プロジェクトの上流段位から終了までに、UXデザイナーは多くのフレームワークや手法を駆使しています。それらはすべて価値あるユーザーエクスペリエンスを実現するのに欠かせないもの。

現場で役立つフレームワークと手法をまとめました。

1. 価値提案

価値提案とは、製品の重要な側面を明瞭に表現した記述です。それが何であり、誰のために、どのように使うかを説明しています。価値提案は製品の最終形についてチーム内に合意を形成したり、他社と差別化するのに役立ちます。

価値提案出典: UXMag

2. 製品戦略

製品ライフサイクルと将来の開発計画の基盤をなすのが製品戦略です。製品戦略を明確にすることで、UXデザイナーは、特定のターゲット読者に焦点を合わせ、製品や消費者属性に集中することができます。

製品戦略出典: UIE

3. 競合調査

競合調査は、ライバル製品の機能を列挙して自社製品と比較する分析方法です。目的は、同じ業界の他社でどんな戦略がうまく働いているかを見極め、その戦略を自分たちにも有利になるよう仕向けることです。
競合調査▲Webサイトの競合調査結果

4. カルチャー・プローブ

カルチャー・プローブとは、デザインプロセスの中で、アイデアを呼び起こすための質問技法です。人々の生活、価値、および考えに関するアイデアの素を集める方法として位置づけられています。調査担当者は、最小限の介入によって協力者の環境に関する洞察を拾い上げ、新たなチャンスを見つけ、デザイナーに新しいアイデアと斬新なソリューションのヒントを与えることができます。

カルチャープローブ▲文化的探索では、様々な道具や工芸品などを使って、ユーザーが自分たちの環境に新たな形で目を向け考えるように仕向けます。

5. ステークホルダー・インタビュー

ステークホルダーとは、顧客、上司、部下、取引先などの重要な利害関係者を指します。ステークホルダー・インタビューは、UXデザイナーがその重要人物と交わす話し合いのことです。このインタビューでUXデザイナーは、相手の立場になって考えることで、ステークホルダーの目を通して自分の役割を見つめることができます。インタビューは機能の優先順位を決め、経営における業績評価指標(KPI)を定義するのにも役立ちます。

ステークホルダーインタビュー

6. ユーザー・インタビュー

ユーザー・インタビューは、よく使われるユーザー調査技法で、既存ユーザーの定性的情報を取得するのが主な目的です。また、デザイナーがユーザーの感情や意見を理解することも目的のひとつです。この技法は、チームがターゲット・ユーザーを知らない時には特に有効です。
ユーザーインタビュー▲通常、調査担当者は協力者と1対1で会い、注目している話題について協力者が何を考えているかを詳しく聞き出します。

7. キックオフ・ミーティング

このミーティングでは、製品の目的、製品のデザインや開発に誰が関わるか、どうやって一緒に仕事をして進捗を確認しあうか、目的とする結果あるいは成功の指標はなにか、などについておおまかな枠組みを決めます。キックオフ・ミーティングは、製品が成功するための舞台を整える場といえるでしょう。
キックオフミーティング出典: 1stwebdesigner

キックオフ・ミーティングは、プロジェクトチームがプロジェクトの顧客と顔を合わせる最初の打ち合わせです。

8. ヒューリスティック評価

ヒューリスティック評価は、経験則によってユーザービリティを評価する手法です。製品の詳細な分析を行うことで、既存製品のデザインの良いところと悪いところを明確にします。このプロセスによってUXデザイナーは、製品の現状をユーザビリティー、アクセシビリティー、および体験の効果などの観点から視覚化します。
ヒューリスティック調査▲さまざまな実践的カテゴリーにわたって優れた成績を示すWebサイトのレーダーチャート (出典: Smashing Magazine)

9. ブレーンストーミング

ブレーンストーミングは、チーム作業でアイデア創成や問題解決を行う方法として広く用いられています。ブレーンストーミングを行うことで、さまざまなデザインソリューションを視覚化し、どれを採用するか決める前に検討することができます。
ブレーンストーミング▲ブレーンストーミングは、集中した自由なグループ討議を通じて、クリエイティブなアイデアとソリューションを生みだすプロセスです。

10. タスク分析

与えられたタスクを完了するために必要なアクションを考える作業です。タスク分析はデザイナーと開発者が現在のシステムとその情報のフローを理解するのに役立ちます。これを行うことで、新しいシステムにタスクを適切に割り当てることが可能になります。
タスク分析▲Image credit: Comcast

