【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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「パフォーマンスでお金がもらえることを知った」
パフォーマンスの世界というと、狭き門なイメージがありますが、そんな世界で生計を立てている人は確かにいます。
今回はジャグリングやマジックを中心に、パフォーマーとして活動する瞬時さんにお話を伺いました。
大学卒業後すぐにパフォーマーとして独立し、1年目からクルーズ船に乗ってパフォーマンスをするなど、大きな活躍をする瞬時さん。あまり知られていない、パフォーマンスで働く姿のリアルに迫ります。
1993年生まれ。静岡県出身。大学卒業と同時にプロパフォーマーとしての活動を開始。さまざまな形の物体を操るジャグリング、物体の変形や消失を見せるマジック、相手の心理を操るメンタリズム等を行い、日本各地で活動中。テーブル越しに目の前で行うパフォーマンスから、豪華客船のステージ上で行うパフォーマンスまで、幅広く活動する。
ライター。インタビューやコラムなど物語のある文章を中心に執筆。企画、編集、ディレクションも行う。熱すぎず、半身浴のようにじんわり伝わる表現を研究中。
はつこ:本日はよろしくお願いします。さっそくパフォーマンスを見せていただけるんですか!?
瞬時:はい! 今日はフォークを持ってきました。
はつこ:普通のフォークですね……。
はつこ:!!!!!!!
はつこ:ええ!? 曲がった!? 触ってないのに!!
瞬時:ここも曲げていきますね。
はつこ:針金みたいにくねくね曲がる……! なんで!?
瞬時:パフォーマーの瞬時です。今日はよろしくお願いします。
はつこ:……! カードスタンドになった! すごい、すごすぎる……!
目次
はつこ:瞬時さんは、どうしてパフォーマーを始めようと思ったんですか?
瞬時:大学生になったとき、大道芸サークルに入ったのがきっかけですね。
本当はテニス部に入ろうと思っていたんですけど、週6で練習があると聞いて……。もう少し練習がすくない別のサークルを探していたら、大道芸サークルを見つけて。面白そうだなと思って入りました。最初はただの興味本位でしたね。
はつこ:へえ〜! 大道芸サークルなら練習が少なかったんですね。
瞬時:そう思って入ったんですけど、フタを開けてみたら週7で練習していましたね。
はつこ:え! テニス部より練習してるじゃないですか!
瞬時:結果的にそうなっちゃいましたね(笑)。強制じゃなかったんですけど、パフォーマンスにハマっちゃったんですよね。好きなことなら、いくらでもできるなと。
はつこ:好きだからこそ、週7でも辛くなかったんですね!
瞬時:そうですね。そして練習を続けるなかで、ジャグリングの大会があることを知ったんですが、僕はそこに「出たい、勝ちたい!」と思って。なので、サークルの中でも練習しているほうでしたね。
はつこ:へえ〜。実際に大会には出たのですか?
瞬時:関東学生大会に出たりしていましたね。じつは最近では逆に、大会の審査員側をやってます。
はつこ:すごい! いまは見極める側なんですね。審査員をやってお金をもらうのはイメージできるのですが、瞬時さんはパフォーマンス自体をメインに生計を立てていますよね。
瞬時:そうですね。
はつこ:どういった経緯で、パフォーマンスでお金を稼ぎ始めたんですか?
瞬時:もともとは大学の大道芸サークルに、お仕事の依頼が来ていたんです。地域のお祭りや老人ホーム、幼稚園などから呼ばれてサークルメンバーで行き、パフォーマンスをしていましたね。
ただ、頂いた出演料は自分たちメンバーに振り分けられるのではなく、サークルの運営費になっていましたけどね。
なので自分自身が稼いでいる感覚はなかったのですが、この経験から「パフォーマンスってちゃんとお金がもらえるんだな」ということに気づけました。「サークル単位でパフォーマンスの仕事を受けて◯万円が動くなら、一人でやると△万円くらいもらえるかもな」って。
はつこ:なるほど。サークルの活動をとおして、パフォーマンスがお金に繋がっていく構造が見れたわけですね。
大学卒業後は就職せず、パフォーマーとして独立する道を選択されたそうですが、それくらい食べていける感覚があったということですか?
瞬時:正直、しっかり目処が立っていたかといえば、そうではなかったんですけどね。
ちょうど進路を考えていたときに、ミニマリストのしぶ君という人に出会ったんです。彼から「生活に必要な最低限の収入を計算する方法」を学んで、実際に計算してみたんです。そしたら「最悪アルバイトしながらであれば、パフォーマンスで生活できるかもな」と気づいて。それで、自分の人生だし、自分のやりたいほうに行っちゃおうと思いました。
はつこ:お〜、すごい決断ですね。
瞬時:ちょうどこの時期にパフォーマンスの師匠の謳歌さんとも出会い、弟子入りできたことも大きいですね。パフォーマンスの道に踏み出す決断ができました。
はつこ:周りの方はどんな反応でしたか?
