エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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「映像のクオリティの7割は絵コンテで決まる」とも言われるほど、動画制作の心臓であり設計図である「絵コンテ・構成表」。
基本的には動画制作会社が作りますが、絵コンテができるまでの流れ、絵コンテにおいてチェックするべきポイントを理解しておくと、制作会社とのやり取りもスムーズです。また、自分で絵コンテを作成する場合の手順を知っておきたい方も多いでしょう。
そこで本記事では動画制作のプロに取材した以下の4ポイントを解説します。
最後まで読めば、理想の動画にグッと近づけます。
まずは一般的に目にする機会の少ない絵コンテ・構成表の概要から説明します。上が実際の動画制作で使われた絵コンテです。
絵コンテ(単に「コンテ」とも呼ばれる)は動画作成のための設計図。テキストで書かれたシナリオ台本をもとに、絵(イラスト)、内容(役者やキャラの動き・背景などの指示)、セリフやナレーション、尺、効果音などを細かく記した指示書(構成台本)のことです。
上の画像は絵コンテの一例ですが、実写の場合、使用する機材やタイムスケジュールなど、さらに詳しく記載されていることもあり、絵コンテのフォーマットは制作会社によって異なります。
絵コンテ・構成表の目的は主にキャスト、制作スタッフと認識を共有することです。絵コンテ・構成表は基本的に映像ディレクターが作りますが、絵コンテはまさにディレクターの分身。実写は撮影現場の状況で変わることがあるのでラフに描くことが多いですが、アニメはイラストに影響するので全カットを細かく記します。
絵コンテによって他のキャストやスタッフも制作の流れや動画全体のイメージができ、映像制作がスムーズに進行しやすくなります。
絵コンテはクライアントにとっても重要です。テキストだけの台本だと、動画全体の世界観、役者の動きまでイメージできません。絵コンテはクライアントと制作会社で認識のズレがないようにするためにも重要です。
絵コンテがあることで動画で最も重要な部分、メッセージを伝える部分、落とし所、音楽でいうサビの部分がどんな映像になるかをイメージできます。商品購入などのアクションを促す場合、適切な誘導になってるいるか、自社の商品やサービスの強みは表現できているか、競合と差別化できているかなどをクライアントがチェックできます。
絵コンテ・構成表の作成は、正式に依頼(発注)が決まったあと企画の段階で行います。絵コンテは動画制作の基盤となる重要工程であり、クライアントのフィードバックをもとに修正しつつ、完成まで固めていきます。そしてクライアントの最終OKが出た時点で、各スタッフやキャストに共有します。これらの動画制作の流れに関しては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:プロが解説する動画制作の流れ!スケジュール・進め方まで【初心者向け】
動画制作において重要な絵コンテ・構成表は自分で作りたいと思うかもしれませんが、実際の動画で使う絵コンテ・構成表は制作会社に任せましょう。自分で作成してみて、ポイントを把握する練習ならOKです。
というのも、素人では用意すべき機材(そのアングルならクレーンが必要など)や、必要な表現方法(CGが必要など)が判断できないため、ほとんど予算オーバーの絵コンテになってしまいます。アニメーションの場合でも、予算内では不可能な動き(滑らかさ)になることが大半。絵コンテの作成はプロの制作会社に任せ、フィードバックに注力しましょう。
制作会社は最初にクライアント側がイメージする仕上がりをヒアリングします。そのヒアリング内容をもとに絵コンテを作成するので、安心して任せてください。
ここでは自分で絵コンテを作成するための準備を解説します。
この3つを考えておくと、動画の訴求ポイントが鮮明になります。
絵コンテ・構成表を作る上での軸となるのが「目的」です。まず動画の目的は主に3種類あり、どれに該当するか設定してください。
例えば認知拡大であれば、動画内で商品名やサービス名などの露出を増やす、商品の購入が目的であればメリットを訴求するなど、動画の目的によって映像やナレーションの戦略が変わります。
ターゲット像によっても訴求のポイント、理解しやすい伝え方も変わってきます。また、ターゲットが明確であるほど、メッセージ性の強い動画に近づけます。
性別、年齢はもちろん、「職業」「住んでいる場所」「家族構成」まで考えられるとベターです。例えば、女性向けの商品購入が目的の動画であっても、プレゼント購入を促すなら、男性向けのテイストにしたほうが良い場合もあります。ターゲット像は明確であるほど制作会社は戦略を立てやすくなるため、掘り下げられるところまで設定しましょう。
動画を配信するメインの媒体も決めておいてください。公式サイトで掲載するのか、タクシーや電車などの交通広告なのか、YouTubeなのか?Facebookなのか?
