フリーランスが就職で失敗しないために、絶対に考えておきたいこと
- 【連載】34歳フリーランス、会社をたたんで公務員になる
- フリーランス/個人事業主
- 働き方
フリーランスから国家公務員という、なかなかの急ハンドルでキャリアチェンジした夏野。
このミニ連載では、フリーランスからの「正社員回帰」傾向が高まるなか、夏野はなぜ勤め人(サラリーマン)へのキャリアチェンジを決断したのか?勤め人生活のメリット・デメリット、転職時のエピソードなどを追いかけていきます。
連載最終回にあたる今回のテーマは、「フリーランスが就職で失敗しないために、絶対に考えておきたいこと」。
就職に向いているのは、どのような人なのか。そして、本気で就職を考えているなら、事前に何をしておくべきなのか。仮にフリーランスから就職するなら、副業として仕事を続けた方がいいのか、辞めた方がいいのか、などなど…
実際に34歳でキャリアチェンジした経験をもとに、後悔しないためのポイントを整理します。

フリーランスの編集者・ライター。コンテンツマーケティングやディレクション、マネジメントに仕事の幅を広げ、2021年7月に会社を設立。非常勤の国家公務員になり、2026年2月で会社を畳む。博士(京都大学)。趣味は無限に歩くことと放浪。(X:@Natsuno_Kaoru)
目次
まず向いていると思うのは、「就職によって得たいもの」が明確な人です。
実現したいキャリアがあるものの、それがフリーランスでは叶えにくい。特定の業界に入りたい。チームで大きな仕事をしたい。組織に所属しなければ得られない経験や実績が欲しい。
このように、明確なキャリアチェンジの理由があり、その目的を達成するためなら、多少のダルさには耐えられる人なら、就職するメリットは大きいでしょう。
逆に、特に理由もなく「なんとなく安定しそうだから」と就職すると、通勤や手続き、細かなルールにぶつかるたびに、「フリーランスの方が楽だったのに……」という気持ちが出てきて消耗しかねません。
現在の仕事に頭打ち感がある人も、就職を検討する余地があると思います。
組織に入ると、「中の人」だからこそ得られる情報や経験があります。チームで動く仕事、社内外のプロジェクト、研修、登壇、取材、共同研究など、個人で活動しているだけでは回ってこないチャンスもあります。
夏野の場合は、研究費への応募や、研究機関に所属していることを前提とした仕事がこれにあたります。
フリーランスのままでも仕事はできましたが、研究者として先に進むためには、組織に所属した方が圧倒的に有利でした。
自分の努力だけでは越えにくい壁があり、その壁を越えるために所属が必要なら、就職はかなり合理的な選択肢です。
「言われた通り」から卒業しよう。フリーランスが上流へ進むために実践したいこと
Workship MAGAZINE
あとは、フリーランス時代から異常に働いている人です。
こういう人は、勤め人になった方が、むしろ楽になる可能性があります。
フリーランスから就職すると、「自由な働き方に慣れているから、組織では続かないのでは」と、かなり色眼鏡で見られます(夏野も見られていました)。
しかし実際には、フリーランス時代に長時間労働や複数案件の管理、営業、経理、顧客対応まで一人でやってきた人なら、業務そのものには案外対応できます。
夏野の場合も、異常体力と異常根性で、今のところ楽しくやれています。むしろ、フリーランス時代の延長で働きすぎてしまい、周囲から「ちょっとダメだぞ」と止められることがあります。
業務時間外に連絡を確認しない、休日は仕事の情報を見ない、といった練習をしなければならず、むしろそこに苦労しています。休みの日って、何をすればいいんですか?
