月10万円の案件が突然打ち切りに…フリーランスのピンチで見つけた生き残り戦略

月10万円の案件が、突然打ち切りに。フリーランス1年目の失敗談

仕事が毎月つづくとは限らない、フリーランスの世界。突然「案件が打ち切りになりました……」というのは、フリーランスあるあるです。

今回お話を伺ったライターのななさんは、月10万円の長期案件が、突然飛んでしまったそう。

クライアントの分散をほとんどしていなかった彼女は、どう復活していったのか。その経験から気づいた「本当の安定を得るために必要なこと」を語ってくれました。

「私もいま、1社からの収入に依存してるな……」という方は、ぜひ参考にしてください。

ななさん
ななさん

ななさん:千葉大教育学部卒の詩人。「自然のなかでのんびり自分のペースで生きたい」と思い、就職をせずに新卒フリーランスとなる。現在は富士山のふもとでライターや編集、SNS運用などに携わる。Twitter

聞き手:ヌイ
聞き手:ヌイ

ちょうどななさんが「大きな案件が飛んでしまった」と言っていた時期に、別の仕事を一緒にやっていました。あのときの心情を根掘り葉掘り聞いていきます!Twitter

突然「ストップします」と告げられ、月10万円の案件が飛んでしまった話

ヌイ:2019年3月頃(フリーランス1年目)、大きな案件が1つ飛んで困ったとのことでしたが、なぜ案件が飛んでしまったのでしょうか?

なな:急なことでとてもびっくりしましたね……。先方都合でした。

事業をはじめるにあたり「役所の許可」が必要な案件だったのですが、その許可が降りなかったみたいで。そのため数十記事を更新した時点で事業自体が白紙になり、ライターも必要なくなったんです。

ヌイ:それは大変でしたね……。案件が飛んで、もっとも苦労したことは何ですか?

なな:一番はやはり「来月以降どうやって生活しよう……」と不安になったことです。貯金がほぼない状態だったので焦りましたね。

月に約10万円前後の案件だったので、生活の基盤になっていて。当時はクライアントが2社だけだったので、もう1社のみだと翌月の生活がむずかしい状況でした。

ななさん考える

ヌイ:「クライアントが2社だけだった」というと、あまりクライアントの分散は考えていなかったのでしょうか?

なな:当時「ライターの仕事ばかりするのは嫌だな」と感じていた時期だったので、ライターとして新規案件を受注する気持ちになれなくて……。

もともと長期で依頼されていた案件でしたし、運営者さんもやる気に満ちていたので「すぐに切られることはないだろう。半年くらいは続くかな」と完全に油断していましたね。

直接お会いしたことがなかったので、「会ったことない方を信用しきるのは怖いな」と反省しました。

まず行なったのは「営業」と「自己分析」

ヌイ:たしかに長期案件と聞くとほっとしますよね。案件が飛んだあと、どのようなアクションを取りましたか?

なな:主に「営業面」と「自己分析」で心がけていたことがあります。

まず「営業面」では、クラウドソーシングを中心に1日5件〜10件ほど提案をしていました。また、むかしお世話になったクライアントさんにも「その後どうですか?」と再営業しました。

さらに、連絡するときに「+αの提案」も意識していましたね。具体的には、提案文のなかに「SNS運用もできます」や「ライターの他にも編集業務も可能です」と一文加えるだけです。それでも、いただける仕事の幅が広がりました。

ヌイ:その工夫は大切ですよね! 地道に提案した結果、受注具合はどうでしたか?

ななさん あの日を思う

なな:もともと提案は得意だったこともあり、クラウドソーシングの提案はほぼ通りました。自分でもびっくりしたんですが、営業を積極的に行った後の納品額は30万〜50万円と過去一番の結果でした(笑)。

ヌイ:すごい、ピンチはチャンスですね(笑)。「自己分析」は何をしていたんですか?

なな:自分が生活する上で「月に必要なお金」を細かく出しましたね。その結果、すこし贅沢をしたいときは月15万〜17万円あれば十分で、基本は月11万円あれば生活できると可視化できたんです。

達成するには、1社あたり5万円の収入と想定して「4社が最低ラインだな」とわかるので、あとは行動するだけですよね。目標が立てやすくなるので安心感につながりました。

スキルの棚卸しをして、クライアントの分散だけではなく収入源の分散を

ヌイ:過去の経験をふまえ、いまでは収入源の分散を行なっているそうですね。具体的には何を始めたんですか?

なな:「すでにできること」や「挑戦したいこと」といったように、スキルと挑戦したいことの棚卸しをしました。クライアントの分散だけではなく、もっと先のキャリアを意識しましたね。

ヌイ:なるほど。いまは具体的にどんなお仕事をされていますか?

なな:たとえば、オフラインの仕事もしたかったのでアルバイトをはじめました。また、ストック型の資産となる特化メディアの運営やYouTubeにも挑戦しています。クライアントワークでは、1つのクライアントさんでSNS運用と編集というように、複数の領域に携わっています。

メディアやYouTubeはまだ収益化にはなっていないものの、コツコツと育てている段階なのでとてもたのしいです。

ななさん 説明する

なな:クライアントを分散するというよりは、収入源を分散させるのが大切だと思います。クライアントワークだけでなく、アルバイトと自分のメディアを始めたことで異なる形態の収入源を得られますし、同じクライアントさんのお仕事でも、異なる領域を担当させてもらうことで収入源の数は増やせるわけです。

ヌイ:幅広いですね。実際に収入源を増やしてみてどんな変化がありますか?

なな:1つのクライアントやスキルに依存することがなくなったので、安心感に繋がっていますね。

またシンプルに収入も増えたので、やりたくない仕事を依頼されたときに「むずかしいです」と断れるようになったも大きな変化です。

大きい案件が打ち切られたことで得られた「生き残れる自信」

ヌイ:改めて「大きな案件が飛んだ経験」から得られたものはなんでしたか?

なな:たくさんあるんですが……一番は「たとえ仕事がゼロになっても1,2ヶ月で復活できるな」という自信がついたことです。二度と体験したくないですけどね(笑)。

ヌイ:なるほど。過去のななさんのように「収入源を限定してしまっているフリーランス」がいたら、どのようにアドバイスしたいですか?

なな:フリーランスなら誰しもが経験しうることだと思います。ただ、案件が飛んだら飛んだでなんとかなるものです。むしろ、ピンチのときに行動することで新たな出会いもあるので、過度に心配する必要はないと思います。

とはいえ、なるべく余裕のあるうちに営業していくと安心です。常に余裕を持っておきたい人は、日々のToDoに「営業」をいれ、月目標に「今月はクライアント2社獲得する」などと設定することをおすすめします。

ななさん 遠くを見る

なな:私は大きな案件を失った経験で、大切なことに気づきました。実は「クライアントの分散をしなかったこと」が根本的な問題ではなかったと思っています。

そもそも私がフリーランスになった理由は「自然の中でゆっくり自分のペースで働きたい」からでした。なのでクライアントを増やしたところで、本当の安心を得られるとは限りません。

焦っているときこそ、内省をくり返して「自分はどのような状況に安心できるか」を見つけられればいいなと。そうすることで、本当の意味での「分散」ができて、精神的な安定に繋がると思います。

「自分がフリーランスになった本来の目的」を見失わないように、働きたいですね。

(執筆:ヌイ 編集:はつこ アイキャッチ:T)

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