エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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始めるときは高らかに宣言しても、辞めるときは静かに退くことが多いもの。
「新卒フリーランスになる!」と宣言しても、いつの間にか違うキャリアを歩んでいる人をよく見かけます。
そんな中、新卒でフリーランスになり、エアロビクス講師とメディア運営を中心に活動して4年目を迎える鳥巣愛佳さんは「3年目くらいから変わってきましたね」と語ります。
新卒フリーランスとして継続的にキャリアを積んでいくと、どんな世界が見えるのでしょうか。
新卒でEC事業会社に就職後、1年ちょっとで退職しフリーライターに。いろいろな働き方に興味津々のフリーランス2年生。Twitter
目次
はつこ:鳥巣さんは新卒でフリーランスになり、4年目だそうですね。私はいまフリーランス2年目なので、先輩にお話を伺えるのを楽しみにしていました! よろしくお願いします。
鳥巣:そうなんですね、なんでもお答えしますよ! よろしくお願いします。
はつこ:頼もしい……! さっそくですが、新卒フリーランスになった経緯から伺っていきたいと思います。
鳥巣さんは「早稲田大学商学部卒」で「競技エアロビック元日本代表」という肩書きがあり、就職先も引く手数多だったかと思いますが、なぜフリーランスを選んだのですか?
鳥巣:キャリアの候補にフリーランスという選択肢が出てきたのは、大学を卒業する直前でした。じつは普通に就職活動をして、内定をいただいていたんです。その会社に就職するつもりで、インターンもしていました。
はつこ:そうなんですか! 一体なにがあったんでしょうか?
鳥巣:恩師から「あなた就職しないほうがいいね」って言われたんですよ。それが一番大きなきっかけですね。
はつこ:ええ! そんなにはっきりと。
鳥巣:そうなんですよ、私もびっくりしました。
その恩師は大学でエアロビクスの授業をしている先生で、私は授業のお手伝いをしていたんです。ちょうど就職活動の時期に人との出会いが重なり、エアロビクスのイベント主催やブログでの発信を始めていた私を、先生は側で見ていたんですよね。
はつこ:大学の先生に言われたというのがまた驚きです。でも鳥巣さんを近くで見ていたからこそ、就職しないほうがいいと思われたんでしょうね。
鳥巣:そうですね。それまで「就職しない」なんて考えたこともなかったんですけど、改めて自分のキャリアを見直すきっかけになったんです。
内定先でインターンをしたことで、社会で働くイメージができたのですが、同時に「就職したらやりたいことをする時間が少なくなるな」と感じました。「やりたいことを諦めたくない」と思っていろいろ調べていてたどり着いたのが、フリーランスという働き方です。
はつこ:なるほど。すごく大きな決断ですね。
はつこ:新卒フリーランスになると決めてからは、どんな準備をしましたか?
鳥巣:大学生のときからエアロビクスのインストラクターをしていたので、まずは指導者としてのスキルを高めるためにインストラクター養成講座に申し込みました。
あとは周りの人に「フリーランスになります! 」ってひたすら言ってましたね。フィットネス業界の先輩にも言っていましたし、いままで通りブログやSNSを更新しながら発信していました。そしたら業界の先輩方やブログの読者さまから、お仕事の相談をいただけるようになりましたね。
はつこ:すごい。卒業前に収入の目処があったということですね。
鳥巣:あてはありましたね。とくにエアロビクスなどのフィットネスの指導は、学生のときからやっていた仕事でもあったし「私がフリーランスになるって言ったら仕事くるんじゃないかな?」って。
いま思うと、向こう見ずなんですけど、あまり心配していませんでした。実際は指導経験も未熟すぎましたし、WebのことだってMacの使い方すら分かってなかったんですけどね(笑)。
はつこ:すごい(笑)。フリーランスになると決めて、まわりの反応はいかがでした?
鳥巣:家族は大反対でしたよ! 私の地元は田舎ですし、東京の大学を出たなら大手の会社に入って安定してほしいと思っていたようです。実際、私もそう思って就活をしていたわけですし。そこは本当に「ごめんなさい」としか言えなかったですね。
はつこ:では、押し切るかたちだったんですか?
鳥巣:そうそう。「就職は蹴ってきたから」みたいな(笑)。
はつこ:それから4年。いろいろなことがあったかと思いますが、フリーランスになってよかったことはありますか?