瞬時:サークルで仲の良かった友達は「おお、やる気だなあ」みたいな(笑)。家族には最初、呆れられていましたね。
実はこのとき大学院の試験に受かってて、「就職するか」「大学院に進学するか」「プロのパフォーマーとして独立するか」の3択があったんですよ。
はつこ:ええ……! 大学院進学を蹴ってパフォーマーを選んでたんですね。
瞬時:そうなんですよ。結局、入学に必要な資料を期限までに出さず、パフォーマーの道を選びました。
はつこ:強い意志があったんですね。
瞬時:そうですね。「父さん、母さん、ごめん……」と思いながらも押し切りました。
はつこ:大学卒業後は、プロのパフォーマーとしてどのようにお仕事を獲得していったんですか?
瞬時:最初は地元の知り合いに紹介してもらって、地元のイベントに出ていましたね。あとはTwitterでイベントを主催している人や、パフォーマーを募集してる人を探して知り合って、お仕事を紹介してもらっていました。
はつこ:なるほど、知り合いを増やしていったんですね。
瞬時:人と会うっていうのは大切にしていますね。Twitterで見つけて、自分からDMを送ることもありますよ。
あとパフォーマーやイベント主催者と知り合っていくのはもちろんですが、意識的に自分と違う業界の人と繋がっていくようにもしています。
はつこ:違う業界というのは、どうしてですか?
瞬時:たとえば僕が、ライターのはつこさんと知り合えば、文章の書き方を教えてもらえるじゃないですか。違う業界の人と会うのは、自分が持ってないスキルを得られるチャンスなんです。
はつこ:うんうん。
瞬時:あと、パフォーマー界隈だけにいると、パフォーマーのネットワークしかなくなっちゃうんですよね。一歩外に出ることで、別ジャンルの友達を増やせる。そうやって垣根を無くして、可能性を広げていきたいっていうのはありますね。
はつこ:へえ〜! 別ジャンルの繋がりから、お仕事に繋がったことはありますか?
瞬時:ありますね。「トークショーをやりませんか」とか、「群馬まできてパフォーマンスやってください」とか。
はつこ:おお〜! すごいですね。
瞬時:仕事目的で仲良くなっているわけではなくても、結果的にお仕事に繋がっていく場合はありますね。
はつこ:パフォーマーを始めて、かなりの人数のひとと出会っていそうですね。
瞬時:う〜ん、どうなんだろ。数よりも、質を大切にしているんですよね。たくさん出会っても、長く関係が続いていくのって一握りなので。
はつこ:なるほど。師匠の謳歌さんのように、長く深く続いていく関係が大事なんですね。
瞬時:そうですね。
はつこ:ちなみに謳歌さんとはどのように出会って、弟子入りされたんですか?
瞬時:僕が謳歌さんのことをTwitterで見つけて、DMから直接連絡してお会いさせていただきました。謳歌さんのパフォーマンスが好きだったのはもちろん、戦略的に活動しているのが面白いなと思ったんです。
謳歌さんは自分のパフォーマンスを広げていくために、TikTokに力を入れたり、時代や状況に合わせて新しいことにどんどん挑戦されていく人なんです。
はつこ:へえ〜!
瞬時:実際に話してみて、考え方も合うなと思い、弟子入りしました。
パフォーマーとして生きていくのって、パフォーマンス以外にも必要なことがたくさんあるんです。魅せ方とか、考え方とか。そういったところを教えていただけるのは本当にありがたいですし、とてもお世話になっております。
はつこ:謳歌さんを見つけて、会いに行ったからこそ、いまの瞬時さんがあるんですね。
はつこ:とても順調なパフォーマー生活を送られているように思いますが、大学のサークル時代と比べて周りからの反応は何か変わりましたか?
瞬時:周りからはすごくいい評価をいただくことも多くて。それはありがたく受け取りつつ、自分では「まだまだ伸ばすところがあるな」と思っていますね。たとえばパフォーマンス中に「余分な動きがあるんじゃないか」とか「ここはもうちょっと間をとったほうがいいんじゃないか」とか。やればやるほど、パフォーマンスは奥が深いですね。
はつこ:なるほど。完成することなく、常に変化を続けてるというか。
瞬時:パフォーマンスを披露する場所、時間、お客さんの層やテンションによって、良いパフォーマンスって変わるので。突き詰めたらゴールはないですね。
はつこ:パフォーマンスって、生ものですね。
瞬時:あっ、生ものですね〜! 生ものでございます!
