通訳と翻訳の違いって何?通訳者になるための基礎知識

通訳者になるための基礎知識

こんにちは。ビジネス用の通訳手配を行っているco-inと申します。企業様から通訳手配の依頼を受け、それに合わせた通訳者の手配を行っております。

この記事では、「通訳とは何か」「通訳者が活躍する場面」「通訳になる方法」という点についてお話しします。

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オンラインに強いビジネス通訳手配を行っております。Zoom会議などに通訳者を手配したい方はお気軽にご連絡ください。定期的な通訳依頼を行う方向けの通訳依頼システムも開発しました。URL:https://co-in.me/

通訳とは何か

通訳と翻訳の違い

初めに、「通訳」とは何かを説明するために、似た概念である「翻訳」との違いを明確にします。

じつは、「通訳」と「翻訳」の違いを明確に分かるという方は、私たちの経験上、そこまで多くないと考えています。実際、発注されるお客様においても違いを理解されていない方はいらっしゃいます。

「通訳」とは、ある言語で口頭で話されている情報を情報の内容は変えずにその言語と異なる言語に口頭で置き換えて伝えることです。

一方で、「翻訳」とは、ある言語で文章として記載された情報を情報の内容は変えずに、その言語と異なる言語で記載された文章に置き換えることです。

簡単に言い直すと、「話し」言葉を訳すのが「通訳」、「書き」言葉を訳すのが「翻訳」です。

概念の違いを説明したところで、以降では、仕事としての「通訳」、「翻訳」を扱っていきます。

「通訳」と「翻訳」で必要な能力は違う

仕事としての「通訳」や「翻訳」では、必要とされる能力は変わります。

同じ「言語を訳す」仕事であっても、「話し言葉」か「書き言葉」かという違いによって大きな違いが生じるからです。

ここでは、「言語力」は前提としてそれ以外の能力について解説します。

通訳では、「対応力」と「コミュニケーション能力」が求められます。

「対応力」とは、その場の文脈にあった訳出を臨機応変に実施する力です。すでに説明したように、通訳は口頭のコミュニケーションを対象としています。そのため、リアルタイムで置き換えを行わなくてはなりません。

そのため、リアルタイムで会話が流れていくなかで、そのまま訳しても意図が伝わらない時に、相手に伝わる訳し方をその場で瞬時に実施する対応力が必要です。

「コミュニケーション能力」とは、会話に参加している人たちを認識違いなく、意思疎通させる力です。

口頭でのコミュニケーションは、同じ言語間でも互いに意思疎通がうまくできない場合があります。通訳者は、会話の参加者がきちんとお互いの意図を理解していることを確認しながら、理解を促進する適切な訳出を実施するコミュニケーション能力が求められます。

一方の翻訳では、「文章力」と「リサーチ力」が求められます。

「文章力」とは、文章の意図を理解する能力と、その文章を別の言語で作文する能力を指しします。

「リサーチ力」とは、難しい専門的な内容を調べ、理解する能力です。通訳に比べて時間を書けられる分、翻訳では辞書などを利用しながらより正確なニュアンスを伝えるための訳が求められます。

このように、「話し言葉」か「書き言葉」かという違いにより通訳と翻訳では求められる能力が変わります。

通訳者は「ほんやくコンニャク」ではない

前項で説明したように、通訳という仕事や翻訳という仕事には、言語力以外の能力が必要です。一方で、言語力は非常に高く、外国語を聞いた瞬間に日本語に訳せるというイメージを持ってしまうことがあると思います。

実際、私たちも通訳業界に携わる以前はそのようなイメージを持っていました。ドラえもんで言う「ほんやくコンニャク」のような感じでしょうか。

しかしながら、実際の通訳者は、「ほんやくコンニャク」ではありません。

もちろん、通訳者は高い言語力を保有しています。しかし、それでも専門用語は分からない時があります。日本語が分かるからと言って、医者同士の会話の意味が理解できるかというと別の問題です。

そのため、日々、さまざまな分野に関わっていく中で、粘り強く言葉の意味を調べ、業界知識を蓄えて会議に向けて準備を行い、言葉と向き合っていくことが求められます。

外国語ができるというだけで通訳という仕事は務まりません。言語力を背景に、日々努力する必要があります。

通訳者が活躍する場面

通訳者には、それぞれ得意な場面がある

通訳と一口に言ってもさまざまな場面で利用されます。

たとえば、会社で行われる外国との会議やテレビでよく見るハリウッドスターが来日した時の通訳などです。(最近コロナで見られないですね。)

つまり、非常に多岐に渡る場面で利用されます。そのため、通訳者ごとに得意とする場面があります。すべての場面について深い専門知識をつけていくことは非常に難しいからです。

