公務員=副業禁止じゃない? できる副業9選と許可基準を解説

公務員は「国家公務員法」や「地方公務員法」により、原則として副業が禁止されています。

しかし、許可が得られれば、公務員でも副業できるケースもあります。

この記事は、公務員法の副業にまつわる規定から副業ができる条件、行える6つの副業まで解説していきます。

公務員の副業は「許可制」

公務員の副業は、国家公務員法(第103条、104条)、地方公務員法(第38条)により制限されています。

国家公務員法 第103条 職員は、営利を目的とする企業・団体職を兼ねてはならず、自ら営利企業を営んでもならない
国家公務員法 第104条 職員が報酬を得て兼業を行う場合には、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する
地方公務員法 第38条 職員は、許可を受けなければ、営利を目的とする企業・団体職を兼ねてはならず、自ら営利企業を営んでもならない

(参照:e-Gov「国家公務員法」、「地方公務員法」。一部要約)

以上のように、公務員の副業にはかなり厳しい制約があります。一方、「許可を要する」という一文もあり、逆に言えば許可さえ得られれば副業ができるともいえます。

一方、報酬を得ることが目的でなく、かつ無報酬で活動している場合、許可はいらないとされています。

地方公務員の場合、「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」において、以下の2例は許可を要しないと明言されています。

  •  一般社団法人の代表理事として、無報酬で活動
  • 実費相当の交通費のみ受け取りながら、プロボノとして活動

副業・兼業許可の基準は?

総務省の調査によると、地方公務員で許可基準を設定しているのは、約4割(703団体/1788団体)のみ。基準を公表しているのは、約半数の350団体にとどまり、副業の可否に関しては不透明な部分が多くあります。

しかし、2019年に国家公務員の副業について政府が方針を明確化したこともあり、地方公務員も同様に基準を定める動きが強まっています。

現状、自治体独自で副業・兼業許可の基準を定めるより、国基準を採用している自治体の方が多数派です。そのため、以下に示す国家公務員の許可基準は、公務員全体で兼業を行う際の参考になるでしょう。

○ 兼業時間数の基準

  • 8時間/週、または30時間/月を超えない
  • 勤務時間が割り振られた日において、1日3時間を超えない

○ 兼業先の基準

  • 国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人などは可
  • 公益社団法人、公益財団法人などは、活動実績の確認が必要
  • 一般社団法人、一般財団法人などは、活動実績の確認などを厳格化

○ 報酬の基準

  • 社会通念上、相当と認められる程度を超えない額

(引用:公務員の副業・兼業に関する調査研究報告書

また「教育公務員特例法」という法律で、教員にかぎり、一定の条件を満たせば報酬が得られる副業を行えると法律で明記されています。

副業罰則の事例

許可制が採用されている公務員の副業ですが、無許可で副業を行った場合は、処分対象となります。

処分は重いものから、免職、停職、減給、戒告です。以下は、副業に関して実際にあった処分事例です。

事例 処分
自分が開設したブログや会員制サイトで申込者を募り、対面/オンラインでコーチングセッションを実施した対価として、報酬を受け取った。 減給処分
家族から賃貸不動産を含む全財産を相続し、アパート及び駐車場の賃貸を行っていたが、自営兼業の承認申請を怠った。 減給処分
勤務時間中に副業の執筆作業を行った。 減給処分
1988年〜2015年にかけて、無許可で最大7ヘクタールの水田を耕作し、赤字ではあったものの、収入を得た。 停職6ヶ月

(「義務違反防止ハンドブック」及び「公務員における副業・兼業の現状と課題」をもとに筆者が表を作成)

公務員の副業は年間4万件以上許可されている

許可を得る必要があったり、許可基準が不明瞭であったりすることから、公務員で副業を行っている人は少ないのでは?と思うかもしれません。しかし地方公務員の場合、実際は年間で約4万件以上もの副業が許可されています。

総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」

▲出典:総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」

上記の画像は、2018年の総務省による調査の結果です。「その他の兼業」とは、不動産賃貸/家業の手伝い/小規模農家など社会貢献活動に該当しない兼業のこと。

公務員というと、社会貢献活動に参加するイメージがあるかもしれませんが、実態としては、その他の兼業を行っている人のほうが多くいます。

公務員の副業は解禁される傾向にある

昨今は公務員の「人手不足」や、副業ニーズの高まりなどもあり、公務員自身の副業を推進する自治体は増えています。

地方公務員に関しては、全国では神戸市が先駆けて、副業・兼業に関する独自の企画を策定し公表しました。また県知事や市長が連合して「地域に飛び出す公務員」を結成し、「望ましい『公務員の副業』ガイドライン」などを策定するなどの動きもあります。

