フリーランスが病気で無給になると、1ヶ月で実質100万円消える理由【社労士解説】

フリーランスが病気で無給になると、1ヶ月で実質100万円消える理由【社労士解説】

誰にでもある、病気やケガで急に働けなくなるリスク。

会社員であれば、欠勤して給与が止まっても健康保険(健保)から「傷病手当金」として給与の約3分の2が支給されます。

しかし、国民健康保険(国保)に加入しているフリーランスにその保障はありません。

今回は、社会保険のプロフェッショナルである社労士の視点から、フリーランスが働けなくなったときのために必要な備えを解説します。

もひもひ
もひもひ

開業社会保険労務士(東京都社会保険労務士会所属)、特にIT/Web業界を中心に支援している。趣味は同人活動で、評論同人サークル「さかさまダイアリー」より同人誌「村上春樹っぽい文章の書き方」シリーズなど発行。(X:@mo_himo

働けなくなっても支出は止まらない

会社員であれば、急な病気やケガによる欠勤のときも、有給休暇や傷病休暇などを使うことで1ヶ月程度は給与を維持できます。

さらに、仮に1ヶ月で治りきらなくとも、最長で1年6ヶ月の間、月給の約3分の2を受け取りながら療養できます。

一方、フリーランスが加入する国民健康保険には、所得補償である「傷病手当金」が原則としてありません。つまりフリーランスは、働けなくなったその日から無収入に陥ることになります。

しかも非情なことに、家賃、食費、光熱費、通信費などの生存コストは発生し続けます。

▼ケガ・病気に備える「労災保険」についてはこちらの記事でも解説しています

特に注意が必要なのは、社会保険料と税金です。

国民年金や国民健康保険料は、収入が途絶えてもすぐには免除されません。

免除や猶予の制度はあるものの、市区町村への申請が必須だからです。

しかも、これらは「前年の所得」を基準に徴収されるため、無収入になった直後でも、「前年の所得」に応じた請求が来ることになります。

同じく住民税も「前年の所得」に対して課税されるため、手元にお金がなくても納付が求められ続けます。

1日休むごとに貯金はいくら削られるか

具体的に、「1日休むと、いくら貯金が減るのか」を計算してみましょう。

現役世代が経験しやすいトラブルとして、

  • スポーツ中の転倒による利き手の骨折
  • 重度の食中毒による脱水
  • 急性虫垂炎(盲腸)や尿管結石の発症
  • 歩行困難なレベルのぎっくり腰とその後のリハビリ

などによる「数日の入院とその後の自宅療養、合わせて1ヶ月の就労不能」というケースを想定します。

月額報酬50万円のフリーランスが就労できなくなった場合、1日あたりの「本来得られたはずの報酬」は約17,000円(1ヶ月を30日として計算)です。働けなくなることで、まずはこの「見込み収入」が0円となります。

収入が得られなくなる一方で、固定的な支出は依然として発生します。

療養中は通信費などの経費が多少浮くかもしれませんが、寝込んでいる最中に各種サービスの解約・変更手続きをする余裕はなく、大幅に出費を抑えることは難しいでしょう。

そして何より、治療・療養にかかる費用です。治療自体は、高額療養費制度を利用すれば、数百万円分の手術を受けても自己負担は数万円〜十数万円(上限金額は所得により変動します)で済みます。

それでも、病院での食事代・差額ベッド代や入院生活に必要な日用品など、自己負担が発生する場面は多いです。

これらを合わせると、少なくとも1日で約3万円程度の貯金が削られる計算となります。

▼フリーランスが病気になったら…


仮に数日で退院できても、1ヶ月単位での療養が必要になれば、通院に伴うタクシー代やフードデリバリー、家事代行等サービスの利用、仕事のキャンセルに伴う代行費や違約金もかさみます。こうなれば、失う所得と支出を合わせて100万円単位の資産が失われることになります。

社労士が推奨する最低貯蓄額は?

こうしたリスクに備え、フリーランスはいくら貯金しておくべきでしょうか。

まず目安になるのは、「月間支出の3ヶ月分」を確保することです。

ここでの支出には生活費だけでなく、税金や保険料も含まれます。

3ヶ月分の支出をまかなえる程度の貯金があれば、数週間の入院が必要な肺炎や、安静が必要な骨折といったケースは自力で乗り切れます。

たとえば売り上げが月50万円のフリーランスを考えます。

事務経費に月10万円。税金と社会保険料に合計月10万円。生活費など支出に月25万円。貯蓄に月5万円を回している場合、目安としては135万円ほど貯金があると、もしものときも安心でしょう(事務経費の多くが交通費など、都度支払いの経費である場合は105万円程度でOKです)。

次に、椎間板ヘルニアや心筋梗塞、がん、脳出血のような「手術や長期的な治療など、数ヶ月単位での療養が必要なケース」を考えます。

こうしたケースにも備えるためには、まずは「月間支出の3ヶ月分」に加え「税金と保険料の半年分」も上乗せすることを目指しましょう。

前述の例で言うと、135万円に加えて、半年分の税金と社会保険料(60万円)、合わせて205万円ほどの貯金があれば、「万が一」のときにも安心といえます。

保険に入っていれば安心とは限らない

「民間の保険(就業不能保険)に入っておけば、いざというとき保障されるから、貯金をしなくてもいいのでは?」という考え方もあるかもしれません。しかし、個人的にこの考えはオススメできません。

就業不能保険には、発症して仕事ができなくなってもすぐには保険金が支給されず、その後数ヶ月間は支給されない「免責期間」が設定されているのが一般的です。

具体的には、「就業不能な期間が60日を超えた場合、61日目から保険金が支給される」というイメージです。

こうした保険は、がんや脳卒中などで1年単位での入院生活を送るようなリスクには向いています。

一方で、より身近なリスクである短期的な無収入の時期を乗り切るには、民間保険へ加入するよりも、まずは貯蓄を「月間支出の3ヶ月分」確保することを優先すべきなのです。

もっとも、「とにかく自分は貯金が苦手!絶対に無理」という人や、「家族を養っているので、数年単位で働けなくなるリスクにもしっかり備えておきたい」という人には、民間保険も有用な選択肢となるので、ぜひファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみましょう。

結論

フリーランスにとって、貯金は単なる蓄えではなく、自分を守るための保険です。

いざ倒れてから慌てるのではなく、まずは自分の生存コストを計算し、把握しておくことが、不測の事態に備えるための第一歩となるのです。

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(執筆:もひもひ 編集:夏野かおる)

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