近年、本業以外の空き時間に副業(すきまワーク)を行なっている人が増えてきています。Lancersの調査によると、副業従事者の人口は2018年現在で744万人であり、経済規模は7.8兆円と推定されています。

lancers reseach 2018

フリーランス実態調査より引用

右肩上がりに成長し続けている副業市場ですが、一方で副業を禁止している会社は未だに多くあります。

しかし、企業が副業を禁止することは、法的に有効なのでしょうか。今回はそのあたりを深掘りしていこうと思います。

 

副業禁止は憲法違反?!

違法 イメージ

日本国民憲法の第22条では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と規定されています。
このように、日本では職業選択の自由が保証されており、その中には副業をおこなう自由も含まれるのです。

そのため、サラリーマンの副業を会社が理由もなく禁止するのは憲法違反です。

ただし、「公共の福祉に反しない限り」という但し書きがあります。公共の福祉とは一体どのようなものでしょうか。

「公共の福祉」によって副業は制限される?

公共の福祉とは、自分と他人との人権衝突を調整するためのルールです。人間が社会活動をおこなうと、何かしらの人権衝突が必ず起こります。
その際に、お互い妥協して歩み寄るという考えが公共の福祉です。人権はいつ何時でも完全に保証されるものではなく、公共の福祉によって一定の制約を受ける時があるのです。

 

たとえば、週刊誌が芸能人のお泊りデートをスキャンダルとして報道したとします。
週刊誌は日本国憲法の第21条「表現の自由」という正当な人権のもと、報道を行いました。しかし、憲法では同時に第13条で「プライバシー権」が認められているため、スキャンダル報道された芸能人はプライバシーという人権を侵害されたことになります。ここで週刊誌側と芸能人の間で人権衝突が発生しています。

このような場合において、公共の福祉のもと「どちらの権利が優先されるべきか」が問われます。もちろんケースバイケースですが、芸能人が週刊誌側に表現を控えめにしてもらうよう要請することはできるでしょう。

 

では、企業が社員の副業を禁止するのは、公共の福祉として認められるのでしょうか。

結論をいうと、限りなく黒に近いグレーです。

会社員が副業をすることで、睡眠時間や勉強時間が削られ、本業がおろそかになる可能性がある、というのが企業が副業を禁止する大きな理由の一つでしょう。
しかし、副業によって会社側に実害があることを証明するのは難しく(証明できる場合は副業を禁止される可能性もあります)、会社員の副業を禁止する理由にはなり得ません。

以上より、会社側が副業を禁止するのは公共の福祉によるものではなく、サラリーマンの人権を一方的に侵すのみであり、憲法違反の可能性があるといえます。

 

「副業禁止」が認められるケース/認められないケース

認められる場合、認められない場合

副業禁止は憲法違反の可能性がありますが、一方で副業禁止が認められる場合はどのようなケースがあるのでしょうか。

「副業禁止」が認められるケース

まず会社の就業規則によって副業が禁止される可能性があるのは、以下のようなパターンがあります。

  1. 副業の疲れにより本業がおろそかになっている場合
  2. 本業と副業が競合関係にある場合
  3. 本業が公務員である場合

それぞれ順に見ていきましょう。

1. 副業の疲れにより本業がおろそかになっている場合

副業のために夜遅くまで働くことで、疲れが徐々に蓄積していくことが考えられます。
当たり前ですが、副業の疲れのために本業でウトウトしたり、タスク処理が遅くなったりした場合は副業を禁止されても仕方ありません。

実際に、毎晩6時間にも及ぶ副業を行い、本業の会社に解雇されたという事例もあります。裁判所はこれを「本業に何らかの支障をきたす可能性が高い」としており、正当な解雇であると認めました。

副業をするなら、本業に支障が出ないように自己管理はしっかり行いましょう。もちろん、週一回程度の軽微な副業を理由に「副業禁止」が言い渡されるのは道理に反します。

2. 本業と副業が競合関係にある場合

社員が自社サービスの競合となる事業を副業として行なっていたとしたら、企業は黙認することはできないでしょう。

顧客が社員の副業に取られたりなどしたら、企業としてはたまったものではありません。会社に損害を与えたとして解雇され、損害賠償を請求される可能性もあります。

副業をおこなう際は、なるべく本業と競合しない内容のものを選びましょう。

3. 本業が公務員である場合

本業が公務員の場合、残念ながら法律により副業が制限されています(国家公務員法第103/104条、地方公務員法第38条)。

公務員は本業で市民の個人情報などを扱う関係上、一般の会社員よりも強い守秘義務が求められます。公的な内部情報を外部に漏らさないために、副業を制限しているという側面はあります。

また、公務員は国民の奉仕者として公正中立な立場を要求されるため、特定の企業・業種に利益を与えるような行為は認められません。社会的信頼を損なわないために、副業が制限されているのでしょう。

なお、不動産などの賃貸や農業など、一部の副業は認められる場合もあります。ただし、国家公務員が副業をおこなう場合は内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を、地方公務員の場合は任命権者の許可を必要とします。
許可をもらわずに副業をおこなうと違法となりますのでご注意ください。

 

「副業禁止」が認められないケース

一方で、会社による副業禁止が無効となるのは以下のようなケースがあります。

  1. 就業規則に「副業禁止」と書かれている
  2. 本業より副業の方が多く稼いでいる

順に見ていきましょう。

1. 就業規則に「副業禁止」と書かれている

歴史のある企業では、就業規則により副業が禁止されている場合がよくあります。しかし、就労規則は「就業上遵守すべき規則」であり、会社での就業以外の余暇時間を拘束する力はありません。

