【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
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多くのゲームは、その中毒性が人気の秘訣。レベル・順位アップや満足感を求めて人はゲームに没入していきます。
昨今、そういったゲームの設計をプロダクト開発やマーケティングに活かす「ゲーミフィケーション」が注目を集め、さまざまな企業が取り入れるようになりました。
しかし、ゲーミフィケーションは扱いを間違えれば、ユーザーを混乱させ満足度を下げる原因にもあります。
この記事では、ゲーミフィケーションの概要から取り入れるためのポイント、実際の成功事例まで詳しくご紹介します。
目次
ゲーミフィケーションは、「ゲーム化」とも訳される言葉。報酬や競争といったゲームの要素を、ゲーム以外の分野に応用する取り組みのことを指します。
デジタル化に伴って注目されはじめた言葉ですが、それ以前からゲーミフィケーションは多くの企業や店舗で使用されていました。マイルシステムや、スタンプカードなどはすべて、このゲーミフィケーションの手法を導入した初期のアナログ事例です。
従来から使用されてきたゲーミフィケーションが、近年になって注目度が高まったのには、ある理由があります。
現代は、誰もがインターネットを使用する時代。総務省の令和2年通信利用動向調査によれば、インターネット利用者の割合は13〜59歳で9割を超え、スマートフォンを保有している世帯も8割にのぼります。
スマートフォンは、ユーザーに常に情報を提供し続けます。そのような状況では、ユーザーが1つのサービス・コンテンツに留まり続けることは稀で、自社が提供する情報を認識してもらうのは昔と比べてはるかに難しくなりました。
ゲーミフィケーションが重要視されはじめた背景は、これに関連します。膨大な情報のなかで、自社のサービスやコンテンツにユーザーを集め、長く深く留まってもらいエンゲージメントを高めようという工夫の先に生まれたのがゲーミフィケーションなのです。
ゲーミフィケーションに主に取り入れられるゲームの要素、必ず設定すべき内容は以下の5つです。
ゲーミフィケーションを活用するには、まず目標が欠かせません。どんなゲームにも倒すべき敵、達成すべき数値が用意されています。
目標設定のうえで重要なのが、明確であること、すぐに達成できないものであること、達成するまでの道筋が見えていることの3点です。利用者のモチベーションを高められるような適切な目標を検討しましょう。
目標を細分化した課題も、ユーザーに提示するようにしましょう。この課題が、目標までの道筋を示す役割を担います。課題を設定するうえで重要なのは、難しくしすぎないこと。ユーザーに達成感を多く感じさせるために、課題は細かく設定するのがおすすめです。もちろん、ユーザーの特徴やサービスやコンテンツに対する温度感を踏まえて、適宜調整が必要になります。
課題や目標を達成した際に、報酬(フィードバック)がなければ、ユーザーのモチベーションは続きません。ゲームでは敵を倒したら武器やお金がもらえるように、ゲーミフィケーションでも課題や目標の難易度に応じたクーポンやプレゼントなどの報酬を用意しておきましょう。
目標までの道のりや課題の達成状況といった現状を可視化することも、ユーザーのエンゲージメントを高める要素になります。これまでのかけてきた時間や労力が思い出されることで、ユーザーは自社のサービスやコンテンツから次第に離れにくくなる効果があります。
ほかのユーザーとの交流や競争も、ユーザーのエンゲージメントを高める要素です。世界で何位なのか見れるようにしたり、友人の動向が把握できるようにしたり、新しいユーザーと出会う機会を用意したりすることで、コミュニケーションの欲求や競争心に関与し、サービスやコンテンツへの愛着につながります。
上記の要素をおさえたうえで、取り入れると効果的なゲーミフィケーションが行えるようになる手法をご紹介します。
ゲーミフィケーションを取り入れる際、まず考慮すべきなのがバートルテストです。
バートルテストとは、ゲームユーザーをその特徴から4つに分類したもの。ゲーミフィケーションを行ううえでは、これら4つのタイプを満足させられるようなシステムを構築するようにしましょう。
- アチーパー
アチーバーは「達成」を求める人です。課題をこなすことや目標に到達すること、報酬を集めることで満足感を感じます。- エクスプローラー
