フリーランスの税金|知っておくべき5つの税金と社会保険料

FREELANCE

フリーランスになる方が避けて通れない仕事の一つに税金の計算があります。

会社員であれば給与天引きで自動的に納付ができていたものを、独立後は自分で支払わなければなりません。

いざ自分で納付を進めようと思うと、手続きが少し複雑なことなどが原因で、厄介な存在になりがちです。

また、独立後は税金だけではなく「国民健康保険」と「国民年金」の加入・費用支払が必須です。これらも、会社員であれば税金と同じように給与から天引きされるものです。

そこで、この記事ではこれからフリーランスになる方に向けて、税金、健康保険、年金に関する基礎知識について解説します。

下の図にフリーランスになったら自分で納める必要がある税金、保険料、年金の3つをまとめてみました(※ちなみに、健康保険と年金は「社会保険料」という言葉でひとまとめにされることがあります)。

いつまでに、どのように払うのかなど、いつ会社を辞めても税金、健康保険、年金のことで頭を悩ませずに済むよう、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

事業として支払うべき税金・社会保険料

フリーランスが払うべき税金の種類とその算出方法

万年筆 記帳

フリーランスの方が仕事に関して支払うべき税金は、全部で5種類あります。

事業として支払うべき税金の種類

そのうち、全ての人が支払わなければならないものと、該当者だけが支払うものに分かれます。
全てのフリーランスが支払う税金は以下の2つです。

(1) 所得税

(2) 住民税

また、必要な人のみ支払う税金は以下の3つです。納付をする人の条件については後述します。

(3) 個人事業税

(4) 固定資産税

(5) 消費税

事業として支払うべき税金の種類

これらの税金は、収入と支出を1年ごとに計算し、それをもとに納税額を国に申告します。これが確定申告です。なお、上記のうち固定資産税だけは都や市町村が税額を計算してくれるので申告をする必要がありません。

ここからは、それぞれの税金について解説していきます。

※確定申告の方法についての詳しい解説はこちら
フリーランスが読むべき確定申告パーフェクトガイド【税理士監修】

全てのフリーランスが支払うべき税金

(1) 所得税

所得税は個人の所得に応じて課税される税金で、所得が38万円以上ある方に支払う義務が発生します。

所得とは、収入から必要経費を差し引いたお金のことです(所得 = 収入 ー 必要経費)。

なお、所得税には「基礎控除」と呼ばれる38万円の税金支払の免除(控除)があるので、所得が38万円未満の方は課税の対象となりません。

また所得税は、所得が増えると税率が上がる「超過累進税率」という仕組みを取り入れています。税率は以下の通りですので、どのような区分になっているか確認しておくと良いでしょう。

所得税 課税額一覧
(参考:国税庁

上の表をもとに、所得に税率をかけ、控除額を引くことで納付額が確定します。計算式は「所得税額 = 所得金額(表中A) × 税率(同B) ー 控除額(同C)」となります。

なお、Cの控除額について補足します。この控除は、急激な税額増加を防ぐための調整措置です。

例えば、所得が195万円の場合と196万円の場合について考えてみます。
上の表にあてはめると、所得が1万円しか変わらないにも関わらず、税率に2倍の開きがあります。

  • 所得が195万円の場合:195万円 × 税率5% = 9万7500円
  • 所得が196万円の場合:196万円 × 税率10% = 19万6000円

このように、自身の収入が税率が変わる境界線上にある場合は、1万円の収入差で納税額が10万円も変わってしまいます。そのため、上の表(C)の控除額を設けることで、その調整がされています。

(2) 住民税

住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に納める税金です。

住民税は所得金額に対して約10%の税金がかかり、そのうち都道府県に対して約4%、市区町村に対して約6%が配分されます。

必要なフリーランスのみが払う税金

(3) 個人事業税

個人で事業を営んでいる人が支払う税金です。
なお、個人事業税には「事業者控除額」があり、事業所得金額が290万円を越えていなければ税金はかかりません。

税率は事業内容によってあらかじめ定められていますので、以下の表をご確認ください。

個人事業税一覧
※クリック/タップで拡大
出典:東京都主税局、同サイトで詳細が確認可能

基本的には全ての職業に個人事業税がかかりますが、上の表に掲載されていない事業については、税金がかかりません。

例えばライターやプログラマー、また写真家(アート作品として写真を撮る場合)などが税金のかからない事業です。ご自身がどの職業に当てはまるかは、実際の働き方によって判定されます。そのため、正確な区分については管轄の個人事業税の課税課や税理士の方に確認をしてみましょう。

(4) 固定資産税

固定資産税は土地や家屋、マンションといった「不動産」や、「償却資産」とよばれる「事業用かつ減価償却が必要な資産」に対して課せられる税金です。

不動産の場合、納税額は「固定資産税評価額 × 1.4%」で決まります。固定資産税評価額とは、その土地の価格や家屋の時価を定めたものです。価格は3年に1度更新されます。

