Workship MAGAZINE書籍化第3弾!#ADHDフリーランス の新常識 他
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個人事業主をしていると「どれぐらい稼いでるの?」と聞かれることも多々あります。みなさんは自分の年収を把握していますか?わたしはしていません。
そのような質問をされたとき、どのように答えたらいいんでしょうか。今回は個人事業主の年収について解説し、実際にフリーランスが収入を聞かれた際の答え方を調査したアンケート結果をまとめました。
目次
わたしは「年収って、1年間でいくら稼いだかじゃないの?」とざっくり考えていたんですが、個人事業主の年収ってそう簡単ではないんですよね。ここでは年収に関する2つの定義を解説します。
個人事業主の年収を「売上=税込年収」とする考え方です。かつてわたしが考えていた年収がこちらですね。
これの何が問題になるかというと、必要経費が差し引かれていないことです。会社員だと、基本的に経費の清算は事務員さんがやってくれるので、1年間の手取りをそのまま計算すればいいんですが、個人事業主だとそうはいかないんですよね。
たとえば、わたしは取材ライターなので、さまざまな場所に行きます。都内もあれば、地方へ宿泊をともなう取材もあります。もちろん取材の経費はいただくわけですが、地方取材を増やせば、見せかけの収入を上げることができてしまいます。
その理屈でいえば、収入が2000万円で支出が1800万円の場合でも、「収入2000万円」と言えちゃうんですよね。それはちょっとどうなの? という気がします。
じつは収入金額を年収と表現するのは、税務や会計の実務上ではよくある話なんだとか。たとえば、確定申告書の左上の緑色の部分には「収入金額等」と縦書きで書かれています。これはもちろん、経費を引く前の売上高のことです。
ただ、一般的な「年収」の話をするときに、こちらを出すのはちょっと違うような気がします。
一般的にイメージする年収はこちらでしょう。所得は、以下の計算式で出すことができます。
収入金額(売上高)-売上原価-必要経費=所得
この金額が「個人事業主の年収」となるわけです。
実際に自分が働いて得た金額の合計なので、この金額を「年収」と呼ぶほうが自然ですよね。先ほどの例だと、収入が2000万円で、支出が1800万円なので、年収200万円になります。
一般的にも、上記の所得を年収として扱うことが多いです。
ただ、場合によっては上記からさらに「税金や社会保険料」を引いた「手取り金額」を収入と呼ぶ場合もあります。
フリーランスの手取り計算方法【早見表・年収別シミュレーションあり】
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会社員の場合は、残業の有無や年末調整などでも多少は変わってきますが、毎月の手取りの金額はだいたい決まっているので、なんとなく年収が想定しやすいですよね。
しかし、個人事業主の場合は時期ごと、案件ごとに経費がかかってくるので、なかなか利益が見えてきづらい部分があります。筆者も、自分の年収をまったく把握しておらず、確定申告を終えたあとに「これだけ稼いだのか~」としみじみ思ったり、「今年の年収これだけ!?」とびっくりするのが毎年の恒例行事です。
この弊害として、たとえば個人事業主は会社員よりふるさと納税が難しいとされています。
【FP解説】個人事業主・フリーランスはふるさと納税すべき? 限度額/確定申告方法/申請手順をわかりやすく紹介
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一方、個人事業主は自宅で仕事をしていれば、家賃の一部を経費として計上することができますし、他にも個人事業主ならではの経費はたくさんあります。
これは節税という意味ではメリットがありますが、その反面、見かけ上の年収が低くなるため、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りづらいというデメリットにもなるのです。
一般的に住宅ローンやクレジットカードなどの年収欄に記入する必要がある「年収」は②の所得のほうです。
個人事業主の場合には、収支内訳書や青色申告決算書の明細書を含む所得税の確定申告書類と納税証明書の提出が必要になるケースが多いです。金融機関によっては直近2~3年分の確定申告書類の提出を求められ、会社員よりも収入を細かく審査される傾向があります。
