【人気税理士解説】フリーランス向け資金繰り術|収支を安定させる7つの方法
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フリーランスとして安定した収入を得られるようになってくると、駆け出し時代とは異なる悩みが増えてきます。もっと売上を上げたい。もっと時間に余裕を持ちたい。そう思いながらも既存案件があるため動きづらいのが「中堅フリーランス」です。
本記事では、そんな中堅フリーランスが抱えるリアルな課題と解決の糸口を、Workship MAGAZINEの編集部が実施したアンケート調査をもとに探っていきます。
私自身もフリーランスのライターとして歩んでいくうちに、悩みの内容が変わっていくことを実感した一人です。現在は経営者になりましたが、こうして執筆活動は続けており、中堅フリーランスの皆さんの悩みは当事者としても共感できます。記事を通じて、皆さんの悩みに向き合っていけたらうれしいです。
広告系の企画制作会社、教育事業会社での企画職を経て、2017年ライターとして独立。ビジネス領域のインタビュー記事執筆を中心に実績を重ね、2020年株式会社宿木屋を設立。チームで言葉を軸にした企業の発信支援を行う傍ら、個人名義でのコラム執筆や創作活動もしている。(X:@yuki_yadorigi)
目次
・調査対象:月商目安25万円以上で働くフリーランス(中堅フリーランス)
・調査期間:2024年10月8日〜10月31日
・調査方法:オンライン調査
・有効回答数:24名
本記事はアンケート結果の紹介が中心になるのですが、本題に入る前に「中堅フリーランス」について皆さんと意識を合わせたいので、すこし私の話をさせてください。
フリーランスになって間もないころ、とにかくがむしゃらに仕事をしていた日々が皆さんにはあると思います。私もそんな日々を乗り越え、なんとかフリーランスとして生計を立てることに成功した一人です。あのころは「生きる」という最低限の目標を達成するために、ただ前を向いて走っていたので、ある意味悩みはなかったかもしれません。
それから数年後、実績もある程度増えてきて、月々の収入が安定してきました。「これで一安心」と思えるはずだったのに、新しい不安がじわじわとふくらんでいきました。それは、中堅フリーランスだからこそ感じるモヤモヤや悩みです。
まず、年齢を重ねると「ビギナーズラックが狙えない」、「自分よりも優秀な若手が新たに増えてくる」という焦りが生まれてきます。それに「目標を自分で立て続けなければならない」、「いつまで安定しているかわからない」という先々の見通しの立たなさが加わると、さらに不安になるはずです。長年フリーランスだったから会社員に戻るのも難しいとなってくると、いよいよ先細りする未来が見えてきてしまいます。
中堅フリーランスって、フリーランスになりたてのころよりも、むしろ不安が大きいかもしれません。
本連載では、そんな中堅フリーランスの悩みの共有と解決をテーマに、さまざまな切り口で記事を執筆していきます。その手始めとして、本記事では中堅フリーランスとして活躍する24人のみなさんにご協力いただいたアンケート結果をご紹介します。
はじめに、アンケートにご協力くださった皆さんがフリーランスになったきっかけを見ていきましょう。
正社員として働くことになんらかの問題があって、多様な働き方を摸索した結果、フリーランスにたどりついたという回答が最も多かったです。具体的な理由としては「(会社勤めは)ライフスタイルに合わなかった」という回答が目立ちました。「働く時間帯を柔軟に調整したい」「満員電車を避けたい」など、皆さんそれぞれ譲れないポイントがあったようです。
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次に多かったのは、フルタイムの仕事と家事・育児との両立が難しいという理由です。結婚・出産などのライフステージを経て、職場からキャリアチェンジを迫られた結果、フリーランスになったという人もいました。家事・育児の合間をぬって仕事ができること、転勤が多い家族がいても同じ仕事を続けられることなどが、フリーランスのメリットとして挙げられていました。
副業として始めた活動が、予想以上にうまくいったという回答も複数ありました。趣味の活動を外部から評価されて仕事を依頼され、収益化につながったというケースもあります。副業から本業に切り替えるタイミングとしては、生計を支えるくらいの収入の目処が立つことがひとつの節目になっているようです。
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次に、フリーランスになった皆さんが中堅フリーランスになるまでに、どのようなステップを踏んできたのか、いくつかのケースを紹介します。
とにかく仕事を取ることに専念していた。半年ほどで収入は安定し、年々その金額は上がっていったけれど、4年目で頭打ちに。一人でやる仕事の限界を感じている。
このパターンは複数回答がありました。半年から1年ほどかけて仕事のスタイルを確立し、稼働量を増やしたり、単価を上げたりしながら売上を上げていくものの、およそ4~5年目で限界が見えてくる傾向があるようです。私もほぼ同時期に法人成りを考えたので、頭打ちの“先”に行くには、なんらかの新しい挑戦が必要になってくるのかもしれません。
フリーランスとしてやっていこうと決めた領域でうまく案件が獲得できず、ほかの仕事で収入を安定させる期間が続いた。ところが、その仕事も需要が減ってきて、いよいよ再就職を視野に入れていたところ、大型の案件を受注することができたので現状はフリーランスとして働き続けている。
フリーランスと言っても、必ずしもひとつの分野で収入を得ているわけではありません。仕事量が安定しない中で、派遣・アルバイト業務などを織り交ぜて生計を立てている人もいます。このキャリアは軸足を一本にしていないぶん、生計が立たなくなるリスクは分散できているとも考えられそうです。