固定資産税評価額は、家や土地を持っている場合に送られてくる固定資産税の納税通知書で確認することができます。

償却資産の場合はどうでしょうか。まず、構築物、機械装置、器具備品などの資産が償却資産に該当します。

身近な例では、例えばエンジニアやデザイナーが、10万円以上するパソコンを仕事で使っている場合などは償却資産に含まれることがあります。

なお、固定資産税には「免税点」が設けられています。資産の合計が150万円未満であれば税金がかかりません。

償却資産の対象となる主な資産は以下です。

償却資産一覧
出典:東京都主税局

(5) 消費税

物やサービスを消費する際に発生する税金が消費税です。フリーランスも、消費税として売上のうち8%をクライアント(受発注関係では消費者に該当)のかわりに国に納める必要があります。

ただし、2年前の売上が1000万円を超えない限りは原則として「免税事業者」という扱いになり、課税されません。

税金だけではなく「国民健康保険」と「国民年金」の納付と加入が必須となる

リスク マネジメント

続いては、税金と同じく国として加入が義務付けられている社会保険料についてです。

社会保険料とは、冒頭の図でも触れたとおり、端的には健康保険と年金がフリーランスの方に関係します。これらは、病気やけが、老後などの個人の生活上のリスクを保障する制度で、日本では国民全員が加入することになっています。

ちなみに、他にも40歳以上が加入必須の介護保険などもありますが、ここでは「健康保険」「年金」について解説していきます。

企業に勤めている場合は、企業を通じて健康保険に加入したり、国民年金を含む厚生年金を支払ったりしていますが、フリーランスは上記の制度に自身で加入しなければなりません。

まずは大前提として、このことを覚えておきましょう。

健康保険:国民健康保険の加入が原則、「国保組合」の加入もアリ

健康保険は、ご存知のとおり病院にかかったときに治療費などの一定割合を国が負担してくれる制度です。

企業に勤めている場合は一般的に協会けんぽという制度に加入することになりますが、個人事業主や自営業者、定年退職した方や無職の方など、会社員以外が加入する保険制度は「国民健康保険」(国民健保)です。

会社を辞めて独立した場合は、まずはこの協会けんぽから国民健保に切り替えることが必要です。

国民健保の保険料は、世帯年収や居住地域によって異なるので、市区町村の役所に問い合わせて確認してみてください。加入手続きも市区町村役場の窓口で行うことができます。

また、保険料は収入によっても増減することなどもあるので、「国民健康保険組合」(国保組合)の加入を検討するのも良いでしょう。

国保組合とは、近しい業界の業界団体を組織した国民健康保険の組合です。業界団体に入会することで、その団体が加盟する国保組合に加入することができます。

業界団体は、国保組合に入れること以外にも、講師を呼んだセミナーなど互助会的な側面を持った活動をしています。そのため団体ごとに入会金や年会費などが発生します。

国保組合の保険料については、多くが定額で、かつ割安な保険料をうたっていることから、トータルで見て業界団体に入会し、国保組合を利用する方が一般的にはメリットがあります。

なお、全国には100以上の国保組合があります。組合によって加入条件が異なるため必ず加入できるものではありませんが、条件を満たしている場合は利用を検討してみてください。

加入できる国保組合を見つける場合は「国保組合+(職業)」を検索すると関連した情報を探すことができます。

※健康保険に関する、より詳しい解説はこちら
フリーランスの保険|自分に合った賢い選択をするために必要な知識

年金:フリーランスは国民年金に「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金」を上乗せするべき

国民年金は個人事業主や自営業者が加入対象となる制度です。

支払い機関によって受取額は異なりますが、60歳までのうち10年以上納付することで受給資格を得ることができます。

フリーランスと会社員では支払う国民年金の種別が異なるため、退職にともなって種別の変更手続きが必要です。手続きは各市区町村役場・国民年金窓口で行います。

手続きが完了すると納付書(下記参考)が郵送されるので、口座振込みやクレジット払いなど、支払いやすい方法で納めます。

納付書
(参考:日本年金機構

なお、平成29年度の1カ月あたりの国民年金保険料は、フリーランスも会社員も一律で1万6490円です。

ただし、会社員は国民年金に金額を上乗せして、まとめて厚生年金として納めています。これは、国民年金に上乗せで保険料を支払い、保障を手厚くするという制度です。

フリーランスにも同様の制度があります。それが「国民年金基金」です。

国民年金の加入者を対象とし、年金の納付を上乗せすることができます。任意加入であり、掛け金を限度額(6万8000円)以内で選択することができます。

厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成27年度)」によると、国民年金の平均支給額は約5万5000円/月でした。それに対して、厚生年金は約14万7000円/月です。