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また前述のとおり、住宅ローン審査で見られる「収入」とは売上から経費を差し引いた「所得金額」となっています。
会社員と比較すると、自営業者はさまざまな経費を差し引いた金額をもとに審査されるケースが多いため、個人事業主は実際の所得金額よりも低い金額で審査されるケースが多くなります。
ただ、中にはこれらの控除を経費としてみなさずに所得として計算をする金融機関もあるため、住宅ローンを検討している場合には申し込み前に複数の金融機関に相談してみるといいでしょう。
クレジットカード申し込みに関しても、ショッピング枠のみを利用する場合には必要ありませんが、キャッシング枠の利用を希望する場合には収入を証明する書類として確定申告書・納税通知書などが必要になってきます。
またカード会社によっては事業内容を確認する書類の提出を求められる場合もあります。この場合も住宅ローン審査と同様に、確定申告書の「所得金額」の額をもとに審査が行われることが多いようです。
フリーランス白書2023によると、最も多いゾーンは「200万円以上400万円未満」で、全体の約28%を占めます。次いで多いのが「400万円以上600万円未満」で、約21%。さらに、「200万円未満が約20%」で続きます。
とはいえ、フリーランス白書の回答者属性を見ると、労働時間100時間未満の層が33%含まれており、いわゆるスキマワーカーも多いことを考えると、個人事業主の年収のボリュームゾーンはもう少し上と考えてもいいでしょう。
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個人事業主としてよくあるのが「生活していけるの? 収入どれぐらい?」などと聞かれるケース。筆者も、会社を辞めてフリーランスになってから、急に聞かれるようになったな……と実感しています。
そこで、今回はX(Twitter)でアンケートを取り、みなさんがどう答えているかを聞いてみました。
39%の人が「適当にごまかす」と回答。理由としては「そこから広がると想定される話題があまり好きではないから」「高くても低くても支障があるように感じるため」といったものが多いようです。
<適当にごまかす理由>
- 「お前が聞いてどうするんだ、と思うから」
- 「金は人間関係を壊す」
- 「個人事業主にあまり良い印象を抱いていない層がいるのを知っているので、同業者以外から聞かれたときはごまかしている」
- 「地域の最低賃金でパートをされている方が多く、正確な金額を伝えると自慢のようになってしまう」
なかには「自分でも把握していないから」という猛者もいました。よかった、わたしだけじゃなかったんだ……!
続いて多かったのが「○○万円ぐらいとざっくり答える」で35%でした。多かった理由は「あまり年収を隠す理由もないが、正確な額を伝えるのは面倒」「お金の話はトラブルを招きかねないから慎重に答えています」といったもの。
<ざっくり答える理由>
- 「会社員時代から正直に答えていたので、その延長線上で答えている」
- 「この質問をしてくる人は、大体『駆け出し』『これから』『子育てしながら働きたい』といった方が多い印象があるので、参考になればと思いざっくり・だけど真実から遠すぎない金額で答えるようにしている」
また、それ以外の回答と理由もまとめてみました。
- 「人によって変える。夫には正確に答えますが、義母やママ友は適当にごまかす」→べらべら言いふらされても嫌だし、「私もやってみたい、紹介して」はもっと嫌なので。
- 「ぼかして、「夫の扶養は抜けてる」と言うことが多い」→税金も保険も自分で払ってると認識してもらいたいから。
- 「相手の答え方に合わせる」→そのほうがフェアだと思うので。
- 「正確な額を答える」→隠すようなことでもないため。
回答は人それぞれですが、どれも納得できるものばかり……。人に年収を聞かれたときには、ぜひこの答えを参考にしてみてはいかがでしょうか。
ここまで、個人事業主が年収を聞かれた際の対応をまとめてきました。個人事業主は誤解されやすい仕事でもあり、収入をハッキリ明言することを避ける方が多かったのも印象的でした。
しかし、他人に正確な年収を伝えるかどうかはともかく、自分のもとに入ってくる年収が多いに越したことはありません。
個人事業主としてもっと多くの年収を稼ぎたければ、フリーランス・副業ワーカー向けマッチングサービス『Workship』の利用がおすすめです。
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(執筆:少年B 編集:北村有)