エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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対話型AIチャットツール『ChatGPT』や画像生成AIツール『Stable Diffusion』などの台頭で、2023年に突入すると一気に動きが活発になってきた印象のAI界隈。AIツールを上手く活用すれば、これまで人の手でおこなってきた業務のほとんどが時短になる可能性に満ちています。
しかし、AIのことをなんとなく知っていても「AI活用はどこまで業務効率化に繋がるの?」「どのAIツールを使えばいいか分からない……」など、AI活用へのハードルを感じている方も多いはず。
そこで、今回からさまざまな職種の方に「AI活用事例」を伺っていきます。初回は、本業・副業でAIツールを活用しているデザイナー・ミヤマさんに、AIツール活用事例とAIに仕事を奪われないための心構えについて聞きました。
某企業の営業部署にてインハウスデザイナーとして活動。商談資料や広告デザインなどを担当し、コロナ禍を機に副業も開始。副業ではSNSでの情報発信やニュースレター配信、デザインコンテンツ制作などをおこなっている。
目次
これはハッキリ覚えていて、Stable Diffusionがリリースされた2022年8月22日から、AIツールを使い始めました。
もともと『DALL·E2』と呼ばれる、OpenAI社の画像生成AIについての情報をTwitterで見かけていて、使ってみたいな〜と思っていたのがきっかけです。ですが、当時DALL·E2はオープンソースではなく限定公開だったので、なかなか試せなくて。
そんなとき、Stable Diffusionがオープンソースで公開になったので、すぐに試しました。AI界隈が賑わっている今から考えると、かなり初期からAIに触れていると思います。
圧倒的にChatGPTをフル活用しています。
私は、本業では商談や営業資料の作成、広告デザイン、それらのディレクションやガイドラインのブランドチェックなどを担当しています。副業ではSNS配信やニュースレターの作成、デザインコンテンツの制作や販売、SNSコミュニティの運営などが主です。
企画立案や企画書のたたき台の作成、メール文面の作成をはじめ、アイデア出しやデータ分析、英訳・和訳などもすべてChatGPTを活用しています。まとめると、デザインまわりのアイデア出しや、テキスト関係の雑務にChatGPTを使っている感じですね。
ただ、皆さんがデザイナーのAI活用で思い浮かべがちな『Midjourney』『Stable Diffusion』のような「画像生成AI」については、後述するように多くの課題があるのも現状です。そのため、現在は本業ではなく、副業の限定的な範囲でしか活用できていません。
以下では、私のAI活用事例をご紹介します。
ChatGPTで、ある程度のデザイン企画書を作成できるプロンプトを用意しています。たとえば、前提条件として以下のような項目を入力するとします。
- 目的:ブレンド茶のプロモーション、売上を伸ばす
- ターゲット:20歳~45歳の女性
- 媒体:Webバナー
このとき、全項目を埋めなくても大丈夫。空欄のところは「あなたが考えて適切に埋めなさい」と指示出しすればいいんです。あわせて「超敏腕コピーライターになりきって、キャッチコピー案も複数提示してください」と指示出しすれば、良い感じのキャッチコピーも考えてくれます。
仮に提示されたキャッチコピーのクオリティがいまいちだと思ったら、「もっと顧客に刺さるようなキャッチコピーを5案提示してください」などとフィードバックすればOKです。ちなみに、私はChromeの拡張機能である『Voice In』(Windowsでは無料。Macではデフォルトの音声入力ソフトが高性能でおすすめ)という音声入力ツールを使い、実際にChatGPTに話しかけて指示出しをしています。
こうやってブラッシュアップをした企画書を営業さんに渡せば、営業プレゼンもしやすくなりますよ。キャッチコピーや商品・サービスのアピールポイントなどもChatGPTで作成できるので、合わせて提案すればとても喜ばれるはずです。
上記で作成した企画書を上司にメール共有するときなどにも、ChatGPTを活用できます。たとえば、以下のように指示を出します。
「この企画書を課長にメールしたいので、メール文面を作成してください。箇条書きで良い感じにまとめてください。『お世話になります』などの挨拶は省略して大丈夫です」
そうすると、指示どおりのメール文面が出力されます。