この金額を鑑みると、国民年金だけでは十分な保障とはいえないでしょう。フリーランスの方は「国民年金基金」を活用し、国民年金に上乗せすることが推奨されます。

また、別の選択肢として「個人型確定拠出年金」(iDeCo)と呼ばれる制度もあります。

iDeCoは、毎月5000円から6万8000円までの掛金を定額で拠出し、投資信託など(金融商品)を運用します。運用で得られた給付金が将来的に返ってくる仕組みです。

iDeCoは加入の義務がない「私的年金」です。積立額や金融商品を自分で選択できるため、さまざまな選択肢のなかで運用することができます。

iDeCoを利用するメリットは、大きく以下の3つです。

  • 掛金全額が所得控除の対象
  • 通常の投資信託などと違い、運用で得た利益が非課税
  • 年金として受け取るとき、国民年金と合算して公的年金等控除の対象

また、iDeCoは運用管理費用も通常の金融商品よりも低めに設定されているため、運用コストを低く抑えながら資産形成に取り組むことができます。購入時の手数料がかからないことも特徴です。

運用を始める際はいくつもの金融機関から金融商品を選ぶため、手数料や利率など、自分なりの観点で選ぶとよいでしょう。

なお、iDeCoには注意点もあります。

通常の金融商品よりも金銭的な優遇がされている一方、あくまで年金という位置づけであるため、60歳になるまでは引き出すことができません。

また、投資商品なので、運用の結果次第では元本以上の給付金を受けられる可能性がありますが、元本割れするリスクもあります。

元本保証型の金融商品もあるので、利率などを考慮し、自分にとっての最適な積立ができるようにしましょう。

社会保険料の控除で、資産の積立と節税が同時に行える

ここまで説明した社会保障(国民健保・国民年金)で納めるお金を社会保険料といいますが、このお金は全額「社会保険料控除」という所得控除を受けることができます。

これは、確定申告をするときに、国民健康保険・国民年金で納めたお金を経費と同じように所得から差し引くことができる仕組みです。

国民健保、国民年金だけでなく、国民年金基金なども社会保険料控除に算入することができます。

上で触れた通り、国民年金基金は限度額の中で掛け金を設定することができます。また、この掛け金は年に1度変更することができます。そのため、自身の稼ぎに合わせて年金の積立をしながら節税も同時に行うことができるのです。

また、民間の個人年金保険に加入した場合も4万円までが控除されます。

保障の内容や金額で、民間の年金保険は加入すべきかどうか、個人によって判断があるかもしれません。しかし、節税を考えると国保組合やiDeCoなど、国の年金制度を利用することはお得と言えるでしょう。

ちなみに、個人年金の控除は「生命保険料控除」という区分になります。

税理士を雇える場合は、節税メリットが大きい青色申告を検討する

確定申告は「白色申告」か「青色申告」か、どちらか一方を選択して行います。

特に申請などを提出しない場合は自動的に白色が選択されます。青色申告よりも帳簿付けが簡単で、提出書類が少なく済むことがメリットです。

「青色申告」は複雑で難しい帳簿が求められるため、所得を正確に算出できる方向けの方法です。事前に税務署への申請書が必要であり、手続きの煩雑さはありますが、その代わりに節税面でのメリットは少なくありません。

青色申告特別控除として10万円(単式簿記)もしくは65万円(複式簿記)の控除を受けることができ、白色申告よりも納税額を少なくすることができます。

金銭的に余裕がある場合は税理士に依頼し、作成を代行してもらうのも方法の一つです。依頼費はおよそ3〜10万円なので、65万円の控除を考慮すると十分検討できる選択肢です。

※確定申告の仕方や青色、白色の違いについて詳しくまとめた記事はこちら
フリーランスが読むべき確定申告パーフェクトガイド【税理士監修】

まとめ

書類 記入

おさらいすると、すべてのフリーランスが納めるべきお金は以下です。

事業として支払うべき税金・社会保険料

一見すると複雑な税金の支払いですが、一つひとつ片付けていけばそれほど難しいことではありません。

また、手続きを進める中で困ったことがあれば、税金関連は税務署、社会保険料に関しては各市町村役場と、それぞれの管轄役所に問い合わせれば確実です。

手続きとしては面倒な部分もある納税ですが、自分の身を守るためにも、漏れなく支払っておきましょう。税金を支払うことは義務であることはもちろん、所得があることの証明であり、社会的信用に直結するからです。

例えばローンで大きな買い物をする際も、この社会的信用なくしては契約をすることができません。まっとうに生きていく上で、納税は欠かせないのです。

また、あわせて解説した健康保険や年金についても、病気やケガ、老後の生活を保障ために必要な制度です。

税金や社会保険について理解を深めて、フリーランスとして安心して末永く活動するための土台をつくりましょう。

※本コンテンツは、分かりやすく理解していただくために、一部説明を簡潔に記載しております。
記事監修:大見光男税理士(大見税理士事務所

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