ユーザー定着率向上の鍵! GitHubのオンボーディング戦略

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世界中のソフトウェア開発に利用されているGitHub。ユーザー数は、2017年までに2,600万人へと成長し、世界最大のソースコードホストになりました。

Githubは大口のクライアントを多数抱える一方、新規ユーザーに対するオンボーディングも忘れません。

オンボーディングとは、ユーザーを定着させるためにデザインや言葉の力で誘導すること。GitHubのようなビッグサービスになると、さまざまな技術レベルや経験を持つユーザーが存在するので、誰にでも使えるようインクルーシブな仕様になっています。

ここでは、Githubがどのようなオンボーディング戦略で多様なユーザーを惹きつけているのかを考察。自社製品やサービスの定着率向上に活用できる、普遍的な法則を見つけていきましょう。

1. 登録フォームではなるべく丁寧な説明を心がける

誰のためのサービスなのか、何ができるサービスなのか、トップページのオンボーディングではわかりやすい説明を加えます。登録情報の入力は複数の段階に分けると、離脱を防げます。トップ画面の項目は極力少なくしましょう。GitHubの場合は、ユーザーネーム、メールアドレス、パスワードのみ。

トップ画面

2ステップ目の画面では、ユーザーを飽きさせないように適度な情報を盛り込みましょう。例えば自分がいまどの段階にいるのか、進捗を示します。そのほかにも、GitHubというサービスのことを伝え魅力を感じてもらうために、豆知識を載せるのもいいですね。

登録画面

登録の過程でさりげなくアンケートも取り、ユーザー層とそのニーズを調査します。この段階でアンケートを取ることで、よりパーソナライズされたサービス提供を可能にしているのです。パーソナライズは、オンボーディング戦略において重要な項目です。

GitHub opens onboarding to different users right away with a survey

2. 使い方ガイドでサービスの利便性を理解してもらう

プラットフォームの定着率を上げるには、ユーザーがその機能を最大限使えるようサポートしなければなりません。

GitHubは、新規ユーザーに向けてわかりやすいCTA(Call to action)ボタンを用意しています。やり方がわかる人には右の「プロジェクトを始める(start a project)」 、わからない人には左の「利用ガイド(read the guide)」の選択肢が用意されています。

GitHub offers the user two choices when they sign up

「利用ガイド」では、Githubのコア機能の使い方をしっかりと説明します。下記のようにGithubそのもその目的や理念など全体的な世界観の説明をしているものは、”Hello Worldガイド”と呼ばれます。

GitHub's Hello World guide

 

3. 動画によるチュートリアルコンテンツを使う

動画はわかりやすいオンボーディング手法のひとつ。一説によると、動画の導入によるクリック率は96%も向上するようです。動画によるオンボーディングは、機械的な説明をするだけでなく人の感覚に訴えかけるという効果があります。

GitHub's video library teaches users how to get the most out of the platform

GitHubは、機能に関するわかりやすい説明をする動画をYoutubeチャンネルで定期的にアップしています。

ユーザーの属性に合わせたプレイリストを複数用意しています。たとえば 「Get Up and Running」 プレイリストにある動画は基本的なガイドを網羅したもので、「Ecosystem」プレイリストがプラットフォームの機能を最大活用する方法を説明するもの、などです。

GitHub's guide could be improved with integrated video

4. コミュニティを育てる

ユーザーが、チームメンバーにGithubのサービスを紹介し、広める。そのために、メンバー同士がコミュニケーションできる場を作っているのです。コミュニティ育成はオンボーディング戦略のひとつです。

新規ユーザーのがチームに入ったときはそのチームの最新情報が表示されます。さらに、それぞれのメンバーがメンション付きで投稿でき、プロジェクトの進捗を共有し、メンバーを招待できる機能も付いています。

GitHub helps users invite their team members

新規ユーザーのダッシュボードは、最初は空です。しかしチームメンバーをフォローしたり、「見る」レポジトリを選択したりすることで、徐々にコンテンツが増えていくでしょう。

GitHub's dashboard is team-centric

GitHubのプラットフォームは、開発者同士のコミュニケーションの場としても使われています。

 

その他のオンボーディング活用事例集

活用例1:NETFLIXのオンボーディング

動画配信のNETFLIX。新規ユーザーの性質を知り、サービスを相手に合わせたカスタマイズ表示をしています。登録が完了した画面で「ようこそ○○さん」とユーザー名を呼ぶなど、親しみやすい印象を与えています。

パーソナライゼーションは、最初のオンボーディング段階だけでなく、後々の長期的なユーザーとの関係づくりに役立つのです。

netflix personalization onboarding

活用例2:Segment

アクセス分析ソフトのSegmentは、サービスを使う価値やメリットは何か、オンボーディングで明確に打ち出しています。

5分程度で成果物が見れるチュートリアルを組んでみましょう。サービスが何を目的としていて、どんな使い勝手なのかが一目瞭然になります。Segmentでは、最初にデータをコンパイルしてもらうことではっきりと使い方を示しています。

初歩的なことから、実際にSegmentチームが開発したような設定までを、デモとして見せてあげるのも良いですね。

Segment orients new users

活用例3:WISTIA

動画マーケティングツールWISTIAは、オンボーディングに動画を取り入れています。人の顏を映し出すことにより、親しみを与えエンゲージメント率を高める狙いもあります。

動画のような直感的な情報は、新規ユーザーの心を掴みやすいです。高予算のストップモーションアニメーションである必要はなく、登録後最初に訪れるページでツールの活用方法をシンプルに説明し、早い段階で使い方を理解してもらうことが目的です。

ビジネスの用途に合わせて、動画の使い方を変えることができることをアピールしているのです。

Wistia humanizes onboarding with video

活用例4:Dropbox

新規ユーザーがツールを学ぶのにチームワークを要するのであれば、すぐにコミュニケーション機能を取り入れることをおすすめします。

Dropboxは、ファイルをシェアしている者同士がより密な関係であり、ツールに価値を見出してくれると信じています。だからこそ、最初のオンボーディングの段階で、使い方がわかるように、何かしらのファイルをアップロードすることが求められるのです。

Dropbox's onboarding flow helps users collaborate immediately

まとめ

より広範囲のユーザー向けに製品やサービスを機能させることが、ユーザー規模を拡大するためのアプローチとなります。そういった意味でもGitHubは、経験豊富な開発者から未経験の同僚まで、誰でも簡単にネットワークを構築できるプラットフォームといえるでしょう。

さまざまな用途に合わせてオンボーディング過程をパーソナライズし、すぐに誰かとコラボレーションできる機会を広げることは、新規ユーザーを安心させ、アプリの世界内でつなぐための第一歩です。

(翻訳:Kelala)

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