鳥巣:これがねぇ〜、難しいんですよ(笑)。比較ができないんですよね、就職したことがないので。
はつこ:なるほど! たしかにそうですね。
鳥巣:もしかしたら定時出社が無理な体質だったかもしれないし、逆に朝一番のりの社員だったかもしれない(笑)。
就職していたらどうなっていたか分からないという前提がある上で、それでもフリーランスでよかったなと思うことは、人との繋がりがどんどん広がっていったことですね。
はつこ:ああ〜。
鳥巣:フィットネス業界とメディア業界にいることで、まったく違う軸の繋がりができていくんですよ。さらにフリーランスだから、自分からお仕事の繋がりを増やそうと動いていきますしね。
はつこ:たしかに繋がりは大事ですもんね。いまでも広がっていますか?
鳥巣:広がりは1,2年目のほうが強く感じていましたね。いろんな人とどんどん出会っていたので。3,4年目は関わる人が洗練されてきたかなと思います。
はつこ:洗練されていくんですね!
鳥巣:そうそう。気づいたら長く関係が続いている人が多くなっていましたね。深い関わりが増えていると思います。本当にここ1年くらいから感じはじめました。
結果的に付き合う人を選んでいることになるのですが、それってフリーランスのいいところでもありますよね。会社だと、付き合う人を自分で選べない部分もあると思うので。
はつこ:その通りですね。仕事面で1年目といまを比較して、他に変わったことはありますか?
鳥巣:仕事も洗練されてきていますね。単発の案件はあまり受けなくなったりとか。
はつこ:いまは継続の案件を中心に受けているということですか?
鳥巣:そうですね。最初のころは、フィットネスなら1レッスン、メディアなら1記事とかで受けたりしていたんですけど、正直やり方としてキツイ。
いまはフィットネスなら半年〜1年契約、メディアもプロジェクト単位でチームで動いています。チームで動けるというのも、仲間が濃くなってきたからこそできるようになってきたことですね。
はつこ:働き方も変わってきたんですね。
鳥巣:あとは自分が得意なこと、やりたいことが定まってきましたね。じつは最初はインフルエンサーを目指してたんですよ。でもフリーランス3年目になるくらいで、合わないなと思って辞めました。
はつこ:えっ! どうしてですか?
鳥巣:自分自身を売り込むための、コンテンツマーケティングやブランディングができなかったんですよね。自分が何者として発信していくかが定まらなかった。エアロビの人なのか、メディアの人なのか、筋トレの人なのか、ブログの人なのか……どのキャラクターで発信するか決めていないと、見ている人に刺さらないじゃないですか。
でもぜんぶ私だし、決め切れなくて。「これだ!」っと伝えたいものが決まるまでは、インフルエンサーは目指さなくていいやって。
はつこ:そうだったんですね。そう思うまで2年間あったと。
鳥巣:うん、そうそう。やっぱり3年目くらいからいろいろ変わってきました。
他にも、私の強みは「コミュニケーション」や「社会性」だなって気づいて。単発の仕事ではなくチームの仕事が増えた要因は、これもありますね。
はつこ:へえ〜。そこに繋がるんですね。
鳥巣:じつは2年目の終わりくらいに、月10万円のビジネスコンサルを半年くらい受けていたんですけど、そこで気づきましたね。お客さまとのコミュニケーションならいくらでもできるけど、セルフブランディングやマネタイズになると、手も頭も動かなくて。
プロのコンサルタントがマンツーマンでこんなに真剣に教えてくれるのにできないなら、そういうのは向いてないんだなって(笑)。「私はコミュニケーションを武器にしていくぞ!」って決断できました。
はつこ:そんなに変化があるものなんですね。私はいまフリーランス2年目なので希望が持てます。
鳥巣:うんうん、私は本当に、3年目あたりからいろんな面が洗練されてきました。
はつこ:逆にフリーランスで辛かったことはありますか?
鳥巣:社内恋愛に憧れていたので、それができないのが残念!
はつこ:たしかにできない(笑)! オフィスの外で待ち合わせするやつとか!
鳥巣:そう〜! 「先に行ってるね」ってやりたかった〜!
鳥巣:真面目な話、仕事面だとやっぱり案件が飛ぶ経験はありますよ。予定を半年空けておいたのに来ないとか(笑)。
はつこ:キツイ……。
鳥巣:まあでも、そこはしょうがないなと思います。企業の人はいくつも案件が動いているので、1つ流れたらもう次のことを考えないといけない。企業の人は、なくなった案件や一人のフリーランスにいちいち構ってられないですからね。
はつこ:大人だ……。案件がなくなってしまったときはどうするんですか?
鳥巣:頑張るしかない(笑)。
はつこ:他の案件を取りに行くんですか?
