エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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WHO(世界保健機関)の調査によると、2050年までに60歳以上の人口は世界で約20億人になると予想されています。増え続ける高齢者に適切なケアを提供するのは、簡単なことではありません。
そこで注目したいのが「エイジングテック」と呼ばれる、高齢者ケアのためのテクノロジーです。こうしたテクノロジーは、高齢化社会にどのようなかたちで貢献できるのでしょうか。この記事では実例も交えながら、高齢化社会におけるエイジングテックの可能性と、課題についてご紹介します。
先述したとおり、2050年までに世界で約20億人が60歳以上になると考えられています。これは2000年当時の3倍以上の数字です。
こうした傾向に寄与しているのが、健康的な食事の普及や、医療技術の進歩です。もちろんこれらの進歩は喜ばしいことですが、出生率が減少している少子高齢化の国々にとっては、同時に悩みのタネにもなっています。
高齢化により年金コストは増加しているにもかかわらず、労働力である若者は減少している……そんな国は先進国を中心に数多く存在します。
医療サービスの負担が増大するだけでなく、介護職員など、高齢者をサポートする人員も今後ますます必要となるはずです。
このような高齢化問題を解決する鍵を握っているのが、エイジングテックです。ドイツ、中国、北欧諸国など世界中で、高齢者が自立して生活できるようにするための技術が日々開発され続けています。
ただし、倫理的な問題も無視できません。テクノロジーを安易に高齢化社会の問題に適用する前に、検討しておくべきことがあるでしょう。
テクノロジーを活用した高齢者ケア自体は、以前から存在しています。
たとえば転倒した高齢者のための緊急呼び出しシステムによって、多くの高齢者が自分の家に住み続けられるようになりました。この種の支援は、技術的にも倫理的にも比較的簡単です。
しかしテクノロジーが複雑になると、同時に倫理的な問題も複雑になります。
介護の役割は、単なる物理的なサポートだけではありません。人と関わらない高齢者は生活の質が低下し、死亡率が高くなることがわかっています。
もちろん、高齢者が時間どおりに薬を飲むためにテクノロジーを活用することは可能でしょう。しかし、こうしたシステムが高齢者の話し相手になってくれるわけではありません。エイジングテックによって精神的なサポートを行うのは、技術的なサポートを行うのに比べてはるかに困難なのです。
たとえば犬のアニメーションが特徴的な高齢者向け遠隔ケアサービス『CareCoach』は、AIを活用しているように見えますが、実際にはAIだけで全てをカバーするのは難しい模様です。サービスを利用する高齢者はさまざまな問題を抱えている可能性があり、現在のAIでは会話に対応しきれないからです。
CareCoachはAIの代わりに、フィリピン、ベネズエラ、メキシコなどで ”人間の対応スタッフ” を雇ってサービスを提供しています。つまり、人間のスタッフが遠隔で高齢者ケアを行なっているのです。洗練されたテクノロジーが活躍する一方で、人間の力も不可欠なのです。
CareCoachをモデルとするならば、エイジングテックと人間をどのように組み合わせるべきか見えてくるでしょう。CareCoachのスタッフは遠隔で、たとえばシカゴにいる高齢者に健康状況を尋ねた直後に、カリフォルニアの高齢者に服薬状況についてリマインドできます。高齢者に対応する人間は依然として必要ですが、テクノロジーを活用してより簡単かつ効率的にケアサービスを提供することは可能なのです。
テクノロジーにはテクノロジーの、人間には人間の強みがあります。単純なタスクをAIに任せれば、そのぶんの時間で高齢者の心のケアにあたったり、浮いた資金でより多くのケアワーカーを雇ったりできるはずです。
もちろんエイジングテックが労働の負担を多少軽減したとしても、高齢者を支えている人びとの賃金は適切に支払われなければいけません。介護従事者の平均時給は、イギリスでは7.78ポンド、アメリカでは11.14ドルです。高い水準とは言えないうえに、経験を積んだからといって大幅に昇給することもめったにありません。
エイジングテックは、高齢化社会の問題の解決において重要な役割を果たすでしょう。しかし本当に重要なのは、テクノロジーや労働の価値を正しく評価することなのです。
(原文:Pod Group 翻訳:Asuka Nakajima)
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