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地方公務員=副業禁止とは限らない? 公務員でもできる副業6選

地方公務員=副業禁止とは限らない? 公務員でもできる副業6選
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地方公務員は「地方公務員法」により、原則として副業が禁止されています。

しかし、許可が得られれば、地方公務員でも副業できるケースも。

この記事は、地方公務員法の副業にまつわる規定から副業ができる条件、行える6つの副業まで解説していきます。

副業はできる?地方公務員法を解説

副業は許可制

地方公務員の副業は、許可制が採用されており、副業をするには任命権者(地方公務員を採用・解雇する権利をもつ者)に「兼業許可申請書」を提出し、許可を得る必要があります。

なお、地方公務員法では、一般企業に携わることや自営業を行うことに関して次のように定めています。

地方公務員法 第38条(営利企業への従事等の制限)

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

(引用:e-Gov「地方公務員法」)

かんたんに要約すると、任命権者の許可がなければ下記の行為はできないということ。

  • 営利を目的とする企業/団体の役員になる
  • 自ら営利企業を営む
  • 報酬を得て、事業や事務を行う

つまり、「副業をしてお金を得たい」と考えている場合、許可を得る必要があります

一方で、「副業を通じてキャリアの幅を広げたい」「新たなスキルを得て本業に活かしたい」など、報酬を得ることが目的でなく、かつ無報酬で活動している場合、許可はいりません。実際、「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」において、以下の2例は許可を要しないと明言されています。

  • 【事例1】 一般社団法人の代表理事として、無報酬で活動
  • 【事例2】 実費相当の交通費のみ受け取りながら、プロボノとして活動

副業・兼業許可の基準は?

総務省の調査によると、許可基準を設定しているのは、地方の行政機関の約4割(703団体/1788団体)のみ。許可基準を公表しているのは、約半数の350団体にとどまり、副業の可否に関しては不透明な部分が多くあります。

しかし、2019年に国家公務員の副業について政府が方針を明確化したこともあり、地方公務員も同様に基準を定める動きが強まっています。

現状、自治体独自で副業・兼業許可の基準を定めるより、国基準を採用している自治体の方が多数派です。そのため、以下に示す国家公務員の許可基準は、副業を申請する際の参考になるでしょう。

○ 兼業時間数の基準

  • 8時間/週、または30時間/月を超えない
  • 勤務時間が割り振られた日において、1日3時間を超えない

○ 兼業先の基準

  • 国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人等は可
  • 公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、学校法人、更生保護法人、医療法人、特定非営利活動法人等は、活動実績の確認等が必要
  • 一般社団法人、一般財団法人、自治会・町内会、マンション管理組合、同窓会等は、活動実績の確認等を厳格化

○ 報酬の基準

  • 社会通念上、相当と認められる程度を超えない額

(引用:公務員の副業・兼業に関する調査研究報告書

教育公務員は例外も

教員にかぎり、報酬が得られる副業を行えると法律で明記されています。

教育公務員特例法 第17条

教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。(引用:e-GOV「教育公務員特例法」)

つまり、以下の条件をすべて満たせば、教員は報酬が発生する副業を行えます。

  • 本業の遂行に支障がない
  • 教育に関する職、または教育に関する事業や事務
  • 任命権者が認めている

実際、地方公務員はどれくらい副業している?

許可を得る必要があったり、許可基準が不明瞭であったりすることから、地方公務員で副業を行っている人は少ないのでは?と思うかもしれません。しかし実際は、年間で約4万件以上もの副業が許可されています。

総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」

▲出典:総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」

上記の画像は、総務省による調査の結果です。「その他の兼業」とは、不動産賃貸/家業の手伝い/小規模農家など社会貢献活動に該当しない兼業のこと。

地方公務員というと、社会貢献活動に参加するイメージがあるかもしれませんが、実態としては、その他の兼業を行っている人のほうが多くいます。

副業罰則の事例

許可制が採用されている副業ですが、無許可で副業を行った場合は、処分対象となります。処分は重いものから、免職、停職、減給、戒告です。以下は、副業に関して実際にあった処分事例です。

事例 処分
自分が開設したブログや会員制サイトで申込者を募り、対面/オンラインでコーチングセッションを実施した対価として、報酬を受け取った。 減給処分
家族から賃貸不動産を含む全財産を相続し、アパート及び駐車場の賃貸を行っていたが、自営兼業の承認申請を怠った。 減給処分
勤務時間中に副業の執筆作業を行った。 減給処分
1988年〜2015年にかけて、無許可で最大7ヘクタールの水田を耕作し、赤字ではあったものの、収入を得た。 停職6ヶ月

(「義務違反防止ハンドブック」及び「公務員における副業・兼業の現状と課題」をもとに筆者が表を作成)