エクスプローラーは「探検」を求める人です。さまざまな場所にいったり情報を得たりして、新しい発見があると満足感を感じます。- ソーシャライザー
ソーシャライザーは「交流」を求める人です。ほかのプレイヤーと話したり一緒に作業したりして交流することに満足感を感じます。- キラー
キラーは「競争」を求める人です。勝負やレベルなどの数値でほかのプレイヤーより優位に立つことで満足感を感じます。
バートルテストを意識しこれらの4タイプを満足させる設計を行うことで、自然とゲーミフィケーションの必須要素も抑えられます。
ここからは、ゲーミフィケーションを取り入れる手法として以下5つの仕組みをご紹介します。
ユーザーの達成度を測定できるポイントシステムは、すでに多くのプロダクトに利用されています。ポイントシステムがあれば、ユーザーは簡単にこれまでの記録を振り返られるでしょう。
そのうえ開発者としても、Webサイトやアプリのエンゲージメントを測定するのにも便利な指標となります。
ユーザーがチャレンジを達成したり特定数のポイントを集めたりすると、バッジやステッカーが与えられる仕組みもゲーミフィケーションの代表例。ビデオゲームでよく利用されている仕組みです。最近ではブログサービス『note』で多く使われています。
昔から多くの支持を得ている手法で、ユーザーのモチベーションの原動力になります。
人のチャレンジ精神を掻き立てる要素が、競争です。より多くのバッジを持っている順番などでランク付けしたリーダーボードは、ユーザーの熱意を高めるのに一役買います。
その一方、上位者と自分のランク差がやる気をそいでしまう原因になる場合もあるため、リーダーボードは慎重に使いましょう。
チュートリアルは、ユーザーがたどるべき過程をできるだけシンプルにすることを目的としたもの。チュートリアルがあることで、そのプロダクトはユーザーにより親切な印象を与えられます。たとえばチュートリアルで機能を紹介しておけば、誤操作などのリスクを防げるので安心です。
チュートリアルが長くなってしまう場合は、スキャフォールディングをお勧めします。スキャフォールディングとは、ユーザーの経験値に合わせて、徐々に機能を公開することです。一度に大量の情報を与えるよりは、ユーザーを混乱させずに済みます。スキャフォールディングと合わせてユーザーの進捗状況を管理することにより、継続を促すこともできるのです。
ユーザーに時間的な制限を設ける手法もあります。タスク完了までの時間を制限するやり方が一般的で、もし時間内に完了できなかった場合はユーザーの負け。
このようなアプローチをプロダクトに適用することで、ユーザーは今日だけ入手可能な何かを申し込むかもしれません。時間的な制約により、ユーザーを何らかの形で素早く反応させたり、行動を促したりできます。
ゲーミフィケーションは強力なツールですが、肝心のユーザーニーズを忘れないよう注意することが重要です。深く考えることなくプロダクトにゲーム要素をつけてしまうと、視覚的なノイズが増え、ユーザーの注意を逸らしてしまう可能性もあります。
このようなミスマッチを防ぐためにも、ユーザーがどのようなニーズとモチベーションでプロダクトを使用するのか理解したうえで、そのUXを補強するようなゲーミフィケーションを取り入れましょう。
また、ゲーミフィケーションは一度実施して終わることはありません。必ず改善が必要になります。ユーザーがどの時点で離脱したのかを把握し、なぜ続かなかったのか検討し目標や課題の難易度や報酬とのバランスを調整しましょう。さらに自社のユーザーには、バートルテストの内どのタイプが多いのかなども分析しておけば、企業全体で活用できる貴重なデータになるでしょう。
ゲーミフィケーションを成功させるコツは、ユーザーのモチベーションを理解することにあります。顧客インタビューやデータをもとにユーザーを正しく理解し、それに合わせてゲーム要素を取り入れましょう。以下に、ユーザーのモチベーションを理解し、ゲーミフィケーションを上手く取り入れた7つの事例をご紹介します。
手法:ポイント、バッジとステッカー、制限
主なターゲット(バートルテスト):アチーバー、エクスプローラー
スターバックスも、ゲーミフィケーションを上手く使用した報酬プログラムを活用しています。ポイントを貯めることで無料のドリンクやトッピングをもらえる仕組みをつくり、ユーザーのリピート率を向上させるのが狙いです。
