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いい文章とは「読み手に配慮した文章」だと思う

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ライター志望の方とお話をすると、「文章力が足りなくて……」という言葉をよく聞きます。でも、そういうみなさんだって、小中学校の9年間で国語を学んでいるわけですよね。少なくとも日本語において、日常会話に困るレベルの語学力しか持ち合わせていない、という人はそうそういないはずです。

反対に、ライターだからといって、国語が得意かというとそうではありません。わたしは品詞分解もできないし、本だってほとんど読みません。ぶっちゃけ、自分の文章にも大して自信がありません。

じゃあ、そんなあなたがどうしてフリーライターとしてやっていけてるの? と思いますよね。理由はシンプル。皆さんの想像する「いい文章」と、ライターに必要な「いい文章」は違うからです。

今回はフリーライターとしてさまざまなジャンルの記事を書いている少年Bが、「いい文章」を書くための方法をお伝えします! ホントにそんなんで書けるの? と疑っているあなた、わたしが書けるんだから、だいたいの人は書けます。大丈夫です!

少年B
少年B

介護士、建築士を経てフリーライター。ふざけた記事からマジメな記事まで、さまざまなジャンルで執筆中。執筆歴は2017年からですが、mixiには膨大な量の黒歴史日記があります。(X:@raira21

いい文章の定義とは?

じゃあ、いい文章っていったい何でしょうか。その問いに即答できる人は、案外少ないんじゃないかと思います。

わかりやすいこと? 表現が精緻なこと? 売れていること? 一般的には、そういった答えが脳裏に浮かんでくるんじゃないでしょうか。でも、ちょっと待ってください。

わかりやすい文章と一言でいっても、「誰にとっての」わかりやすい文章なんでしょうか。精緻な文章は、人によってはまどろっこしく思うでしょうし、売れている文章がいいなら、何でも村上春樹っぽく書けばいいってことになりませんか?

いい文章の定義は、人によって変わります。この悩みに向き合うなら、書き手にとって、いえ、この記事を読んでいる「あなたにとってのいい文章」について考える必要があります。

まずは、あなたが好きな作家やライターさん、あるいはWebメディアの文章を思い浮かべてください。それがあなたにとっての「いい文章」です。安直すぎないか!? と思われるかもしれません。でも「好きだ」と思っているんだから、あなたにとってはそれが「正解」だと思うんですよね。

ちなみに、わたしは『デイリーポータルZ』というWebサイトがすごく好きだったので、最初のころはまさに「デイリーっぽい」文章を書いていました。

デイリーポータルZにはたくさんのライターさんがいますが、複数人の特徴をある程度ミックスして、「ぼくのかんがえたさいきょうのデイリーポータルZ」みたいなイメージで書いていました。当時は一人称も「おれ」だったんですよ。いま思い出すとちょっと恥ずかしいですね……。

わるい文章とは「読者に伝わらない文章」だと思う

さて、じゃあ反対に「わるい文章」とは何でしょうか。これは単純で、わたしは「読者に伝わらない文章」だと思っています。

先ほどは「いい文章」の話をしましたよね。ここで質問です。あなたが好きになった文章は、わかりづらかったですか? きっと、多くの人は「わかりやすい文章だ!」と思ったはずです。「自分にすっとわかりやすく入ってきた」から好きになったんじゃないかな、と思います。

たとえば小説の場合でも、情景が目に浮かぶような細やかな描写は「わかりやすかった」と言うことができますよね。

ただ注意したいのは「誰にとって読みやすく、わかりやすい文章にするのか」ということ。たとえば「中学生がわかるように書こう」などと言われることもありますし、わたしもよく言っています。たしかに、一般向けに書くならそれは正しいでしょう。

でも、たとえば「ラーメンには大きく分けて4種類の味があります。しょうゆ、しお、みそ、とんこつです」と書かれていたらどうでしょう。「そんなこと知ってるよ!!!」と言いたくなる人がほとんどじゃありませんか?

きっと読み手は「いちいちわかり切ったことを書きやがって」と面倒くさくなりますし、逆に読みづらい文章と感じてしまうかもしれません。相手に専門知識がある前提ですが、とくに業界向けに書く場合などは細かい説明を省略することで「読みやすい文章」になることもあります。

文体に悩んだときは「あなたが書いてみたいと思うメディア」のことを考えてみましょう。そのメディアは、どんな人に向けて記事を書いていますか? ブログを書きたいのであれば、どんな人にその文章を伝えたいですか? 一番大事なのは、どんな人に文章を届けたいか、です。

それが決まっていない文章のことを、わたしは「わるい文章」だと思っています。

いい文章の書き方

「いい文章」の定義が決まったところで、それを書くための方法をお伝えしますね。

ステップ1. いい文章の型を見つける

「好きな文章がない」という人は、それを見つけるところから。できれば、自分が書きたいことに近いジャンルで書いている人だといいでしょう。

たとえば、あなたが「グルメ」をテーマに書きたい、と考えているとします。そんなあなたがエッセイストの文章に憧れても、同じ要領ででグルメ記事を書くのは難しいですよね。「体験記」「インタビュー」「エッセイ」のように、大きなくくりのジャンルが違うと、自分が書く文章に生かしにくくなります。