媒体によって向いている世界観が違い、制作費、適切な動画の長さ、撮影機材なども異なります。
Webの小さな画角と違い、テレビや大型モニター、セミナーのプロジェクター、映画館などで流す場合は画像が荒くなってしまいます。その場合は鮮明に撮れるカメラを使うため制作費も変わってくるのです。企業説明会、商品説明会で流すものなのかSNSで流すのかなど、メインの媒体や用途も考えておくと絵コンテを作成しやすくなります。
ここから絵コンテ・構成表の作り方を解説します。ポイントを押さえておくと、制作会社の絵コンテをチェックする際にも役立ちます。自分で絵コンテを作成するときは絵コンテ用紙、筆記用具、ストップウォッチを用意してください。手順は以下の3STEPです。
絵コンテといえば、まず絵を描くことをイメージしがちですが、最初にやることはセリフ・ナレーションを書くこと。先に軸である全体のセリフ・ナレーションを入れたシナリオ原稿を作ります。絵を決めてしまうと、セリフやナレーションによっては不自然になってしまうからです。たまにナレーションと映像がうまくマッチしていない動画を見ますが、映像ありきで考えてしまうことが原因の一つです。
そして、セリフやナレーションの原稿はクライアント側で考えておき、制作会社に添削してもらう方法がベスト。動画はクライアントの伝えたい想いや商品・サービスの良さ、採用への呼びかけを映像化するものなので、軸となるメッセージはクライアント側で考えておきましょう。
映像化のプロである制作会社と二人三脚で完成させることが、理想の動画への近道です。
考えたセリフやナレーションの原稿は音読し、ストップウォッチで秒数を測ってください。適正な長さと思っていても、30秒の動画なのに、いざ朗読すると45秒になってしまうなど、文字数は多くなりがち。また、映像のセリフは視聴者に分かりやすく伝えるため、日常会話よりゆっくりしゃべるケースが多いです。
原稿の文字数の目安は1分間で180字前後。1秒間に6字ほどしかしゃべれないので、言えることは限られます。制作会社に原稿を見せてから大部分が削られることのないよう、必ず時間を測って原稿を作ってください。
原稿を作ったあとは、細かいカット割りを決めていきます。カット割りとは、シーンごとの構図、シーンとシーンのつなぎのこと。ここからの作業は基本的に制作会社が行うので、クライアント側は原稿を用意するだけで大丈夫です。ご自身で絵コンテを作成される方に簡単に流れを説明します。
動画の1カットの長さは基本的に3秒まで、長くても1カット5〜6秒が限度です。それ以上の長さになると動きがなく、視聴者は映像が止まっているように感じてしまうのです。原稿を考えるときも、あまり1場面に時間をかけられないと思っておいてください。
絵コンテのカット割りを決めるスタンダードなやり方は以下の方法です。
まず、秒数を計って、C-1、C-2など各シーンに区切っていきます。区切ったシーンごとに演出を書き込みます。バストアップ、肩越しなどのカメラアングル、笑顔などの人物の表情、背景に何があるかなど詳しいほど良いでしょう。
全体の原稿ができ、カット割りを決めたあとに絵を作成していきます。ポイントは次の2つ。
絵コンテの目的は他の制作スタッフやクライアントと動画の全体像を共有するためのもの。絵の上手さにこだわるのではなく、「どこに何があるか」「どんな動きをするか」を伝えることがポイントです。また、動画には説明文のテロップが入る場合もあります。映像だけでなく、文字が入る場合も想定して描きましょう。
手っ取り早く正確なイラストを描く方法の一つが、Googleの画像検索でキーワードを入力し、イメージに近い画像を絵コンテになぞること。「浴衣 女性 振り返る」などの場面で検索し、イメージに近い構図を真似して描くといいでしょう。
もしくは、フリー画像のサービスで検索する、自分で見本となる写真を撮影するなども方法の一つ。美術やデッサンが得意でないと、頭の中で絵を想像して描くのは至難です。イメージに近い見本を探し、それを真似るといいでしょう。ただし、絵は完全に模写するのではなく、簡易的なものでOKです。絵コンテはあくまで構図を確認するためのもの。詳しくは内容にテキストで書くことで補完します。
絵コンテ・構成表の原稿を作るときの注意点が「メッセージを詰め込みすぎない」こと。会社紹介の動画を例にとると、以下がメッセージになります。
同じ会社紹介でも映像やナレーションが全然違うことが分かります。このとき、入れられるメッセージの数は以下が基準です。
90秒、120秒の動画になってもメッセージ数は3つまで。それ以上多くなると、視聴者に刺さらなくなるからです。60秒以下の動画であればメッセージは1つか2つに絞ってください。伝えたいメッセージを先に決めてから、動画全体の原稿を作成するといいでしょう。
2つ目が絵コンテの細かな表現にこだわりすぎないこと。実際の動画は絵コンテと異なります。実写とアニメでは次のような相違があります。
実写の撮影時、光の具合や天候などで本番当日に映像が変わる場合があります。また、現場で良い提案が生まれてアドリブが入る場合や、後ろに違った人や物が映り込むなど、絵コンテと現場では状況が異なります。絵コンテの段階で細かな表現まで指摘しないほうが打ち合わせや制作がスムーズに進行します。
ただし、これらの変更点が出るかもしれないので、クライアント側の責任者は必ず当日の撮影に同行してください。原則、撮影は撮り直しがききません。その場でモニターを見ながら、OKどうかの判断をしてください。
制作会社が用意する絵コンテは映像ディレクターが描くことが多く、本番の絵はイラストレーターが描きます。なので、絵のタッチやキャラのテイスト、世界観は全然違います。
絵コンテはあくまで構成台本であり、全体の流れを共有するためのもの。アニメ動画では、全員に絵コンテを共有したあと、イラストレーターがキャラ・背景・代表シーンなどのラフ画を描きます。アニメ動画の場合、何枚も描いたイラストをアニメーターが動きをつけるため、静止画のイラストと動いているアニメーションでは印象が違う場合があります。
絵コンテで描かれている動きはあくまでイメージです。完成品の実際の動きとは異なるので、絵コンテに引っ張られないようにしましょう。
以上、動画制作における絵コンテ・構成表について解説してきました。
コンテンツは構成が命です。絵コンテ・構成表が「動画のクオリティの7割を左右する」とも言われます。
企画の段階で納得がいくまで制作会社と打ち合わせをし、骨太な絵コンテにしましょう。ここで妥協したら理想の動画は生まれません。本記事で紹介したポイントを押さえ、自分で絵コンテの作成を練習してみることもおすすめです。
(執筆:松田 光正 提供元:動画幹事)