「フリーランスの成婚率は高い」結婚相談所の代表が語る、フリーランス婚活の戦略論

フリーランスの成婚率は高い

「フリーランスは婚活で不利」
「フリーランスは結婚できない」

このように、漠然としたイメージをもっている方は多いはず。筆者自身も「フリーランスは結婚しづらいだろう」と思っていました。

「確かに結婚は難しいかもしれない。けど、なにかフリーランス婚活に役立つ情報はないか……」

そう思い、これまで婚活のプロとして数多くのカップルを成婚に導いてきた、結婚相談所『クラブ・マリッジ』代表取締役の笹岡督彦さんに話を聞くと「当相談所で婚活したフリーランスの成婚率は高い」と衝撃の一言が……!

フリーランスの婚活をプロの目線で語ってもらいました。

笹岡督彦さん
笹岡督彦さん

結婚相談所『クラブ・マリッジ』代表取締役。1000人以上の恋愛・婚活相談を経験し、200人以上の男女を結婚へ導く。婚活マーケットや意識動向データを踏まえつつ、確かな「分析データ」から確実に成果のでる活動の提案と、一人ひとりの気持ちに寄り添ったマンツーマンサポートに定評。

聞き手:齊藤颯人
聞き手:齊藤颯人

フリーライター/編集者。「フリーランスは結婚しづらい」と思い込み、「フリーランスの結婚について考えがネガティブすぎる」と言われたことも。

フリーランスの働き方が婚活にも活きる

齊藤:
さっそくですが、「フリーランスの成婚率は高い」という意外な傾向がなぜ生まれたか、その理由を教えてください!

笹岡:
皆さんがイメージするように、結婚相談所では「年収」や「職業」で相手を選ぶ風潮があるのは事実です。相手と顔をあわせる「お見合い」にたどりつくまでは、フリーランスだと不利な面もあります。

しかし、そうした条件面が大切になるのはお見合いするまでの話。それを乗り越えてお見合いさえできてしまえば、フリーランスは上手くいきやすいんですよ。出会ってからは人柄や価値観のほうが重要になってきますから。

笹岡さん 画像1

齊藤:
フリーランスはどんな性格の方が多いと感じますか?

笹岡:
フリーランスの方は、自分で営業して仕事をとってくる働き方が多いため、婚活に重要なコミュニケーション能力が高い傾向にあります。また、変化に強い柔軟な思考をもっていたり、継続する力に長けていたり、婚活を戦略的に考えられたりと、普段の仕事が婚活に生きてくるイメージがありますね。

齊藤:
フリーランスは「一人経営者」なので、そうした能力が鍛えられているのかもしれませんね。ただ、やはり「フリーランスの収入の不安定さ」は婚活に響くのでは……?

笹岡:
正直、そうした側面があるのは否定しません。「フリーランス=不安定」というイメージがあるのはもちろん、そもそもフリーランスという働き方の実態があまり認知されていないのも痛いですね。

ただ、これからはフリーランスの働き方がもっと一般的になるでしょうし、今後は見方も変わっていくと思います。

「フリーランスに理解のある相手」が大前提

齊藤:
フリーランスが結婚を意識するべき相手は、どんな人だと思いますか?

笹岡:
数は少なくなるかもしれませんが、フリーランスの働き方に理解がある、欲を言えば「フリーランスと結婚したい!」と思っているような人を探すのがおすすめです。

齊藤:
すると、フリーランスのことを一番理解しているフリーランス同士は相性がよく、結婚に向いている?

笹岡:
はい。フリーランス同士だとお互いの働き方に理解があり、考え方も似ているので結婚しやすい傾向にあります。

また、仕事から家事、子育てまで、助け合いながら生活しやすいのは大きなメリット。家族での暮らしは一種の「会社経営」なので、お互いに対等な立場で相談しながら家庭を築いていくにもフリーランスの経験が活きます。

齊藤:
つづいて会社員とフリーランスの結婚について伺いたいのですが、笹岡さん自身が婚活中だったとして、フリーランスの女性と結婚したいと思いますか?

笹岡:
結婚したいですね。私はパートナーと助け合い、支え合いながら生きていきたいと思っていますが、一方に依存しない「自立した人間としての強さ」も求めたい。そう考えたとき、フリーランスとして自立して生きてきた女性に魅力を感じます。働く難しさも知っているでしょうし、働く男性とフリーランスの女性は相性がいいと思っているんですよ。

齊藤:
なるほど。では、「フリーランスの男性と会社員の女性」という組み合わせはどうですか? 私は会社員の妻と結婚したので、ぜひ教えてください!

笹岡:
正直、ちょっと厳しいところはあります。

齊藤:
えっ……。

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笹岡:
安心してください、齊藤さんは大丈夫です(笑)

厳しいのは、結婚するまでの話。やはり、女性は結婚相手に「堅い職や安定感」を求める傾向があり、フリーランスの男性は選択肢に浮上しづらいです。でも、ひとたび結婚できてしまえば相性は最高なんですよ。

相手はフリーランスの働き方に理解を示しているうえ、フリーランス側も「額面の収入が高いだけ」「仕事柄収入が不安定だ」と誠実に説明する方が多いので、結婚時点で年収や仕事に関する考えが一致しています。過度な期待をしない/されない関係が成立するので、関係が続きやすいです。

フリーランスの婚活には、仕事と同じ「戦略」が大切

齊藤:
フリーランスからは「会社員のような職場恋愛がなく、出会いがない」という悩みをよく聞きます。フリーランスが結婚につながる出会いを探そうと思った場合、どのように動くべきですか?