はつこ:(笑)。ちなみに将来は、クルーズ船でパフォーマンスをするのが夢だったそうですね。
瞬時:そうなんです。でもじつは、大学卒業してから数ヶ月で、国内のクルーズ船に乗ってパフォーマンスすることは叶ってしまったんです。
はつこ:あっという間に夢が叶ったんですね、すごい! 実際、クルーズ船でパフォーマンスをしてみて、心境の変化はありましたか?
瞬時:船には一週間くらい乗っていて、すごく嬉しかったですし、精一杯パフォーマンスをしました。ただ船を降りてから「ああ、乗っちゃったな〜」って。思っていた以上に早く目標を達成してしまったことで、少しボーッとしちゃったんです。
はつこ:すごいスピード感ですもんね。
瞬時:そうですね、ありがたいことに。
その後は国際船に乗ることを目標に切り替えて、また走り始められましたね。最近は新しく、マジックをパフォーマンスに取り入れたりもしています。
はつこ:立て直したんですね。ちなみに船に乗れたのは、誰かの紹介だったのですか?
瞬時:そうです。ジャグリング仲間が年齢関係なく全国にいるのですが、その中の一人から紹介してもらいました。
はつこ:やはり繋がりは大事ですね。練習の時間と繋がりづくりの時間、どちらが多いですか?
瞬時:いまは繋がりづくりの時間のほうが多いですね。練習ももちろん大事ですけど、練習は学生時代に4年間やってきたので、いまは過去に高めたスキルの貯金を使っている感じです。いまは技術よりも、繋がりが足りないと思っているので。
はつこ:なるほど。今後もしばらくは営業を強化していく感じですか?
瞬時:そうですね。ホームページをしっかりつくったり、営業したりしようと思っていますね。ただ自分だけでやるのではなく、マネージャーさんみたいに手伝ってくれる人を探したいなって思ってます。自分の価値を上げていけば、チームで動けるんじゃないかって。
はつこ:パフォーマーさんって、どうやって上り詰めていくものなんですかね? 師匠に弟子入りしてだんだんステージに立てるようになるのか、自分なりのやり方でどんどん出ていくのかっていうと、どっちが王道とかありますか?
瞬時:自分でいろいろ試して、開拓していく人が多いかな。師匠に弟子入りするほうが珍しいと思います。
はつこ:道が確立されている世界ではないんですね。
瞬時:そうですね。あの手この手でって感じですね。
はつこ:そっか〜。パフォーマーになりたい人へ、瞬時さんならどんなアドバイスをしますか?
瞬時:パフォーマーとして活動している人に、勇気をもって連絡してみることですね。
会えばよっぽどのことがない限り「パフォーマーはやめなさい」とは言われないと思うんですよ。パフォーマーになるにはどうしたらいいかって道筋を、一緒に考えてもらえると思いますし。
あと実際に会えば、ステージ上のパフォーマーではなく、パフォーマーのリアルな裏側も知れるので、働くイメージがしやすいと思います。
はつこ:なるほど。実際会ってみたら「ちゃんと稼げるな」って思うものなんですかね?
瞬時:どうだろう。お金が動くイメージは、ある程度できると思います。あとは自分次第ですね。人によって、必要だと思う収入や技術が違うので。
はつこ:うんうん、まずは会ってみてお金の動きを知ることが大切ですね。
最後にお聞きしたいのですが、瞬時さんが思うパフォーマーの魅力とはなんですか?
瞬時:言葉がいらないことですね。国籍も年齢も関係なく楽しめる。そしてやっぱり「形に残らない生のパフォーマンス」はいいなって思います。
僕のやりたいパフォーマンスは「軌跡をみせること」。一瞬で消える儚いものの美しさを、魅せていきたいと思っています。
はつこ:言葉がいらないからこそ、世界を舞台に活躍できるんですもんね。クルーズ船に乗って世界を旅する夢、応援しています。
瞬時:ありがとうございます。あともし、記事を読んで僕に興味をもってもらえたなら、ぜひ気軽に連絡してください。いろんな人に出会えたら嬉しいなって思います。イベントもぜひ観に来てください(笑)。
▼瞬時さんのPV
https://twitter.com/performershunji/status/1182944072702447617▼レギュラー出演のステージ情報 瞬時さんの出演日は各Twitterをチェック!
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その他のイベント出演情報は瞬時さんのTwitterにて随時お知らせ予定です。
執筆:はつこ
撮影/編集:内田一良(じきるう)