「文章を仕事にする」追求してきた“新卒フリーランス”の働き方とは

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学生生活も後半に差し掛かり、インターンシップや説明会の情報を集めたりと、周りがザワつき始める今日この頃。

そんな環境の中、自分の好きなことで仕事をするために「新卒フリーランサー」として独自のキャリアを切り開いている人もいます。

今回ご紹介する野里のどかさんは、ライターとして新卒フリーランスを選択したのち、会社員になり、いまは再びフリーランスとして活動している、変わったキャリアの持ち主。

しなやかでポジティブな野里さんの、キャリアの歩み方に迫りました。

野里のどか
野里のどか

1993年鹿児島県出身。福岡大学卒業後、フィリピンで語学留学をするかたわらWebライターの仕事をはじめる。帰国後フリーランスとして、Webライターをメインにさまざまな事業に関わる。2017年9月よりITベンチャー企業である株式会社Ponnufに就職。田舎フリーランス養成講座の運営マネージャーとして、地方5箇所での講座立ち上げに携わるほか、広報を担当。会社員でありながら、1か月ごとに住まいを移動するアドレスホッパーになる。2019年7月に独立。フリーランス広報、ブロガー、キャリアアドバイザーとして活動している。

漫画家を諦め「自分の好きなこと」と向き合った学生生活。ライターとしての葛藤

 新卒フリーランス4年目の野里さん。もう何度も聞かれてきた質問かもしれませんが、なぜ新卒でフリーランスという働き方を選んだのでしょうか?

野里 フィリピン留学をきっかけにライター活動を始めた流れで、この働き方になりました。
新卒でフリーランスというと、「リスクを取った人」のようなイメージに思われるかもしれませんが、私はリスクと言われるほどの不安はありませんでした。留学をきっかけにライターとして活動した流れで、自然とこの働き方になったんです。

 もともと想定していたキャリアはありましたか?

野里 昔からずっと漫画家になると決めていて、漫画を書いていました。大学1年生の時に心を決めて原稿を出版社に持っていったんですが、全く歯が立たなくて……自分の心にすっぽり穴が空いたようでした。
もちろん漫画家もそんな甘い世界でないので、もっと頑張ればよかったんですが、そんな根性もなくって(笑)。改めて、ひたすら自分が将来やりたいことを考え直してみたんです。

 漫画家の道を諦めたことで、キャリアを考えるようになったのですね。

野里 改めて自分の好きなことってなんだろうと考えたら「文章を書くこと」「英語を勉強すること」「人に会うこと」の3つだと気づきました。
哲学を専攻していたこともあり、ものごとについて深く考えて文章を書いたり、英語の勉強をしたりするのは好きでした。また人に会うことも自然にやっていて、積極的に学生団体の活動をしたり、イベントに顔を出したりしていたんです。
大学4年の時には「この3つを軸に仕事をしていくんだ!」という漠然としたイメージがあって、卒業したらまずは1年間留学しようと思っていました。

 卒業後の留学をきっかけに、ライターの活動も始めたのですか?

野里 はい。場所を選ばず、自分の好きなことでお小遣い稼ぎができるライターの仕事はピッタリだと思いました。
地方の大学というのもあって、周りにライターをやってる人もいなかったので、「ライター なり方」と調べることから始めたんです。そこから旅系のメディアに応募をして、ライターとして仕事をいただけるようになりました。

 地道な情報収取からはじまったんですね。

野里 そしたらもっとライターの仕事を頑張りたいと思うようになって、留学から一時帰国してライターの勉強を本格的に始めました。ライターのスキルがあった上でまた留学するのもいいなと思って。
あれだけ楽しみに行った留学なのに、たった2ヶ月で帰ってきて……結局それ以降、長期で海外には行ってないですね(笑)。

 それだけ好きなことに真っ直ぐだったんですね。とは言っても、周りが新卒で就職をしていく中、焦りはなかったのですか?

野里 焦りは特になかったです。自分の好きなことしか見てなかったからこそ、なんとかなるとポジティブに考えていました。

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 ポジティブさが伝わってきます。実際にライターとして活動していく中で、大変だったことはありますか?