前職で専門資格を取得。独立してからは同ジャンルに関わる記事制作の仕事を中心にしていたが、専門知識を評価され、ほかの業務も任されるようになった。さらに売上を上げる業務拡大のチャンスでもあるが、現在は育児を優先して現状維持を選択している。
特定のジャンルで専門知識や資格を持っている人は、専門性を武器に仕事の幅を広げることに成功しているようです。専門性に対して明確なニーズがあり、指名の仕事が増えてくると、自分の生活に仕事を合わせやすくなるのも、このキャリアパターンの強みです。
そんな中堅フリーランスの皆さんは、仕事をするうえで何を重視しているのでしょうか。
62.5%の人が『ライフスタイル』、つまり自分らしく生きることを重視すると答えています。その内訳としては、育児との両立、家族との時間の確保、自身の健康維持などがあります。フリーランスという選択肢のおかげで働くこと自体をあきらめなくて済んだ人も一定数いることを考えると、「ライフスタイルとフリーランスは切っても切れない」、「ライフスタイルの一部としてフリーランスがある」とも言えるかもしれません。
『売上』重視は全体の4分の1でした。これは『ライフスタイル』を守ることと天秤にかけてこその結果なのかもしれません。フリーランスを長く続ける人には、売上が多少落ちても自身が望むライフスタイルを優先する傾向があるのだと思います。
仕事を通じて自身の名前が残ることや、代表作を作ることを重視すると答えた人は、全体の12.5%でした。自分自身の名前で実績を積み上げていけるのはフリーランスの特権ですが、そこはあまり価値を見出されていないようです。
続けて、中堅フリーランスのリアルな困りごとはどのようなものでしょうか。
最も多くの人が課題として挙げたのは『稼働時間』です。中堅になって業務内容が確立されているからこそ、いかにして効率的に働くかが課題になってくるのでしょう。また、先ほどの設問で『ライフスタイル』重視派が過半数を占めていたのも、時間に対する意識の表れかもしれません。
次に多かったのは『売上』です。稼ぎが一定水準に届かなければ、理想のライフスタイルを維持することができません。「売上を最重視しているわけではないが、アップできるならしたい」という葛藤を抱えている方は一定数いそうです。
全体の約半数が感じている「漠然とした将来への不安」は、次いで多い「体力的にきつい」「年齢を重ねることによるキャリア不安」ともつながっていそうです。稼働時間に見合った売上を立てられない状態で年齢を重ねていくと、体力や周辺環境の変化に伴って売上が落ちていくはずです。「この先どうなるのか」への明るい答えが見えづらいことは、中堅フリーランスならではの悩みでしょう。
では、そういった悩みに対して中堅フリーランスの皆さんはどのような対策を取っているのでしょうか。続けてアンケート結果を紹介します。
最も多かったのが『スキルアップ』です。確かにスキルアップすれば稼働時間の効率化につながりますし、獲得したスキルをもとに売上を上げることもできます。また、自身の成長を実感できると、将来への漠然とした不安も感じづらくなるかもしれません。
次いで同率で並んだのが『体力づくり』と『新規取引先への営業』です。フリーランスは体が資本、「健康なくて仕事なし」なので、『体力づくり』は重要ですね。また、『新規取引先への営業』は売上を上げることと、漠然とした将来への不安を払拭することに効果があります。新たな仕事がスキルアップの機会になることもありますね。
最後に、中堅フリーランスの皆さんがどのような情報を求めているのか聞いてみました。
皆さんが最も気にしているのは、他の中堅フリーランスの生活事情でした。『ライフスタイル』重視派が多いからか、具体的な仕事のノウハウよりも生活のほうが気になるようです。働く時間や仕事の選び方などの自由度が高いフリーランスだからこそ、他の中堅フリーランスのリアルな生活事情からヒントを得たいという気持ちが大きくなるのでしょう。
次いで同率で並んだのが、「単価設定の相場や、単価を引き上げるためのコツ」と「取引先への営業方法」です。二大課題として挙がっていた『売上』や『稼働時間』の悩みを解決するためには、単価の最適化と確度の高い営業が求められますね。いずれも個人差が大きく型化しづらいため、自分がどうするべきか答えが出しづらいのかもしれません。
人それぞれ歩みや悩みの内容は異なりますが、総括すると中堅フリーランスの働き方にまつわる課題には、下記のような傾向が共通しています。
フリーランスに限らず、「安定」は誰にも約束されていません。どんなに大きな会社に勤めていても倒産するかもしれませんし、プライベートでも思わぬ事故や災難があるかもしれません。中堅フリーランスの皆さんの不安もその一種だと捉えれば、あまり深刻になりすぎず、より良い働き方について前向きに考えていけるはず。
不安はあるけれど、それでも安心に一歩ずつ近づいていくためには、どんな工夫をすれば良いか。どんな考え方をすれば良いか。本連載ではそんな問いについて、皆さんと一緒に考えていけたらいいなと思います。
興味を持った中堅フリーランスの皆さんは、ぜひ連載の更新を楽しみにしていてください。また、自分はどんな悩みがあるか、他の中堅フリーランスにどんなことを聞きたいかなど、記事のシェアと共に意見をくださると嬉しいです。
最後に、より多く稼ぎたいフリーランスのために『Workship』をご紹介します。Workshipは、フリーランス・副業向けの案件検索プラットフォームです。
公開案件の80%以上がリモートOKと働く場所を選ばず、エンジニア、デザイナー、マーケター、ディレクター、編集者、ライター、セールス、人事広報など、さまざまな職種の案件が紹介されています。
さらに、トラブル相談窓口や会員制優待サービスの無料付帯など、安心して働ける仕組みがあるのも嬉しいポイント。時給1,500円〜10,000円の高単価な案件のみ掲載しているため、手厚いサポートを受けながら、良質な案件を受けたい方におすすめです。
(執筆:宿木雪樹 編集:夏野かおる)