働き方が多様化している近年、新しい時代の働き方として、フリーランスへの関心が高まっています。

この動きの中心になっているのが、他の業界に比べて柔軟な働き方が受け入られているIT業界です。収入アップや組織に依存しない働き方を求めて、フリーランスで活躍するエンジニアが年々増えています。

そこでこの記事では、そもそも会社員として働くこととフリーランスとして働くことの違いについて解説するとともに、フリーランスとして働くことのメリットについて紹介します。

独立する際の検討材料のひとつとして、参考にしてみてください。

働き方と収入の入り方で見る、フリーランスと会社員の違い

会社員 列 ピックアップ

まずはフリーランスと会社員の違いについて解説していきます。

働き方(時間・場所):常駐型の案件が中心

「フリーランス」と聞くと、場所や時間にとらわれない働き方を一番にイメージする方もいるかもしれません。もちろんこれは事実でもありますが、実際はクライアントのオフィスに常駐するスタイルが多くを占めています。

常駐の案件が多いのは、セキュリティ面のリスクを軽減するため、インターネットを経由した開発環境へのアクセスを避けていることが一番の理由です。

また、案件規模や職種によっては、打ち合わせなど人と話す業務が中心になる場合もあります。このような場合も、クライアントのオフィスに出勤する形の契約となることが多いです。

ただ、稼働日数については必ずしも週5日ではありません。週5日よりも少ない場合もあることや、会社員でいうところの残業は、フリーランスになると契約時間を超えた稼働に当たるため、原則的には決められた時間での業務になります。

ちなみに、在宅案件にはどのようなものがあるのでしょうか。

ひとつは小規模なもので、要件定義から開発まで1人でできてしまうような案件です。実際に、筆者の知り合いには東京から故郷の沖縄に帰り、前職のつてで小規模な開発やデバッグなどをやっているフリーランスエンジニアがいます。

また、サイト制作やアプリ開発などWeb系の案件でも、場所を問わないスタイルが見られます。

収入の入り方:売り上げを分配される立場からやりくりをする立場に

もうひとつの大きな違いは収入の入り方です。

会社勤めの場合、クライアントから受注した金額の一部が給与になります。

これは会社の利益はもちろん、オフィスの維持費、直接はお金を生み出さない人事・経理などのバックオフィス社員への給与など、事業全体で必要な費用をまかなうためです。

また、給与が振り込まれる際には、社会保険料や税金などが天引きされています。給与の額面と手取りの差が発生しているのは、会社が代わりに税金や保険料などを納付してくれているためです。

フリーランスの場合は、上述のような費用が発生せず、クライアントからの受注額がすべて自分の銀行口座に振り込まれます。

ただし、ここからオフィスの賃料やパソコンなどの仕事道具の費用、交通費、税金・保険料などを自分で支払わなければいけません。売り上げがそのまま手取り収入になる訳ではないので、その点は注意が必要です。

※合わせて読みたいエンジニアの年収に関する記事はこちら

人月単価別にみたフリーランスエンジニアの案件例

計算 報酬 収入 単価 電卓

ここでは、フリーランスになった場合にどんな案件があるのかを少し詳しく見ていきましょう。

フリーランスエンジニアの場合、月ごとの固定給ではなく案件ごとの報酬という形で収入を得ます。高度なスキルや経験が必須な案件などは単価も高くなると考えて良いでしょう。

人材紹介エージェントで募集されている案件を参考に、人月単価別に必要とされるおおよそのスキルと想定される案件を列挙します。いずれも年齢や環境によって単価が変動しますので、あくまで目安としてご覧ください。

今の自分がフリーランスになったらどれくらいの月収になるか、もしくは目指している月収を得るためにこれから身につける必要のあるスキルは何かを知ると、より具体的にフリーランスエンジニアとして働くことを現実的に検討しやすくなるでしょう。

⑴人月単価40~50万程度

【スキル】

  • 実務経験3年以上のコーダー、実務経験1年以上のプログラマ(Ruby、PHP、Java、Python、C#、Swift、Scala、JavaScriptなど)
  • ファームウェア経験あり

【想定案件】

インフラ運用・監視、ヘルプデスク、社内SE、プログラマ(VBA、VB.net、COBOL)、テストリーダーなど。最低稼働日数は週2日以上

⑵人月単価60万程度

【スキル】

  • 実務経験3年以上のプログラマ(Ruby、PHP、Java、Python、Scala、C#、Swift、JavaScriptなど)
  • ファームウェア経験ありで設計経験も求められる

【想定案件】

インフラ設計構築、ネットワーク設計構築、プロジェクト管理などの上流SEなど。最低稼働日数は週2日以上

⑶人月単価80万程度

【スキル】

  • 実務経験5年以上のSE(Ruby、Python、Swift、Scala、Javaなど)
  • 要件定義や設計経験があり、プロジェクトマネージャー・リーダー経験も求められる

【想定案件】

ゲーム業界、機械学習、大規模なインフラ環境構築、大規模プロジェクトのマネージメントなど。最低稼働日数は週2日以上

⑷人月単価100万程度

【スキル】

  • 各種コンサルレベルのスペシャリスト

【想定案件】

AWSコンサル、機械学習コンサル、SAPコンサル、外資系ITコンサルなど。最低稼働日数は週2日以上

独立後のキャリアパスは大きく分けて「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」の2パターン

スキル 手書き 羅列

上のパートでは単価別に案件の例を挙げましたが、独立後にスキルアップをして自分の契約単価を上げるにはどのようなことが必要でしょうか。

ここでは大きな方向性として、スペシャリストを目指す道と、ジェネラリストを目指す道の2つについて考えていきます。

開発者の道を極めるならスペシャリストに

スペシャリストとは、文字通り特定の開発言語や開発領域に特化したスキルを持った人材のことです。例えば、いくつかの人材紹介エージェントで掲載されている案件を見ると、以下のような言語の需要が現在増えていることが分かります。

