【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
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副業をしたいけれど、会社の規程で禁止されている。そんな方も多いのではないでしょうか?
「副業解禁」といわれ、政府が副業を後押しするなか、そもそもなぜ副業禁止の企業があるのでしょうか?
副業・兼業の実務に詳しい堀田 陽平弁護士に聞きました。
弁護士(日比谷タックス&ロー弁護士法人所属)。2020年9月まで経済産業省産業人材政策室に任期付き職員として就任し、兼業・副業やテレワーク定着等の柔軟な働き方の促進、フリーランスの活躍、人材版伊藤レポート策定等、生産性向上に向けた働き方改革の推進に従事。現在の法律事務所復帰後も兼業・副業の促進等働き方に関する寄稿やセミナー等を行う。
目次
働き方改革以降、副業を積極的に推進する企業も増えてきています。
しかし、上記の調査結果にあるとおり、いまだに副業を禁止する企業も相当数あります。
企業が副業を認めない理由として最も大きいのは、「自社の業務に専念してもらいたいから」、次いで「疲労による業務効率の低下が懸念されるから」といった理由となっています。
まとめると、「本業に支障が出てしまうのではないか」という雇用主側の心配が、副業を禁止する大きな理由といえるでしょう。
昨今では、複数の仕事を持つことを「副業」という他、「兼業」や「複業」などと呼ぶことがあります。
いずれも明確に定義されているものではないですが、下記の場合を指していることが多いでしょう。
もっとも、これらは法的定義があるわけではないため、どれに当たるかを考えることに法的な意味はありません。
国家公務員や地方公務員については、法律をもって副業は原則禁止されています(国家公務員法103条、同法104条、地方公務員法38条)。副業を行う場合、任命権者に許可を得る必要があります。
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一方、民間企業に対しては、副業を禁止する法律もなければ、副業を禁止してはいけないという法律の定めもありません。企業の就業規則ないしは労働契約でどのように定めるかが問題となり、多くの企業において、副業は禁止ないしは許可制とされていることになります。
就業規則で副業を禁止している企業で副業をした場合や、副業にあたり許可が必要な企業で無許可での副業をした場合、形式的には就業規則違反となります。
ですが、それをもってただちに懲戒処分が有効になるかというと、裁判実務上はそうはなっていません。
裁判実務上、副業は労働時間外の行為であることから、原則として禁止することはできないと考えられています(学説上は、職業選択の自由(憲法22条1項)も根拠としています)。
こうした考え方を前提に、裁判実務上は就業規則に「副業を禁止する」と定められていても、「労務の提供に支障が生じたり、競業となるなど企業の利益を害するような態様の副業のみを禁止する趣旨である」と読み替えて(解釈して)、下記の判断を下すものが多く見られます。
なお、古い裁判例では、副業を一切禁止する就業規則を無効とするものもあります。
上記のような裁判実務に照らし、仮に就業規則において副業が禁止されている場合でも、一定の場合には副業は可能ということになります。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、裁判例を前提に、副業を禁止することができるのは以下のような場合に限られるとしています。
副業は黙っていても、企業に発覚されることがあり得ます。
まず、住民税の特別徴収との関係で、自社での給与に対して住民税が高すぎる場合、他に収入を得ていることが発覚する可能性があります。
また、両方で社会保険の加入条件を満たす場合、「二以上事業所勤務届」を提出することとなり、社会保険料は本業先と副業先の双方の標準報酬月額によって計算され、社会保険料の納付は各企業(事業所)の報酬で按分することとなります。
その結果、本業先には「健康保険・厚生年金保険資格取得確認、二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書」が送られ、企業に副業が発覚する可能性があります。
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さて、冒頭述べたとおり「副業解禁」という言葉はよく耳にしますが、これまで述べてきたとおり、法的には、そもそも副業は一度も禁止されたことはありません。その意味では、「解禁」という表現は適切ではないといえます。
しかし、だからといって企業に隠れて副業を行うことは企業との信頼関係上好ましくないですし、働き手の精神衛生上も好ましくないでしょう。
副業を希望する場合には、副業は原則として自由であることを前提とし、企業に申請を行う方がよいでしょう。
(執筆&協力:堀田 陽平弁護士 編集:まつもと 提供元:日比谷タックス&ロー弁護士法人)
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