名前などの細かい部分は人の目でチェックする必要がありますが、簡単に雛形ができるのでとっても時短になります。時おり末尾に「敬具」などついてしまうんですが、そこがChatGPTのかわいらしいところですね(笑)。
マーケティング業務(データ分析やアナリティクス分析)などを行う際や、ニュース記事や論文の要約をするのにも、ChatGPTを使っています。
長い文章やデータも、コピー&ペーストしてChatGPTに貼り付けて、「◯文字程度に要約してください」などと指示出しをすればわかりやすくまとめてくれます。さらに「小学6年生でも理解できる文章に」などと付け加えれば、難解な文章も読みやすくなりますよ。
AIツールを活用するようになって、もちろん作業時間が短くなった面もありますが、圧倒的にアウトプットのクオリティが上がった感覚があります。とくにマーケティングやイラスト分野において、クオリティの向上は無視できません。
たとえば「明日までに企画書を用意して!」と言われることもザラにあるのですが、前もって精度の高いプロンプトを用意しておけば、質として70〜80点くらいの企画書を生成できるようになりました。
このようにChatGPTを使えば、クライアントへの企画提案や改善提案、またメール文面の作成なども簡単にできます。くわえてイラストの生成についても、発注〜納品まで数十秒に短縮することが可能です。単純なイラストの発注だけなら、わざわざイラストレーターに発注せず、クライアント側がAIでつくってしまう時代も目前だと思います。
【AIartアカウントつくってみました!】猛勉強したAI画像を #AIart タグをつけて(←重要)、ご紹介するアカウントを作成しました。イラストも描ける立場からするとかなり脅威なのですが、見方を変えれば時短ツールにもなり得る驚異の技術です…。
↓学びとしてよかったら😊https://t.co/SoaaXSdPkj pic.twitter.com/QtfE9LQzSu
— ミヤマ|営業部にいるデザイナー (@mmmiyama_D) October 16, 2022
企画書やイラストの土台作りにはじゅうぶん使えるAIですが、まだまだ未完成だと思っています。完成形のイメージは、なんでも自律的にこなしてくれる「ドラえもん」みたいな感じ。ですが、現状はまだまだ人間の手でハンドリングしなければいけませんし、人間側にAIリテラシーが求められます。
実際、MidjourneyやStable Diffusionはイラストや写真は少し手直しをすれば実用に耐えるクオリティですが、完成されたデザインの一発出しはまだまだですね。また、海外ツールということもあってか、どうしても海外チックなテイストに偏りがちで、実務には使えない場合もあります。
しかし、クオリティ面以上に重大なAIツールの大きな課題点をひとつ挙げるなら、企業内やクライアントワークで使う場合のリスクが高すぎる点ですね。とくに大企業ではセキュリティの制約が大きく、著作権を含む知的財産権の問題などもあるため、慎重に活用する必要があります。
結局、AI創作とどう向き合うべき? 知られざる著作権の落とし穴と対策【弁護士解説】
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なぜかというと、画像生成AIは写真やイラストを生成するために、世界中にあるデータから学習しているから。その学習元に知的財産権リスクがあり、実際に有名アニメの画像がほぼそのまま出力されてしまった例もあります。
私は、個人では画像生成AIを使っていますが、企業で使うとなると話は別。いくら現状で法的な問題がないといっても、大手出版社の「AIグラドル写真集」が販売中止を余儀なくされたように、世論やクリエイターへの配慮も必要になります。
その点、唯一安心して使える画像生成AIは『Adobe Firefly』ですね。知的財産権をクリアした素材しか学習元に使われていないうえ、Enterprise版では万が一訴訟を起こされた際はアドビ社が損害を全額保証すると声明を出しているので、最強です。
👇Adobeさん補償詳細はこちら。https://t.co/t2HEN0hy1G
— ミヤマ|営業部にいるデザイナー (@mmmiyama_D) June 17, 2023
ただ、知的財産権に配慮した画像しか学習データがない点から、生成される画像の質はまだまだ発展途上なのも事実。そのため、プロのデザイナーの多くは「早くAdobe Fireflyがもっと進化してほしい!」と切望しているはずです。
これからどんどんAIが進化していったら、まずWebデザインの末端にいる専門職デザイナーの仕事がなくなっていくと思います。
AIはデザイナーの仕事を奪うのか?
