的にはデッサンが物凄く大好きでした。描いてて特に楽しかったモチーフは有機物より無機物で、とくに金属質の物を描くのは大好きでしたね。大学入学後はSNS……当時はまだTwitterは一般的ではなかったので、よくpixivやmixiにイラストを投稿していました。
少年B:
mixiなつかしい! 金属を描くのが好きだったとのことですが、具体的にはどんなものを?
歯車ラプト:
電信柱とか…機械式時計のムーブメントと言われる内部構造の歯車などを沢山描いていました。特に歯車を沢山描くようになった時期がありまして、大学1年生の頃に絵を描く資料集めのため本屋巡りをしていたら「機械式時計の構造」にまつわる本に出会いまして。
それがすごく美しかったので「歯車」というモチーフが好きになったんですよね。そこから、一時期はずっと空間ではなく、正面から歯車の構造が組み合わさる絵ばかり描くようになっていました。
少年B:
自身のお名前に「歯車」と入れるぐらいですしね……! 他にはどのようなものを描いていましたか?
歯車ラプト:
大学2年になって、資料集めのために本屋巡りをしている時に「Doll Snaps」という海外製ドールの写真集を見つけまして、海外製ドールのその可愛さに一目ぼれしました。ここで「可愛い女の子を描く自分が恥ずかしい」と思っていた感情が砕けたというか、一瞬でその気持ちが吹き飛んだんですよね。そこからは背景イラストの量は少なくなり、狂ったようにドールの女の子の絵をひたすら描いていました。
少年B:
おお、キャラクターを描いていた時期もあったんですね!
歯車ラプト:
はい。ただ、キャラクターを描いていたら、やっぱりだんだん「そのキャラがどこに住んでいるのか」「どんな世界にいるのか」を描きたくなってきて、また背景に意識がフォーカスするようになりました。
そうすると、だんだんとキャラクター中心の絵ではなくなり、人物の比率が小さくなっていって、物語の一瞬を切り抜いたような絵を沢山描くようになっていきました。こうして、また主軸が背景に戻っていった感じです。
少年B:
大学卒業後は就職されたそうですが、そこからどうやって背景美術イラストレーターになったんですか?
歯車ラプト:
大学を卒業後、ゲーム会社に就職して、ちょうど3年間グラフィッカーをしていました。大手でしたし、会社自体も好きだったんですが……思ってた以上に「制作」よりも「管理」の仕事が多かったんです。
イラストを描くのも、90%以上は外注さんが作成してくれて、自分の仕事はいただいたイラストや3Dモデルをゲームに落とし込むための調整作業だけ。なので「これは自分の関わった作品と言えるのだろうか?」と思ってしまったんですよね。
少年B:
やりがいが感じられなかったんですね。
歯車ラプト:
残業や休日出勤もそれなりにあったので、個人で絵を描く時間もだんだんなくなっていって。気づいたら、家に帰ったら寝るだけといった状況になってしまいました。自分の想いを発散させる場がなくなってしまったんです。
その結果、体を壊してしまい、会社を辞めてしまいました。ただ、会社のことはいまでも好きですし、どちらかというと「私が会社に適応できなかった」といった気持ちのほうが強いですね。
少年B:
なるほど……。その後はどのような生活を?
歯車ラプト:
会社をやめたのが3月だったので、その年は残りの9ヶ月間、一切働かずに自主制作をしていました。コミケなどのイベントに出たり、SNSにイラストをアップしたりして、個人で絵を描くという活動に専念していたんです。
そして、次の年からイラストレーターとして活動するようになりました。
少年B:
ああ、自分がライターを始めたときとまったく同じです……! 充電期間って必要ですよね。年が明けてからはどのような活動をされたんですか?
歯車ラプト:
まず自分の作品をまとめて簡単に見られるWebサイトを作りました。そして前年から引き続き、イラストをSNSに上げ続ける。
あとは様々なイラストレーターの仕事仲介サイトに沢山登録しました。登録したら担当さんがついてくれて「今後担当します◯◯です」といったメールが来ることが多いんです。だいたいの方はそこで満足してしまい、その後仕事が来るまで待つ。悪く言ってしまうと放置してしまうのですが、私は積極的に担当さんにメールを送っていました。
少年B:
えっ、いったいどんなメールを?