もし、あなたがライターとして活動していきたいなら、「自分が書いてみたいな」と思うメディアを探してみるのがいいでしょう。

文章を書きたい理由として真っ先に上がるのは「テーマ」だと思うんですが、それでも、そのテーマを扱っているメディアの記事を詳しく見ていたら、「この人の文章、好きだなぁ」と思うライターが見つかるはずです。

また、自分の書きたいジャンルと多少ズレていても、参考になる場合があります。たとえば「旅行ライター」として素敵な文章を書くライターがいれば、その記事のなかには「グルメ」や「街歩き」といった分野が出てきますよね。そこにはグルメライターに生かせる要素があるはずです。

ほかにも、「体験して書く」というくくりで書いているライターであれば、グルメというジャンルの参考になるような「いい文章」を書いている場合が多いんです。

自分が書きたいジャンルのなかで、好きなメディアやライターを探す。それが「いい文章の型」を見つけるコツです。

ステップ2. はじめは「憑依させて書く」

「いい文章」のお手本が見つかったら、まずは「憑依させて書く」のがおすすめです。……ちょっと何を言ってるのかわかんないと思うので、解説しますね。

わかりやすく言えば「誰かになりきって書く」ということ。あなたの好きなライターさんの文章を、記事10~20本分ぐらい読んでみましょう。きっと、その人のクセのようなものが見えてくるはずです。

「この人、体言止めが好きだな」「この例えをよく使うな」「こういうところによく注目しているな」……そんなクセがいくつか見つかったらチャンスです。もし見つからない、という方は、記事を見ながら紙に書き写してみるといいかもしれません。

「このテーマなら、この人はどう書くだろう」。そんなことを考えながら書いてみましょう。実際に似ているか似ていないかはどうでもいいんです。実際にその人がそのテーマで書いた記事を見ないと、正解はわからないんですから。

でも「その人風」に書いていると、なんとなく自分の好みっぽい文章になりませんか? これが「いい文章」を書くための第一歩です。

ステップ3. 次第に自分の文章が見つかる

こうやって何本か記事を書いていくと、「いや、でもこうじゃないんだよな……」という気持ちになりますよね。あの人の劣化コピーみたいな、そういう文章が書きたいわけじゃないんだよ、と。

その気持ちは、自分の文章が見つかる予兆です。ここをもっと、ああしてこうして……。そのうちに、元の文章にはなかったアレンジの数々が加わります。気がついたら、参考にしていた元の文章からガラッと変わってしまうこともあるかもしれません。でも、それがあなたの思う本当の「いい文章」なんです。

もし「こっちのほうがいいんじゃないか?」と思わなかったら、「もっとよくしたい」と思わなかったら、アレンジを加えようとさえ思いません。ひたすら真似て書いているうちに、自我が芽生えてくるんですよね。

かくいうわたしも、ライターになりたての頃に書いていた文章と、いま書いている文章はだいぶ変わってしまいました。でも「いまの文章のほうが好みだなぁ」と思ったりもします。

読み手に配慮した文章を書こう

あなたが文章を書きたいと思った理由について、もう一度考えてみましょう。最初の目的は「自分の想いを伝えたい」だったはずです。

そう、文章なんて、あくまでも手段のひとつなんです。それなのに「文章力が足りないから書けなくて……」とうじうじしているのは、文章を書くことが目的になっているからではないでしょうか。

だから、いい文章を書くためのコツは、読み手に配慮した文章を書くことに尽きるとわたしは思います。この文章を届けたい相手はいったいどんな人なのか、どういう表現を使えばわかりやすいのか。それを考えて書いたものが「いい文章」なんじゃないでしょうか。

ただ、ひとつだけ注意しなきゃいけないことがあります。

よく「読みたいものを書けばいい」なんて言葉を聞きます。わたしもおおむね賛成の立場です。でも、じつはこの言葉には陥りやすい罠があるんですよね。

それは「自分の好きなものを、人も好きとは限らない」ということ。たとえば、わたしはぶどうマニアなので「古今東西、すべてのぶどうが網羅されたぶどう大全集」があれば、絶対に読みたい!!! と思います。ですが、同じようにそれを読んでみたいと思う人はどれだけいるの? ってことなんですよね。

それなら、いろんな果物が載っている「果物図鑑」のほうが需要があるし、ぶどうに焦点を当てるなら「シャインマスカットの次に流行るぶどうをまとめた本」のほうが、読み手の興味を惹くはずですよね。

ついでに言うなら、個人的に「少年B最高! 1000年に一度の天才!」と褒めていただける文章はぜひ読んでみたいと思うのですが、残念ながらそれを読みたいと思うのはこの世でわたしひとりでしょう。自分が読みたいからといって、独りよがりの文章になってしまうと、「いい文章」からはどんどん遠ざかってしまいます。

だから、この言葉を補足するなら「(自分が読み手なら)読みたいものを書けばいい」、ということになるわけですね。

もちろん、どんな文章を書くかは個人の自由です。しかし「自分の想いや感情を伝えたい」あるいは「プロのライターとして活躍していきたい」と思ったなら、独りよがりな文章ではなく、読み手のことを考えた“いい文章”を目指してみてください!

(執筆:少年B 編集:北村有)

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