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若者はFacebookを使えず、大人はSnapchatを使えない。その3つの理由

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2017年に行われたAppleの開発者会議・WWDC17にて、ジョン・ゲレインスと席につき、Mac用Gitクライアト『Tower』についてのフィードバックを聞いていたときでした。

会話の途中、私は自社オリジナルのスワイプ型インターフェースがどう良いか話をするために、Snapchatに言及したのです。するとジョンは突然立ち上がって、「SnapchatをUXの参考にするなんて、やめた方がいい!」と言いました。彼がAppleの、デザイン部門および技術部門のエバンジェリストのトップであることを考えると、この反応は当然のことでしょう。

しかし10代の若者たちは、今でもSnapchatやInstagramに群がり、Facebookには目もくれません。2018年にアメリカで実施された10代を対象にした調査では、Facebookを使っていると答えたのは51%なのに対して、SnapchatとInstagramはそれぞれ69%と72%が使っていると回答したのです。

なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。10代の若者がSnapchatとInstagramをコンスタントに開き、Facebookから距離を取る理由は何なのでしょうか。逆になぜ、大人たちはFacebookが大好きで、他のSNSを使うことに戸惑っているのでしょうか。

今回は3つの観点から、それらの疑問をひも解いていきます。

若者がFacebookを使えず、大人がSnapchatを使えない3つの理由

1. 若者はアイコンで意味を理解し、大人はテキストで意味を理解する

SnapchatとInstagramに共通しているのは、ボタンに文字がないことです。

10代は文字のない、アイコンのみのインターフェースに慣れていますが、大人たちはそうではありません。3つのアプリのタブバーだけを見ても、その違いがわかります。

Instagram メニューバー 

▲Instagram タブバー

Snapchat メニューバー 

▲Snapchat タブバー

Facebook メニューバー

▲Facebook タブバー

InstagramやSnapchatのタブバーアイコンが、大人からすると曖昧で分かりにくいのです。家のアイコンやハートのアイコンが、それぞれどういう意味なのか。どちらも2つの長方形で作られているけど「メモリーズ」アイコンと「ディスカバー」アイコンの違いはなんなか。いずれも明記されていません。

10代の若者たちにとっては、アイコンが何を意味しているかは明白です。ページのデザインが、そこに配置されているアイコンのデザインに影響しています。Instagramの投稿につく「いいね」はハートの記号で表わされていますし、「ディスカバー」ページはカードで埋まっていくので、自然とアイコンはその様子を単純化した見た目になっていることを理解できます。

一方で、多くのメニューリストを持つFacebookは、それぞれの機能一つひとつに説明ラベルを貼ることを選びました。今ではユーザーが違うタブに移動するたびに、それぞれ個別にラベルが表示されます。

大人たちが自分の子供に「これって何の機能?」と聞くまでもなく、Facebookがテキストでわかりやすく教えてくれるのです。

2. 若者は素早く流れるタイムラインを好み、大人はゆっくりとしたタイムラインを好む

Instagram & Facebook

▲(左)Facebook (右)Instagram

InstagramとFacebookは、どちらも共通した用途を持っています。それは、友達や家族に見せるために投稿するということ。

ただし、Instagramは写真を優先し、Facebookは文章を主役にしてきました。

10代は驚くほど短いスパンで、興味の対象が移り変わります。加えて早く流れるフィードの中から、気になるところにズームできる傾向にあります。Instagramのタイムラインは流れが早く、かつ鮮やかな色使いを特徴としています。赤い通知で埋まった束の間の投稿の出現を楽しむSnapchatもまた、若者のそうした性格に完璧にフィットしました。大人たちは、時間が経って投稿が消えたら「待って、何が起きたの?」と困惑してしまうでしょう。

一方の大人たちは、自分の時間を十分に取ることを好みます。大人たちはFacebookで、自分のペースでゆっくりズームして、タップして色々見たり、じっくり友達の日常に関するフィードを読みます。ハイペースで流れるフィードと次々に来るプッシュ通知の世界に馴れた若者たちにとって、Facebookはスローすぎるのです。

