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業務委託も下請法で保護される!? フリーランス/個人事業主が知っておきたい契約のヒミツ

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フリーランスの皆さまのなかには、「◯◯は下請法違反だから」など「下請法」に関する話題を聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。

下請法はクライアントの「ムチャぶり」を規制するための法律であり、弱い立場にある我々フリーランスの強い味方です。とはいえ、「重要なのは分かったけど法律の話題は眠くなる」「文字いっぱい読むのはしんどい」という人の方が圧倒的多数だと思います。

この記事では下請法の概要や適用対象についてザックリご紹介し、困ったときの相談窓口の情報をお伝えします。クライアントさんとの関係にお悩みの方は、ぜひご覧ください。

下請法ってどんな法律?

下請法とは

下請法は、発注元と受託側との間の「フェアな取引」を実現するために定められた法律です。健全な企業活動を促進する独禁法(独占禁止法)の特別法にあたり、一定の要件を満たす事業者と、あらかじめ下請法で定められた特定の取引をする場合に適用されます。

一般的に、発注元であるクライアントと下請であるフリーランスとでは、クライアントの方が圧倒的に強い立場にあります。そのため、弱い立場にあるフリーランスに不利な取引条件を押しつける、といった事態が起きることも。

そこで下請法は発注元であるクライアントの行動にさまざまな規制をかけ、フェアな取引を実現しようとしているのです。

下請法の特徴

下請法の特徴は、「資本金の金額」という客観的な基準で適用対象となる企業が決まること。

いわゆるフリーランス(個人事業主)であれば、資本金1000万円超の法人クライアントと取引する場合が「下請法の対象」になると考えておけば大丈夫です。

なお、資本金の金額は企業のホームページや登記情報で確認できます。

会社の登記情報は、登記情報提供サービスで取り寄せることが可能です。

下請法で定められていること

下請法の適用対象となった発注元(クライアント)には、さまざまな義務が課されます。

たとえば、取引内容に関する書面をする交付する義務、支払いの遅延の禁止などです。

下請法に違反する契約は無効になりますし、違反行為をした企業は行政から処分(勧告など)も受ける可能性もあります。

下請法の適用される取引

下請法は、一定の業務を「委託」する場合に適用されます。

情報成果物の制作、役務提供、物品の製造や修理などが対象の業務にあたります。

そのうち、フリーランスと関係が深いのは、ソフトウェアやデザイン、イラスト、原稿といった納品物を制作する「情報成果物の制作」。クライアントに労働力・サービスを提供し、サーバーの保守点検やデータの入出力などを行う「役務提供」でしょう。

【衝撃】あれもこれも全部違法だったの!?下請法違反になる行為の具体例

下請法で禁止されている行為には、身近なものも。今からあげる具体例のなかに「これは自分のクライアントさんにもあてはまるんじゃないか」と思えるものがあったら要注意です。

ケース1. 納品物を受け取ってくれない

フリーランスに落ち度がないのに、クライアントが納品物を受け取ってくれない場合は、下請法第4条第1項第1号で禁止される「受領拒否」として問題になります。また理由なく、成果物をフリーランスに返品する行為も「返品」として下請法第4項第1号4号で禁止されています。

ケース2. 納品後に報酬を減額された

フリーランス側に落ち度がないのに、クライアントが発注時に決めた報酬を減額する場合には、下請法第4条第1第3号で禁止されている「下請代金の減額」として問題になります。

なお、相場より極端に低い価格で仕事をさせるのも下請法違反に該当します。

ケース3. いつも口約束で仕事を引き受けている

発注側には、仕事の内容や報酬額、納期、品質に関する基準、支払期日、支払い方法といった取引条件を記載した書面(発注書や契約書など)をフリーランスに交付する義務があります。この義務に違反する場合は、下請法第3条で定める「親事業者の書面の交付義務違反」となります。

なお、この書面は必ずしも紙で交付される必要はなく、メールやSNSといった電磁的方法によって書面をやりとりすることも認められています。

ケース4. 支払期日が過ぎたのに報酬を払ってくれない

支払期日が過ぎたのに報酬を支払ってくれない場合は、下請法第4条第1項第2号で禁止される「下請代金の支払い遅延」として問題になります。

ケース5. 一方的に発注を取り消された

フリーランス側に落ち度がないのに、クライアントが一方的に発注を取り消してきた場合は、下請法第4条第2項第4号で禁止されている「不当な給付内容の変更」として問題となります。

ケース6. 本来引き受けた業務以外も任せられている

無償でメンテナンス作業を要求されたなど、本来契約にない業務までさせられている場合は、下請法第4条第2項第3項で禁止される「不当な経済上の利益の提供要請」として問題になります。

また、納品後に不当なやり直しをさせられた場合は、下請法第4号第2項第4号で禁止される「不当なやり直し」にあたり、これも下請法違反となる可能性があります。

下請法が適用できないときは?

ここまで下請法で禁止・規制される行為について見てきました。しかし、なかには「クライアント企業の資本金が1000万円未満で、下請法が使えない」という方もいるはずです。

そうした場合に、「フリーランスはまったく保護されないのか」というとまったくそんなわけはありません。この場合は一般法である独禁法の規定で保護される可能性があります。

下請法が使える場合は下請法、そうでない場合は独禁法で保護される、と考えておくとよいかもしれません。

なお、働き方によっては「労働者性」が認められ、下請法・独禁法ではなく、労働法制上の「労働者」として労働基準法や労働組合法で保護してもらえる可能性もあります。

下請法関係のトラブルに巻き込まれた場合の相談窓口・通報窓口

最後に、下請法関係のトラブルに巻き込まれた場合の相談窓口・通報窓口を3つご紹介します。

1. フリーランス110番

フリーランス110番は第二東京弁護士会が運営する、フリーランス向けのトラブル相談窓口です。無料で相談できますので、「法律事務所で弁護士さんに相談するのは気が重い」という方でも気軽に利用できます。

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2. 法律事務所の法律相談

法律事務所に直接コンタクトをとり、弁護士さんに相談にのってもらう方法もあります。最近はオンライン相談に対応している弁護士も増えているので、コロナ禍での外出を避けたい方や地方在住の方でも利用しやすいです。ちなみに相談料の相場は30分5000円程度となっています。

3. 公正取引委員会

下請法違反の行為については、公正取引委員会の方で通報・相談窓口を設置しています。

悪質な場合は公正取引委員会に通報・相談することも考えましょう。

「あれ?」と思うことがあったら必ずクライアントさんに確認を

2021年3月で経産省などが公表した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」で、下請法がフリーランスに適用されることが明記されました。今後、自分の身を守るためにも、下請法の知識がますます重要になる時代がやってくるかもしれません。

下請法違反の行為が発覚して、行政から処分を受けた企業は少なくありません。なかには相手が気づかないことを期待して、こっそり下請法違反となるような契約条件を契約書に紛れ込ませるようなケースもあるようです。

とはいえ、下請法違反となるケースの多くは、クライアント側の知識不足に原因があるともいわれています。クライアント側に悪気がない可能性も考えられますので、取引条件に関して不安なことや気になることがあったら、まずはクライアントさんに確認してみましょう。

(執筆:ぽな 編集:泉)

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