反対に、明確に譲れない条件があり、その条件を守るためにフリーランスを選んでいる人は、無理に就職しなくてもよいと思います。
たとえば、持病や家庭の事情があり、自宅から出ずに働きたい。居住地を固定したくない。勤務時間を自分で調整する必要がある。どうしても平日の昼間に動ける状態を維持したい。
こうした事情は、気合いや慣れでどうにかするものではありません。
ただし、条件が明確であれば、就職の可能性を完全に捨てる必要もないと思います。
「フルリモート可の会社なら働ける」「週3日勤務なら可能」「コアタイムがなければ対応できる」といった形で、自分が受け入れられる条件を整理しておけば、合う求人が見つかることもあります。
無理に就職する必要はありませんが、アンテナを張ることまで諦めなくてもよいのではないでしょうか。
>>宣伝:リモートワーク可能な求人に特化!IT・DX人材の転職なら『Workship CAREER』
現在しっかり稼げていて、向こう3年ほどのキャリアビジョンも描けている人も、急いで就職する必要はありません。
今の仕事に将来性があり、収入も安定していて、次にやることも決まっている。そうであれば、勤め人になるメリットはあまりないでしょう。
ただし、市場の状況は常に変わります。
今は順調でも、「この市場、少し雲行きが怪しいかも」と感じたら、早めに動くことは大切です。明確にダメになってからでは、すでに手遅れになっている可能性もあります。
茹でガエルになる前に、定期的に自分の市場価値や業界の変化を確認しておきたいところです。

▲「いや、めっちゃ茹でられてますやん!?」とならないように
「AIが人を減らす」時代。フリーランスエンジニアの正社員転職にいま何が起きているのか
Workship MAGAZINE
厳しい時代でも「フリーランスからの転職が決まる人」の共通点は?採用のプロが語るフリーランスエンジニアの勝ち筋
Workship MAGAZINE
ちなみに、就職後に不満が出てきたときは、「嫌だ」で止まらず、どうすれば現実的に改善できるかを考えることも大切です。
たとえば、「テレワークできない!クソ!」で終わるのではなく、まずは制度やルールを隅々まで読む。本当に一切できないのか、例外条件はないのか、過去に認められたケースはないのかを確認する。
そのうえで、日頃の仕事をきちんとこなし、周囲からの信頼を積み上げて、「〇〇さんならテレワークでも問題ない」と思ってもらえる状態をつくる。このように振る舞っていると、意外と柔軟に対応してもらえることもあります。
もちろん、すべての職場で希望が通るわけではありません。ただ、制度を知らないまま諦めるのと、可能な範囲で交渉したうえで諦めるのとでは、かなり違います。
フリーランスから就職すると、自由が減ったように感じる場面は多くあります。しかし、組織のルールを理解し、その中で自分なりの動き方を見つけられれば、思っていたより自由に働けます。
では、実際にフリーランスから就職を目指すとして、何に気をつければよいのでしょうか。
履歴書の書き方や面接対策など、一般的な就活ノウハウについては専門家に聞いていただくとして、夏野個人の経験からは、次の2点を挙げたいと思います。
ひとつは、応募書類を必ずその業界に詳しい人に添削してもらうこと。もうひとつは、別のキャリアを考えているなら、少しでも早く動くことです。
履歴書はある程度フォーマットが固まっているので、そこまで大きく外すことはないと思います。問題は、職務経歴書や、そのほかの応募書類です。
こうした書類には、業界ごとに独自の「お作法」があります。どの実績を前に出すのか、どこまで詳しく書くのか、どのような言葉で能力を示すのか。内容が同じでも、業界によって評価されやすい見せ方はかなり違います。
夏野はこの点をまったく理解しておらず、ITクリエイター系の仕事で使っていたフォーマットをベースに、研究職の応募書類を作成しました。
その書類をお世話になっている方に見ていただいたところ、開口一番「あのね?」と、ガチ諭し(さとし)モードに入られました。死ぬかと思った。
自分としては、それなりに実績を整理して、分かりやすく書いたつもりだったんですよ。しかし、その業界で何を評価されるのかを理解していなければ、怪文書が誕生します。
こうした事故を防ぐには、Workship CAREERのように、書類添削まで対応してくれる転職支援サービスを利用するのが手っ取り早いと思います。
あるいは、応募先の業界をよく知る、信頼できる知人に見てもらうのもよいでしょう。
大切なのは、自分一人で完成させたつもりにならないことです。少なくとも一度は、その業界の目線を持つ他人からレビューを受けるようにしてください。
もうひとつは、少し残酷な話ですが、やはり採用では年齢も見られるということです。
夏野の場合は研究職だったため、34歳でも「まだ若いから、今後に期待できる」という扱いをしてもらえました。ただ、それでも話を聞く限り、かなりギリギリのタイミングだったようです。