鳥巣:そうですね。あとは目の前のことに集中する。私は5個とか案件を同時に走らせていたこともあります。
はつこ:やっぱり、いくつか案件を持っているのもフリーランスとして生きていく上で大切なんですね。
鳥巣:そうですね。管理や調整が難しいところでもありますが。
私がフリーランスになって一番辛かったのは、体調を崩したときです。原因不明の腹痛で倒れてしまって、もちろん体も辛いし、体を動かす仕事をしているので仕事がなくなるのも怖かったです。
はつこ:一番の商売道具ですもんね。
鳥巣:そうなんですよ。フィットネスのレッスンで「健康になりましょう!」って言いながら、自分が倒れているなんて……。精神的にもきましたね。
当時は、ミスコン参加やビューティプログラム作り、新規事業などいろいろと手を出しすぎていた時期でもありました。思い返すと、間違った追い込み方もしていましたね。
はつこ:大変な時期があったんですね。フリーランスを辞めようとは思いませんでしたか?
鳥巣:このときはさすがに考えましたね。体調がよくなったら就職活動しようかなって。
ただ、毎日って過ぎていくんですよ。とにかく目の前にある仕事をやらなきゃいけない。体調については年末に実家へ帰って、身体と心を休めてよくなったんですけど、東京に戻ったらやるべき仕事がたくさんあるからやるしかなくて。気づいたら続けていましたね。
はつこ:転職活動しようと思っていたけど、それどころじゃなかったんですね。
鳥巣:それどころじゃなかったですね〜。結果、忘れてました(笑)。
いまは健康的なライフスタイルに落ち着きました。やっぱりフリーランスとして年数を重ねると、だんだん体調や仕事の管理も上手くなってきたと思いますね。
はつこ:では、原因不明の体調不良以外で、フリーランスを辞めようと思ったことはありませんか?
鳥巣:ないですね。
はつこ:ないんですね!
はつこ:では鳥巣さんは、これから先もフリーランスとして働いていきますか?
鳥巣:う〜ん、そこまでフリーランスに固執はしていなくて。
はつこ:あ、そうなんですか。
鳥巣:いまメインでやっているメディアが上手くいかなかったら、就職してみてもいいかなって思ってます。フィットネス1本で働くことも考えていないので。
やりきったと言えるところまで、まずはやってみてですけどね。いまはまだやりきれてないので、これからです。
はつこ:そうなんですね。期限や目標は決めていたりするんですか?
鳥巣:占いで2020年に仕事運がくるって言われたんで、来年ですかね(笑)。
はつこ:占い(笑)。私も好きです。
鳥巣:正直、私はキャリアプランをガチガチに固めていると、ストレスを感じるタイプなんです。だから自然に身を任せていこうかなって。これから結婚とかも考えると、どんな働き方になっていくか全然わからないじゃないですか。
はつこ:うんうん、たしかにそうですね。
はつこ:ちなみに鳥巣さんが考える「こんな人はフリーランスに向いている、向いていない」っていう傾向はありますか?
鳥巣:ああ〜。私もいろんな人にインタビューしているんですけど、フリーランスに限らず自立していて成功してるのって「ポジティブで行動的な人」が多いですよね。
もちろんネガティブでも、「行動できるネガティブ」だったらいいんですけど。それはリスクヘッジがうまいという素晴らしい長所なので。行動せずに「こうだったらどうしよ、無理無理無理やらない〜」みたいな人よりも、とにかく行動できる人は、フリーランスでもやっていけるんじゃないかな。
はつこ:学生時代につけたスキルではなく、とにかく行動することが大事ですか?
鳥巣:じゃないかな〜。周りを見ていてもそんな気がします。
はつこ:なるほど。ではいま新卒フリーランスになろうと考えている人がいたら、どんな言葉をかけますか?
鳥巣:やりたいことがあるなら、諦めないほうがいいんじゃないかなって思います。あとでやろうと思っても忘れちゃうじゃないですか。例えばいま「ラーメン食べたいな」って思っても、夜には食べたくないとか。
はつこ:うんうん。
鳥巣:だから、やろうと思ったらすぐやる。行動できるのってタイミングもあるし、体力とかエネルギーのレベルもあるから。
「いまは諦めよう」って後回しにしていると、どんどん叶わなくなってしまって、いつか後悔することがあると思うので。
はつこ:そうかあ……。そうですね。
鳥巣:私も無理だったら就職しようと思うし、それくらい柔軟性があったほうが何事も楽しめるんじゃないかなって思います。もちろんリスクヘッジは大事だと思うんですけど、人によって挑戦と必要なリスクヘッジのバランスはそれぞれなので。一つ言えるとしたら「諦めないで」になるかな。
執筆:はつこ
編集/撮影:内田一良(じきるう)
アイキャッチデザイン:奥貫あずさ