野里 文系だったので最初はPCの扱いが苦手でした。あとは「書くことが好きすぎて自分はライターには向いていない」と思った時期もありました。

 「好きすぎて向いていない」とは、どういうことですか?

野里 私はWebライティングを主として活動していますが、WebライティングはSEO対策や読まれるキャッチコピーなど、仕事に必要なテクニックがたくさんあります。
しかし私は自分の文章にこだわりを持っていたので……マニュアルに沿った編集をされるのがとても辛かったんです。

 それだけ思いを込めて、文章と向き合ってきたのですね。

野里 ショックだったのは、自由なテーマでの執筆をお願いされた仕事でした。特にこだわりを持って書いた箇所を、編集の方に消されていたことがあったんです。それが本当に悔しくて、Webライティング一本で仕事をしていくシビアさを痛感しました。
好きなことを仕事にするって、甘くないなって。

 好きだからこそ、大事にしたい想いやこだわりが文章に出てきますよね。
現在もライターとして活動されていますが、編集とのギャップはどう乗り越えたんですか?

野里 さまざまなライターの方々と交流をするようになって、乗り越えられました。多くの同業者と会う中で、私も「自分の書きたい文章で仕事をしていこう」と決心できました。
今は自分の名前で好きな仕事ができるようブログを育てています。いずれは自分の好きなメディアのライターになりたいです。

会社員を経験し、再びフリーランスへ

 野里さんはフリーランスとして生きていくためのノウハウを学べる「田舎フリーランス養成講座(いなフリ)」を受講された後に、そこの企画・運営メンバーとしてご活躍されていたそうですね。

野里 田舎フリーランス養成講座の運営をとおして、ディレクション業務や人材紹介など、貴重なお仕事を経験できました。そこで改めて、フリーランスとして活動をするのに、仲間の存在は大きいと感じました。
孤独な環境で一人でやるよりも、仲間と教えあったり、コミュニケーションを取りながらやる方が精神的にも安心だなって。フリーランス同士で仕事を渡しあったりもできるので、フリーランス仲間は大切ですね。

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 野里さんは会社員としての勤務経験もあるそうですね。新卒フリーランスから会社員になってみて、どうでしたか?

野里 会社員時代は、個人では経験できないような、規模の大きい仕事をさせていただきました。一度、新卒フリーランスを経験していたため「もし辞めてもなんとかなる」というような、心のゆとりもあったと思うので、働きやすさもありました。
今は再びフリーランスとして活動していますが、会社員時代の経験や人とのつながりも活きていると感じます。その意味では、会社員を経験したのはよかったかなと。

 一人でも稼げるスキルを持って会社員になるのは、一般的な新卒入社よりも精神的に安心なのかもしれないですね。そこから再度フリーランスとして活動されていく中で、心境の変化はありますか?

野里 フリーランスの界隈では、良い意味で「田舎フリーランス養成講座に関わっていた人」というイメージは強いと思うんです。でも今後はその看板に頼らずに、自分の名前でもっと広くリーチしていきたいですね。

 今後はどのようなキャリアを描いていますか?

野里 まずは自分の好きな文章で仕事ができるライターとして、成功したいと思っています。具体的には、家族問題や恋愛、働き方などをテーマに執筆したいですね。
そして自分が成功していく過程で、自分の好きな文章で仕事ができるライターのロールモデルになれたらと思います。

 とても素敵です。最後に、新卒でフリーランスを目指す人にアドバイスはありますか?

野里 「うまく甘えましょう」と伝えたいですね(笑)。
新卒フリーランスの武器は「若さ」です。若さの特権は、恥を感じずに人にモノを教えてもらえることだと思っています。最近、「初心者に戻れる人はすごい」と表現されていた方に深く共感しました。
失敗することは当たり前なので、変なプライドがないうちに「教えてください」と言えるかどうかは、成長の鍵なのかもしれません。私も過去の自分にしがみつくことなく、いつでも初心者に戻れるようにありたいです。

■野里のどか

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