アプリ上で使用できるスターバックスの報酬システムでは、コーヒーカップ内に星がたまり、無料アイテムがもらえるまでの道のりを確認できます。
また、このシステムに登録しているユーザーは、一般より一足先に新商品を注文できたりと、探究心を満たす仕組みも用意されています。
施策:RE.UNIQLO(商品のリサイクル・リユースの取り組み)
手法:ポイント、制限
主なターゲット(バートルテスト):ソーシャライザー
ファストファッションで有名なユニクロからは、リサイクル・リユースに関連したゲーミフィケーションの取り組みをご紹介します。
ユニクロは常時リサイクルできる商品を回収していますが、RE.UNIQLOでは集める商品と期間を限定し、協力したユーザーにはクーポンを配る仕組みを取り入れました。
これにより、ポイント・制限の効果が生まれることで、取り組みの効率化・活性化につながります。この取り組みによって、環境問題へのアクション実施のアピールもなります。
手法:バッジとステッカー、リーダーボード、チュートリアル、制限
主なターゲット(バートルテスト):アチーバー、エクスプローラー、ソーシャライザー、キラー
音楽配信アプリのSpotifyには、ゲーミフィケーションを効果的に取り込まれています。たとえば、以下のような仕組みです。
これらのゲーミフィケーションを活用した工夫により、 Spotifyはユーザーの愛着を高めています。
施策:Nike Run Club
手法:バッジとステッカー、リーダーボード、制限
主なターゲット(バートルテスト):アチーバー、ソーシャライザー、キラー
Nikeの『Nike Run Club』というランニング支援アプリには、ゲーミフィケーションの手法が多く取り入れられ、ランナーのモチベーションを支えています。
アプリ上で達成感や満足感を感じることは、そのブランドへのエンゲージメントにつながります。
手法:バッジとステッカー
主なターゲット(バートルテスト):アチーバー
瞑想アプリの『Calm』。ユーザーが日々の生活に瞑想とリラクゼーションを取り入れられるようデザインされています。瞑想の時間に通知を受け取ることができ、毎日コツコツ続けると得られるのが星マークと表彰状。こうした報酬があることで、ユーザーが日々の生活に瞑想の習慣を取り入れるモチベーションへと繋がるのです。
手法:リーダーボード
主なターゲット(バートルテスト):ソーシャライザー、キラー
フィットネストラッカー『Fitbit』では、フィットネスに関するユーザーのニーズに合わせ、アプリ上で3つの異なる課題を提供しています。課題に合わせてグループを作成し、メンバー内で進捗状況を競い合える仕組み。ユーザーが継続的にフィットネスを続けたくなるよう、スコアボードが用いられているのもポイントです。
手法:ポイント
主なターゲット(バートルテスト):アチーバー
ディスカウント商品のショッピングアプリである『Wish』は、期間限定のディスカウントを提供することでユーザーの素早い購入判断を促します。ディスカウント価格で商品が購入できる「時間」を、ユーザー自身がルーレットを回して獲得するゲーミフィケーションが採用されているのです。その時間内に購入した商品は、全てディスカウント価格で購入できるという仕組み。時間内に購入しようという制限から、消費意欲をユーザーに促すことに成功しています。
ゲーミフィケーションはプロダクトデザインの重要な要素としての位置を確立しつつあります。上手く活用すれば、ユーザーのエンゲージメントを増やしタスクを楽しんで行ってもらえます。
以下のような視点をもち、ゲーミフィケーションの設計を行いましょう。
<ゲーミフィケーションを成功させる視点>
- あなたのプロダクトをどのようにユーザーに使用して欲しいか考える
- ユーザーをグループ毎に分類し、それぞれのユーザーグループがどうプロダクトを使っているかを分析する
- より多くのユーザーが好むアプローチを探すために、さまざまな要素のA/Bテストを行う
既存のフォーマットに沿う必要はありません。新しい方法を実験し、ユーザーのフィードバックに耳を傾けましょう。
トライアンドエラーを繰り返すことで、あなたのプロダクトにぴったりなゲーミフィケーションが見つかるはずです。
(執筆:杉田真理子、ミノカズナリ 編集:北村有、じきるう、泉)
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