タスク分析は、ユーザーの視点でタスクの役割を明らかにする、シンプルで効果的なプロセスです。

11. 製品ロードマップ

製品ロードマップは、機能の優先順位に沿って作られた製品の開発プランです。形式は自由で、スプレッドシートでも図でも、たくさんの付箋を貼り付けたものでも構いません。UXデザイナーは、製品戦略をチームで共有するとともに、ビジョンの実現に必要な道筋を時系列で示します。
製品ロードマップ▲グラフ化された製品ロードマップの例

12. フォーカスグループ

フォーカスグループとは、リサーチのために集められた顧客層のこと。通常5人から10人の参加者を集めて制御された議論を行います。たとえば、参加者にはユーザーインターフェースの機能に関する問題点や課題を議論するよう促します。長さは2時間程度で、司会者は議論の焦点をぼかさないように進行します。参加者は、議論や活動を通じて口頭あるいは書面でフィードバックを返します。
focus group出典: telecomitalia

13. カードソーティング

カードソーティングは、ユーザーにカードを仕分けしてもらうという調査手法です。製品の情報アーキテクチャーの設計あるいは評価に用いる手法です。UXデザイナーは、コンテンツと機能をカテゴリー別に分類するようユーザーに依頼します。結果は、コンテンツの階層や組み立て、フローなどに関する情報としてUXデザイナーに提供されます。
カードソーティング▲カードソーティングは、人が情報をどう理解し分類するかを発見するための確立された調査手法です。

14. ユーザビリティー・テスト

ユーザビリティー・テストは、ユーザーが実際に製品を使ってタスクを実行するところを観察する手法です。テストは単一のプロセスに焦点を絞ることも、広い範囲を対象とすることもあります。

ユーザビリティテスト

15. コンセプトテスト

UXの研究者は、新しいコンセプトがターゲット顧客のニーズに合致しているかどうかを判断するためのテスト。コンセプトの本質を捕らえた製品概要(価値提案)を協力者に共有し、コンセプトが理解されているか、競合に対する優位性はあるかを聞きます。コンセプトテストは、1対1でも多人数の参加者でも、面接でもオンラインでも行うことができます。

16. A/Bテスト

A/Bテストは、異なるバージョンの製品を、異なるユーザークループに提供し、結果を比較することでどちらが効果的かを調べる方法です。これはWebページの訪問者をふるいにかける「ファネル」やランディングページを最適化する強力なテクニックです。

ABテスト

17. ゲリラテスト

ゲリラテストは、ユーザーテストの中で最もシンプル(かつ最も安価)な方法です。通常「ゲリラテストを行う」というのは、コーヒーショップなどの公共の場所へ出かけていって、自社の製品やプロトタイプについて質問することを意味しています。カフェでも図書館でも鉄道の駅でも、求める対象者のいる場所であればどこでも構いません。

18. フィールド調査

フィールド調査では、外へ出て「ありのままの状態」のユーザーを観察することによって、ユーザーが実際に製品を使っている状態の行動を評価することができます。ここでは、民俗学的な調査やインタビューのほか、利用状況にあわせて質問をするコンテキスト・インタビューなどが利用できます。

フィールド調査

19. 視線追跡

ユーザーの視線がUIレイアウト(Webページなど)上を移動する様子を分析する技術です。視線を追跡することによって、画面のどの部分がユーザーの興味を引いたのか、最適なフローに沿って読むためのデザインは何かなどのデータを得られます。

視線追跡▲視線追跡ヒートマップ

20. SWOT分析

製品のユーザー体験に与える、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つをさまざまな方法で評価します。

SWOT分析▲ランディングページのUXに関するSWOT分析(出典: e27

S (強み):優れたグローバル・ナビゲーションバー/魅力的なバナー/容易なナビゲーション など
W (弱み):遅いサブスクリプション・プログレス/モバイル最適化が弱い/読みにくいテキスト など
O (機会):ロードの高速化/新たなユーザー滞留方法 など
T (脅威):ソーシャルメディアによる囲い込み/アプリ機能の模倣しやすさ など

21. アクセシビリティー監査

Webサイトが、特別な支援を必要とするユーザーでも使えるかどうかを調べます。あらゆるユーザーが満足するために、ページはW3Cガイドラインに沿って作られている必要があります。

ユーザビリティーについても、アクセシビリティーについても、どうすれば人々が製品を使いやすくできるかを発見し、その情報を将来のデザインと実装の改善に役立てることが最終目標です。

アクセシビリティImage credit: Sarah Horton

(翻訳:Nobuo Takahashi / ThumbnailsPhoto:

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