次項では、一般的な通訳の場面を11個紹介させていただきます。

通訳者が活躍する11の場面

概要 具体的な場面
会議通訳 ビジネスシーン以外の専門的で高度な内容の会議で行う通訳です。 政治家や専門家が参加する国際会議。シンポジウム、政府間協議、学会など。
ビジネス通訳 大小問わず、あらゆるビジネスシーン(アテンドを除く)で行う通訳です。 社内ミーティング、社外との交渉、IR関連会議、講演会、現場視察など。
アテンド通訳 海外からの出張者や来賓の対応を行う通訳です。 海外要人のアテンド、重要取引先社長のアテンドなど。
医療通訳 医療のシーンで患者と医者の意思疎通を行う通訳です。 日本語が話せない方の病院の受診。
司法通訳 事件の取り調べや裁判などで行う通訳です。 日本語が話せない方が被疑者や被害者となる事件。
放送通訳 テレビ番組、とくにライブシーンで行う通訳です。 海外メディアのニュース、外国語での記者会見や講演など。
エンターテイメント通訳 来日した著名人に同行して行う通訳です。エスコート通訳と呼ばれる場合もあります。 海外からの俳優、アーティストやスポーツ選手が来日した際、テレビ出演、イベントなど。
コミュニティ通訳 日本語が話せない方の日常生活をサポートするために行う通訳です。医療通訳、司法通訳を含む場合もありますが、専門性が高いため今回はコミュニティ通訳に含まない分類としています。 市役所や学校での通訳。
旅行通訳 海外旅行にいく方を現地でサポートするための通訳です。 海外旅行でのあらゆる旅程(ホテルチェックイン、レストラン、ツアーなど)。
通訳ガイド 日本語が話せない観光客の方と一緒に観光地を巡り、その土地の説明をする通訳です。 日本語が話せない外国人観光客のアテンド。
プライベート通訳 プライベートな場面で行う通訳です。 国際結婚をする際の家族間の打ち合わせなどに立ち会ったり、事件があった際に海外の知人に連絡するなど。

上記のように通訳者が活躍する場面はさまざまです。通訳者を目指す場合は、自分がどんな場面で活躍したいかイメージをわかせておきましょう。

通訳の形式

通訳の形式は訳出するタイミングで分かれる

通訳の形式とは、通訳を実施する方法のことです。以下の3つの形式があります。

  • 同時通訳
  • ウィスパリング
  • 逐次通訳

それぞれ言語が話されたあと、どのタイミングで通訳者が訳すかで分類が分かれています。

同時通訳>ウィスパリング>逐次通訳の順で難易度が上がります。一方で、発生件数は、逐次通訳が一番多いです。

難しいからといって同時通訳ができることが偉いわけでなく、前項で紹介した場面ごとに最適な形式があります。

そのため、各通訳形式を理解しておくことで、通訳者を目指す時に自分がどのような形式の技術を磨いていけばいいのかの参考にしていただければと思います。

それでは、次項では、1つずつ詳細を説明していきます。

同時通訳

同時通訳とは、話者が言葉を話すのとほぼ同時に、並行して通訳者が訳していく通訳手法です。テレビや国際会議で聞くようなものがすべて同時通訳です。

話し手の話に遅れずに情報を理解できることがメリットです。また、タイムラグが発生しないため、講演会やイベントの時間が通訳のせいで長くなるというケースはないです。一方、専門の機材を必要とするため、コストがかさみます。

ウィスパリング

ウィスパリングとは、話者の言葉を聞き手の耳元でささやくように訳していく通訳手法です。同時通訳と同様、タイムラグなく行いますが、訳出先が少人数になります。一人や二人だけ会議で使われる言語がわからない場面で使われます。

逐次通訳

「話者の話を1~2分程度区切り、通訳者がそこまでの話を訳し、訳が終わったらまた話者が話を再開し、1~2分程度で区切り、訳す…」というのを続けていくのが逐次通訳です。ビジネス通訳では、多く利用されます。

相手の話していることをゆっくりと、正確に訳することができることがメリットです。一方、少し話すたびに通訳が行われるので、会議のテンポが悪くなり時間も余計かかってしまうというデメリットがあります。

通訳者になる方法

資格は不要

通訳者として仕事をするために、資格は不要です。そのため、通訳者を名乗って案件を受注すれば、通訳者となることができます。

しかし、現実的には少し言語ができるというだけで案件が受注できることは難しいです。

土台となる言語力、そして通訳としての専門的なスキルを磨いておかなければ通訳者として案件を受注し、お金を稼ぐことは難しいです。

なお、通訳者になるための資格でなく通訳者のスキルを証明するものとして以下の2つの試験は存在します。

  • TOBIS(ビジネス通訳検定)・・・ビジネス通訳のスキルを測る試験
  • 通訳案内士試験(観光通訳向けの資格)・・・通訳・観光ガイドを行うため国家資格

通訳学校を出ていると有利なことも

通訳者を養成するための通訳学校を卒業していると通訳者として仕事を受注することがしやすくなります。

理由は2つあります。

1つ目は、言語力だけでなく、通訳者として必要なスキルが体型的に学べるからです。通訳学校では、通訳としてのメモの取り方を学べたり、訳す際の頭の使い方を勉強できます。

通訳者として活躍するために必要なことが非常に効率的に学べます。

2つ目は、通訳学校は通訳エージェントによって運営されていることが多く、卒業後にその通訳エージェントに登録することができるからです。通訳エージェントとは、通訳者に仕事をお願いしたい人と通訳者をマッチングさせることを生業にしている会社のことです。

多くの通訳案件はエージェントを介すため、卒業後に案件を受注しやすくなります。

通訳として案件を受注する方法

通訳者になるためには、案件を受注する必要があります。通訳者として案件を受注する方法は、3つあります。

1つ目は、通訳エージェントに登録することです。多くの案件が通訳エージェント経由のためもっとも安定して仕事を獲得できます。エージェントが案件の要件を定義し、クライアントとの調整を行ってくれるので、一番簡単に案件を行う方法です。一方で、エージェントに信頼されないと仕事があまり回ってこない可能性もあります。

2つ目は、知人経由での依頼です。友人や知り合い経由などで案件を受注します。企業で働いていた経験のある人は、以前に所属した企業からの依頼を受けることもあります。

3つ目は、オンラインのマッチングサイトに登録することです。フリーランスのマッチングサイトや最近では通訳者専門のマッチングサイトも登場しています。自分でクライアントとの調整や交渉を行う必要がありますが、そこにやりがを感じる人にはよいでしょう。(どんな調整・交渉が発生するかは2つ目の記事にてご紹介します)

3つの方法をうまく駆使して案件を受注して、通訳者を目指しましょう。

(執筆&提供元:co-in 編集:泉)

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