もちろん、一定の年齢を過ぎたからといって、絶対にキャリアチェンジが不可能になるわけではありません。ただし、年齢が上がるほど、「未経験ですが頑張ります」だけでは通用しにくくなります。
これまでの仕事で得た実績やスキルのうち、次の業界でも生かせるものは何か。採用する側に、どのようなメリットを提供できるのか。そこを具体的に売り込む必要があります。
あるいは、柔軟性や体力、学習意欲を示し、「分からないことは、これから必死にキャッチアップします」と伝える。そのうえで、その言葉が嘘にならないくらい実際に頑張る必要があります。(ってか今、夏野がまさにそういう状況です。)
キャリアチェンジを少しでも考えているなら、「まだ決めていないから」と先送りするより、求人を見る、専門家に相談する、必要なスキルを調べるといった小さな行動だけでも、早めに始めておくことをおすすめします。

▲フリーランスを続けるにせよ、就職するにせよ、一度アクションしたうえで決めても良いのでは
ここで少し切り口を変えて、就職後も副業を続けるべきか、という話をしておきます。
結論から言うと、勤務先のルール上許されていて、本業に支障が出ないのであれば、副業は続けた方がいいと思います。
夏野がWorkship MAGAZINEの編集長を続けているのは、シンプルに責任感もあります。
編集長を引き受けておいて、1年ほどで「就職したので辞めます」と離れるのは、個人的にちょっと違うのではないかと思っていました。
成功するにせよ失敗するにせよ、自分が行ってきた施策の結果がある程度見えるまでは、責任を持って続けたい。少なくとも、自分で始めたことの行方を確認せずに辞めたくはない、という気持ちがありました。
そのうえで、就職後も副業を続けてよかったと感じる理由は、大きく2つあります。
ひとつ目は、まったく違う種類の仕事をすることが、かなりの気分転換になることです。
昼間は研究をして、帰宅後はWebメディアの記事や企画について考える。使う頭も、仕事の進め方も、関わる人も大きく異なります。
本業で行き詰まったときでも、副業に切り替えると意外と頭が動くことがあります。反対に、Webの仕事で疲れたときは、研究の文献を読む方が楽しく感じることもあります。
夏野には趣味がないので、帰宅後の暇な時間に取り組むことがあるのもかなり助かっています。
もちろん、副業によって睡眠時間が減ったり、本業のパフォーマンスが落ちたりしては本末転倒です。続けるなら、本業に悪影響を与えない範囲に抑える必要があります。
夏野も1日8時間睡眠は死守しています。そこを削るくらいなら、普通に副業を減らします。
ふたつ目は、収入源が複数あることです。
正直に言うと、就職して給料はかなり下がりました。
生活に困っているわけではありません。ただ、「ちょっと旅行に行きたいな」と思ったときや、友人におめでたいことがあってまとまった出費が発生したときなど、自由に使えるお金があるかどうかは結構大きいです。
毎月10万円でも20万円でも、本業以外の収入を貯金に回せれば、生活の安心感はかなり変わります。
特に、フリーランスから就職すると、給与が下がるケースは珍しくないと思います。収入が減ったことで就職自体を後悔しないためにも、副業を残しておくことはひとつの対策になります。

▲わずか数万円でも、副収入があることで得られる安心感は大きいです
ここまで、フリーランスからの就職が向いている人、就活で気をつけたいこと、副業を続けるメリットについて書いてきました。
いろいろと偉そうに語りましたが、ぶっちゃけ、実際に就職を考えているなら、専門家から話を聞いた方がいいです。
フリーランスの経歴を企業にどう説明すればよいのか。今までの実績のうち、転職市場で評価されるのはどの部分なのか。希望する働き方や収入を実現できる求人はあるのか。
こうしたことは、自分一人で考えていても、正解がなかなか分かりません。
夏野自身も、最初は業界のお作法を理解しないまま応募書類を作り、危うく怪文書を提出するところでした。周囲の人に相談し、添削してもらったからこそ、なんとか就職までたどり着けたと思っています。
フリーランスから就職することは、自由を捨てることでも、フリーランスとして失敗した結果でもありません。
今後のキャリアを考えた結果、組織に入る方が得られるものが多いなら、就職を選べばいい。やってみて合わなければ、またフリーランスに戻ることもできます。
とはいえ、自分に合う会社や仕事を一人で探すのは、かなり大変です。
フリーランスからの転職を少しでも考えている方は、まずはWorkship CAREERで、自分の経験がどのように評価されるのかを相談してみてください。
書類の添削や求人の紹介も受けられるので、「就職するかどうか、まだ決めきれていない」という段階でも、今後の選択肢を整理するきっかけになるはずです。
【連載】34歳フリーランス、会社をたたんで公務員になる
自由、安定、信用、評価。元フリーランスが考える働き方の選び直し