地方公務員でもできる副業6選

副業1. 投資

投資は副業とはみなされないため、許可を得る必要はありません。

株式の売買で利益を得た場合、確定申告をする必要はありますが、運用自体が制限されません。なお、つみたてNISA/NISA口座や「源泉徴収ありの特定口座」を利用している場合には、確定申告をする必要もありません。

つみたてNisa・IDeCo

投資初心者におすすめしたいのが、つみたてNisaとIDeCoです。公務員の場合、iDeCoの掛け金は最大12,000円/月。ほかの業種と比べると低く設定されていますが、老後資金への不安を減らすことはできるでしょう。

以下の記事では、つみたてNisaとiDeCoの違いについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

もちろん、つみたてNisaやiDeCoだけでなく、FXや投資信託も可能です。

不動産投資

不動産投資も投資と同じく、基本的には申請を要しません。しかし以下の基準を超えると「自営」とみなされるため、申請が必要になります。

独立家屋:5棟以上
アパート:10室以上
土地:10件以上
駐車場:10台以上
賃貸収入が年額500万円以上

(引用:人事院「義務違反防止ハンドブック」)

また、次の点にも注意する必要があります。

  • 管理業務を自分で行ってはならない
  • 賃貸収入の年額は、経費を含めた額を指す
  • 家族等と共有名義で賃貸する場合、自分の持ち分だけでなく、賃貸物件全体を対象として、自営にあたるか判断される

副業2. 農業

小規模農業の場合、許可を得る必要はありません。

ただし「大規模に経営され、客観的に営利を主目的とする判断される場合」においては自営に分類されるため、兼業申請が必要です。過去には、7ヘクタール分を超えて農業を行っていたケースが処分対象となっています。

副業3. 家業

農業やお寺など、実家の家業を手伝う場合、兼業許可の申請は必要ありません。

報酬を受け取って行う場合には、申請を出す必要がありますが、家業の手伝いに関しては兼業許可がおりやすいとされています。

副業4. 社会貢献活動

公務員の社会貢献活動については、報酬を受け取れるものも含めて、現在さまざまな自治体で推進されています。「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」では、兼業許可基準として次を挙げています。

  • 公務員の遂行に支障がないこと:
    週休日、年次有給休暇等を活用すること
  • 職務の公正を確保できること:
    兼業先が非営利団体であること
  • 職務の品位を損ねるおそれがないこと:
    報酬が社会通念条相当であること

上記の基準を満たすとして、次のような社会貢献活動の事例が紹介されています。さまざまな地方自治体で推進されているのが分かりますね。

スキルを得られるだけでなく、地域社会とのつながりが強くなるため、公務への理解や協力が得られるというメリットもあるでしょう。

実施都道府県 事例 活動期間 報酬
山形県新庄市 商業活性化支援 50回/年 3万円/月
佐賀県佐賀市 障がい者支援活動 2日〜3日/週 2万円/月
岐阜県山県市 児童養護施設の訪問・相談 1回〜2回/月 1万円/日 ※交通費含む
非公表 無料学習塾講師 3回/月 6,000円/日

(「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」をもとに筆者が表を作成)

副業5. 講演会

国家公務員の兼業について(概要)」では、単発的な講演や雑誌等での執筆で報酬を得る場合、「定期的または継続的に従事する」ことに当たらないため、兼業/副業とはみなされないと判断しています。

これは国家公務員に対する基準ですが、地方公務員法は国家公務員法に準拠しているため、同様の判断が下されると考えられます。しかしあくまで、兼業/副業の許可は任命権者が決定するため、あらかじめ確認を取るのがよいでしょう。

講演会には、出席者やほかのスピーカーなどと直接交流を深められるメリットがあります。講演会をきっかけに、新たな取り組みにつながるケースもあるので、積極的な参加がおすすめです。

副業6. 執筆活動

書籍を出版したり、雑誌等に投稿したりすることも、おすすめの副業です。

現場で得たスキルを社会全体と共有するだけでなく、執筆活動を通して自分の知識がより体系化されるでしょう。なお講演会と同様、単発的な活動でない場合は、兼業申請が必要になります。

地方公務員の副業をみとめる自治体は増えている

公務員のスキルを社会へ還元し人材不足を解消したり、副業を通して新たなスキルを獲得し本業へ活かしたりするために、副業を推進する自治体は増えています。

全国では神戸市が先駆けて、副業・兼業に関する独自の企画を策定し公表しました。また県知事や市長が連合して「地域に飛び出す公務員」を結成し、「望ましい「公務員の副業」ガイドライン」等を策定するなどの動きもあります。

この機会に一歩踏み出してはいかがでしょうか。

おわりに

今回は、地方公務員法をはじめ、地方公務員でもできる副業について解説しました。

副業を行うことで、地域社会の課題を解決できるだけでなく、新たなキャリアの可能性が見えるかもしれません。

公務員に対しても副業を推進する動きが広まりつつあるので、ぜひ挑戦してみてください。

(執筆:mozuku 編集:泉)

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