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専門職じゃなくても、簡単にデザインのラフ案やイラスト・写真が生成できるとなれば、エンジニアやマーケターがデザイナーも兼務することも増えるかもしれません。実際に、中国ではAIがイラストレーターの仕事を奪っている例もあるそうです。
AIに仕事を奪われないためには、2つのポイントがあります。
- 環境に適応する
- 上流の領域にいく
AIに対して漠然と不安や怖さを抱いている方もいるかもしれません。それでも、自然学者のダーウィンが言う「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは、変化に最も適応できる者である」という言葉が真理だと思います。
実際、AIも触ってみればなんてことはないので、まずはどんどんAIツールを使ってみましょう。とくにいまのAI界隈は黎明期で、まだまだ人による手直しが必要な状態。これから求められるのは「AIリテラシーの高い人材」になるはずなので、いまのうちのAIリテラシーを高めておくことをおすすめしたいです。
これまでの歴史を振り返っても、新しい技術が生まれては古い技術が消えていき、新しい仕事が生まれては古い仕事が消えていきました。でも、新しい技術を否定せずに好奇心を持って向き合い、適応していけば、新しいスキルを身につけ仕事を生み出せるはずです。
下流の仕事はAIに代替されやすいため、私も含めて、クリエイターは上流を目指す必要があります。下流の人が上流にいくためには、AIを駆使してより複合的なスキルを獲得することが重要です。
「そうは言っても、何からすればいいのか……」と迷われると思うんですが、上流にいくために学ぶべきことや、いまの自分に不足していることなどは、それこそChatGPTに相談すれば解決の糸口が見つかるかもしれません。
これからの時代、AIがますます進化していくのは止められません。より複合的なスキルを持ち、ブランディング全般を担える人材が求められます。とくに市場分析や競合調査など、マーケティングに関する勉強はデザイナーにもおすすめ。効果的にAIを使うためにも必要になってきます。
たとえば、「この企画書についてクライアントにアピールするポイントを箇条書きでまとめてください」など、より具体的な指示出しができるようになると、業務の効率化がはかれます。AIに怯えるのではなく、共存し、活用しながら自分のスキルを伸ばしていきましょう。
究極的には、AIを駆使して一人でなんでもできる「一人社長」を目指すのが、AIが進化した世界でも生き残る一つの道なのではないでしょうか。
AIを活用し、共存しながらも、現状では人にしかできないことは以下の3つだと考えています。
- 身体由来の経験を積む
- コミュニケーション
- 最終的な判断
自らの身体を使って体験すること、そこから得られる一次情報、ならびに一次情報をもとに問いや問題を発見する力は、まだまだ人が優位です。AIはインターネット上に散らばった情報を即時に学習し、指示に合わせて答えを出すことには長けています。しかし、人のように独自に体験し、そこから一次情報を得ることはできません。
人が体験できる一次情報には価値があります。一次情報とAIを掛け合わせ、問いや問題を発見し、解決策を見つけられる人は強いです。そこから新たな仕事を生むこともできると思います。
人と人が共感し合うように、AIとAIが共感し合うことはできません。人の感情やコミュニケーション領域は、まだまだAIが到達できていない分野です。
クライアントが持つ本質的なニーズを理解・キャッチアップし、適切な成果物を提供するスキルは、まだまだ人固有のものだと思います。AIに仕事を奪われる……と悲観的になりすぎず、AIが苦手な領域で差別化を狙いましょう。
ChatGPTやAdobe Fireflyなどが出力した成果物や解決策は、指示出しによっては相当高いクオリティのものですが、情報の正誤の判断や倫理的に問題がないかどうかなど、あくまで最終的な判断は人がしなければいけません。
AIはあくまでツール。提示されたものをそのまま流用するのはリスクが高すぎます。最後は人が判断し、万が一のときは責任をとる能力が求められるでしょう。
圧倒的に仕事のクオリティを格上げしてくれるAIですが、セキュリティ面や著作権リスクなど、まだまだ配慮しなければならない点が多いのも事実。日々更新されるAI情報をキャッチアップしながら、自身でもAIツールに触れ、慣れておくことをおすすめします。
ここまで、現役デザイナーのAI活用事例を解説してきました。最後に、文中で実際に解説した、ChatGPTを使うときの「デザイン企画書作成用プロンプト」をプレゼントします。