しかし企画内で公務員の副業は、地域貢献としての目的が強く押し出されているため、一般的な “副業”とは少し意味合いが違うとも言えるでしょう。

公務員でもできる副業9選

1.不動産投資

公務員アパート経営などの不動産投資を行うのは、決められた基準内であれば問題ありません。

ただ、不動産の管理は自分で行ってはいけないという決まりがあるので、委託会社に任せる必要があります。

また、以下の基準を超えると「自営」とみなされるため、申請が必要になります。

  • 独立家屋:5棟以上
  • アパート:10室以上
  • 土地:10件以上
  • 駐車場:10台以上
  • 賃貸収入が年額500万円以上

(引用:人事院「義務違反防止ハンドブック」)

また、次の点にも注意する必要があります。

  • 賃貸収入の年額は、経費を含めた額を指す
  • 家族等と共有名義で賃貸する場合、自分の持ち分だけでなく、賃貸物件全体を対象として、自営にあたるか判断される

2. 投資/資産運用

投資類は副業とはみなされないため、公務員は上長の許可を得る必要はありません。株式の売買で利益を得た場合、確定申告をする必要はありますが、運用自体が制限されません。

投資初心者におすすめしたいのが、つみたてNisaとIDeCoです。公務員の場合、iDeCoの掛け金は最大12,000円/月。ほかの業種と比べると低く設定されていますが、老後資金への不安を減らすことはできるでしょう。

以下の記事では、つみたてNisaとiDeCoの違いについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

もちろん、つみたてNisaやiDeCoだけでなく、FXや投資信託も可能です。

3. 小規模農業

小規模農業の場合、公務員は許可を得る必要はありません。

ただし「大規模に経営され、客観的に営利を主目的とする判断される場合」においては自営に分類されるため、兼業申請が必要です。過去には、7ヘクタール分を超えて農業を行っていたケースが処分対象となっています。

4. 家業の手伝い

農業やお寺など、実家の家業を手伝う場合も、兼業許可の申請は必要ありません。

報酬を受け取って行う場合には、申請を出す必要がありますが、家業の手伝いに関しては兼業許可がおりやすいとされています。

5. 社会貢献活動

公務員の社会貢献活動については、報酬を受け取れるものも含めて、現在さまざまな自治体で推進されています。「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」では、兼業許可基準として次を挙げています。

  • 公務員の遂行に支障がないこと
  • 職務の公正を確保できること
  • 職務の品位を損ねるおそれがないこと

上記の基準を満たすとして、次のような社会貢献活動の事例が紹介されています。さまざまな地方自治体で推進されているのが分かりますね。

スキルを得られるだけでなく、地域社会とのつながりが強くなるため、公務への理解や協力が得られるというメリットもあるでしょう。

実施都道府県 事例 活動期間 報酬
山形県新庄市 商業活性化支援 50回/年 3万円/月
佐賀県佐賀市 障がい者支援活動 2日〜3日/週 2万円/月
岐阜県山県市 児童養護施設の訪問・相談 1回〜2回/月 1万円/日 ※交通費含む
非公表 無料学習塾講師 3回/月 6,000円/日

(「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」をもとに筆者が表を作成)

6. 講演活動

国家公務員の兼業について(概要)」では、単発的な講演や雑誌等での執筆で報酬を得る場合、「定期的または継続的に従事する」ことに当たらないため、兼業/副業とはみなされないと判断しています。

これは国家公務員に対する基準ですが、地方公務員法は国家公務員法に準拠しているため、同様の判断が下されると考えられます。しかしあくまで、兼業/副業の許可は任命権者が決定するため、あらかじめ確認を取るのがよいでしょう。

講演会には、出席者やほかのスピーカーなどと直接交流を深められるメリットがあります。講演会をきっかけに、新たな取り組みにつながるケースもあるので、積極的な参加がおすすめです。

7. 執筆活動

執筆した書籍を出版したり、雑誌等に投稿したりすることも、公務員が行える副業です。

現場で得たスキルを社会全体と共有するだけでなく、執筆活動を通して自分の知識がより体系化されるでしょう。なお講演会と同様、単発的な活動でない場合は、兼業申請が必要になります。

