エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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テクノロジーは単純な業務効率化のためだけでなく、ビジネスそのものに革新をもたらしつつあります。いまや新しいクリエィティビティを生み出す上で、テクノロジーは欠かせない存在です。
ですが、革新的ビジネスを生み出すテクノロジーは決して、複雑なソフトウェアである必要はありません。大切なのは、適切なデータ分析です。
データ分析は、新規顧客獲得や顧客満足度の向上、消費者との有意義な関係性構築といった、さまざまな場面で活躍します。
今回はデータ分析をもとにした実店舗ビジネス展開の可能性について、実際の事例も含めてご紹介します。
デジタル領域が進化することでデータの活用の可能性が年々高まっており、データ分析を行うことはもはや当たり前になりつつあります。
一方で長く続いているビジネスほど、データドリブンなテクノロジー導入を拒みがちです。そして同時にテクノロジーを適切に導入できる人材が十分にいないことも、データドリブンな体制を受け入れられない大きな理由のひとつになっています。
実際に、最高情報責任者(CIO)の65%が「技術的スキル不足がこれからのビジネス成長に影響する」と述べており、テクノロジーに強い人材の採用は優先すべき問題としています。
また米国通信機器メーカー『Cisco(シスコシステムズ)』のCEOを20年間務めたJohn Chambers氏も同様に「テクノロジーの変化についていけなかった3分の1のビジネスが、次の10年間のうちに潰れる」と予測しており、その様子を「私たちが ”破壊的な” イノベーションを起こすか、または逆に私たちが ”破壊される” かだ」と述べています。
この進歩を妨げる大きな壁は、物事の「見方」です。従来の企業概念にとらわれずに、ビジネスのリーダーたちが継続的に新しい技術を学び続け、使えるテクノロジーに適応していく企業文化を作り出すことが求められるでしょう。
近年のデータ分析の力を侮ることはできません。例えば、米国の百貨店チェーン・TargetのAndrew Pole氏は2010年、Targetで買い物をする人が「妊娠をしているかどうか」をデータ分析を使って導き出すことに成功しました。
新規顧客獲得のために、Targetではもうすぐ母になる人に向けて、妊娠や新生児のための商品を安く販売するキャンペーンを行っていました。そのときPole氏は、大きめの鞄、特定のビタミン剤、オーガニック美容品などを購入するという、妊婦の人に共通して見られる購買パターンがあることに気がつきました。
そこでPole氏は、購買者のデモグラフィック情報と購買履歴を比較して、女性購買者が妊婦である確率を計算するアルゴリズムを開発しました。購買者の購買行動が特定のパターンと適合した場合には、その人に妊婦限定のクーポンが送られました。
彼の考案したアルゴリズムはとても正確でした。正確すぎてあるとき、「娘がこのクーポンを受け取っているのはなぜだ」とTargetの店舗管理者にクレームを突きつけてきた父親が、後になって「自分の娘が本当は妊娠をしていた」と謝罪に戻ってきたくらいです。
Pole氏のような形で店舗販売ビジネスにビックデータを導入する例は、決して新しいことではないでしょう。しかし彼がカスタマイズした分析システムが、消費者の行動をもとにして売上を向上させたことは間違いありません。
フィットネスジムは店舗ビジネスの中でも、データ分析の導入が遅れているビジネスのひとつです。ただしテクノロジーの進化という意味ではむしろ進んでいるビジネスであり、ここに活用可能な大量のデータが眠っています。
フィットネス業界の進化は、私たちのスマートフォンから見て取れます。今では走行距離からカロリー消費量、筋肉量の増加をアプリ上から簡単にトラッキングし、観察・記録できるようになりました。
フィットネスジムでも、最新の管理ソフトウェアやAI搭載のトレーニングマシンなど、さまざまなテクノロジーを提供しています。サイクリングマシンはバーチャルな自転車競走が可能になり、また自動チェックイン機能により24時間いつでも好きな時にジムを利用できるようになりました。
フィットネスジムの仕組みや設備は、データ分析でジム会員のフィットネス体験を向上させるために最適といえます。なぜならフィットネスジムは、一般的な店舗販売ビジネスよりも「自社データ(ファーストパーティデータ)」を集めやすいためです。