歯車ラプト:
「今、手が空いてます」って連絡をしたり、「こんな作品を作りました」ってイラストを送ったり……。担当さんも複数のイラストレーターを見ているわけですし、毎日新しい人が登録するので、そのまま待っていたら忘れられてしまうな、と思ったんです。
だから、いかに担当者さんに「忘れられないか」が大事かなと思って。「手が空いている私がここにいますよ!」といったアピールをし続けた結果「雰囲気が合いそうな案件がありました」と仕事を紹介してもらえて。受けた仕事の納期をしっかりと守り、丁寧に描いていたら、そのうちに他の会社にも紹介していただけるようになっていきました。
少年B:
そのお仕事は、やはり背景イラストだったんでしょうか。
歯車ラプト:
そうですね。なぜ背景イラストの仕事が来たかというと、やっぱりWebサイトにそればかりアップしていたからだと思います。
少年B:
そのあと、どれくらいの単価でお仕事を受けられるようになったんですか?
歯車ラプト:
仕事の単価としてはADVゲームのシナリオ背景1枚と仮定すると、個人様向けだとだいたい1枚6万円、企業様向けだと1枚8万〜9万円が多いでしょうか。もちろん、描くものの内容によっても価格は上下します。実績として発表したときに自分の知名度がより広がると判断すれば、安く受けることもあります。
こちらは「実績公開が積もり積もって、次の企業からの受注に繋がる」という考えで、自分の営業費用ぶんの原稿料を下げているイメージですね。イラストレーターの仕事は時価だと考えているので、私に限らず、スケジュールなどを含めた条件のもとで制作のお値段は変わってくるのかなと思っています。
歯車ラプト:
あと、背景イラストってそもそも描いている人が少ない分野だと思うんですよ。
少年B:
ニッチなお仕事だなぁと思ってインタビューのオファーをさせていただいたわけですが、やっぱりそうなんですね……。
歯車ラプト:
たとえばコミケの創作ジャンルでは最近「背景イラスト島(コーナー)」みたいなスペースができ始めているんですけど、サークル数でいうとは20サークルくらいしかないんですよね。あれだけ大きくて広い会場なのに、ですよ。キャラクターを描いている人の何十分の1、何百分の1しかいないんです。
あえてニッチな領域を狙っていたわけではないんですが、好きで描いていたら、たまたま競合が少ない分野でした。そういう点で、お仕事を頂くにはとてもラッキーだったかもしれません。
歯車ラプト:
もちろんキャラクターを描きたいという気持ちもありましたし、最初のころは「私、キャラクターも描けるので、次の仕事はよかったら是非……」といった営業メールもしていたのですが、先方からは「ラプトさんにはぜひまた背景をお願いします!」って(笑)。
少年B:
キャラクター描ける人はいっぱいいるから、と。
歯車ラプト:
たぶんそうなんだと思います。Pixivなどのランキングをみても大半がキャラクターイラストですものね。なので最近は「キャラクター描けます」って営業はほとんどしなくなりましたね。
少年B:
あと、お仕事の中で「VTuberの背景」とありましたが、これはどうやって……?
歯車ラプト:
それは自分発信でいただいた仕事です。個人の方を中心に、これまで50件以上の案件を担当させて頂きました。VTuberって、みんなキャラクターはイラストレーターに発注をしてしっかりと作り込んでいるのに、生放送の時に使用されている背景はフリー素材だったり、デフォルトだったり……。個人Vtuberが流行りだした当時は、どの放送に行っても同じ背景しか見ないなと感じた時期があったんですよ。
そこで、2つ思ったことがあったんです。ひとつは「キャラクターを作り込んで自分の世界観を持っているのに、背景はそうじゃないのはもったいない」。そして、もうひとつは「きっとVTuberの背景イラストは誰に頼めばいいのか、そこがみんなわからないんじゃないか」でした。
少年B:
確かに……! そこに需要を見つけ出したんですね。
歯車ラプト:
そこで、Twitterで「個人VTuberの背景を描きますよ」「あなたしか持てない世界観を一緒に作りませんか」と発信をしたら、1枚6万円という価格設定にも関わらず、ものすごく反響がありまして。個人にとっては高い値段かなとも思ったのですが。
少年B:
確かに、6万円はかんたんには出せない金額ですね……! フリーランスの単価設定は難しいとも聞きますが、その価格にした理由はなぜですか?
歯車ラプト:
企業様から受けている値段よりは安く……。ただ、安くしすぎると、ご依頼が多数来た場合は自分が捌ききれなくなると思ったので、悩みに悩んで6万円という数字に決めました。
この値段でしたらなかなか簡単には手を出せない、けど本気で活動する人にとっては許せるラインかなと思いまして。私自身もパンクすることなく、企業様の仕事とのバランスも取れるのではないかと思いました。
少年B:
そういう意図があったのですね! 結果はいかがでしたか?