8.不用品の売却

不用品の売却は副業とはみなされないため、公務員も許可なく行えます。

私物の処分を目的として、フリマアプリやネットオークションなどを利用して不用品売却を行うことは認められていますが、利益を目的とした転売は営利目的とみなされてしまうため、注意しましょう。

9.アンケートモニター/ポイ活

アンケートモニターやポイ活は、営利目的ではなく「節約」とみなされるかつ継続的な収入ではないため、公務員が行なっても問題ありません。

お得に買い物ができたり、ちょっとしたお小遣い稼ぎになるので、利用してみると良いでしょう。

ポイントサイトで稼いだ所得は雑所得扱いとなるため、年20万円を超えると確定申告が必要になります。

公務員の副業探しにおすすめのサービス

次に、公務員が行なって問題がない副業サービスを3つご紹介します。

不動産投資「RENOSY」

▲出典:RENOSY

運営会社 株式会社GA technologies
副業の種類 不動産投資

『RENOSY』は、東証グロースに上場している株式会社GA technologiesが運営する不動産投資サービスです。

節税対策やインフレ対策のために、既にRENOSYを通して地方公務員や国家公務員など、多くの方が不動産投資を行なっています。(→公務員の口コミはこちら

最新のAIを活用して投資価値の高い物件を提案してもらえるのに加え、賃貸管理サービスは入居率99.3%(2020年4月時点)となっており、安心して不動産管理を任せることができます。

今なら資料請求から初回面談で50,000円分のAmazonギフトカードを貰えるため、気になった方は是非資料をチェックしてみてください。(時期によってキャンペーン終了の可能性あり)

RENOSY

つみたてNisaや投資信託「SBI証券」

▲出典:SBI証券

運営会社 株式会社SBI証券
副業の種類 FX/投資信託/つみたてNisa・IDeCo など

『SBI証券』は、つみたてNisa・iDeCo・投資信託・米国株式などの幅広い投資が利用可能なネット証券サービスです。

2023年9月30日より、業界で初めて国内株の現物手数料がすべて無料となっており、証券会社の中でも非常に人気の高いサービスです。

つみたてNisaは100円から手軽に積み立てることが可能なため、今まで投資をしたことがない初心者の方も安心して投資を始められます。

さらに、老後の資産形成に最適なiDeCoも、SBI証券では運営管理手数料なので、お得に長期的な資産形成ができます。

SBI証券

ポイ活「ECナビ」

▲出典:ECナビ

運営会社 株式会社DIGITALIO
副業の種類 ポイ活

『ECナビ』は、東証一部上場のグループ企業・株式会社DIGITALIOが運営する人気のポイントサイト。

高い還元率と豊富なボーナスポイントが魅力で、Amazonや楽天アプリでの買い物でもポイントを集めることができます。

姉妹サイトのアンケートサイト「リサーチパネル」と連携しているので、アンケートに回答して貯めたポイントと合算することで、よりポイントが貯まるスピードが速くなるのも嬉しいポイントです。

集めたポイントは、現金やギフト券などさまざまなものに交換できるので、お小遣い稼ぎにはぴったりのポイ活サイトです。

ECナビ

公務員が副業をする時の注意点

不動産賃貸/家業の手伝いなどの兼業を「副業」と捉えた場合、公務員が副業をする際には、以下の点に気をつけて行うと良いでしょう。

  • 副業は必ず勤務時間外に行う
  • 副業によっては「自営兼業承認申請書」の提出をする必要がある
  • 所得が20万円を超えたら確定申告が必要になる
  • 副業を通じて機密情報を漏らさない

もし少しでも疑問を持ったら、上長に相談してみるのをおすすめします。

あくまで公務員の三原則(=信用失墜行為の禁止・守秘義務・職務専念の義務)を守り、仕事に支障のない範囲かつ法律や規則に反しない範囲で、兼業を行なっていきましょう。

おわりに

今回は、国家公務員法・地方公務員法の解説や、公務員でもできる副業について解説しました。

紹介したような副業を行うことで、社会の課題を解決したり、資産を形成したりできるかもしれません。公務員としての原則を守り、不安なときは上長に相談しながら副業を行うようにしてくださいね。

(執筆:mozuku 編集:泉)

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