笹岡:
とにかく何かしらのサービスを一日でも早く活用すべきですね。一番手軽なのはマッチングアプリです。

ただ、大事なのは「どのサービスを使うか」ではなく「サービスをどう使うか」。普段のフリーランス経験を活かしてセルフプロデュースし、仕事のように戦略を立てて婚活に挑むべきです。

齊藤:
たとえばパートナーを婚活サービスで探す場合は、どのような戦略を立てたらいいですか?

笹岡:
「フリーランスの自分を受け入れてくれるか」という観点から探すといいと思います。フリーランス同士なら相手の働き方を受け入れやすいですが、婚活市場にフリーランスはあまりいません。

その場合、意地になってフリーランスを探すのではなく、相手の職業などから「フリーランスの働き方に理解を示してくれる確率」を判断するとミスマッチを防ぎやすい。実際、公務員や銀行員より、ベンチャー企業のエンジニアのほうが働き方に理解がある可能性は高いと思いませんか?

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齊藤:
たしかに……。

笹岡:
あと、「自分がフリーランスだと告白するタイミング」も重要です。プロフィールの時点で「フリーランス」を名乗って出会えればベストですが、それだとマッチする相手が極端に減るので、誰にも出会えないかもしれない。そのため、最初はフリーランスと名乗らず、親密になった段階で告白するのも手。

最初からフリーランスだとアピールし、それを受け入れてくれる人を待つのか、まずは出会いのチャンスを増やし、親密になったタイミングで打ち明けるのか。どちらが正解ということではなく、自分の考える「戦略」に合った行動をするのが大切です。

齊藤:
ただ、相手が受け入れてくれても、その両親や友人の反対に遭ってしまうという話をよく聞きます。

笹岡:
フリーランスが心配されるのは「将来性」の部分だと思うので、まずは将来の見通しをしっかりプレゼンして相手に納得してもらい、そのうえで日頃から周りの人にもいい印象を与えるような付き合い方をしていくのが大切です。

ただ、たとえば相手が「友人に反対されている」と言ってきた場合、それは相手自身もあなたの将来性に不安を感じていて、友人の存在を使ってあなたに何か足りないものがあるとアピールしている、つまり「友人を使ってプレッシャーをかけている」のかもしれませんよ。

齊藤:
その可能性はありそうですね……。

笹岡:
もしそう言われたら「私に何か足りないものがあり、試されているのかも」と思うべき。結婚を真剣に考えている時点で、フリーランスという最大のハードルはクリアしているはずです。自分に何が足りないのか考えたうえで、言葉だけでなく日々の行動を通じて相手に納得してもらいましょう。

フリーランスの働き方を決断したように、結婚する勇気を持とう!

齊藤:
もし笹岡さんの目の前に、フリーランスとの結婚に悩んでいる方がいたとすれば、どう声をかけますか?

笹岡:
結婚となれば、やはり相手の将来性を気にする方が多いので、それを重視するなら「将来性を見極める目」を持ちましょう。相手の仕事の話を聞き、ちゃんとした返答が返ってくるかどうか。普段の仕事ぶりからもデキる人かはなんとなく分かると思うので、そこは見極めたいです。

ただ、たとえ仕事がダメダメでも、それを超える「何か」があれば結婚は成り立ちます。だから、本当に大切なのは決断する勇気を持つことですね。相手の将来に感じている不安は、自分の将来に感じている不安でもありますから。

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齊藤:
つまり、相手の将来を不安に思うのは、自分の将来への不安が原因ということですか?

笹岡:
そうです。もし相手の将来性がゼロでも、自分がバリバリ働いて稼げれば問題ないわけですから。相手に感じている不安も、結局は相手の問題ではなく自分の問題なんです。

だから、もし相手の年収が気になるんだったら「年収〇〇円以上の相手としか結婚しない!」とラインを引くべき。結婚後のライフプランを練り、相手に求める収入を割り出す。そこが定まると、相手に求めるものもハッキリしてくると思います。カウンセリングでこうやってぶった切ると怒られますけど、これが理想の結婚への近道です。

齊藤:
婚活には「戦略」と「決断力」が重要なのですね。

笹岡:
はい。婚活を始めるにあたっては、とにかく「自分は結婚したいのかどうか」を明確にすることが大切です。結婚する必要がないなら悩む必要はありませんし、結婚したいなら一日でも早く動いてほしい。

ただ、こう言うと「仕事が落ち着いたら」とか「成功したら」と答える人も多いんですよね。

齊藤:
たしかに、そういう意見はよく耳にします。

笹岡:
でも、仕事なんてずっと続いていくもので、「それが落ち着くのっていつなの?」と思ってしまいます。また、成功したらとは言うものの、一般論として成功やステータスといった「肩書」で他人を評価しない人と結婚したがります。これって矛盾してないですか?

だから、結婚したいなら今すぐ動くべきなんです。年齢を理由に婚活で苦労している人を何人も見てきましたから。

齊藤:
なるほど! では最後に、婚活中のフリーランスにアドバイスをお願いします。

笹岡:
私はフリーランスの皆さんをめちゃくちゃ尊敬しています。スキルを磨くだけでも大変なのに、そのうえ日々いつ仕事がなくなるかわからない恐怖の中で生き残ってきている。

つまり、皆さんは難局を乗り越える強さを持っている方々なんです。皆さんがフリーランスの働き方を決断したように、結婚という未知の世界に飛び込む勇気を持ってください!

(執筆:齊藤颯人 撮影&編集:イズミ カズキ)

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