したがって、たとえ就業規則に副業禁止の旨が書かれていたとしても、実質的な効力は持ちません。

2. 本業より副業の方が多く稼いでいる

副業の方が本業より稼いでおり、勤務先から注意されるケースもよくあります。

副業で多く稼いでいる場合、ある程度その界隈で有名になっている可能性があります。そして勤務先に副業が見つかってしまうことも……。

しかし、本業より副業で多く稼いでいたとしても、それを理由に会社は副業をやめさせることはできません。
先述した通り、副業により本業に何かしらの支障が出ている場合は問題があります。しかし本業でしっかり成果をあげている場合は、会社は社員に対して副業をやめさせる権限を持ちません。

単なる妬みそねみから副業をやめるように言われる場合も多いので、毅然とした態度で立ち向かいましょう。

 

副業はなぜバレるのか

対処法 イメージ

もし副業が禁止されている会社で、自分が行なっている副業がバレてしまった時はどう対処すれば良いのでしょうか。

なぜ副業はバレるのか

そもそも副業はなぜバレてしまうのでしょうか。副業が勤務先にバレるパターンとして以下のようなものがあります。

  1. 住民税の金額でバレる
  2. ネットビジネスで有名になってバレる
  3. マイナンバーと確定申告忘れでバレる

それぞれ順に見ていきましょう。

1. 住民税の金額でバレる

会社員の住民税は、本人の代わりに会社が支払う場合がほとんどです(住民税は給与から天引きされます)。

しかし、住民税は社員の「全ての」収入を合算して税務署から請求されるため、副業で稼いだ分の住民税も含まれることになります。会社の経理部門の人がどの程度目を光らせているかにもよりますが、住民税の金額で副業がバレることはよくあります。

副業がバレたくない人は、住民税を自分で納付することをおすすめします。

2. ネットビジネスで有名になってバレる

近年はインターネットを用いた副業が盛んに行われていますが、あまり有名になりすぎると他の会社員にバレるリスクが上がります。

特にネットショップなどを運営している場合は、名前や住所などの情報をサイトに掲載する必要があるためバレる危険性が高いです。

またハンドルネームでブログ活動などをしている場合でも、顔出ししていたら普通にバレます。副業が勤務先の会社にバレたくない場合は、なるべく個人情報をネット上に公開しないよう気をつけましょう。

3. マイナンバーと確定申告忘れでバレる

マイナンバーで副業がバレることを心配している人もいますが、民間企業は社会保障と税金関係以外で個人のマイナンバーを利用することはできません。
したがってマイナンバーによって副業がバレることは通常ありえません。

しかし、副業の確定申告を忘れると、マイナンバーに紐づけられた本業の勤務先に連絡が行くことがあります。

副業の収入が年間20万円以上ある場合、年度末に確定申告が必要となります。しかし確定申告をしなかった場合、税務調査が入り給与の差し押さえが発生する場合があります。そうなると、最も高い収入源である会社に連絡がいきます。

確定申告は国民の義務です。副業がバレるバレないに関わらず、しっかりおこないましょう。

 

副業がバレた時の対処法

副業 バレ イメージ
もし副業がバレたら、サラリーマンはどう対処すれば良いのでしょうか。

バレた時の会社の対応別にご紹介します。

Q1. 副業をやめるように言われたら?→適当な言い訳をしよう!

副業をやめるように言われたら、適当な言い訳をつけてケムに巻きましょう。

「副業の収入はほとんどない」「家族から頼まれて仕方なくやっている」「急な出費があり本業の収入だけでは生活できない」などが有効です。

ただし、副業を辞めるように言われた後でも副業を続けるなら、今まで以上に本業を頑張る必要があります。本業に支障が出ると、周りから「副業しているから仕事に集中できないんじゃない?」と責められるからです。

もちろん、素直に副業をやめるのも自由です。

Q2. 「副業は就業規則違反だ」と言われたら?→「副業禁止は憲法違反だ」と返そう!

先述した通り、副業禁止が就業規則に記載されている場合でも、法的には何の効力もありません。

繰り返しになりますが、副業禁止は憲法違反です。毅然とした態度で立ち向かいましょう。

もちろん、副業により本業に支障が出ていないこと、副業が本業と競合関係にないこと、公務員でないことが大前提となります。

Q3. クビを宣告されたら?→「解雇権の濫用」で対抗せよ!

もし副業がバレたことで解雇を言い渡された場合は、「解雇権の濫用」を理由に会社と闘いましょう。

労働基準法の第16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と書かれています。

副業をしたことにより、本業の会社に対して多大な損害を与えた場合は別ですが、単に副業を行なっただけで解雇を言い渡すのは「客観的に合理的」とは言えません。

これは就業規則に「副業をした者は懲戒免職とする」と書かれていた場合でも無効です。先述の通り就業規則に法的拘束力はなく、解雇権の濫用に当たります。

 

まとめ

いかがでしたか?

近年は働き方改革の影響もあり、副業を認める会社も多くなってきました。中にはロート製薬のように、副業を積極的に認める企業も現れています。(参考

この機会に副業について理解を深め、副業のあり方について考えてみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

<本記事の参考文献>

電子政府の総合窓口 e-Gov
日本国憲法労働基準法 / 国家公務員法地方公務員法 (いずれも2018/04/26閲覧)

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