企業とフリーランスの関係が激変?2026年1月「取適法」施行 他

企業とフリーランスの関係が激変?2026年1月「取適法」施行 他

こんにちは、Workship MAGAZINE編集部の猫宮です。

最近のニュースから、フリーランス・副業者のみなさんに役立つものを抜粋してご紹介します。よろしくお願いします。

過去のフリーランス・副業ニュースはこちら

【1】2026年1月「取適法」施行で企業とフリーランスの関係が激変【社労士解説】

2026年1月施行の「中小受託取引適正化法(取適法、旧下請法)」が、企業とフリーランスの関係を根本から変えようとしています。社労士のもひもひ氏は「単なる規制強化ではなく、外部パートナーとの共存共栄を目指す土台作り」と位置づけ、対応を誤れば優秀な人材から選ばれなくなると警告します。

今回の改正で最も重要なのは、「受託側が値上げの協議を求めたにもかかわらず、協議に応じなかったり必要な説明を行わなかったりして一方的に代金を決めること」が新たに禁止された点です。

デザインや映像制作の場合、従業員101名以上の企業が100名以下の事業主(個人フリーランス含む)に委託する際に適用され、物価上昇を受託価格に適切に転嫁できる仕組みづくりを目指します。

もひもひ氏が示す「法律違反の可能性がある事例」は、いずれも実務で起こりがちなもの。「クライアントからの修正依頼で撮り直しが発生したが追加費用を払わなかった」「元データ差し替えで納品が遅れたことを理由に報酬減額」など、受託側の責任でない事情での不利益変更は厳禁です。

企業に求められるのは「価格交渉の透明性確保と協議記録の保存」「明確な書面交付と納品検収ルールの整備」の2点。さらに厚労省が「労働者」定義の40年ぶり大改正を検討中で、フリーランスがより強い権利を持つ可能性もあり、「プロに見合った報酬を払い軽視しない」姿勢が最強の防御策になると結んでいます。

2026年1月「取適法」施行で企業とフリーランスの関係が激変【社労士解説】

記事を読む(Workship MAGAZINE)

【2】AI普及でフリーランス案件が「成果物ベース」にシフト、若手エンジニアは「入り口案件」減少で苦境

株式会社インディバースが実施した「AI普及によるエンジニア採用の変化」調査(依頼担当者695名、フリーランスエンジニア308名対象)で、直近2年で46.8%の企業が「成果物ベース(納品型)の案件が増えた」と回答し、従来の「時間単価で人を使う」発想から「成果で評価する」傾向が鮮明になりました。

背景には「開発コストや人件費の高騰」(36.8%)、「即戦力人材の確保難」(34.2%)、「AIツール普及」(34.1%)があります。

依頼時に重視するスキルは「課題発見力・提案力」(37.4%)がトップで、「実務実績」(32.5%)、「成果物の品質・安定性」(32.1%)が続きました。今後は「実装依頼より課題解決型の依頼が増える」(42.0%)、「成果物単位の発注が主流になる」(35.5%)と予測され、単発契約より長期的な伴走型案件への移行が進むとみられます。

フリーランスエンジニア側も30.2%が「責任範囲の拡大」を実感し、上流工程への関与が増加しています。

一方で深刻なのは若手・経験の浅いエンジニアへの影響です。依頼しにくくなった理由として「AIで代替可能な作業が増えた」(30.9%)、「品質や納期面での不安」(30.9%)が上位を占め、AIによる初級レベル実装作業の効率化で「入り口案件」が減少している実態が浮き彫りに。

フリーランス側も46.4%が「コーディングなどの単純実装作業」の価値が下がると回答しており、「AIに代替される側」から「AIを活用する側」への転換が急務となっています。

記事を読む(共同通信PRワイヤー)

【3】フリーランスのポテンシャルを殺す3つの地雷マネジメント【社労士解説】

「プロ人材を迎えたものの、なんだか楽しくなさそう」――そんな悩みを抱える現場マネージャーに向け、社労士のもひもひ氏が「フリーランスのポテンシャルを殺す地雷マネジメント」を解説します。

フリーランスは「自律した経営者・事業主」であり、社員と同じ管理対象として扱うとモチベーションを大きく削ぐと警告。成果を最大化するには「プロとして最適な成果を出してもらえるよう環境を整備する」視点への転換が不可欠といいます。

避けるべき地雷は3つ。①プロセスへの過度な介入や、やり方の押しつけ(結果が出ているのに「うちのやり方に合わせて」と修正指示)、②すべての承認を求める文化(ツール使用や軽微な変更まで承認必須で「承認待ち」が半日以上)、③得意分野外でのチームワークの強要(専門性を期待して採用したのに若手育成やチームビルディングを依頼)。

特に③は報酬を増やしても「貴重な時間の浪費」と捉えられる可能性があります。

逆に優秀なフリーランスを活かすコツは、①マネジメント対象を「人」から「目標(ゴール)」に切り替え、②フィードバックは「成果」に対して行い、③「非同期コミュニケーション」を戦略的に活用すること。

定例会議を減らし、報告は「16〜18時頃に」など幅を持たせて集中時間を確保するのがポイントです。もひもひ氏は「信頼と敬意を持って目標を示し、あとは信じて任せる『手放すマネジメント』こそが鍵」と結んでいます。

フリーランスのポテンシャルを殺す3つの地雷マネジメント【社労士解説】

記事を読む(Workship MAGAZINE)