まずジム会員になるためには、個人情報やジム側から求められる情報を開示しなければなりません。またジムの訪問履歴、レッスン受講履歴、購入履歴などもデータとして残るため、データ分析担当者にとっては会員の行動パターン分析に必要な情報が数多く存在することになります。もし会員がジムに来なくても、ジム側としては満足度の低下や解約に繋がるデータとして判断できます。
またマクロレベルで見ると、過去の販売実績から現在の在庫や仕入れ状況をもとにデータ分析することで売上予測ができ、売上額の維持・向上のためにビジネス戦略を立てることも可能です。売上を生み出しているサービス(会員料金、商品の購入、追加レッスンまたはトレーニングの料金)は何で、それぞれが売上にどれくらい貢献しているか、といった情報も確認できます。
さらにこの情報をもとに、ジムのどのサービスを改善すべきか明らかになることも重要なポイントです。複数のジムを運営している場合でも、データ分析によってそれぞれのジム店舗の売上予測を比較し、売上が低調なジムや訪問者が少ないジムを割り出し、各店舗ごとに改善点を指摘できます。
データ分析は、フィットネスジムのレッスンスケジュールを決める際にも大活躍します。参加したくなるレッスンを提供することはもちろんですが、最適な時間帯にレッスンを設けることで、十分な参加人数を獲得でき、最終的には会員の満足度向上につながります。
会員のデモグラフィック属性(年齢や性別、職業などの人口統計学的な要素)によって、ジムが一番混雑する時間帯は異なります。例えば年配の会員は朝に、若年の会員は夜にジムに訪れる傾向があります。過去のレッスン受講履歴とレビュー感想を分析して、一番人気な時間帯に、人気な講師のレッスンを開講しましょう。
同様に、デモグラフィック属性ごとに一番混雑する時間帯を分析することで、特定の年齢層が参加しやすい時間帯にレッスンを開講できます。この戦略は間違いなく効果的です。なぜなら、一番混雑する時間帯に参加できるレッスンやトレーニングがたくさんあれば、有酸素系マシンやフリーウエイトのエリアが混雑せずに済むからです。
スケジュール変更でレッスンを他の講師で補ったり、全く異なるレッスンを行ったりすることが必要な場合にも、データ分析の力を借りましょう。特定の会員が満足する時間帯やレッスン内容を見つけられます。
フィットネスジムでは、データ分析が役立つエリアがたくさんありますが、一方で業界最大の課題である「解約率」を予測したり、会員が解約する理由を明らかにしたりするのにはあまり向いていません。とはいえ、会員が解約するリスクがある行動パターンを導き出すことは可能です。
前述したとおり、自然に集められた会員に関する情報やデータは、会員のさまざまな行動パターンを理解したい際に活躍します。
分析チームは、ジムのピーク・オフピーク時間帯、会員の利用パターンなどを特定して、中立的な条件を検討します。次にするのは、解約に繋がる行動パターンの調査です。調査すべき行動パターンとして、ジム訪問率、商品購入率、フィットネス目標の進捗、オンライン上でのエンゲージメント、契約期間、レッスン予約率・出席率、そして個人のデモグラフィック属性があります。
これらのデータを分類して、過去に解約した会員の行動パターンデータと比較することで、解約のリスクがある会員を特定できます。そのような会員には、限定で「特別な特典」を提供し、解約を防ぎましょう。
この「特別な特典」を提供すると、この特典を使ってジムを使いたくなるだけでなく、個人的に特典をもらえたことへの特別感を感じます。これは非常にシンプルな方法ですが、誠意を会員に見せることで、ジム管理側とユーザーの間の溝を埋め、ポジティブな関係性を築けるのです。
データ分析のおかげで、ジム管理者は直感ではなく、会員の満足度のデータや予測に基づいて決断できます。そして解約のリスクがある会員や会員全体の満足度をあげる対策によって、解約を阻止するだけでなく、ジムのサービスや商品、レッスン、トレーニングからの売上を最大化できるのも魅力です。
さらに、このデータは同時に、解約をするリスクのない会員の行動パターンを明らかにしています。ジムによく訪れ、売上に貢献している会員の平均的デモグラフィック情報や、よく参加するレッスン、流入経路を特定し、その内容を広告メッセージに使うなどして新規顧客獲得に役立てましょう。
データ分析そのものは、百貨店やフィットネス業界に限らず、どんな分野でも活用できるはずです。デジタル時代にいる私たちは、必要に応じてそれに適応していく必要があるでしょう。
「私たちが ”破壊的な” イノベーションを起こすか、または逆に私たちが ”破壊される” か」それを決めるのは、あなたです。
(原文:Laura DiBiase 翻訳:Onishi Reina)
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