あくまで一例ですが、こうした業界のトレンドや将来などをリサーチすることや、定期的に自身のスキルのブラッシュアップを行なうことで、生涯開発者として活躍し続けることも可能でしょう。

Java

金融システムからソーシャルゲームの開発まで幅広く使われており、特にここ数年のソーシャルゲームの隆盛により、需要が高い言語です。

PHP

Webサービスやゲーム、ECサイトに用いられる開発言語で、ベンチャー企業での案件が増えています。ベンチャー企業はフリーランスのエンジニアの受け入れに柔軟なので、今後も案件数は安定していると考えられます。

Ruby

WebサイトやWebベースの業務システムを効率良く開発できるため、スタートアップ企業を中心にRubyを使う企業が増加しています。

汎用性の高い活躍を目指すならジェネラリストに

もうひとつの道は、開発だけでなく要件定義や設計など案件の上流工程での知識・経験を身につけることで、守備範囲の広いエンジニアになることです。

上の章で紹介した案件例を見ると、高単価のものには「要件定義や設計」「プロジェクトマネージャー、リーダー」など、案件全体の取りまとめができることが条件になっている場合が多くあります。

昨今のIT業界全体を見ても、特に需要があるのはこうした上流工程で活躍できるタイプのエンジニアです。

コードを書くことだけを仕事にしたい、という場合は別ですが、コンサルタントやプロジェクトマネージャーになるというキャリアパスも単価アップのためには有効です。

※エンジニアの働き方について、より詳しく知りたい方はこちら

会社員との最大の違い:営業や経理など、開発以外の仕事にも責任が求められる

エンジニア デザイナー 話し合い アプリ 開発

ここまで働き方や案件、キャリアパスなどの視点からフリーランスについて見てきましたが、最後に会社員とフリーランスの本質的な違いについて考えてみます。

お気づきの方も多いかと思いますが、会社員でもフリーランスでも、実は仕事内容自体にはそれほど大きな違いがありません。

ひとつの案件に社員とフリーランス(外注)が一緒になって取り組むケースを、実際に経験されている方もいるかもしれません。

それでは、会社員とフリーランスの違いはなんでしょうか。

それは、開発以外のことも自分が責任を持たなければならないことです。そして、その中でもっとも重要なのが「営業」と「経理」です。

独立することで収入アップを実現することができる一方で、これらのことを自分が責任者として進めなければなりません。

営業:安定的な収益のために案件獲得ルートをつくる

独立後に最も大事なのは、案件をどのように獲得するかです。

例えば友人や仲の良い仕事相手など、会社を辞めたあとでもやりとりができる人から仕事をもらえる場合は、独立前からある程度売り上げの算段を立てることができます。

一方で、そうではない場合や、現在の人脈だけでは安定的に収入を得ることが難しい場合もあるでしょう。そのようなときは、案件を紹介してくれるサービスを利用する方法もあります。

こうしたサービスの代表としては人材紹介エージェント、派遣会社、クラウドソーシングサービスなどがあります。

それぞれ契約形態や特徴が異なりますが、中でも人材紹介エージェントは、自分に合った会社・担当者に出会うことができれば、案件の紹介にとどまらず、就業中の相談相手になってくれるなど心強い存在になります。

経理:売り上げ管理、納税の知識が必須

冒頭でも紹介したとおり、フリーランスは自分に直接受注額が振り込まれることが会社員との大きな違いです。そして、受注した金額から、どのようにやりくりをするかを自身で決める必要があります。

作業場の家賃や電気代にはじまり、受発注に関する書類のやりとり、税金や保険・年金の支払い…。会社でいうと総務や経理などが担当する仕事を自身でこなさなければなりません。

どこに時間や資金などのコストを割いて、どのくらい利益を出すか。このようなことを考えることに楽しさを見い出せる人はフリーランスが合うかもしれません。

なお、税金の支払いは収入を得ている人の義務です。会社員時代は意識しなくともほぼ自動的に納付できていますが、フリーランスになったらこれらの知識は必須といっても過言ではありません。

特に、納税額を決めるための確定申告についての理解が足りないと、受けられるはずの控除を受けそびれたり、申告漏れをした場合に脱税とみなされるおそれもあります。

***

フリーランスになる前に理解しておきたい手続き、税務処理に関する記事はこちら

最後に:働き方を変えることは人生を変えること

会社員を辞めてフリーランスになることは、人生に大きな変化をもたらします。

会社から離れることで、時間や場所に縛られないことはもちろん、「どのような案件を受けるのか」「どのようなキャリアパスをたどるのか」など、極端にいえば自分の人生の舵取りをより主体的に行うことが独立の意義だと考えます。

その意味では、単に稼ぎを増やすことだけでなく、ワークライフバランスを保ちながら、いきいきと働くスタイルを築き上げる人もいます。

この記事で紹介したことを踏まえて「自己実現のための手段」としてフリーランスになることが自分に向いているかどうか検討してみてください。

SHARE

RELATED

  • お問い合わせ
  • お問い合わせ
  • お問い合わせ