ただし、クライアントによってはAIの利用を嫌がることもあるので、AIを利用する前には必ず一言断るようにしましょう。また、AIツールの利用はあくまで自己責任でお願いします。
#目標:
クリエイティブに造形の深いプロのマーケター視点で情報を整理し、デザインコンセプトを作成すること。
以下の変数を使用し、デザインコンセプトを生成してください。変数が空欄の場合は、その他の情報から推察して最適と思われる設定をしてください。:#変数:
## 前提条件:
– デザインをする目的:新商品のブレンド茶のプロモーションを行うことで売上UP
– who:
– ターゲット情報(例:年齢や性別):20-45歳女性
– how:
– デザインする媒体(例:WEBバナー・ポスターなど):WEBバナー#手順:
以下の手順に沿ってデザインコンセプトを提案します:
1. 前提条件を踏まえて最適なデザイン戦略を立案します。
2. whoに対して興味を引くデザイン要素を考慮し、最適なwhatを導き出します。この過程で、ターゲットの主要な悩みや問題点とターゲットが求める解決策をChatGPTが推測して自動で表示されるようにします。
3. who, what, howをもとにデザインコンセプトを立案します。さらにコンセプトに基づき、ねらいや方向性を設定します。
4. 3と前提条件を踏まえてキャッチコピーを作成し、whoが強く興味を惹かれる内容に仕上げます。(キャッチコピーは、「顧客メリット・具体性(数字やイメージ)・名が体を表す・見込み客の99%が同意しそうな内容」のすべてが感じられるタイトルに修正する)さらにそのキャッチコピー案は、セールスライティングが得意なプロのコピーライターが添削したものにして出力してください。
5. 【この部分はプロのデザイナー目線で提案する】今までの内容を踏まえ、最適なキーワード、配色、フォント(日本語フォント・英語フォントからそれぞれ選定。フォントは有料・無料は問わず最適と思われるものを選定)、レイアウトを設定します。
6. 【この部分はプロのデザイナー目線で提案する】さらに今までの内容を踏まえ、最後にデザイン制作に向けた注意点をまとめます。
7.最後に以下の出力形式で出力します。その際は各項目ごとに分かりやすくまとめて出力・提案をしてください。
※手順の注意点:出力は結果のみとしてください。過程は不要です。以下の出力形式に従って、デザインコンセプトを提案します。
| No. | 項目 | 内容 |
| — | — | — |
| 1 | デザインの目的 | ※内容を記載する |
| 2 | デザインのねらいと方向性 | ※内容を記載する |
| 3 | ターゲットの主要な悩みや問題点 | ※内容を記載する |
| 4 | ターゲットが求める解決策 | ※内容を記載する |
| 5 | キャッチコピーの提案 | ※内容を記載する |
| 6 | who(だれに) | ※内容を記載する |
| 7 | what(なにを) | ※内容を記載する |
| 8 | how(どう伝えるか?) | ※内容を記載する |
| 9 | キーワード(5つ) | ※内容を記載する|
| 10 | 配色 | メインカラー:#カラーコード、サブカラー:#カラーコード、アクセントカラー:#カラーコード |
| 11 | フォント(和文) | メインフォント:フォント名称、サブフォント:フォント名称 |
| 12 | フォント(英文) | メインフォント:フォント名称、サブフォント:フォント名称 |
| 13 | レイアウト | ※内容を記載する |
| 14 | デザイン制作する上での注意点 | ※内容を記載する |#出力結果:
なお、私のニュースレターでは、こうしたChatGPTのプロンプトなどを含む最新のAI情報を配信しています。登録無料なので、ぜひ情報収集にお役立てください。
ここまで、現役デザイナー・ミヤマさんにAIの活用法を語っていただきました。
皆さまのようなAI活用に関心のあるデザイナーの方にご紹介したいのが、Workshipの関連サービスである、デザイナー専門エージェント『クロスデザイナー』です。
クロスデザイナーの特徴は、7,000人以上が登録するデザイナー専門サービスである点。フリーランスや副業にも対応しており、最短即日の紹介が可能となっています。
リモート率も90%以上と多様な働き方の案件があり、副業者でも活用が可能です。対応職種についても、Web、UI/UX、グラフィック、DTP、ゲーム、アプリ、動画、アートディレクターなどさまざまなデザイン領域を網羅しています。
利用料金もかからないので、デザイン案件をお探しの方はぜひご登録ください。
サービス名 | クロスデザイナー |
運営会社 | 株式会社GIG |
登録料・利用料 | 無料 |
使うべき人 | ・エージェントに仕事を紹介してもらいたい人 ・リモート案件を獲得したい人 |
(取材&執筆:北村有 編集:齊藤颯人)