エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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昨今、働き方改革とコロナ禍によるリモートワークの普及に伴い、フリーランスなどのプロ人材(※)を自社のパートナーとして受け入れる企業が増えています。
外部人材を活用する企業では、フリーランスやプロ人材に「高い成果」を期待する一方、期待値が高まり過ぎてしまい、要望に応えられず不満につながるケースも……。
そこで今回は、新規事業の企画/推進やデジタルマーケティングの領域で活躍されているフリーランスのプロ人材・松田俊明さんに、企業から重宝されるプロ人材の仕事術について教えていただきました。
(※プロ人材:プロフェッショナル人材。企業や経営陣の右腕として、事業開発や販路拡大、生産性向上など、成長戦略を具現化していく人。本稿ではとくに「高いスキルを持ったフリーランス」を指す)
オールアバウトでは専門家プロファイル事業立ち上げ初期に参画。営業開拓、登録専門家の継続契約サポート、ビジネスモデルリデザインを行った後に事業部長を経て子会社エンファクトリーの副社長執行役員に就任、その後独立。 事業が0から1、1から10に成長していくフェーズで責任者を務めている際に、何かを誰かにやってもらうまでの一歩が難しい事を自身が感じた。その悩んだ経験を活かし、支援に入る際は社長がやりたいことを思いも含めて受け止めて具体化するべく、極力スピーディに最初の一歩を踏み出せるようサポートしている。支援事例に引越し会社で業界初のWEB引越し予約システムの開発などのプロジェクトを牽引するなど、ビジネスとITの知見を橋渡しする「ビジネストランスレーター」としても活躍。
外部プロ人材の経験・知見を複数の企業で活用する「プロシェアリング」事業を運営しています。20,000名以上のプロ人材から、企業に最適な人材を選出、課題解決プロジェクトチームを組成します。2014年設立以来、導入実績は4,103社/12,687プロジェクトを数えます。(2022年10月末時点)https://www.circu.co.jp/
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これまでの実績を企業に伝える際は、プロジェクトに合った実績を提示することが大切です。その際は成功体験だけでなく失敗も含め、そこから何を学び、どのようにアプローチをしてきたのかを伝えましょう。企業が知りたいのは「今回のプロジェクトでも活躍できる人材かどうか」なので、ノウハウに再現性があると感じてもらうことが目的です。
この方法を、私は次のように実践しています。
まず対象となる企業のコーポレートサイトや、経営者/プロジェクト担当者の過去のインタビュー記事、ブログ、SNSなどを事前に調べます。そのうえでプロジェクトに適した実績を深く掘り下げ、企業の目的に合わせて説明の仕方を変えていくのです。
たとえば相手が大企業で、新規事業プロジェクトを立ち上げようとしている場合は、「何から手をつけていいのかわからない」「組織が硬直化していてプロジェクトが前に進まない」と相談をいただくケースが多いです。そんなときは、とくに組織風土が硬いといわれる大手道路会社の新規事業企画を推進してきた実績をお伝えします。
一方、社会問題の解決を目的とするような企業の場合は、大企業での実績よりも「社会課題に対してどのような手法でアプローチして、どう解決できたか」という視点に切り替えて伝えています。
またKGI(重要目標達成指標)や、目標達成に向けてプロセスのなかで達成できたKPI(重要業績評価指標)の実績をお伝えすることも大切です。実績と合わせて具体的な数字を伝えると、イメージを掴んでもらいやすくなります。
外部から社内プロジェクトに参画する際、私は3つのポイントを心がけています。
より相手を理解するために、参画する企業の経営者や担当者が「○○という本を読んだ」と聞けば、同じ本を読みます。さらにその会社の書棚に並んでいる本のラインナップをチェックし、相手と目線を合わせるようにしています。
事業を推進するためには、経営レベルから現場レベルまで全体を把握する必要があります。たとえばマーケティング計画を作るには事業計画が必要ですし、事業計画は経営計画がなければ立てられません。一見繋がりがないところにもヒントが隠れていることもあるため、最初の打ち合わせの段階で可能な限りすべての社内ファイルを共有してもらうようにお願いしています。
個人で仕事をしていると、情報は能動的に集める必要があります。私は取引のあるパートナー企業と積極的に情報を交換し、最新情報の収集にも力を入れています。
要件定義などの上流工程だけでなく、企画の実行現場にも積極的に顔を出しています。実際の業務にもスピーディーに踏み出せるように、早いタイミングから現場のサポートをしているのです。
仕事は、相手の期待値を超える結果が求められます。もしも相手の期待値を下回る成果しか出せなければ、お客様に価値を提供できていないからです。
そのため、プロジェクトに参画する際、私はあえて期待値を上げ下げするような話はしません。成功体験(結果)よりは、むしろ成功に至るまでのプロセスや、成功しきれなかった話にどれだけ共感してもらえるか、自分には何ができて何ができないのか……そういった等身大の自分を見せることを意識しています。
そのうえで期待値が高まるのはとてもありたがたいことです。その場合は自分から期待値を下げることはせず、期待に応えるように尽力します。「期待値を越える努力をすることで、自身の成長に繋げていこう」と前向きにも捉えられますね。
一方、外部人材がプロジェクトに関わるとなると、場合によっては最初から「すごい人」と思われがちです。しかし、そのままだと遠慮してお客様が言いたいことを言えなくなってしまったり、プロジェクトの推進時にうまくコミュニケーションが取れなくなったりすることもあるため、自分の持っている知識の範囲を噛み砕いて伝えるようにしています。
フリーランスにとって縁や繋がりはとても大事です。まわりで独立をする人たちを見ても、最初は前職での繋がりや知人からの紹介で仕事をもらうケースが多いですね。
私自身も前職の繋がりやプロシェアリングコンサルティングサービスからの紹介、一度契約期間が終わったお客様からのリピートが多く、独立から今に至るまでこの3つのルートから安定して仕事の依頼をもらっています。
フリーランスは「結果がすべて。パフォーマンスで成果が出せないとすぐに契約が切られてしまう」というニュアンスで語られることも多いですが、大切なのはパフォーマンスだけではないと思うんです。
もちろん一定以上のスキルは必要ですが、チーム内で人間関係が構築できる、コミュニケーション能力があるなど、人柄や姿勢も重要な要素。それでチームにとって必要な存在だと認められるケースも数多くあります。こうして生まれた居場所をベースに、少しずつ経験を積んでスキルを磨いていけば、仕事の幅も広がり自分で仕事を獲得できるようになります。
フリーランスの仕事はシビアに思われがちですが、人としての信頼関係や、チームメンバーが期待に応え合うことが一番大切だと思っています。
フリーランスが企業とスムーズに働くためには、プロジェクトに沿った実績を提示し、成功体験だけでなく失敗も含めて何を学び、どのようにアプローチをしてきたのかを丁寧に説明することが大切です。
そして期待値を自ら上げ過ぎず、等身大の自分でいること。プロジェクトのなかできちんと成果を上げる努力や、チーム内で必要とされる関係づくりをしていくことで、プロ人材として長く活躍していけるのではないでしょうか。
(取材&構成:山田優子 提供元:株式会社サーキュレーション)
「社外プロジェクト創出のプロ」に聞く、活躍するプロ人材の特徴