3. 若者たちはスワイプを好み、大人たちはタップを好む

Snapchatのナビゲーションマップ

▲Snapchatのナビゲーションマップ(Snap mapを含む)

Snapchatの最大の弱点は、ナビゲーションにありました。このアプリは、ホーム画面から全ての方向にスワイプでき、ピンチイン&ピンチアウトして他のスクリーンにアクセスできてしまうのです。

10代の人々には「スワイプ」が直感的で分かりやすい一方で、大人たちは「タップ」と「クリック」の動作に慣れているという事実があります。

Facebookはこの現実をよく反映していて、Facebookでどこかのページにアクセスするとき、スワイプすることは一度もありません。全てはタップ……大人たちがいうところの「クリック」で動いているんです。

FacebookとSnapchatの今後

2018年の個人情報流失問題がきっかけで起こった#deletefacebook運動の期間中も、マーク・ザッカーバーグは「この運動がFacebookに損失を与えることはない」と表明していました。また最近、The Gradianが実施した調査に対してザッカーバーグは 「Facebookから10代の若者が流失することについては、特に気にかけていない」と答えたのです

対照的に、Snapchatの成長は停滞しています。SnapchatのCEOであるエヴァン・シュピーゲルは、Snapchatのダウンロード数を伸ばすためにUXを改善するのではなく、デモグラフィック・マーケティングにより10代人口に投資するだけの方法に依存してしまいました。

InstagramはSnapchatの多くの特徴をコピーしていますが、それらは上手くいっています。ユーザーはSnapchatのストーリーを捨て、Instagramのストーリーに切り替えているでしょう。SnapchatのUX改善に対する消極的な姿勢は、長期的にアプリの利用に悪影響を与えており、逆にたまに何かを変えようとすると全てが裏目に出るという状況を起こしていました(「性別変換フィルター」や「子供フィルター」は話題になったようですが……)。

ごく最近では、スワイプだけによるインターフェースに、ナビゲーションバーとタップするボタンを加え、より多くのユーザーを獲得しようとUX改善を行いましたが、この抜本的な変更に対してバックラッシュが起き、結局ある程度はUIを元に戻さざるを得なくなりました。

まだまだ多くの若者がSnapchatの利用を続けているものの、常に文句を言っている状況を見ると、Snapchatの未来は不透明です。さらに指摘するとFacebookがInstagramを買収したため、どのみちザッカーバーグが負けるということはありません。

これらの事実から、未来の起業家たちが学ぶべきこと

今回はFacebookとSnapchat(そしてInstagram)を軸に、対照的な世代のアプリに対する態度をご紹介しました。

これらの事実は、次世代のトップアプリを作ろうとする人々へ重要な教訓を与えています。それは「バランスを取ること」。

Apple Music

▲Apple Musicのヘッダー

Apple Music

▲Apple Musicのフッター(タブバー)

古いアプリには、未だにタブバーのアイコンに細かい文字のラベルを表示しています。

少し最近のアプリでは折衷案として、タブバーにはラベルなしで、ナビゲーションバーやヘッダーにはラベルを表示するという方式を取っています。SnapchatとInstagramは、初期のころは写真を重視してテキストを廃止していましたが、現在ではキャプションのフォント変更を可能にした上で、ひかえめな形でテキストを組み込んでいます。

アプリをより幅広いオーディエンスに届けるためには、適応性が高く、使いやすく、そしてどの年齢層にとっても魅力的なインターフェースを作ることが重要です。そしてアプリのユーザーをさらに増やすためには、デザインにアクセシビリティへの意識をくみこんでみましょう。Dynamic Type、Assistive Touchなどの機能や、音声によるフィードバックの提供は、より多くの人にとって使いやすいアプリとなるでしょう。

(原文:Theo Strauss 翻訳:Nakamura Yuko)

 

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