【4】日本郵便、フリーランス法違反疑い 本支社380件、郵便局は調べず

日本郵便が本社・全国13支社で研修講師などの業務を委託したフリーランスとの取引を調査したところ、フリーランス法違反の疑いがある取引が計380件見つかったことが同社への取材で判明しました。

計223人に取引条件を明示しておらず、2025年6月に公正取引委員会から勧告を受けた小学館や光文社を上回る規模となっています。

フリーランス法は2024年11月施行で、企業が業務委託する際に業務の日時・内容・報酬額・支払期日などを文書やメールで明示することを義務づけています。発注側の力が強い取引で、口頭発注による不利な条件の押しつけや報酬トラブルを防ぐのが目的です。

深刻なのは、今回の調査が本支社のみで、各郵便局分は含まれていない点です。同社全体での違反件数はさらに膨らむ恐れがあり、公取委が6月に小学館・光文社に勧告を出したことを機に社内調査を実施したものの、組織全体への法令順守が浸透していなかった実態が浮き彫りになりました。

フリーランス保護の実効性を問う重大な事案として、今後の対応が注目されます。

記事を読む(朝日新聞)

【5】スキルは十分なのに成果が出ない…フリーランスがつまずく現場の特徴【社労士解説】

「契約を入念にすり合わせたのに、フリーランスがパフォーマンスを発揮してくれない」――そんな悩みを抱える人事担当者やマネージャーに向け、社労士のもひもひ氏が、フリーランスの活躍を阻む「現場の暗黙のカルチャー」問題を解説します。

スキルは期待通りでも、正社員中心の暗黙の了解に順応できず、心理的ストレスや業務の非効率が生まれてしまうケースが少なくないといいます。

典型例は2つ。①雑談とスラングで会話に入れないエンジニア(Slackで業務と雑談が混在し、「確認が必要な発信」か「読み流していい雑談」か判断できずモヤモヤが蓄積)、②失敗事例集にアクセスできないデザイナー(社員のみアクセス可能なツールに過去の「しくじり」がまとまっており、毎回口頭確認で社員の手を煩わせる非効率感が負担に)。いずれも働けば働くほどストレスが溜まる構造です。

対策として、もひもひ氏は3つのケアを提案。①業務外コミュニケーションの「壁」を低くする(「雑談チャンネルは反応も閲覧も自由」と明示)、②暗黙知を意識的に言語化・共有する(過去の議事録や意思決定プロセスをドキュメント化してアクセス権を付与)、③報酬とは別軸で「プロの仕事」を可視化・表出する(四半期ごとにサンキューレターやメールで具体的な貢献に感謝)。

「フリーランスを『リソース』ではなく『パートナー』として迎え入れる意識が、成果最大化の鉄則」と結んでいます。

スキルは十分なのに成果が出ない…フリーランスがつまずく現場の特徴【社労士解説】

記事を読む(Workship MAGAZINE)

【6】フリーランス法施行から1年 勧告や指導は計445件 契約条件明示義務化も認知度に課題

2024年11月に施行された「フリーランス法」から2025年9月までの約1年間で、公正取引委員会が発注業者に出した指導や勧告が計445件に上ったことが、公取委のまとめで判明しました。

報酬が不明瞭な契約を結ばされるなど、長年続いた商慣行の是正は道半ばで、同法の認知度向上が課題となっています。総務省調査では2022年時点で本業フリーランスは約209万人(全有業者の3%)に上ります。

同法は「特定受託事業者」(業務委託を受ける個人や従業員がいない1人法人)を保護対象とし、発注元に書面による取引条件の明示や期日内支払いを義務化。一方的な報酬減額や成果物の受領拒否を禁止し、育児・介護事情への配慮やハラスメント相談体制の整備も義務づけています。

違反には事業者名の公表・勧告・命令が可能で、命令違反には50万円以下の罰金が定められています。

2025年6月には小学館・光文社に施行後初の勧告を実施。取引条件の大半が口頭で行われ、報酬額も「決めた費用を支払う」と明言されないケースがあったほか、60日以内の支払い義務に対し誌面掲載後の支払いが常態化していました。

島村楽器や九州東通にも勧告が出ており、いずれも取引条件の明示義務違反が確認されています。岩成博夫事務総長は「この法律自体が十分知られていない分野もある」と認知度の低さを指摘し、関係省庁と連携して違反事件の情報収集を進める考えを示しました。

記事を読む(産経新聞)

Workship LABに参加しませんか?

フリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』は、個人事業主の悩みや日々のニュース、ノウハウをみんなで共有していく相談コミュニティ『Workship LAB』を運営しています。

個人で働きがちな人の悩みを減らすために立ち上がりました。 一人ひとりが、心身ともに健康で、より良くはたらくためのヒントを得られる場を目指します。

参加にご興味のある方は、職種とフリーランス(副業も含む)に関する活動実績がわかるXアカウントを通じて、こちらから参加リクエストを申請してください。審査通過の場合、コミュニティへの参加が許可されます。

最後までフリーランス・副業ニュースをご覧いただきありがとうございました!

(執筆:猫宮しろ 編集:Workship MAGAZINE編集部)

SHARE

  • 広告主募集
  • ライター・編集者募集
  • キャリア相談受付中
週1〜3 リモートワーク 土日のみでも案件が見つかる!
Workship