歯車ラプト:
いま現在では月に2~3枚という、想定通りのご依頼を頂けており、正直驚いています。「これは必要だろうな」と感じたポイントを狙ってツイートをしたら、カチっとお仕事に繋がったといった流れですね。
少年B:
ぶっちゃけ、会社員と比べてフリーランスという働きかたは合っていると思いますか?
歯車ラプト:
作品全体で、僕が担当できる部分は少ないんですけど、その担当部分は明確ですよね。だから「これは自分が制作したものだ」とはっきり実感できるし、公言できる。そういう意味で、会社にいた頃よりも楽しいし、性に合っていると思います。
ただ「フリーになりたかったから独立した」というよりも、「会社が辛くて、脱出したらたまたま合ってた」と言ったほうが正確かもしれません。
少年B:
「監督やコーチをするよりも、プレイヤーでいたい方」には向いているのかもしれませんね。
歯車ラプト:
そうですね。私の場合、もし今後あらためて会社員になるとしても、大手ではなくベンチャーで、自分で制作できる範囲の広いところがいいのかもな、と思っております。
少年B:
ラプトさんは「自分の好きなものを描いていたらたまたまニッチな領域で活躍できた」とおっしゃいますが、そもそも自分の個性や好きなことがわからないって人も多いと思うんですよ。そういう人はどうしたらいいんでしょう。
歯車ラプト:
自分も正直「自分自身の個性」って言われてもまだよくわかってないんです。たとえば自分の絵は厚塗りで、リアルタッチで、光と影を意識している部分が特徴的かもしれない。けど「歯車ラプトといえばコレ!」って言い切れるものは正直まだないと思っています。それでも仕事はできておりますし、自分の絵を好きだと言ってくれるファンの方々も沢山おります。
だから、自分探しをするよりも、好きなことをコツコツ続けるのがいいかなと思います。個性を身につけようとやっきになるよりも、好きなことを毎日コツコツ続ける。これがとても大事なんじゃないかなと。嫌いなことはそもそも続かないじゃないですか。
少年B:
確かに、イヤなことをずっと続けるのは難しいですよね……。
歯車ラプト:
だから、モチベーションを高めるためには、「その作業が常に楽しいと思える環境を作ること」。たとえば、身近に褒めてくれる人を作るようにするといいと思います。どういった流れであれ、楽しんでやり続けていれば、それが自然と力になり、個性にもなっていく。
少年B:
楽しむための環境が大事、ということですね。
歯車ラプト:
あとは、絵においては自分がいいと思う作品をたくさん模写することでしょうか。それを長期的に続けると、模写だとしても自分の中で「ここは個人的にはこうした方が好きだな」という思いがじわりじわりと滲み出てくるんですよね。
その状態で自主制作をすると、自然と「自分の好き」が詰まった作品ができあがるはずです。それが「その人らしさ」であり、「個性」なんじゃないかなと。そのためにはやはり「継続する事」が大事だし、毎日続ける前提として「楽しむこと」が最重要だと思っています。
少年B:
それ、わたしが文章に対して思っていることと同じです……! 模倣から個性って出てくるんですよね。
歯車ラプト:
僕も大学生のころ、個性が欲しいと悩んでいました。そんなとき、教授がこう言ってくれたんですよね。「そんなことに悩んでないで、とりあえず10年描き続けなさい。10年やったら自然とあなたの絵になってますよ」と。すごく腑に落ちたというか「なるほどなぁ」と感じました。
そうして10年経ったとき、ふわりと「自分らしい絵」はこれかなぁと思えるようにはなりました。ただ、最初に述べたように、まだ明確には分かってないんですけどね。だから、駆け出しの人は焦る必要はないと思います。とくに、イラストはすぐに上手くなるものでもないですし、続けていればそのうち個性が出てくるはずです。
少年B:
ありがとうございます。逆に、一定の実力は持ってるけど、突き抜けたいと思っている人に対してはどうですか?
歯車ラプト:
いますぐに仕事が欲しいという場合なら、ちゃんと営業をして、企業様に「自分という存在」を覚えてもらえるチャンスを増やしたほうがいいと思います。
でも、何もないまま営業をしても意味がないので、しっかりと自主制作をして「自分の顔になるような成果物」をちゃんと作ることが大事じゃないかなと思います。自分もまだまだ発展途上なので、継続が大事ですよね。
【記事のまとめ】
- 背景美術イラストレーターは「想像力」が大切な仕事
- 好きなものを描き続けていたら、たまたま競合が少ない世界だった
- 担当者に「忘れられない」ために、こまめに連絡を取る
- 個性を出すためには続けること、続けるためには好きであることが大事
- 個性は模倣から生まれてくる
(執筆:少年B 編集:北村有)
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